○議事日程
平成30年12月定例会
鎌倉市議会12月定例会会議録(4)
平成30年12月10日(月曜日)
〇出席議員 26名
1番 千 一 議員
2番 くりはらえりこ 議員
3番 竹 田 ゆかり 議員
4番 中 村 聡一郎 議員
5番 志 田 一 宏 議員
6番 長 嶋 竜 弘 議員
7番 武 野 裕 子 議員
8番 西 岡 幸 子 議員
9番 日 向 慎 吾 議員
10番 飯 野 眞 毅 議員
11番 池 田 実 議員
12番 久 坂 くにえ 議員
13番 森 功 一 議員
14番 安 立 奈 穂 議員
15番 高 野 洋 一 議員
16番 納 所 輝 次 議員
17番 永 田 磨梨奈 議員
18番 高 橋 浩 司 議員
19番 山 田 直 人 議員
20番 前 川 綾 子 議員
21番 河 村 琢 磨 議員
22番 伊 藤 倫 邦 議員
23番 保 坂 令 子 議員
24番 吉 岡 和 江 議員
25番 大 石 和 久 議員
26番 松 中 健 治 議員
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〇欠席議員 なし
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〇議会事務局出席者
事務局長 大 隅 啓 一
次長兼議事調査課長 木 村 雅 行
議事調査課課長補佐 笛 田 貴 良
書記 片 桐 雅 美
書記 鈴 木 麻裕子
書記 沢 崎 悠 美
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〇理事者側説明者
番外 1 番 松 尾 崇 市長
番外 2 番 小 礒 一 彦 副市長
番外 5 番 比留間 彰 共創計画部長
番外 21 番 文化財部長
桝 渕 規 彰
番外 6 番 歴史まちづくり推進担当担当部長
番外 7 番 齋 藤 和 徳 行政経営部長
番外 8 番 松 永 健 一 総務部長
番外 9 番 柿 崎 雅 之 防災安全部長
番外 10 番 奈 須 菊 夫 市民生活部長
番外 11 番 進 藤 勝 こどもみらい部長
番外 12 番 内 海 正 彦 健康福祉部長
番外 13 番 石 井 康 則 環境部長
番外 14 番 前 田 信 義 まちづくり計画部長
番外 16 番 樋 田 浩 一 都市整備部長
番外 18 番 斎 藤 務 消防長
番外 19 番 安良岡 靖 史 教育長
番外 20 番 佐々木 聡 教育部長
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〇議事日程
鎌倉市議会12月定例会議事日程(4)
平成30年12月10日 午前9時30分開議
1 一般質問
2 報告第18号 道路管理に起因する事故による市の義務に属する損害賠償の 市 長 提 出
額の決定に係る専決処分の報告について
3 議案第53号 市道路線の廃止について ┐同 上
議案第54号 市道路線の認定について ┘
4 議案第76号 工事請負契約の締結について 同 上
5 議案第55号 修繕請負契約の締結について 同 上
6 議案第56号 不動産の取得について 同 上
7 議案第57号 指定管理者の指定について ┐同 上
議案第64号 損害賠償請求調停事件の和解について ┘
8 議案第59号 指定管理者の指定について 同 上
9 議案第58号 指定管理者の指定について 同 上
10 議案第60号 指定管理者の指定について ┐
議案第61号 指定管理者の指定について │同 上
議案第62号 指定管理者の指定について │
議案第63号 建物退去土地明渡請求訴訟の提起について ┘
11 議案第67号 鎌倉市議会議員及び鎌倉市長の選挙における選挙運動の公費 ┐
負担に関する条例の一部を改正する条例の制定について │
議案第68号 鎌倉市市税条例及びアメリカ合衆国軍隊の構成員等が所有す │同 上
る軽自動車等に対する軽自動車税の特例に関する条例の一部 │
を改正する条例の制定について ┘
12 議案第66号 鎌倉市にふさわしい博物館基本構想検討委員会条例の制定に ┐
ついて │
議案第70号 鎌倉市子ども会館条例の一部を改正する条例の制定について │
議案第71号 鎌倉市子どもの家条例及び鎌倉市青少年会館条例の一部を改 │
正する条例の一部を改正する条例の制定について │同 上
議案第72号 鎌倉市放課後子どもひろば条例及び鎌倉市子ども会館条例の │
一部を改正する条例及び鎌倉市放課後子どもひろば条例の一 │
部を改正する条例の一部を改正する条例の制定について │
議案第73号 鎌倉市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の保育料 │
等に関する条例の一部を改正する条例の制定について ┘
13 議案第69号 地方税法第314条の7第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れ 同 上
る特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例
の制定について
14 議案第65号 鎌倉市下水道事業の設置等に関する条例の制定について 同 上
15 議案第74号 平成30年度鎌倉市一般会計補正予算(第6号) ┐同 上
議案第77号 平成30年度鎌倉市一般会計補正予算(第7号) ┘
16 議案第75号 平成30年度鎌倉市下水道事業特別会計補正予算(第1号) 同 上
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〇本日の会議に付した事件
1 一般質問
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(出席議員 26名)
(9時30分 開議)
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○議長(中村聡一郎議員) 定足数に達しましたので、これより本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、配付いたしましたとおりであります。
会議規則第142条の規定により、本日の会議録署名議員を指名いたします。12番 久坂くにえ議員、13番 森功一議員、14番 安立奈穂議員にお願いいたします。
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○議長(中村聡一郎議員) 日程第1「一般質問」を12月7日に引き続き行います。
高橋浩司議員の一般質問を続行いたします。
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○18番(高橋浩司議員) 皆さんおはようございます。金曜日に引き続きまして、広聴広報活動についてということで、質問させていただきます。
金曜日は、市役所移転に係る広報活動をどういうふうな形でやってこられたのか、そこに問題がなかったかどうか、そういう質問をさせていただきました。一部、広聴活動に入ったところで、時間になってしまいましたので、その続きをさせていただこうと思っております。
最後のところで、市政e−モニターについての質問をさせていただいたわけでありますが、この本庁舎整備等策定委員会、この委員会の中で、現市庁舎を改修、建てかえするのか、それとも長寿命化、修理をして使うのか、それとも移転をするのかと、こういうことを話し合いをしていただいたわけでありまして、実はこの委員会の中で移転するということを決めたわけであります。その決める前段において、e−モニターの方々にアンケートをとらせていただいたり、さまざまな広報活動をやってきたわけであります。
実は、その後、じゃあ移転するということを決めたら、どこに移転するのかということを決める委員会が推進委員会ということで、これも6回やっていただいておりまして、その中で、深沢ということが決まっていったわけですが、ずっと流れができてきておりまして、やはり最初の移転するということを決めたところが、一番のポイントだったわけであります。そこに市民の皆さんにいかに理解いただけるかというところを集中してやらなければいけなかったんだろうなと思うわけでありますが、その移転をするということを決める前段で、e−モニター、先ほど言いましたけれども、それからパブリックコメントをちゃんとやっていただいてはいます。パブリックコメントにつきましては、いろいろな御意見をいただいていて、その御意見によって何か計画に反映されたこととかというのは、あるんでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 ただいまの御質問の答弁の前に、答弁の修正をお願いしたいのでございますけれども、12月7日の高橋議員の一般質問におきまして、市政e−モニターアンケートの実施に当たりまして、資料提供を行った上でアンケートを行っているのかと、そういう御質問をいただきました。そのときに、資料提供を行っていますというふうに答弁しているんですけれども、正しくは、市政e−モニターアンケートでは、特に資料提供は行わずに、アンケートだけで回答いただけるようにアンケート用紙をつくっているということでございますので、その旨に訂正をお願いしたいと存じます。申しわけございませんでした。
それで、ただいまの御質問でございます。平成29年度に実施いたしました鎌倉市公的不動産利活用推進方針素案に対するパブリックコメントにおきましては、100通を超える御意見をいただきました。その中で、本庁舎整備に関しましては、コンパクト化や将来の技術革新に備えました柔軟性を求める御意見をいただいたために、当該推進方針の本文におきまして、本庁舎の整備規模に係る技術革新に注視して検討を進める旨の項目を追加するなど、全体として19カ所の修正を行ったところでございます。
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○18番(高橋浩司議員) 今、部長に御答弁いただいたのは、後段の深沢に移るということが決まった後のパブリックコメントのほうじゃないかなと思うんですけれども、私が伺ったのは、その前の本庁舎整備策定委員会の、要するに移転をするのかどうか、建てかえするのかとか、長寿命化するのかと、それを決める委員会の結論を出す前に、パブリックコメントをやっていただいているんですが、そこのところでの意見というのは何か、どんなものがあったのかというのを伺いたいんですが。
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○齋藤和徳 行政経営部長 失礼いたしました。平成28年度の本庁舎整備方針のときのパブリックコメントでございますが、その際は、51通の御意見をいただきました。その中で、移転して整備するということに対して、反対の趣旨の御意見につきましては、約3割弱、御意見をいただいたところでございます。御意見に対して、素案については、修正は特にいたしておりませんでした。
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○18番(高橋浩司議員) 3分の1の方々が反対だと、やはりそういう方々に対して御理解をいただく、要するにモニターというのは意識を持っている方が多いので、一般の市民の方と比率がイコールになるということはないと思うんですけれども、でも、ほぼ3割弱ぐらいの方は移転については疑義を持つだろうなと、そのアンケートの大局を見ていただいて、その中で、じゃあどういうふうに御理解いただくような広報活動をしていけばいいのかなというようなことを、そこで検討しなければいけなかったんじゃないかな。
ただ、何もしないで手をこまねいたわけではなくて、一般市民の皆様と、市内、学校の学生たちと共同で「市民の想い」という冊子をまとめていただいておりまして、大変よくできているなと私も思います。こういうことも、本当は全戸配布するぐらいのことをやって、皆さんに自分たちの思いと共感するようなところをしっかりと受けとめていただいて、その上で、やはり環境的に移らないとやっていけないんだという現状を知っていただければよかったんじゃないかなと。
この本庁舎整備策定委員会の中でも、9名の委員にお願いをしたわけですけれども、明らかに3名の方は、最初、この場で建てかえすればいいじゃないかという御意見を、かなり強く言っておられた。これは議事録を見ていただければわかるんですけれども、それでも専門家の方が文化財の専門家ですとか、地震の専門家ですとか、そういう方々がいろいろな御意見を言う中で、ここでやっていくのは非常に厳しいなということで、最終的にはその3名の方も移転やむなしと。
ただし、全部なくすということはだめですよ。そういうことで、サテライト的なホテルのコンシェルジュ、総合案内所みたいな、そういうものも機能としては残しながら、普段市民の方が市役所に来ることで、困らないような、そういう機能だけはちゃんと残して移転するようにということで、第4案という形でとりまとめていただいたわけであります。そういうふうな流れがわかれば、皆さんも御理解いただけたんじゃなかろうかと思うわけであります。
これから、本庁舎の整備に向かって、今、基本構想を策定していただいているわけであります。それが、今年度いっぱいで多分まとめ上がるんだろうと思います。それがまとめ上がりましたら、今度は基本計画の策定と、順番に進んでいくわけでありますけれども、やはり今回の反省を生かして、どういうタイミングでどういうことを市民の皆さんに伝えていくかというふうなことを、しっかりと計画的にやっていただかなければいけないなと思うわけですが、今後、どのような広報活動ですとか、広聴活動を行っていくことを考えておられますか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 直近の取り組みといたしましては、本庁舎等整備委員会におきまして、さらに基本構想の検討を深めていただいた後、パブリックコメントを実施して、広く市民の皆様の御意見を聞きながら、基本構想を策定していくとともに、引き続き、公共施設再編ニュースや「広報かまくら」などを有効に利用しまして、情報発信を行ってまいります。
さらに、事業の進捗状況を適宜伝えていくとともに、行政計画の策定の前後など、各段階の機会をしっかり捉えて広報することで、情報共有のレベルを高めてまいりたいというふうに考えております。
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○18番(高橋浩司議員) 本当に、一口で言えば簡単な話ですけれども、これまでもニュースを発行していただいたり、「てのりかまくら」を発行していただいたり、少しでも市民の皆さんに時々の状況を伝えようということで、努力をしてきていただいているということは、承知しております。
しかしながら、残念なことに、そこがきちんと市民の皆さんの気持ちに届いていなかったという。ここは一つ工夫をしていただいて、しっかりとやっていただきたいと思うわけであります。
それから、深沢の整備事業ということで、藤沢市の村岡地区と一緒に一体として進めていくという方向性で、協議をスタートしましたということであります。ですから、深沢だけではなくて、藤沢のエリアも含めて、全体が再開発のエリアになっていくわけであります。その中に駅もあるわけでありまして、実は市役所が移転するとか、そういうふうなことで切り離して議論はしていけないような状況になっていくわけですね。それがしっかりと決まれば。ですから、今後は、全体的なこと、何か再開発と駅の移転を切り離して説明するとか、そういう視点でやっていきますと、非常にわかりにくいことになっていきますから、全体としてどういうふうになっていくのかということを、しっかりと市民の皆さんにわかるように情報発信していっていただきたいなと思いますが、この点につきましてはいかがでしょうか。
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○前田信義 まちづくり計画部長 深沢地域の区画整理事業につきましては、これまでも市議会定例会ごとに事業の進捗状況を常任委員会等で報告するとともに、本事業の広報紙であります「深沢まちづくりニュース」を年2回発行しまして、地権者の方々などに配付するなど、事業の周知に努めてまいりました。
また、先週の12月6日、あるいは昨日ですけれども、12月9日につきましては、権利者全体会を開催いたしまして、現状の状況について、権利者の方々に情報提供するなど、努めてきているところでございます。
このような区画整理事業の説明を行う場におきまして、本庁舎の移転に関する質問を受けることも多くございまして、区域全体としてのまちづくりと、その中核をなす新たな本庁舎整備を一連の取り組みとして説明する必要は、実感しているところでございます。
これまでも、本庁舎等の整備に係る市民対話におきまして、区画整理事業用地の現地説明会やワークショップに我々も同席いたしまして、まちづくり全体に関する説明を行うなど、連携して取り組んできているということでございますが、今後も関係部局としっかり連携いたしまして、市民の目線に立った一体的な広報広聴に努めてまいりたいと考えているところでございます。
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○18番(高橋浩司議員) ぜひ、わかりやすい形で情報発信をお願いしておきたいと思います。
それから、現在、本庁舎整備事業につきましては、公的不動産活用課が担っていただいているわけでありますが、市役所の本庁舎移転に関しては、どこの部署がやっているのかなというのは、市民の皆さんにはストレートにわからないんですね。部署の名前が非常にわかりにくいわけであります。
これからは、ぜひ部署の名前もちゃんとわかりやすく、兼務でいいと思うんですけれども、本庁舎整備担当みたいなことを、ちゃんと明記をして、事業に当たっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 公的不動産活用課の公的不動産活用担当は、資産活用に係る基本方針及びその実施についての事項、あるいは公共施設の再編に関する企画及び調整についての事項といった事務を所掌しておりまして、その中で本庁舎整備事業も包含することから、現在の課、現在の担当の名前となってございます。また、本庁舎整備事業につきましては、公共施設再編に関する取り組みと、一体不可分に進めていく事業であることを、これからもしっかりと周知していく必要があると考えております。
今後は、本庁舎整備事業及び公共施設再編に関する取り組みを、よりわかりやすく伝えていくとともに、御指摘の点につきましては、組織のあり方などを含めて検討してまいりたいと考えております。
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○18番(高橋浩司議員) ややもしますと、市役所の組織、ルールに目が奪われてしまって、市民の皆さんにわかりやすい市役所というところから、ちょっとかけ離れてしまうようなときもあるわけでありまして、これからは一層市民の皆様の思いを受けとめながら、本当に大事業でありますから、進めていただくことが大事だと思います。
金曜日に質問させていただいたときに、紹介をさせていただいたことでありますけれども、もう一度、委員会の審査に加わっていただいた先生方が言っていたところを引用させていただきたいと思うんですが、最終アウトプットの出し方が重要だ、委員会側が一方的に決めたという印象とならないよう、後々情報公開はすることになるが、市民に納得してもらえるよう、説得力のある開示の仕方に十分留意する必要がある。
まさに、ほかにもいろいろな、同じような類の御意見をいただいているんですけれども、この先生の御意見に尽きるなと、今回の失敗点といいますか、市民の皆さんのところに一生懸命やっているこの熱量が届いていなかったと。行政がやっていることって、多分、同時に3,000ぐらいの事業があるんじゃないかなと思うんです。それを、お一人お一人の市民の皆様に、1から3,000まで説明して納得していただいて、やっていただくということは、これは不可能なんです。ただ、ポイントは、なるべく詳しく御説明させていただいてやっていくということが大事なのかなと思いますけれども、やはりその根底にあるのは、あの職員の皆さんがやってくださっているならば、あの市長がやってくれているならば、そういう信頼関係があればこそ、成り立つ関係なんじゃないかなと思うわけであります。
そういうことを肝に銘じていただきまして、一旦やり方、行き届かないところがあって、信頼関係が少し損なわれた部分がありますので、そこのところもやはり取り戻すような取り組みを、ぜひしていきながら、最終的にきちんと完成するように取り組んでいただきたいと思います。
今後の取り組みを含めまして、最後に市長の考えを伺いたいと思います。
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○松尾崇 市長 今回、住民投票条例の直接請求に至ったということも踏まえまして、引き続き、さまざまな手法を活用しながら、市民の皆さんに対しまして、正しい情報、またポイントなどを押さえながら、丁寧な説明をすることによって、今まで以上の信頼関係を築くために尽力していきたいと思います。
また、今後、新しい本庁舎及び現在地の跡地活用の基本構想を示したことによりまして、不便になってしまう、そういう御不安とか、そうした御不満、こういうところにしっかり応えていけるように、説明を尽くし、進めてまいりたいと考えております。
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○議長(中村聡一郎議員) 次に、納所輝次議員の発言を許可いたします。
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○16番(納所輝次議員) それでは、通告に従いまして、今回は観光危機管理の充実についてというテーマで一般質問を行いたいと思います。
国内に多くの観光地を有する我が国にとって、観光業は今や主要産業となっております。ただ、平成23年3月11日の東日本大震災では、訪日外国人旅行者の数は急激に落ち込んでしまいましたが、平成25年には、史上初めて訪日外国人旅行者数1000万人を達成し、その後も急激に増加を記録、平成27年に1973万人と、2000万人に迫ったかと思うと、翌年には2403万人と、あっさり2000万人を突破。昨年は、2869万人と、さらに急激に増加しております。ことしは10月の推計で既に2604万人という訪日外国人旅行者数を達成しているということでございます。
政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年までに、年間の外国人観光客を4000万人までふやすことを目標とし、観光立国の実現を目指しているということでございます。こうした中にあって、本年は9月に台風21号が上陸したり、北海道胆振東部地震などによって、大きな被害が発生、関西空港や新千歳空港が一時閉鎖されるなど、特に札幌市内のホテルでは、ブラックアウトによる停電などで、観光客に大きな影響が出ました。とりわけ、外国人観光客にとっては、多言語での災害交通避難情報が十分なかったということで、外国人観光客の災害時の対応には、大きな課題が残ったのではないかと思います。
災害の多い我が国においては、観光の危機管理は重要で、今回は日本有数の観光地である本市、鎌倉市における外国人を含む観光客に対しての防災や災害時の支援体制などを確認したいと思いますので、理事者におかれましては、明確な御答弁をお願いしたいと思います。
まず、鎌倉を訪れる観光客数の近年の推移と、多数の観光客が訪れる観光スポットはどこかということを伺いたいと思います。
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○奈須菊夫 市民生活部長 鎌倉を訪れる延べ入込観光客数は、平成25年に2308万人となり、以降、毎年2000万人を超えておりまして、平成29年は、延べ入込観光客数は2042万人でございました。観光客が多く訪れております観光スポットといたしましては、鶴岡八幡宮や、高徳院、長谷寺、銭洗弁財天、報国寺、建長寺、円覚寺、明月院などの社寺のほか、夏季の海水浴場開設期間のみならず、海岸にも多くの観光客が訪れております。
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○16番(納所輝次議員) 昨年平成29年1月から3月に、神奈川県が、外国人観光客の実態調査を行いました。これは羽田空港や県内各地域に来訪する外国人観光客約1,400人を対象に、観光の実態を調査したものでございますけれども、訪問先を尋ねた設問に対しての回答の47.9%が鎌倉市で、以下、横浜市、箱根町、江の島と続いておりました。また、外国人観光客が知っている神奈川県内の地名を尋ねる設問では、横浜、箱根に次いで鎌倉が知られておりまして、71.1%の外国人観光客が鎌倉を認知していたということでございます。特に、台湾からの観光客のうち、86.9%の人が鎌倉を知っていたということでございました。
国が年間4000万人を目標に外国人観光客を誘致するということは、そのうちかなりの割合の外国人観光客が、この鎌倉を訪れると考えなければならないと思います。そこで、鎌倉を訪れる外国人観光客数の推移や国別の実態、ツアーや個人旅行などの旅行形態をどう見ているのか、お尋ねしたいと思います。
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○奈須菊夫 市民生活部長 鎌倉を訪れます外国人観光客数につきましては、その実数を測定することが難しいため、国の調査に基づく推計値で算出しているところでございます。このため、本市の外国人観光客のデータにつきましては、観光案内所での聞き取りを通じて取得しました外国人観光客の国別の来所者数を使用しておりまして、その結果といたしまして、アメリカ、中国の順で観光客が多いことが、本市の特徴となっております。
旅行形態につきましては、国の調査からも全体的に団体旅行から個人旅行への移行が進んできているものと見ております。
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○16番(納所輝次議員) さっきの県の実態調査によりましても、複数回答でございますが、鎌倉市を訪れる外国人観光客のうち、49.5%が個人旅行で、パッケージツアーが42.3%、ビジネスが26%という旅行形態でございました。
その鎌倉で、多くの外国人観光客が訪れる観光スポットを、どう把握しているのか、伺いたいと思います。
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○奈須菊夫 市民生活部長 平成28年度に実施いたしました鎌倉市版観光DMOの設立に向けた方向性の検討報告書では、GPSの分析によりまして、八幡宮、長谷寺及び高徳院を中心に広域的に回遊しているという調査結果が出ております。
また、市として観光スポットとして特段紹介はしておりませんが、アニメの影響によりまして、鎌倉高校前駅の踏み切りに、観光客の方が多く訪れております。
訪日外国人観光客は、近年急増しておりますが、現時点で訪れる方々の訪問客数を測るような調査というのは、行っていない状況でございます。
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○16番(納所輝次議員) 先日も一般質問で同僚議員が取り上げておられましたけれども、アニメの影響で、江ノ電鎌倉高校前駅の踏切が、台湾からの観光客で連日にぎわっているということでございます。いわゆるアニメファンの聖地巡礼スポットになっているわけでございますけれども、そのアニメが中国の大陸のほうでも放映されたことから、最近は中国大陸からの観光客もふえてきているということでございます。
県の実態調査によりますと、観光の訪問目的の中で、漫画、アニメの目的が4.4%おり、台湾の人は5.7%、中国からは7.9%が漫画、アニメを訪問目的としているということから、今後も一定の割合でアニメの聖地巡礼人気が続くと考えられます。それだけに、市民生活に影響していることに注意をしておく必要があると思います。昨日も、ちょうどその現場を通ったわけでございますけれども、土日は警備員を配置している状況で、交通整理に非常に四苦八苦しているなという姿を確認することができました。
外国人観光客の、県の実態調査での訪問目的を見ますと、自然観光が50.4%と最も多く、次いで神社仏閣、温泉、食事、文化体験、買い物の順でございますが、その多くの目的に合致するのが、この鎌倉市でございまして、それが多くの外国人観光客の訪問地になっているのではないかと考えられます。
今後、外国人観光客の人数や訪問目的、訪問手段などの実態を把握しておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
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○奈須菊夫 市民生活部長 本市の外国人観光客のデータにつきましては、観光案内所での聞き取りを通じて取得しました外国人観光客数の国別の来所者数があるものの、外国人観光客全体の数につきましては、その実数を測定することが難しい状況にございます。外国人観光客の動向を正確に捉えることにより、今後のさまざまな施策に有用であると考えております。
このため、平成30年度中に日本を訪れる外国人に対しまして、訪問目的や情報収集源など、実態調査を実施するので、その結果を踏まえて、今後の観光施策を推進してまいります。
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○16番(納所輝次議員) 先ほど述べたように、県が行った実態調査では、鎌倉市を訪れる外国人観光客、その49.5%が個人旅行、パッケージツアーが42.3%ということでございましたけれども、いずれの方法でも旅行代理店などの事業者が、ある程度の外国人観光客に対する情報を把握していると考えられます。この情報は、もし鎌倉で避難を必要とする大きな災害が発生したときには、非常に大事な情報となるのではないかと考えるわけでございます。
そういったことで、この災害発生時の外国人観光客や旅行者の被害状況把握について、旅行会社等に協力要請できる関係をあらかじめ構築しておく必要があると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
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○奈須菊夫 市民生活部長 本市には、旅行会社が送客する観光客だけではなく、電車やバスを利用する個人旅行者など、さまざまな形態で多くの観光客が訪れております。災害発生時の観光客の被害状況の把握に当たりましては、観光客の旅行形態が多様であることから、全てを把握することは困難な状況にございます。
このため、被害状況をできるだけ把握するため、幅広い旅行商品を取り扱う大手旅行会社やバス会社との関係構築を通じまして、災害発生時の被害状況の把握や協力要請のあり方について、調査・研究を行ってまいります。
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○16番(納所輝次議員) 鎌倉市の地域防災計画は、災害発生時の市民生活を守る大事な計画でございますけれども、年間を通じて多くの観光客が訪れている鎌倉市として、帰宅困難者となる観光客に対する防災計画も重要でございます。
鎌倉市地域防災計画に、国内外を問わず、観光旅行者に対する避難場所、避難経路などの計画はどのように定めているのか、確認したいと思います。
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○柿崎雅之 防災安全部長 東日本大震災発生の際には、鎌倉市内におきましても、5,000人を超える帰宅困難者が発生いたしました。帰宅困難者の大部分は観光客でございましたが、この中には外国人の方々もいましたことは把握してございます。東日本大震災の教訓を踏まえまして、本市におきましても、地域防災計画の全面改訂に着手いたしまして、平成25年2月に改訂が完了いたしました。
この中で、帰宅困難者対策を重点項目として位置づけまして、帰宅困難者一時滞在施設の確保や、避難誘導にかかる方針等を定めたところでございます。
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○16番(納所輝次議員) 2000万人を超える観光客が訪れる鎌倉市の中でも、外国人観光客がふえているという現状を踏まえた防災のあり方というものは、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に備え、充実しておく必要があると考えます。
鎌倉市地域防災計画に、外国人観光客や旅行者への対応に関する事項が整備されているのか、また、避難所のあり方についてはどうか、確認したいと思います。
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○柿崎雅之 防災安全部長 現行の鎌倉市地域防災計画におきましては、外国人観光客や旅行者の方々への対応につきまして、直接的な項目の設定は行っていないところでございます。しかしながら、東日本大震災の教訓を踏まえた各種の取り組みの中で、鎌倉武道館や鎌倉生涯学習センターなど、帰宅困難者一時滞在施設として指定いたしまして、外国人観光客などを含めた利用者が情報を速やかに収集するための環境整備といたしまして、Wi−Fi設備を設置したところでございます。
また、外国人利用者への対応の一つといたしまして、長期滞在が見込まれる避難所におきまして、ハラール認証を受けました食糧の備蓄も行っているところでございます。
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○16番(納所輝次議員) 帰宅困難者を一時収容しておく生涯学習センターが、ちょうど耐震の影響で休館を余儀なくされるということでございますので、それに対する代替の措置も当然準備をしていかなければならないと考えております。
この災害発生時に、外国人観光客にどう対応するのか、これが課題となっているときに役立つのがIT端末で、スマートフォンやタブレットでございます。さきの県の実態調査でも、外国人観光客が利用した通信手段で、49.1%がモバイルWi−Fi、36.7%が無料公衆Wi−Fiでしたので、かなりの割合で通信手段を備えているということでございます。それだけに、Wi−Fi通信が可能なスポットをふやすことが急務であると思いますし、それに対応して非常時だけでなく、普段から役立つ多言語対応アプリが必要とされていると思います。浅草がある東京都台東区では、外国人旅行者向けに、避難が必要なときにどこへ避難すべきか、ひと目でわかるように、4カ国語、5言語で記載された指差しフリップボードを作成しております。
また、JNTO、日本政府観光局では、平成25年5月から、訪日外国人に災害時に必要となる気象、交通などの情報を一元的に提供できるSafety tips for travelersのサイトをJNTOのホームページに開設しております。
また、平成26年10月からは、緊急地震速報及び津波警報が訪日外国人のスマートフォンなどに自動的に飛び込んでくるプッシュ型情報発信アプリ、Safety tipsを開発しており、その後、大雨、大雪など、その他の気象情報を追加したり、中国語、韓国語などの言語が追加されました。さらには、火山の噴火速報に対応するなど、大幅にバージョンアップがなされ、本年4月には弾道ミサイル発射等の国民保護情報にも対応しております。こういったホームページやアプリの存在を、本市でも情報提供、周知するべきであると思います。
平時にも利用できる多言語アプリの整備や、アプリの紹介が必要と思いますけれども、この点どうお考えか、伺いたいと思います。
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○奈須菊夫 市民生活部長 今、御紹介いただきましたように、防災に関する機能を有している多言語アプリにつきましては、日本政府観光局が整備しておりまして、外国人旅行者向けに提供しております。日本政府観光局のスマートフォン向けの観光アプリでは、4言語に対応しており、訪日旅行者に必要な情報として観光スポットや最新情報、交通情報、大使館情報などを一元的に管理しているところを承知しております。
今後、外国語のホームページや、利用者の多い鎌倉駅東口にあります観光案内所などで周知を図ってまいりたいと考えております。
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○16番(納所輝次議員) ただし、非常時にゆっくりアプリで情報を集めるということはないと思います。避難しなければならない災害発生時には、誰に言われなくても、一刻も早く避難すると思いますが、その場合、避難行動へと誘導するのが、ひと目見てわかる標識の存在です。標識といっても、日本語表示がわからない外国人観光客への配慮が必要でございます。文字よりもわかりやすいのが、図形やイラストで呼びかけるピクトグラムや、意思を伝達する際に役立つコミュニケーションカードです。これについても、先日の同僚議員の質問と重なりますが、改めて伺いたいと思います。災害情報の多言語化への取り組みについて、多言語標識の整備状況の現状と、ピクトグラムやコミュニケーションカードの作成など、多言語情報伝達体制の整備について、今後の取り組みを伺いたいと思います。
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○柿崎雅之 防災安全部長 多言語によります標識の整備状況につきましては、現在津波避難注意看板11カ所、津波路面シート180カ所、海抜表示板約310カ所に表記をしているところでございます。また、ピクトグラムにつきましては、既に津波避難注意看板を初めといたします、各種標識等に導入をいたしております。
平成28年3月に、国においてもオリンピック・パラリンピック東京大会への対応といたしまして、災害種別記号を用いたピクトグラム整備を進めることといたしておりますので、本市におきましても、この動きを踏まえた取り組みを、引き続き進めてまいりたいと考えてございます。
また、シチュエーションごとに、言葉が通じなくても、意思疎通が可能となるアイテムでございます、コミュニケーションカードにつきましても、国の指針等を参考に、研究をしてまいりたいと考えてございます。
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○16番(納所輝次議員) 災害情報の伝達には、防災行政無線放送とともに、防災安全情報のメール配信が、大分定着してきたと思っておりましたが、最近、市民の方から、防災行政無線がはっきり聞こえない、その内容をメールで配信しないのかという相談があって、ちょっとがっかりしてしまったことがございます。さっそく登録のためのQRコードを紹介したのですが、そのとき、メール配信は日本語だけですかと聞かれました。メール配信が多言語化されることが最もいいことはわかるのですが、メールにしろ放送にしろ、多言語対応がどこまでできるのかも考えなければいけないと思います。鎌倉市防災安全情報のメール配信を多言語化する必要性と課題をどう考えているか、伺いたいと思います。
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○柿崎雅之 防災安全部長 現在運用しております防災安全情報メールは、登録制でございまして、本年平成30年12月1日時点で2万4666件の御登録をいただいているところでございます。利用者の大部分は市民の方々と考えておりまして、これまで多言語についてのお問い合わせや御要望は、私どものほうには現在いただいていないところでございます。
しかしながら、当該メールにつきまして、自動翻訳機能等を介しまして、外国語による配信を行うこと、これは技術的には可能でありまして、実際に行っている自治体もあると聞いてございます。
しかしながら、外国人観光客や旅行者の方々への緊急情報の提供という観点から考えますと、このような登録制のメールよりも、該当するエリア全体に情報が行き渡ることが重要でありまして、その仕組みの中で、外国語による情報提供も検討することが、より実効性のある情報提供につながるものと考えてございます。
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○16番(納所輝次議員) 災害発生時に観光客にどう対応し、誘導するか。これは、市の職員だけでは対応できないことは明らかでございまして、また、自治会、町内会も、それぞれの住民対応が最優先されるのは当然でございます。観光客対応に取り組んでもらえる協力者をあらかじめ把握しておく必要があると思います。
避難が必要な災害が発生した場合の、国内外を問わず、観光客全体の安全確保と避難誘導、避難場所のあり方はどう考えているのか、主要な鉄道駅や観光スポットとの協力体制はどう進めているのか、伺いたいと思います。
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○柿崎雅之 防災安全部長 本市で地震等の災害が発生した場合、観光客等の安全確保や避難誘導に関しまして、重要な役割を担う機関といたしまして、鉄道事業者や観光事業者が考えられるところでございます。東日本大震災の際にも、鉄道駅に帰宅困難者が集まり、そこから避難先に誘導した経過等も踏まえまして、現在JR東日本等の鉄道事業者とは、平時からの協力体制を構築しているところでございます。
現在、平常時も含めまして、踏切に例えば支障が発生した場合の情報伝達体制の確認、あるいは避難誘導訓練等の合同実施などを行っておりまして、今後も密な協力体制を維持してまいりたいと考えてございます。
また、主要な社寺につきましては、帰宅困難者一時滞在施設の協力協定を締結しておりまして、MCA無線を配備するとともに、Wi−Fi設備の設置によりまして、情報環境の整備を行っているところでございます。
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○16番(納所輝次議員) 北海道胆振東部地震が発生し、北海道全土が停電するというブラックアウトが起きたとき、かなりの人が困ったのが、スマートフォンの電池切れだったように思います。電源さえあれば、本来なら得ることのできるはずの情報が遮断されたときの不安、これは想像以上に大きく、その後、駅などで充電スポットが開設されると、多くの人が殺到していたというニュースを見たときは、さすがに考えさせられたわけでございます。このスマートフォンの普及に対応し、市が鉄道駅や携帯電話会社のショップなどと連携して、非常時に充電スポットを設置する取り組みも進めておく必要があるのではないでしょうか。
一方で、先日のように、携帯電話会社側の原因で、大規模な通信障害が発生するという、思わぬ事態もございますので、危機管理体制もさまざまに準備を整えていかなければいけないと思います。
ところで、避難所開設後、市の職員から運営を引き継ぐのは、地元の自治会、町内会が主体として構成される自主防災組織になると思います。特に開設からある程度の期間、避難生活を続けなければならない場合、さまざまな困難を克服して運営体制を構築するためには、避難所運営マニュアルの整備が求められます。既に、幾つかの自主防災組織において、避難所運営マニュアルの整備の動きがあるということでございます。この市内各地の避難所について進められつつある避難所運営マニュアルの整備状況はどうか、伺いたいと思います。
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○柿崎雅之 防災安全部長 避難所運営マニュアルにつきましては、大船地域づくり会議におきまして、策定に取り組んでいただき、平成30年6月までに、大船地域の4小学校の各運営マニュアルが策定されたところでございます。この取り組みは、市内の他地域の自主防災組織からも注目されておりまして、一部では整備に向けた準備を進めている状況でございます。
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○16番(納所輝次議員) 大規模災害発生時に避難所を運営する上で、これからの時代は避難生活を送る人は、日本語を話す人だけではない可能性があるということでございます。外国人観光客が避難所で避難生活を送るケースは少ないかもしれませんが、在住外国人など、外国語を話す人が避難するケースが考えられます。さまざまな情報を伝えたり、文化の違いによる戸惑いや混乱は、なるべく少なくする必要があります。その際には、市の支援体制やアドバイスが必要になるのではないでしょうか。
避難所運営上において、旅行者を含む外国人の把握や救助、安否確認や避難対応、さらには生活相談等の必要があるとき、ITを活用するなどして、市が多言語で支援する体制をあらかじめ構築しておく必要があると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
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○柿崎雅之 防災安全部長 避難所運営におきまして、外国人利用者の方々への情報提供や意思疎通が速やかにかつ的確にできる環境の整備が必要であると認識してございます。そのためには、多言語で支援できる体制を構築することが有用であると考えてございます。
近年は、議員御紹介のSafety tipsやJNTOのアプリなど、スマートフォン用の各種アプリケーションを活用して対応できる環境が整備されることを踏まえまして、ITを活用した支援の手法を検討してまいりたいと考えてございます。
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○16番(納所輝次議員) 少し時間がかかっても、外国人避難者と必要な情報の提供ややりとりを行う場合は、さまざまなサポートや支援が役に立ちますけれども、外国人避難者が自分で行動する場合も、当然多くあると思います。その際には、多言語表示やイラストにより、一目で理解できるピクトグラムがあると、外国人避難者も混乱なく行動ができると思います。避難所等、地域防災拠点に災害時多言語表示シートやピクトグラムの用意が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
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○柿崎雅之 防災安全部長 平成26年10月に、国土交通省観光庁で策定いたしました、自然災害発生時の訪日外国人旅行者への初動対応マニュアルガイドラインにおきましても、ピクトグラムに英語併記をした案内図記号が紹介されております。
ピクトグラムなどは、外国人にも理解可能な表示であることですから、避難所など、地域の防災拠点にピクトグラムや多言語表示シート等を配備できるよう、検討してまいりたいと考えてございます。
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○16番(納所輝次議員) 地域生活においても、当たり前のように多国籍の文化が共存する時代になりつつあります。それだけに、地域防災についても、多言語対応が求められてきていると考えます。
外国人観光客や旅行者への対応だけでなく、在住外国人向けの多言語防災リーフレットの作成、配付や、ハザードマップの多言語化や図式化など、平時の支援体制はどうなっているのか、また、それらを災害時に効果的に活用する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
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○柿崎雅之 防災安全部長 平時の支援体制といたしまして、日頃から防災情報を市ホームページで公開しております。また、ハザードマップにつきましても、ホームページ上に公開しております。市ホームページは、日本語、英語、中国語、韓国語の4言語に対応しているところでございます。まずは在日外国人の方々からの相談がありましたら、当該ページを御案内するようにいたしております。
また、神奈川県では、神奈川県災害時外国人住民支援のページがございまして、外国人住民の方々への防災意識の普及啓発に役立つ情報へのリンク集や、県内で実施される災害時支援の研修会のお知らせ等を掲載してございます。災害時には、このページで県災害対策本部等から発せられる情報を多言語、やさしい日本語で発信されることとなってございます。
平時の在住外国人の方々向けの支援体制につきましては、配布物の作成も含めまして、今後検討してまいりたいと考えてございます。
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○16番(納所輝次議員) 先ほど紹介いたしました県の実態調査の結果の中に、旅行してよかった点、役に立ったと感じた点についての外国人観光客からの回答がありまして、鎌倉を訪問した外国人観光客がよかった点として上げた回答で、最も多かったのが、店員・係員の言語力でした。鎌倉市内には、外国生活経験者や、外国語に通じている人が多く居住しているのではないでしょうか。
そこで、活躍が期待されるのは、言語ボランティアの存在です。英語だけでなく、言語ごとに対応できる人材を把握しておくと、いざというとき、困難を解決する力になってくれるのではないでしょうか。災害時に外国人観光客や在住外国人に対応するため、言語別にボランティアを把握しておく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
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○比留間彰 共創計画部長 現在、本市では、市民通訳ボランティア制度というのを実施しておりまして、市の窓口利用等におきまして、意思疎通が困難な場合に、登録したボランティアに対応していただいておりますが、余り活動の場がないというのが現状です。
現在、約70人の登録者がおりまして、この方々の意識は非常に高く、活動の充実や災害時の活動に対しても意欲を示していただいているところです。
このため、今後、御提案いただいた言語ベースのボランティアの把握とともに、災害時に活動していただけるような制度についても、検討していきたいと考えております。
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○16番(納所輝次議員) 京都府でも、要配慮者対策として、震災時の通訳、翻訳ボランティアの事前登録を行うこととしております。通訳ボランティアを頼める人材を把握していても、通訳できれば事足りるというわけではなく、通訳ボランティア自身も被災者であるケースもあるわけでございまして、あえてその中で活動をお願いする場合もあります。あらかじめ、さまざまな情報を知っていただいて、外国人への対応やサポートにつなげてもらう必要があると思います。その場合は、国際交流団体や地元に住む通訳ボランティアを頼める人材との、普段からの交流の積み重ねがあると、非常時の対応が依頼できるのではないでしょうか。
横浜市では、国際交流協会との連携協定を締結しておりまして、その国際交流協会のホームページでは、在住外国人を対象として、6カ国語による災害時音声データファイルを公開しております。地域防災拠点には、災害時多言語表示シートを配付、さらに多言語防災リーフレットを作成して、震災への対応力向上を図っております。
東京都三鷹市でも、市の国際交流協会と、防災パートナーシップに対する協定書を締結し、防災情報の提供など、外国人支援対策を推進することとしています。
その国際交流協会では、在住外国人を対象に、防災訓練や研修会を実施し、災害時の心得を書いたパンフレットの作成を行っております。
この外国人観光客への災害時対応を円滑に行うために、平時から国際交流団体などと情報交換を行い、災害時に連携して活動できる準備が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
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○比留間彰 共創計画部長 鎌倉市内で活動しております国際交流団体の方々は、連絡会や鎌倉国際交流フェスティバルの開催を通じまして、団体相互の交流を図るとともに、市も定期的に情報交換を行っております。このネットワークを単なる交流にとどめることなく、有効に活用していきたいと考えておりまして、その中で、災害時においても連携した活動ができるよう、まずは意識づけをしていきたいと考えております。
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○16番(納所輝次議員) 災害時、避難所はどうしても地域住民が避難する場所になります。こういう場合、ホテルや旅館などの宿泊施設が、帰宅困難となった外国人観光客の一時滞留場所として頼みたいところでもあります。大きな災害発生時において、市内のホテルや旅館と連携がとれていると、外国人観光客や旅行者にとって、有効な一時滞留場所にもなります。
災害発生時におけるホテルや旅館業事業者との連携にはどう取り組んでいるのか、確認したいと思います。
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○奈須菊夫 市民生活部長 現在、鎌倉及び藤沢市内の宿泊事業者を組織する連絡会と、定期的に意見交換を行っております。災害時の観光客の受け入れにつきましては、市の地域防災計画に基づき、連絡会の場を活用するなど、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。
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○16番(納所輝次議員) そういった宿泊施設や観光施設などには、災害発生時に観光客や宿泊客の安全を確保し、避難誘導することが求められますが、同時に、外国人観光客への対応も求められます。
本年3月には、関東運輸局において、避難誘導マニュアルを作成しておりますが、観光施設や宿泊施設において、災害発生時の初動対応マニュアルの整備も含め、危機管理、防災マニュアルの作成など、外国人観光客への対応を、観光施設や宿泊施設に周知徹底すべきだと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
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○奈須菊夫 市民生活部長 宿泊施設等での災害時におきますマニュアルにつきましては、国が平成29年2月に災害時初動対応マニュアルを御紹介いただきましたように、平成30年3月に外国人旅行者を対象といたしました避難誘導マニュアルを作成いたしまして、宿泊事業者に向けて情報発信を行っているところでございます。
市では、これらの情報につきまして、直接情報発信を行っておりませんでしたので、今後、関係事業者への周知を努めてまいります。
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○16番(納所輝次議員) 外国人観光客がふえれば、当然病気になったり、場合によってはけがをする場合もあります。これは居住する外国人も同じことで、言葉が通じないと、微妙な症状を医師に伝えることが難しいのではないでしょうか。そのような問い合わせにも、市に対応が求められます。
これも、先日の同僚議員の質問にもありましたけれども、多言語対応の医療機関について、市はどの程度把握しているのか、改めて伺いたいと思います。
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○内海正彦 健康福祉部長 多言語対応の医療機関につきましては、神奈川県が管理しております、かながわ医療情報検索サービスというサイトで、言語の種類、診療科目、地域など、条件を指定した検索が可能であり、それによりますと、例えば英語に対応している市内の医療機関は、歯科も含めて132件ございます。実際に市役所に問い合わせがあったときは、症状や希望する地域等を確認した上で、その検索を行い、該当する医療機関の情報提供を行っているところでございます。
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○16番(納所輝次議員) 外国人の救急搬送が必要な場合、救急隊が多言語対応可能な病院を選択して、一刻も早く搬送しなければなりません。消防本部において、多言語対応救急病院をどう把握し、どう対応しているのか、伺いたいと思います。
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○斎藤務 消防長 消防本部では、外国人受け入れ可能な市内の救急病院を調査し、把握しているところでございます。救急隊は、調査結果に基づきまして、該当します医療機関に、外国人患者の情報を伝え、適切に選定する対応を図っているところでございます。
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○16番(納所輝次議員) 消防本部は、まず、外国語による119番通報に迅速に対応しなければなりません。外国人からの救急要請について、119番通報への外国語対応はどのように行っているのか、伺います。
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○斎藤務 消防長 消防本部では、各種119番通報時に、日本語での通報が困難な方に対応するため、多言語通訳サービスを行う、NTTタウンページ株式会社と、119番通報等に係る電話通訳業務に関する委託契約を締結し、対応しているところでございます。業務を開始しました平成25年度は2件、平成26年度2件、平成27年度4件、平成28年、29年度はそれぞれ7件、平成30年度は11月末日現在10件、合計32件の利用があり、年々増加傾向にございます。
また、当初、5カ国語対応で業務を開始しましたが、多くの国から観光客の増加が予想されることから、平成30年度から、11カ国語を追加し、16カ国語で24時間365日対応している状況でございます。
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○16番(納所輝次議員) 救急の現場においてはもっと大変で、外国人救急患者の症状を把握し、救急病院に伝えるとともに、救急救命士が迅速に応急処置を施す必要もありまして、コミュニケーションの困難さを現場で克服しなければならないと思います。
救急車において、症状観察や応急処置、医療機関選定等に必要な言葉を網羅した、多言語の外国人救急カード等を作成し、配備しておくなど、外国人救急搬送の体制は、どのように整えていらっしゃるのか、確認したいと思います。
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○斎藤務 消防長 消防本部では、既に多言語とイラストを用いて、5カ国語対応しているコミュニケーションボードを救急車に配備し、外国人対応に活用しているところでございます。
また、高機能消防司令センターで契約をしております16カ国語対応の多言語通訳サービスも合わせて活用し、外国人の救急対応に万全を期しているところでございます。
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○16番(納所輝次議員) 今後は、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、鎌倉を訪れる外国人旅行者が安心して観光できる環境、災害発生時にも安全が確保され、安心して行動できる環境を整備していく必要があります。
日本有数の観光地であり、神奈川県においては外国人観光客の訪問地域のトップである鎌倉であるからこそ、災害時の訪日外国人旅行者の安全確保のための枠組み、市役所、消防、警察、各事業者、そして市民という各主体の役割などについて、基本的な内容を検討し、地域防災計画に記載するなどの取り組みが必要であることを訴え、私の質問を終わります。ありがとうございました。
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○議長(中村聡一郎議員) ただいま一般質問中でありますが、議事の都合により暫時休憩いたします。
(10時34分 休憩)
(10時45分 再開)
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○議長(中村聡一郎議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。次に、安立奈穂議員の発言を許可いたします。
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○14番(安立奈穂議員) 神奈川ネットワーク運動・鎌倉、安立奈穂です。通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
今回は、子供たちの健康を守る化学物質対策、そして受動喫煙防止策について伺っていきます。
神奈川ネットは以前から、化学物質過敏症について問題視してきました。化学物質過敏症とは、合成化学物質を大量に体内に取り込んだり、微量でも繰り返し取り込むことで発症し、その後、ごく微量の化学物質に反応するようになってしまいます。その症状は多岐にわたり、他人や家族にもなかなか理解してもらえません。現在、その特効薬もなく、周辺からできるだけ合成化学物質を減らしたり、取り込まないようにして対応するしかありません。誰でもなり得る環境病とも言えます。生活の中の化学物質はふえ続けています。7000万種類以上とも言われ、主に化学物質だと気づかずに摂取している場合も少なくありません。特に、警戒心を持たず気軽に使っているものが、実は私たちの体を痛めつけている、傷つけている、そんな可能性があります。今回は、その影響を受けやすい子供たちを取り巻く環境について、伺っていきます。
では、ここから鎌倉市の現状について伺います。鎌倉市公立保育園、子育てセンター、学童保育、学校には化学物質過敏症についての研修等を受け、特別な知識をお持ちの職員の方は配置されていますか。
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○進藤勝 こどもみらい部長 子育て支援センター、公立保育園、学童保育施設でございますが、職員の配置については、化学物質過敏症に関して特別な配慮はしておりません。また、職員への研修等も現状では行ってございません。
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○佐々木聡 教育部長 教育委員会におきましては、教職員に対して化学物質過敏症に特化した研修等を行っておりませんけれども、子供たちが安全・安心な学校生活を送れるよう、けがやアレルギー症状等の学校でできる初期対応に関する研修会については、実施していっているところでございます。
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○14番(安立奈穂議員) 子育て施設、学校施設では化学物質過敏症について特別な知識を持つ職員の方はいらっしゃらないということで確認しました。
では、鎌倉市全体で伺います。化学物質過敏症もしくはその疑いのある方について、把握はされているでしょうか。
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○内海正彦 健康福祉部長 化学物質過敏症につきましては、医療機関に感染症のような届け出義務もないため、市全体としての状況把握はできていない状況でございます。
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○14番(安立奈穂議員) では、化学物質過敏症と診断された方や化学物質過敏症の疑いのある方から相談があった場合は、その場合窓口はどこにあるでしょうか。
また、これまでに化学物質過敏症と思われる方から、相談を受けたことはあるでしょうか。わかる範囲で結構ですので、教えてください。
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○内海正彦 健康福祉部長 一般的に、化学物質過敏症の原因物質となるものは発症する人によってさまざまであり、室内空気質による影響等を所管するのは厚生労働省、環境汚染に起因する人の健康や生態系に関する影響等を所管するのは環境省と、対象によって所管はそれぞれ異なっており、県や他市においても化学物質過敏症に特化した相談窓口は設けられていない状況でございます。
本市にいたしましても特化した窓口は設けておりませんが、化学物質過敏症も含めさまざまな健康状態に関する相談があった場合には、一義的に市民健康課保健師が対応いたしますが、これまで相談の実績はございません。
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○14番(安立奈穂議員) 相談窓口となる市民健康課には、化学物質過敏症の専門を持つ方はおられないということですが、今後、化学物質に起因する不調を訴える市民の方が相談に来られてもその判断は難しく、的確な対応ができるでしょうか。仮に、化学物質過敏症だと思われる相談があった際には、どのように対応していくのか、伺います。
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○内海正彦 健康福祉部長 化学物質過敏症は、頭痛・全身倦怠感・不眠等特徴のない症状が多く、疲労や風邪、更年期障害等他の疾患との識別が難しいと言われております。そのため、出現している症状や現病歴、既往歴、生活環境等を聞き取る中で、まずは考えられる慢性疾患等に関する受診を案内し、それでも改善しない場合にはシックハウス等の相談等を行っている、鎌倉保健福祉事務所等関係機関や化学物質過敏症に関する専門の相談窓口、医療機関の利用を案内することになっております。
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○14番(安立奈穂議員) 2009年10月1日に、厚生労働省は、中毒の部分で化学物質過敏症の病名登録を認定しました。この結果、診断書の提出を学校や職場に示して対策を求めることや、医療保険を利用することができるようになりました。しかし、課題は少なくありません。化学物質過敏症という新しい病気を正しく理解している医師は少なく、専門的な診療を受けられる医療機関は全国で数えられるほどの数です。
化学物質過敏症で障害年金の受給もできるようにはなりましたが、一般的にはその内容が行き渡っていない疾患のため、家族や周りの人たちに自分の症状を的確に伝えることは難しく、医師からも原因不明と診断されるケースも多々あると言われています。しかし、決して諦めず自己の状況と自分を取り巻く職場、家庭、学校などの生活環境を詳細に調べて、申告できるよう対策を進めていくことは、とても重要です。そのためには、まず相談窓口となる市民健康課において、化学物質過敏症についての理解を深め、その可能性のある方を見つけ出し、専門的な相談窓口や医療機関にしっかりとつないでいただきたいと思います。
今後の化学物質過敏症については、関係機関や職員間の情報共有、理解を深めるもの、そして研修など必要だと思いますが、いかがでしょうか。
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○内海正彦 健康福祉部長 化学物質過敏症に関して、関係機関が発信している情報を収集し、職員間で共有していくことは必要だと考えております。また、関連した研修会や講座等が開催された場合にはできる限り参加し、化学物質過敏症についての理解を深めていくことも必要であると考えております。
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○14番(安立奈穂議員) もう20年以上前になりますけど、1995年に厚生労働省で化学物質ガイドブックを発行しています。それがこちら、実際のものになります。こちらのものなんですけど、薄くて6ページほどの冊子です。軽くて読みやすいものになっているんですけど、こちらの中にはその原因の物質による症状、そして予防治療など、簡単な診断もできるようになっております。ほかにも化学物質過敏症の資料に関しましては、最近、新しいものなんですけど、こういった症状とか診断ができるようなものであったりとか、こちらは環境省の資料なんですけど、これも無料で入手することができます。ほかにも滋賀県の大津市は、子供のための化学物質対策のガイドブックなども出しています。まずは、簡単に入手できるものから活用していただいて、今後の窓口対策にも役立てていただきたいと思います。
では、ここからは、主に公立保育園と小学校について伺っていきます。ことしの夏に日本消費者連盟が電話の相談窓口、香りの害110番を開設して以来、身近な製品の香りによる化学物質過敏症の健康被害が社会的な問題として知られるようになりました。中でも、化学物質過敏症の子供たちにとって、狭い教室に大勢が過ごす学校の香りの害については、新たな脅威となっております。体の不調をたびたび訴える子供の中には、登校することが困難な子供もいるそうです。
では、ここで教育長に伺います。香りの害と書いて香害と読みますけど、このような言葉を耳にしたことはあるでしょうか。また香りを不快に感じたことがあれば教えてください。
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○安良岡靖史 教育長 よいと思ういろんな香りも、やはり強過ぎるとにおいということで不快に感じるということもあり、一人一人が異なる受けとめ方をすると思っております。香害につきましては、学校において、においに悩まされ教室に入れない、あるいは学校に通えない状況にある子供がいるということにつきましては、化学物質過敏症で悩んでいる子供たちがそのような状況にいるということは、聞いているところでございます。
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○14番(安立奈穂議員) 香りを不快に感じるその被害の訴えには、めまい、吐き気、手足のしびれ、体中のかゆみ、そしていらいら感がひどくなる、誰でも体験したことがあるような症状です。新潟県立看護大学の准教授らは、2005年、2010年、2017年と3回にわたり、新潟県上越市内の小・中学生を対象に、化学物質過敏症に関するアンケートを実施しました。2017年は、小・中学校1万1271人の保護者に配付し回収しました。質問は頭痛、筋肉痛、疲労感など化学物質過敏症の診断基準とほぼ同じ内容で、症状が一定程度以上の場合は、過敏症の兆候があると判断されます。結果は、有効回答数7,224人から12.1%の小・中学生が化学物質過敏症の兆候が見られるという結果がわかりました。2005年から2010年にかけて増加した数は2017年には高どまりしています。2017年を例にしましても、小学生で7%、小学校3年生になると二桁、10%になります。中学3年生では15%で、年齢とともに増加傾向であることが確認されています。これはあくまでも新潟県の結果ではありますが、周囲への配慮や理解を広げることが急がれる数字ではないでしょうか。この結果を見まして、周囲への配慮、理解を急がれる数字であるということがわかりました。
では、鎌倉市内の公立の保育園、小・中学校において、保護者から化学物質が原因の可能性がある健康被害の申し出はありますか。子供たちの健康状況についてどのように把握しているのか、伺います。
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○進藤勝 こどもみらい部長 公立保育園の児童の健康状態につきましては、入所時の児童調査票、入所後の健康管理票、アレルギー対応申請や保護者との面談等の機会を通じて把握に努めておりますが、今まで化学物質過敏症の申し出はございません。
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○佐々木聡 教育部長 現在、保護者から化学物質過敏症と申し出のあった児童・生徒はおりません。学校では毎年度当初に保護者から学校保健調査票の提出を受け、その中の記載事項について保護者との面談等を通じまして、児童・生徒の健康状態の把握を行っているところでございます。
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○14番(安立奈穂議員) 小学生くらいになりますと、体調が悪かったとしても、生徒間の目が気になって言い出しにくい、授業におくれをとってしまうなどの理由で我慢をしてしまう、隠してしまう可能性もあります。クラス担任を初めとする全保育士、全教職員が共通意識を図り、園児、児童・生徒に寄り添う対応をお願いいたします。
では、ここからは化学物質過敏症の子供たちが反応しやすい化学物質関係を主に四つに分けて現状を伺っていきます。まずは、一つ目の校舎の関係についてです。学校施設などワックスの使用については、以前も取り上げてまいりましたが、小・中学校のワックスの清掃の実施状況について伺います。
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○佐々木聡 教育部長 小・中学校の教室におけるワックスの使用状況につきましては、各学校で回数は異なりますが、主に夏休みや春休みの期間中に樹脂ワックスを塗布しているところでございます。教職員、業者委託により実施するほか、中学校においては生徒も行う場合もございます。
続いて、体育館につきましては床の保護のために3年に1度、業者委託によって夏休み期間中を利用して水性ウレタン樹脂塗料の塗布を行っております。使用するワックスにつきましては、いずれも文部科学省の学校環境衛生基準を満たすものを指定しております。
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○14番(安立奈穂議員) 基準を満たしたワックスを使用しているということで、安全の確認がされました。それでは、公立保育園についてもワックス清掃を行っているか伺います。
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○進藤勝 こどもみらい部長 公立保育園におきましては、ワックスがけは行っておりません。
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○14番(安立奈穂議員) 保育園などは乳幼児、まだ小さく床との距離が近いです。有害な物質を体内に取り込む可能性がとても高いです。体が直接床に触れることも多いと思いますので、早急に研究していただきたいです。
では次に、学校における室内空気汚染対策について伺います。文部科学省による学校環境衛生基準において、居室における化学物質の発作に対する衛生上の措置についてどのように検査が行われているのかを伺います。
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○佐々木聡 教育部長 文部科学省の学校環境衛生基準にのっとりまして、教室内のホルムアルデヒド、トルエン、キシレン等の6種類の揮発性有機化合物について、専門業者による検査を実施しております。このほか、学校薬剤師が炭酸ガスの濃度等の環境衛生検査を通じて教室の換気が十分であるかの確認も行っているところでございます。
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○14番(安立奈穂議員) 小・中学校の検査の対象の化学物質については基準をクリアしているということですね。対象となる化学物質をふやす検討が、国でも行われているかどうかというのは把握しておりますか。
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○佐々木聡 教育部長 議員御質問の国の基準の関係でございますけれども、当然のことながら、私どもとしては文部科学省の基準等、また学校薬剤師がやっている環境衛生検査ということを実施していることから、状況を逐一注視しながらそれに適合した形での検査を実施していくというような体制で取り組んでいるところでございます。
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○14番(安立奈穂議員) では、公立の保育園についても伺っていきます。
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○進藤勝 こどもみらい部長 化学物質検査につきましては、施設の設置基準等でも定めがございませんので、公立保育園については実施しておりません。
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○14番(安立奈穂議員) 大気中の化学物質は、床にたまりやすい性質です。背の低い子供たちは化学物質を知らず知らずのうちに吸い込む可能性が高いといわれます。発症しない、させないための対策を求めます。
では、二つ目に入ります。学校の教材関係です。学校で使用する教材にもさまざまな化学物質が含まれていますので、子供たちに多様な症状を引き起こすおそれがあるとも言われています。2003年と15年ほど前になりますが、市民団体協力のもとで行われましたシックスクール対策シンポジウムでは、これまで余り表面化してこなかった教科書、インクなどによる体調不良を起こし、学習ができないという事例の報告もされています。授業中にマジックペンやボンドは頻繁に使用することも多いと思いますが、学校で購入している教材、備品と印刷の際に使用されるインクについては刺激の少ないものかどうなのか、どのようなものを使用しているのかを伺います。
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○佐々木聡 教育部長 学校で用意するマジック等の教材、備品につきましては、におい等の刺激が少なく、安全で安心して使用できる製品の調達に努めているところでございます。印刷機で使用するインクにつきましては、米ぬか油や大豆油を原料とする環境に配慮したインクを使用しているところでございます。
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○14番(安立奈穂議員) 刺激の少ないものを使用してくださっているということで、安心いたしました。今後も安全性の高い物の使用をお願いいたします。
では、三つ目になりますけど、生態毒性のある農薬についてです。農薬が私たちの体に健康被害をもたらし、さまざまな精神疾患やがんなどの病気と関連があるとの研究報告が調査結果であり、使用する際には注意が必要です。統計によれば、日本は世界でも上位を争う農薬の使用国です。国内の上位に北海道が含まれ、小学生のぜんそく児も全国一多いそうです。北海道、小樽・子どもの環境を考える親の会には、化学物質過敏症の患者さんから相談がここ数年急増しています。その中には、学校の花壇で使用した農薬で子供が体調を崩した、近所の方が家庭農園で使用した農薬に反応して引っ越さざるを得なくなった、室内で使用した殺虫剤やペットのノミ取りで鼻水やせきがとまらなくなったなどの症状を訴える声が寄せられています。そこで同会は、病害虫の防除には経済性を考慮しつつ、さまざまな方法を工夫し、安易に農薬に頼らない管理を求める必要があるとして、グリホサート及びネオニコチノイド系の農薬の販売を中止すること、できる限り人体に影響の少ない商品販売を求める要望書を、ホームセンターなど4社に提出しております。
農薬には防虫剤や除草剤、家庭菜園で使用する農薬などがありますが、学校、公園などの樹木や害虫駆除による殺虫剤散布について伺います。屋外の植栽管理に使用される殺虫剤については、使用濃度の基準が定められていますが、散布、散布場所周辺の濃度については規制がありません。子供が多く利用する施設の中である小・中学校と保育園と街区公園について、害虫駆除はどのように行われているのかを伺います。
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○進藤勝 こどもみらい部長 公立保育園におきましては、植栽管理等でも、殺虫剤の散布はしておりません。
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○佐々木聡 教育部長 続いて、学校についてでございます。学校で植栽を管理する上で、基本的に殺虫剤の散布は行っておりませんが、スズメバチや毛虫などの害虫を駆除する場合には、バリケードなど児童・生徒が現場に近寄らないような安全策を講じた上で、殺虫剤を使用することもございます。
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○樋田浩一 都市整備部長 公園の植栽管理等では、通常殺虫剤の散布は行っておりませんが、公園でハチの巣や人がかぶれる原因となる害虫が確認されましたときには、駆除のため家庭用のスプレー式殺虫剤を使用しておりまして、噴霧する際には風向きや付近に人がいないことなど確認した上で、安全に配慮しているところでございます。
また、開発事業に伴い新たに設置されます街区公園では、害虫の発生が少ない樹種を選定していただくよう、事業者と協議を行っているところでございます。
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○14番(安立奈穂議員) 基本的には農薬の散布はされていないということですが、使用の際にはかなり配慮しくださって使用しているということで、安全の確認ができました。市内には、234カ所の街区公園があると聞きました。ここでは小さなお子さん、お母さんたちが集まっている姿をよく見かけます。身近な公園は利用する機会も多いので、安心いたしました。
続いては、農薬に関連いたしまして、安心・安全な学校の給食の提供についても伺います。現在、放射性物質濃度測定が実施されています。平成24年から翌日の学校給食で使用する食材、2から3検体の測定を行い、測定結果は市のホームページでも公開されておりますので、放射性物質については安全な食材を使用しているということは確認できております。ここでは、学校給食に使用する野菜、果物などの残留農薬についてはどうでしょうか。検査方法と実施の回数についてお聞きいたします。
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○佐々木聡 教育部長 残留農薬に特化した検査は現在のところ実施しておりませんが、食中毒を予防し、学校給食の安全な実施をするために、学校給食において使用する原材料及び加工食品については、年に1回の微生物検査、理化学検査を実施しており、検査の結果につきましては、県内各市町村で情報共有をしているところでございます。残留農薬に関する検査につきましては、その検査の中で昨年度も一昨年度も、陽性反応の検査結果についてはないということを確認しております。
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○14番(安立奈穂議員) 県の指示に基づいた理化学検査や微生物検査について御説明はありましたが、農薬については特に野菜や果物に多く使用がされております。子供たちの健やかな体と心の成長を願って子育てをする保護者が安全な食材を求める、そういった意識はとても高まっているように感じます。最近は、食品だけに限らずにオーガニックという表示がついている食材が好まれるようになり、有機栽培、無農薬、減農薬と書かれたものが多く見受けられ、そのような飲食店も数は多くなりました。子供の健康に影響を及ぼす農薬については、日本では余り話題にはなっておりませんが、アメリカでは、専門家が真剣に議論を始めており、子供の発達や行動への農薬の影響が、さまざまに報告されております。アメリカ小児学会では、2012年化学物質の中でも特に農薬暴露が子どもにもたらす影響を重く見て、子供への農薬暴露低減を求める対策声明を発表しました。日本では、有機リン系農薬が現在も大量に使用されています。例えば、床下のシロアリ駆除剤などに使用されてきた有機リン系の農薬は、子供の知能低下や作業記憶に障害が残るとの報告があります。しかし、現在、建築材料への使用のみが禁止されているだけです。
また、近年使用が急増しているネオニコチノイド農薬は、ニコチンに似た強い毒性があり、注意が必要です。EUはミツバチの大量死との関連や子供の脳への影響を重視し、2013年からネオニコチノイド系農薬3成分を禁止しました。ところが、日本はその後逆行するかのように、ネオニコチノイドの残留農薬基準を緩和しています。フランスでも、ネオニコチノイド系の農薬5種をことし9月から禁止していますし、ほかの国で禁止されていても、それが日本では許可されています。国によって気温や土壌環境、降水量も異なるため、農薬を多く使わざるを得ないケースもあるかもしれませんが、農薬暴露は最小限に抑えたいです。
給食調理に使用する野菜の残留農薬検査は、伊勢崎市、成田市など外部の検査機関に依頼し、そしてまた、その結果をホームページで報告している自治体もあります。鎌倉市におけるより安全な学校給食について、検査の強化はできないでしょうか。
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○佐々木聡 教育部長 鎌倉市におきましては、葉物野菜につきましては4回、トマトやナス等については3回水槽を変えて洗う等、日ごろからの給食食材の安全には留意しているところでございます。残留農薬の定期的な検査につきましては、現在、特化して行っていないところでございますけれども、先進市の状況確認を行いながら、今後の研究課題と捉えさせていただきたいと思っております。
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○14番(安立奈穂議員) できるだけ農薬が含まれない食材を選定していただきまして、保護者がさらに安心できるよう今後も前向きな検討をお願いいたします。
給食について触れましたので、これまで神奈川ネットが長年取り上げてきました石けんの使用についても伺います。小・中学校の給食の食器洗浄では、洗剤は石けんが使用されているかどうかを確認させてください。
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○佐々木聡 教育部長 給食で使用する洗剤につきましては、化学物質による健康や環境への影響に配慮しまして、食器具の洗浄、調理用被服の洗濯及び業務中の手洗い用について、界面活性剤を含まない石けんを使用しております。
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○14番(安立奈穂議員) 保育園についても伺います。
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○進藤勝 こどもみらい部長 公立保育園におきましては、食器及び調理器具の洗浄では化学物質による健康への影響に配慮し、石けんを使用しているところでございます。食器洗浄機やスチームコンベクション自体を清掃するときのみ故障の原因となるため、石けんではなくメーカー指定の専用洗剤を使用しているという状況でございます。
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○14番(安立奈穂議員) 石けんを使用してくださっているということで確認できました。合成洗剤には人の健康、生態系に有害なおそれがあり、合成界面活性剤も含まれております。直接口に触れるものですので、今後も石けんの利用を引き続きお願いします。
では、四つ目になります。初めのほうにも触れました香りの害についてです。
まず、保育園、小・中学校、行政センター、老人福祉センター内のトイレの消臭剤や芳香剤の使用状況について確認させてください。
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○進藤勝 こどもみらい部長 公立保育園におきましては、トイレにおいては芳香剤、消臭剤等は使用しておりません。
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○佐々木聡 教育部長 学校のトイレにつきましては、一部の臭気がひどいトイレ等では芳香剤や消臭剤を使用しておりますけれども、他の多くの学校では使用してないところでございます。
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○奈須菊夫 市民生活部長 各行政センターについてですが、大船行政センターが1階男女及びみんなのトイレに芳香剤及び消臭剤を各1個、深沢行政センターが全てのトイレに消臭・芳香剤を各1個置いております。腰越・玉縄行政センターについては置いていない状況でございます。
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○内海正彦 健康福祉部長 老人センターにつきましては、名越やすらぎセンター、今泉さわやかセンター、玉縄すこやかセンター、腰越なごやかセンターの4カ所で使用している状況でございます。
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○14番(安立奈穂議員) トイレの消臭剤と芳香剤の使用につきましては、鎌倉市内も公共施設が老朽化しておりまして、やむを得ないという実態もあるかと思います。しかし、人体、身体への悪影響を及ぼさないように、最小限の使用に努めていただきたいと思います。
では、身につける香りについて伺いますが、子供たちと接している立場の現場の教職員の方々は何か気を使っていることはあるのかを伺います。
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○佐々木聡 教育部長 教員という多くの児童・生徒、保護者と接する仕事であることから、各自が周りに対して不快に思わせないような配慮を持って取り組むことが大切であると考えております。しかし、不快と思えるような状況がある場合には、管理職から注意を促すということもしているところでございます。
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○14番(安立奈穂議員) 香りの害のもととなる柔軟剤、香りの洗剤は、テレビコマーシャルなどでいい香りという部分ばかりが強調されています。教職員だけではなく、学校生活を送る子供たちやその保護者など、関係する多くの方々への情報や学習の機会の提供が望まれますが、未解明の部分も多く、その情報の発信は難しいと感じる部分もあります。いい香りだと感じて使用する方が大半だと思われますので、香りで苦しい体験、経験をしている想像はできないかもしれません。
しかし、2013年、日本消費者連盟関西グループアンケート調査では、香水類、芳香剤、洗濯洗剤や柔軟剤で反応し、吐き気や気分のいらいら、喉のイガイガ感などの症状の訴えがあると報告されております。さまざまな香りの製品が出回り、小学生高学年から、中学生ぐらいにかけては、自分の身につけるものについて好奇心が芽生えてきます。いい香りのする制汗剤や整髪料を使用する年ごろにもなってきます。しかし、制汗剤に含まれますメチルパラベンは乳がん患者の乳房から多く検出されているとの報告もあります。わきの下のようにやわらかい部分では化学物質の吸収率がとても高くなります。薬学博士著者による「「経皮毒」が丸ごとわかる本」によりますと、腕の内側を1としたときに、わきの下の経皮吸収率は3.6倍です。頭皮は3.5倍、そして最も吸収率の高い女性の陰部になりますと50倍、そして、男性は42倍にもなります。この経皮からの吸収についてもきちんと学ぶことが望まれます。口と皮膚からの摂取では、体内に蓄積した化学物質の排出量も異なり、皮膚から吸収された場合は、90%が体内に残ると言われています。体内に残った毒素は子宮や卵巣、そして皮膚を経由して腹部に蓄積されます。生理痛を起こしたり、子宮がんなどの婦人科系の疾患の原因だとも言われております。ホルモンだけでなく、肌や神経にも関与することが考えられます。そのようなことを知った上で、日常生活で身につけるものを選び、自分の体やこの先の健康について考える時間も必要ではないでしょうか。
今後、化学物質過敏症を発症させないための啓発活動や取り組み、児童・生徒、保護者に対して注意や呼びかけなど何か取り組めることはあるか伺います。
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○佐々木聡 教育部長 先ほど御答弁申し上げましたように、現在のところ化学物質過敏症とお申し出になった児童・生徒はおりません。しかしながら、児童・生徒が在籍するような場合につきましては、保護者と面談を行うなどの連携をとり、個別の配慮をしていきたいと考えております。
また、その際、保護者や本人の了解も得ながら周りの子供たちへの指導も行っていくつもりでございます。今後、化学物質については、さまざまな方々への情報提供に努めていきたいと考えております。
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○14番(安立奈穂議員) まだ実態把握はないという状況ではありますが、この化学物質による体調不良で学校に行けないつらさや苦しみを抱えている子供たちがいるという想像力を働かせた上で、生徒の目線で今後取り組んでいただきたいと思います。
では、最後になりますが、化学物質過敏症はまだまだ認知度が低いです。まずは家庭内からを初めとしまして、自治体ぐるみの環境改善、情報の発信、適切な指導など、広い視野をもって進めていただきたいと思います。今後の周知、啓発、取り組みについて伺ってまいります。
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○内海正彦 健康福祉部長 化学物質過敏症は他の慢性疾患との識別が難しく、疾患に対する認知度も低いことから専門機関にかかり、診断がつくまでにかなりの時間を要していると言われているところでございます。今後は環境省の発行している小冊子等を市民健康課窓口や未病センターかまくら、子育て支援センター等に配架するとともに、ホームページにおいて情報発信し、正しい知識の普及啓発を行っていくことについても検討してまいりたいと考えております。
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○14番(安立奈穂議員) 保護者のほうにも配布したりなど、具体的なことを今後もしていただきたいと思います。
では、ここから香りの害の中でも最も不快と感じる方の多い、受動喫煙について伺ってまいります。受動喫煙に関しましては、同僚議員からもさきに質問がありましたので、重なる部分がありますことを先に申し上げまして、伺ってまいります。たばこの煙には発がん性物質や多くの有害化学物質を含んでおり、喫煙者本人が吸う主流煙より、たばこの先端から発生する副流煙のほうがより多くの有害化学物質を含んでいることは御存じだと思います。受動喫煙により、肺がん、脳卒中、乳幼児突然死症候群などの危険性が高まることも明らかになっています。県では、神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例が2010年に施行されました。この条例は、不特定多数の者が出入りする公共的な室内空間で、受動喫煙による健康影響を防止する目的です。鎌倉市では、たばこの吸い殻のポイ捨てや、歩きたばこによるやけどを防ぐために路上喫煙の防止に関する条例が県の条例より前の2008年に制定されていると思います。特に人通りの多い大船駅、鎌倉駅付近を路上喫煙禁止区域としていますが、喫煙者に対しては、どのような呼びかけをしているのか、伺います。
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○石井康則 環境部長 路上喫煙の禁止区域内では巡回を行っておりまして、路上喫煙者や喫煙所でのはみ出し喫煙者への注意喚起を行うとともに、周知啓発用の路面シートの張りつけや、区域表示板を設置いたしまして、歩行喫煙や吸い殻のポイ捨ての禁止を呼びかけているところでございます。
禁止区域内での路上喫煙の禁止につきましては、一定の理解が得られていると認識しており、路上喫煙者への注意喚起に際しましても、速やかに喫煙を中止しているというのが現状でございます。
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○14番(安立奈穂議員) 指導員さんによる注意喚起もされているそうで、区域内の路上喫煙防止に力を入れていることが確認できました。
では、路上喫煙禁止区域内の取り組みについて、現在、課題はあるか、今後の対応策についても伺います。
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○石井康則 環境部長 歩行喫煙や吸い殻のポイ捨て防止につきましては、一定の効果が得られていると考えておりますが、受動喫煙防止を求める機運の高まりによりまして、喫煙区域内にある4カ所の喫煙所の煙やにおいに対する苦情、また健康への影響を心配する声が多く寄せられているところでございます。このような、望まない受動喫煙をなくすために、既存の喫煙所は今後一定の時期に廃止をする予定でございます。廃止に伴う補完策といたしましては、東京都千代田区等で行っております民間事業者が設置する屋内型の喫煙所の設置費用や維持管理費を助成する補助制度の創設を進めるとともに喫煙できる店舗などの案内を行い、また、注意喚起の巡回を強化するなど、喫煙者と非喫煙者の共存できる方策を検討していきたいと考えております。
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○14番(安立奈穂議員) 今後は、今ある喫煙場所を廃止していくとの方向ですが、代替の屋内喫煙所の確保も並行して進めていただきたいと思います。行き場をなくしたことで、路上での歩きたばこや禁止区域外の喫煙がふえないかどうか、懸念されます。喫煙者がたばこを吸う権利を全面的に否定するものではありませんが、その権利は、非喫煙者が受動喫煙によって健康を害されない権利が保障された上での話です。一息できる場所が全て奪われ、かえって状況が悪くならないよう、バランスよく進めていってください。お願いいたします。
7月に開催されましたかまくら子ども議会では、子ども議員がたばこの煙について取り上げておりました。学校周辺を禁煙にするための看板設置や条例をつくることは可能かという質問でした。本当に耳を傾けるべき提案ではないでしょうか。児童が登下校する通学路付近でも禁煙を求める声は、他の地域からも上がっています。喫煙する側のマナーの問題でもありますが、一部の大人によって子供たちの健康が害されることはあってはなりません。現在、定められた路上喫煙防止活動や、喫煙マナーの遵守、努力義務だけでは子供たちを煙の害から守ることはできません。また、地域によっても状況は異なりますので、解決策を見つけるのは容易ではありませんが、少しでも改善を図るべきです。藤沢市では、たばこによる健康被害を守る目的で公共施設における受動喫煙防止のガイドラインを策定しています。その中で、子供を初めとする不特定多数の者が利用する公共の場所、屋外についても規定されており、道路や公園、駅前広場など禁煙にしています。ここに公共的な屋外の場所で禁煙が困難で喫煙所を設置する場合には、十分な距離を置いて設置し、受動喫煙防止に十分配慮するよう求めています。より細かく申しますと、人の往来の多い通学路もカバーがされています。私有地に限っては該当いたしませんが、子供たちの生活範囲を守る対策です。煙の影響を受けやすい子供たちを守る対策が求められますが、路上喫煙禁止区域外の路上喫煙防止について、今後の対応について伺います。
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○石井康則 環境部長 学校など子供関連施設周辺につきましては、路上喫煙禁止区域に指定しておりませんが、路上喫煙の防止に関する条例で喫煙者は路上喫煙や吸い殻のポイ捨てをしないように努めなければならないと定めているところでございます。喫煙者には、路上喫煙や吸い殻のポイ捨て防止を呼びかけるホームページでの周知や、路面シートの張りつけによる注意喚起などの取り組みを行っているところでございます。吸い殻のポイ捨て防止の観点からも人通りの多い場所や、子供などたばこを吸わない人がいるところでは喫煙しないなどの喫煙マナーの向上についてさらに周知をするとともに、学校など子供関連施設周辺や他の駅周辺を禁止区域に指定することにつきましては、関係部局や関係機関とも調整いたしまして、他市の取り組みを参考にして検討していきたいと考えております。
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○14番(安立奈穂議員) では、最後に健康福祉部に伺います。第3次鎌倉市総合計画の第3期基本計画鎌倉市健康づくり計画では、行動目標子ども?期には「煙から 守ってあげたい 子どもたち」と示されています。「みんなでできること」の中には、子供の周り、集まる場所では喫煙しないように盛り込まれています。市民、子供たちを望まないたばこの煙から守る現在の取り組みと、今後の対応をどのようにお考えか、教えてください。
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○内海正彦 健康福祉部長 今、議員御紹介いただきましたように、鎌倉市健康づくり計画では、市民の健康づくりのために取り組むべき分野としてお酒・たばこを掲げており、その中でたばこの害や依存性の理解促進、喫煙が周りの人に及ぼす影響、禁煙に取り組む人へのサポートなどの周知を図っているところでございます。
受動喫煙の防止につきましては、引き続き健康づくり事業等の中で受動喫煙の影響等について啓発していくとともに、喫煙場所の徹底等禁煙者へのマナーの向上についても関係部署や関係機関と連携をしながら取り組んでまいりたいと考えております。
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○14番(安立奈穂議員) 望まない路上での受動喫煙、健康づくりでの重点施策として、関連する部をまたぎまして、今後進めていただきますよう、お願いいたします。
今回は、化学物質過敏症に関しまして細かく現状について伺ってまいりましたが、国によるこれからの施策は化学物質過敏症の疾患解明や予防策が中心で、今、発症して苦しんでいる人々の支援はされていません。NPO団体発行のガイドブックによりますと、日本では少し頭が痛いぐらいの予備軍を含めますと1000万人と言われ、12人に1人ぐらいの割合で、原因不明と放置されている潜在的患者が大半だと推測されております。化学物質過敏症の実態が身近にあると捉えて、行政での早急な対応を求めまして、私の一般質問を終わりにいたします。
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○議長(中村聡一郎議員) 次に、保坂令子議員の発言を許可いたします。
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○23番(保坂令子議員) 神奈川ネットワーク運動の保坂令子です。通告に従いまして、質問をさせていただきます。
初めに、テレワークについてです。松尾市長は市内企業、市内の個人事業者、そして市外企業通勤者の間でテレワークを広めるとともに、市役所組織においてもテレワークの全庁的導入を目指していらっしゃいます。11月27日に鎌倉テレワーク・ライフスタイル研究会が発足しました。研究会の中で、鎌倉市が担う役割は何でしょうか。まず、伺います。
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○奈須菊夫 市民生活部長 鎌倉テレワーク・ライフスタイル研究会は、ビジネスマンが満員電車で通勤するというワークスタイルを改めるとともに、フリーランスや介護、子育てをしながら働く人、一度定年退職された高齢者の皆さんなど、多様な方が働きやすい環境づくりに取り組んでいるものでございます。こうした方々が鎌倉でともに働き同時に暮らすというワークスタイルとライフスタイルを実現することで、鎌倉に新たな交流を生み出し、新しい価値を創造して生活を豊かにする町の実現を目的としております。市では、研究会の事務局を担いながら、研究会の取り組みや成果をSNS等で情報発信するとともに、国などの行政機関と連携しまして、さまざまな機会を捉えて、企業にテレワークを取り入れてもらえるようなアプローチをしてまいりたいといったことを考えております。
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○23番(保坂令子議員) 企業立地支援や市内にコワーキングスペースやサテライトオフィスの設置を進めることを柱にしました「働くまち鎌倉」のスローガンについては、かねてより違和感を表明してきたところです。市として補助金や担当の職員を充てる投資効果が一体どれだけあるのか、投資によって得られる結果の規模が投資に見合うだけのものなのか、疑問だからです。若年人口の比率を下げないようにするのなら、むしろ住宅政策や子育てしやすい町鎌倉を打ち出したほうが有効であると思っているところです。
大もとのところで否定的なことを申し上げましたが、さて、鎌倉テレワーク・ライフスタイル研究会会員は期間限定で、曜日によっては無料でシェアオフィス5カ所を利用できるというプランが研究会発足式で披露されたとのことです。どのような中身なのか伺います。
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○奈須菊夫 市民生活部長 研究会では、テレワークに関する研究やテレワークを体感、体験する事業を企画することとしておりまして、会員向けに期間限定でテレワークの機会を安価または無料で提供するシェアオフィス利用プランを発表したところでございます。現時点では5カ所の拠点において、利用できるプランとなっておりますが、今後、また御協力いただけるような新たな拠点を開拓しまして、より多くの機会を提供できるように努めてまいりたいと考えております。
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○23番(保坂令子議員) 定例会初日の同僚議員の質問に対して、市民生活部長はテレワークを広げるための情報の発信ということを何度も答えられていらっしゃったので、もう1点追加で伺いたいと思います。
研究会員専用鎌倉テレワークスタイルプラン、今、御説明いただいたものですけれども、このシェアオフィス5カ所のうちの長谷と御成の2カ所は、2016年度に地方創生加速化交付金を充てた企業活動拠点整備事業で選ばれ、1事業当たり最大で600万円の補助金を受けて開設されたオフィス、大船の1カ所は今年度の企業立地整備費等補助金を受けて開設されたオフィスであると聞いております。また、別のもう一つのオフィスは市の補助金を活用した開設ではありませんが、2016年度の企業活動拠点整備事業で2カ所分の補助金を交付された事業者が開設したものです。
初めの質問で、市の担う役割は何かとお聞きしましたが、実態としては準備段階というか、下地づくりの段階から市はお金の面でコミットしていたということではありませんか。補助金を交付した市も交付された事業者もそれでおしまいではなく、継続性があったという意味ではよいのかもしれませんが、裏を返せば、かかわる事業者に広がりがないということではないでしょうか。市民生活部長の見解を伺います。
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○奈須菊夫 市民生活部長 今回御提供いただくと申しますか、無料プランを提供いただける事業者なんですが、特段、前に市から補助金とか現在の補助金、そういったものに関連して御提供いただいているわけではございませんで、このテレワークというライフスタイル、ワークスタイルを広めていきたいという思いから、それぞれ市内でコワーキングスペース等提供されています事業者の方々の好意で進めていただいてる中で、こういうプランを提供したというところでございます。
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○23番(保坂令子議員) 補助金とつながりがあってというか、補助金をもとにしてということは申し上げていなくて、鎌倉市としては今後に向けての種をまいたというか、そういう下地づくりを過去にしていたと思っているんです。継続性があるということについてはそれは悪いとは思ってはいないんですが、それからさらにもっと多様な事業者に広がりがあるんですか、そういう可能性があるんですかということをお聞きしたということです。
今定例会では、別の同僚議員が中小零細事業者支援について取り上げました。従業員4人以下の小規模事業者は市内で4,628もあるとのことです。市全体の活性化を図って民間事業者を支援する、あるいは公民連携を進めるというときに、視野に入れる対象が偏っているように思えるということを申し添えたいと思います。
次の質問です。民間がそれぞれの事業形態や就業者の事情に応じてテレワークを採用することについては、私は特に異論はありません。問題にするのは、むしろ市役所組織におけるテレワークの導入についてです。7月に研究会の準備会が発足しており、市役所において本年度内に課長級以上、3年以内に全職員を対象にテレワークの制度を導入するという方針が発表されています。この方針はいつ、どのように決まったのでしょうか、市長に伺います。
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○松尾崇 市長 現在、国による働き方改革が進められている中で、地方自治体においても働き方の見直しが求められているものでございます。本市におきましては、ICTを積極的に活用しながら、働き方の見直しなどを進めていくこととしておりまして、職員のワーク・ライフ・バランスや生産性の向上につながるさまざまな手法を継続的に検討する中で、このテレワークの実施を決めたものでございます。
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○23番(保坂令子議員) いつ決められたのかということを、もう少し具体的にお話しいただけますか。
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○松尾崇 市長 テレワークを推進していくということにつきましては、私自身3期目のマニフェストの中で、働き方改革というところについては念頭に置いて進めているところでございました。その後、こうした自治体に求められているものということで議論していく中において、テレワークの実施ということを決めて、発表としては7月の準備会のときに公には発表させていただいたということになります。
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○23番(保坂令子議員) 庁内でこの取り組みの熟度を高めていく、そういった検討がどのようにされたかというのは、今の市長の御答弁でもわからなかったと思います。
次の質問に行きます。横浜市では、2018年度からテレワークを申し出ることができる職員を、区役所を含む全庁に拡大しました。対象者の要件として、ア、小学校6年生以下の子供を養育していること。イ、2週間以上にわたって老齢疾病障害等により日常生活に支障がある親族を介護していること。ウ、けが・妊娠等により一時的に通勤の負担が大きい状況であることを上げて、2016年に政策局、総務局、財政局に勤務する職員、2018年に局統括本部に勤務する職員で試行を行い、2018年度に区役所を含む全庁での試行となりました。鎌倉市では横浜市とは大きく異なり、まず、課長級以上という等級で区切った試行がされます。そのようにした理由は何ですか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 管理職からテレワーク制度を導入し、管理職みずからが柔軟な働き方を体感することでテレワークに対する理解が深まり、働き方の見直しや業務の効率化に対する意識改革が期待できることが上げられます。また、一般職員がテレワークを活用するに当たりましては、制度を整備するだけではなく、上司であります管理職の理解が不可欠となりますことから、まず管理職から導入することで一般職員にも制度が浸透していくといったことを期待するものでございます。
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○23番(保坂令子議員) かなり前のめり的な導入の仕方だなと思っているところです。
ここが一番申し上げたいことなんです、次の質問なんですけれども、市役所は民間とは異なり、市民と直接触れ合って仕事をするということが大切なわけです。都内へ通勤するために朝7時台に横須賀線に乗る通勤者に、「市役所は全庁でテレワークを実施しています。ワーク・ライフ・バランスです」と書かれた「てのりかまくら」を手渡したら、市役所は率先してよい制度を実践していますねと思われるでしょうか。市民から課長と話したい、課長から説明を受けたいと言われたときに、きょう課長はテレワークで在宅勤務ですと答えて納得してもらえるほどテレワークは浸透していませんし、仮に民間で広く行われるようになったとしても、市職員のテレワークが市民の理解をすんなりと得られるとは考えられません。そのようなおそれは感じていらっしゃらないのでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 テレワークの導入によりまして、職員が毎日庁舎を離れて勤務するというようなことを考えているわけではございませんで、必ずしも庁舎で行う必要がない書類作成などを自宅で行ったり、出張先での空き時間の有効活用ができるように、そういったことを想定してございます。最終的な個別の業務でのテレワーク実施の判断につきましては、各職場における管理職のマネジメントによることになりまして、市民サービスに支障を来さない運用を行う必要があると考えております。
また、テレワークによる業務効率化を図ることによりまして、本来重視すべき市民と対話をしながら仕事を行う時間も生み出すことができるのではないかと考えております。
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○23番(保坂令子議員) だったら、このように大々的に導入する必要はないのではないかと、今の御答弁を聞いて伺えました。業務の効率化ということはどういうことなのか、部長のお考えを追加で伺いたいと思います。
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○齋藤和徳 行政経営部長 先ほど申し上げましたとおり、空き時間、例えば出張をしている、あるいは移動中、そういったときにモバイルのパソコンによって決裁やあるいは仕事をすることができる、そういったことの業務の効率化、時間を無駄に使わないということによって業務が運営できる、有効な時間を生み出すことができると考えてございます。
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○23番(保坂令子議員) そういう空き時間がどれぐらいあるのかなということを思ってしまいます。大々的にテレワークを導入することと、そういった空き時間を利用できる業務効率化というメリットとを勘案したときに、どれぐらい業務の効率化になるのかなと、今の時点では思わざるを得ません。
次の質問も伺います。横浜市のホームページによれば、同市のテレワーク実施環境は2018年度においては、パソコン端末22台を対象となる職員に貸与し、職員が貸与されたパソコン端末を使って自宅から職場のパソコンにリモートアクセスするということのようです。鎌倉市ではどのような実施環境を考えているのか伺います。また、その際セキュリティー対策はどのように講じられるのでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 テレワークの実施に向けまして、今回モバイル端末150台の調達を行いまして、今年度中の運用開始に向けて環境を構築中でございます。テレワークの実施に当たりまして、より一層のセキュリティー確保が重要でありますことから、端末から各種システムが置かれている市役所まで、インターネットを経由することなく接続を可能とする、閉域接続網の環境を構築いたします。また、万が一の紛失や盗難に備えまして端末にデータを保存できないようにするとともに、遠隔からでも端末の使用ができないように操作することが可能となる環境も、あわせて構築いたします。
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○23番(保坂令子議員) だから本当に大がかりなものだということです。大変大きな政令指定都市である横浜市が2年既に試行した後、今年度22台の端末と言っているところを、鎌倉市は150台導入して、しかも特別な接続のシステムを構築するという、それほど大がかりにやるということです。システム、安全セキュリティーというのはもちろん図らなければいけませんけれども、どんなにセキュリティー対策をしても、例えばこの間、また横浜市になりますけれども、マイナンバーカードと一緒に窓口の近くに置いてありましたパソコンの端末が紛失、盗難でしょうか、なくなってしまうというようなこともありました。それについても対策は講じているということですけれども、セキュリティーの面も含めて、もっと検証してから、大がかりな導入を図るべきではないかなと、答弁を聞いて思った次第です。
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○議長(中村聡一郎議員) ただいま一般質問中でありますが、議事の都合により暫時休憩いたします。
(11時55分 休憩)
(13時10分 再開)
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○議長(中村聡一郎議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。
保坂令子議員の一般質問を続行いたします。
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○23番(保坂令子議員) 午前中に引き続き、テレワークについて質問をいたします。
テレワークは子育てや介護などの事情により、時間的な制約を抱える職員の増加が見込まれる中、ワーク・ライフ・バランス推進の観点から多様で柔軟な勤務形態を可能にするという意味では、採用されてよいと思います。気になるのは、子育てや介護、けがや妊娠などの事情がない職員にまで、ワークスタイルの一つとして広めるのかということです。本当にそのようにされるおつもりなのでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 総務省によります平成28年通信利用動向調査によりますと、テレワークを導入している企業とそうでない企業では、生産性が約1.6倍異なるというデータを公表しておりまして、テレワークは育児や介護などの事情がある職員の働きやすさ向上のみならず、市役所全体の業務効率化や生産性向上の手段となり得ると考えております。このような考え方も踏まえつつ、全職員を対象としたテレワーク環境の整備の具体的な進め方につきましては、対象者を段階的に拡大するかどうかも含めまして、関係部局と連携して、これから検討を進めてまいります。
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○23番(保坂令子議員) 今データを示されましたけれども、平成29年度版の情報通信白書によりますと、総務省が全国の自治体を対象に実施したテレワークについてのアンケート調査の結果が載っています。テレワークの実施や普及を支援する取り組みを実施していると回答した自治体は、都道府県では約25%でしたが、市町村を含む全体では7%程度でした。その中で、職員を対象としたテレワークを既に導入していると回答した自治体は24団体で、回答した団体の2%にすぎません。その背景には、自治体職員の業務にテレワークに適したものがないと思われることや、職員がテレワークをする上で必要なセキュリティーの確保等を自治体が課題に感じていることが上げられると、白書は分析しています。これに照らしても、松尾市長の姿勢は余りにも前のめりだと受けとめているところです。
では、子育てや介護、けがや妊娠などの事情がない職員にまでワークスタイルの一つとしてテレワークを広める場合、何に意味を見出しているのかということを、もう一度伺います。
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○齋藤和徳 行政経営部長 端末の無線化及びモバイルワークを含めたテレワークの導入によりまして、これまで庁舎内の自席のみでしか行うことができなかったパソコン上での資料閲覧、書類作成などが自席以外の庁舎内や、あるいは出張先の打ち合わせ時でも可能になるほか、メール確認、決裁手続なども在宅勤務や出張先の空き時間においてできるようになります。これらによりまして、業務効率化による生産性の向上、移動時間の削減、職員のワーク・ライフ・バランスの向上が見込まれるところでありまして、それは市民サービスの一層の向上につながるものと考えております。
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○23番(保坂令子議員) 先ほどからちょっと自席を離れてとか、出張先というようなことをおっしゃっているんですけれども、鎌倉市役所において出張がどれぐらいの頻度でどれくらいの時間を要しているのかというところについては、疑問に思うところですけれども、検証が必要かなと思います。
ここまで伺ったので、経費についても確認させていただきたいと思います。平成31年2月をめどに管理職に導入ということですが、端末についての補正予算は組まないと聞いているところです。ただし、通信システムやその後の展開ということもありますので、経費の見通しを、わかる範囲でお示しいただければと思います。いかがでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 端末の調達150台ということで進めておりますけれども、これにつきましては既存端末の入れかえに合わせての調達でございますので、特別に経費がかかるということではございません。ただ、無線化ということで変えていきますので、それに要する費用が約1台当たり月に4,000円ほどかかってくるといったものが必要経費ということで、今年度につきましては今年度の予算の範囲の中で十分に対応するということでございます。
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○23番(保坂令子議員) 来年度以降の経費とかランニングコストだけではなくて、特別な通信システムを利用するというところも含めて、経費についてはきちんと細かいところも今後お示ししていただきたいと思っているところです。
この項の最後の質問は、お聞きするまでもないことですが、テレワークで庁舎で働く人員を減らして今後整備する庁舎面積をコンパクト化するということを、本気で考えていらっしゃるのかどうか、市長に伺います。
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○松尾崇 市長 テレワークの導入によりまして、職員の執務面積が大幅に縮小するというのは考えていません。テレワークも働き方の選択ですから、テレワークをやれと強制するものではございません。人口減少やAI技術の進展などの社会変化も考慮して、新しい庁舎に導入する機能の具体化や庁舎のコンパクト化については今後検討してお示しをしてまいりたいと考えております。
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○23番(保坂令子議員) 庁舎のコンパクト化を目指すということが上げられていますが、それとは別物であるということを確認いたしました。テレワークについてかなり水を差すようなことを申し上げましたが、市役所は民間ではなく、市民がどう受けとめるかに配慮することが重要だと思います。端末の更新時期に合わせて導入するので新たなコストはかからないとの説明ですけれども、市役所のLAN環境が今後、有線と無線両方になることによるコスト増は避けられないのではないでしょうか。先ほども申し上げましたけれども、鎌倉市よりも規模がずっと大きい横浜市が、今年度貸与する端末が22台です。横浜市のような導入の仕方でよいのではないでしょうか。
以上でテレワークについての質問を終わらせまして、次に行きたいと思います。
次は職員研修について質問をいたします。予算特別委員会の折にも聞きましたが、もう少し詳しく知りたいと考えて、その後、平成28年度、平成29年度に実施済み、平成30年度に実施予定の職員研修の関連文書を情報公開請求しました。鎌倉市では階層別研修、行政課題研修などの集合研修、職場研修、派遣研修、自主研修など、多様な職員研修が実施されていることを確認しました。では、派遣研修にどのようなものがあるのか、伺います。
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○松永健一 総務部長 平成29年度に実施いたしました職員派遣研修といたしましては、市町村振興協会による研修、全国市町村国際文化研究所や市町村職員中央研究所による研修、一般社団法人日本経営協会による研修、あるいは早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会、マーケティングプランナー養成講座、都市経営プロフェッショナルスクールなど、こういった研修に職員を派遣してきたところでございます。
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○23番(保坂令子議員) 情報公開された文書を見ているんですけれども、派遣研修では神奈川県市町村研修センターの研修講座の受講が人数的には最も多く、これは他市も同様だと思いますが、マーケティングプランナー養成講座や都市経営プロフェッショナルスクールへの職員派遣は他市では余りないと思われます。どういう趣旨、狙いで派遣をしているのでしょうか。
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○松永健一 総務部長 住民ニーズが多様化しております中で、限られた資源を効果的に活用するためには、提供者の論理ではなく顧客起点での行政サービスを今後実現するため、マーケティング戦略が求められています。そういう事情を背景に、基礎知識を習得し、市場調査や現状分析に基づく企画力を身につけ、事業の政策立案とそのプロジェクトを牽引する将来の主導者となる職員を育成する、マーケティングプランナー養成講座に、職員を派遣しております。
また、人口減少社会を迎える中で、安定的な行政サービスを維持、提供していくためには、公民が連携し、それぞれの強みを発揮させていくことが求められますことから、都市経営メソッドを包括的に学び、公民連携事業を立ち上げ実践していくことができる職員を育成する、都市経営プロフェッショナルスクールといったところに、職員を派遣しているものでございます。
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○23番(保坂令子議員) マーケティングプランナー養成講座については、顧客起点で企画力を身につけるというような御答弁がありました。住民ニーズの把握や施策の対象の絞り方、また本市の現状分析、住民目線、顧客起点というのでしょうか、住民目線でサービスを考えること。もっとあるかもしれませんけれども、そうしたマーケティングの手法を行政が事業の政策立案やその遂行において役立てるのはよいと思います。ただ、行政と民間企業等とではそもそもの目的が違いますから、民間のマーケティング手法を行政で活用する際にはそれなりの応用の仕方があると思います。マーケティングプランナー養成特別講座は、株式会社企画塾というところがやっていますが、こちら自治体職員向けの研修なのでしょうか。
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○松永健一 総務部長 この研修ですけれども、自治体向けに特化されたものではございませんで、参加状況を見ますと、民間企業や公益的法人、また個人での参加も受け入れているというような研修でございます。
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○23番(保坂令子議員) 市にとって、市民ニーズを的確に把握するということは大きな課題です。声の大きい特定の集団の意見を広範な市民の意見と捉えてよいかという問題もありますし、事前に情報提供を十分に行って市民に考えてもらった上で、そのニーズをすくい上げるようなステップを踏まなければならない場合もあります。マーケティングの手法と重なる部分と、そうでない部分があるはずです。自治体職員が住民ニーズを把握するということは、どういうことだと捉えているのかお聞かせください。
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○松永健一 総務部長 住民のライフスタイルですとか価値観が多様化する中で、市民に寄り添った行政サービスを把握していくためには、これまでにも増してきめ細かな市民ニーズの把握が必要だと考えております。その中で、セグメンテーションやターゲティングなどのマーケティングで活用されております発想や技法を用いて、先ほど述べさせていただきました顧客起点の行政サービスをつくり出していくために、住民ニーズの把握が今後の行政運営には不可欠であると思っております。
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○23番(保坂令子議員) では、もう一つの都市経営プロフェッショナルスクールはどうか、伺いたいと思います。こちらは、公共と民間が協力し、都市経営という視点から税収、雇用の課題解決を図る公民連携を学ぶ研修ということのようです。内容的に、市長が強化したいと考えていらっしゃる公民連携のマインドやノウハウを持った幹部候補の職員を養成する意図のように見受けられます。そういった戦略性が突出すると職員研修全体の中でのバランスがとれるのかといった懸念も生じますが、部長の見解を伺います。
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○松永健一 総務部長 都市経営、公民連携のほうでございますけれども、人口減少社会を迎える中で安定的な行政サービスを今後も維持、提供していくためには都市経営という視点から、公民連携を進めまして、相互の知恵とノウハウを結集してまちづくりに取り組んでいくといったようなことが必要になりますことから、これからの自治体職員としましては、この公民連携手法の習得をするということは非常に意義があることだと思っております。
また、今後の研修ですけれども、長期にわたる派遣研修でありますため、1人当たりの参加経費はほかの研修経費よりも高額となっているという実情でございますけれども、額をもってこの研修だけに力点を入れているものではございません。あくまでもバランスよく、今後も経費面や研修効果などを総合的に、複合的に考えながら、講座の選択は行っていきたいと思っております。
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○23番(保坂令子議員) 全体の中で考えていらっしゃるということなんですけれども、額のことが気になるので、次の質問も額についてです。職員研修にどんな費目を入れるのかは一律ではないので、他市との比較は単純にはできませんが、予算書を見てざっと計算したところ、一般会計予算に占める職員研修費の割合を比較すると、鎌倉市は藤沢市や茅ヶ崎市の約3倍でした。マーケティングプランナー養成講座や都市経営プロフェッショナルスクールの受講単価は、今、部長がおっしゃったとおり高額であり、民間に経費を投じているようにも見えてしまうわけです。研修全体に占める派遣研修の経費の割合が高いことが他市との比較結果にも出ているのではないかと思います。この経費の点について、どのようにお考えかということを伺いたいと思います。いかがでしょうか。
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○松永健一 総務部長 集合研修のほうですけれども、原則として受講者数にかかわらず1回当たりの経費を支出しておりますけれども、派遣研修は受講者が研修場所に赴き、講師から密度の高い指導等を仰ぎながら研修を受講するという形になりますので、受講者1人当たりの単価は高くなっている。これは先ほど述べたとおりで重複しておりますけれども、そのため、研修全体に占める経費の割合は高くなっているという状況でございます。
また、ただ派遣研修につきましては集合研修とは異なりまして、一定期間集中的に学べること、また他の自治体や民間企業の職員とともに受講することで複眼的な視野も身につけていけるといったような効果があると思っております。
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○23番(保坂令子議員) 効果がある、意義があるということですけれども、その結果、成果ということを確認しないといけないと思うんです。経費をかけて研修を実施した以上、その研修の成果を市の組織として共有するなど、結果を把握することが必要であると思いますが、どのように把握していらっしゃるのか伺います。
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○松永健一 総務部長 派遣研修に参加した職員につきましては、レポートを書いていただきまして、研修報告会を実施するなど、その成果を庁内に投入する機会も設けております。また、その他の研修につきましても所属でその成果を共有するなど、研修受講者だけではなく庁内で共有できる機会を設けており、今後もそうした機会で研修の成果というものを庁内に広げてまいりたいと思っております。
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○23番(保坂令子議員) 外の空気に触れることも意味があると思います。ただ、自治体を顧客にしたそういう業界がさまざまな形で肥大している状況下では、派遣研修の研修先もよく考えて選ばなくてはならないと思います。また、長い公務員生活の中でずっと役に立つ基礎的な研修に力を入れることも大切だと思うわけです。
この項の最後に、ちょっと漠とした質問になりますけれども、お答えください。鎌倉市にとって必要な職員研修とは、どのようなものとお考えでしょうか。
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○松永健一 総務部長 研修の実施に当たりましては、毎年度研修計画を策定しておりまして、またその時々に必要となる研修計画をつくり、それに基づいて実施しているところでございます。昨今では、ハラスメント研修や法務研修など、職員のコンプライアンス確保に向けた研修に力点を置いてきたということもあり、今後は大きく社会環境が変わる中で、行政サービスを維持していくために、今質問がございました都市経営ですとかマネジメントの視点から、今までにない発想で計画を考え、立案できる職員を育成していくことができる研修が必要だと思っております。
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○23番(保坂令子議員) 一定の方向に向けて重点的な分野でということではなく、全体でバランスをとって市民サービスの向上に向けた職員に育ってもらう、成長してもらうということの研修にしていってほしいなということで、伺いました。
3番目の項目に行きたいと思います。公文書管理等行政情報の提供についてと題しております。
まず、公文書管理について伺います。2011年4月に施行されました公文書管理法は、行政文書が作成または取得され、整理保存され、そして利用され、さらに保存期間が満了後に移管、または廃棄されるという行政文書のライフスタイル全般にわたった管理について定めた法律で、これによって文書管理の位置づけは従来から大きく変わりました。また、公文書管理法の第34条により、自治体は文書管理についての必要な施策の策定と実施を努力義務として課せられました。これまで公文書管理について取り上げた際には、作成すべき文書を作成しているか、文書の廃棄を不適切に行っていないか、保存期間を満了した文書から保存すべき歴史的公文書の選び出しはどうなっているか、といったことを質問してきました。そして、公文書はその本質として、市民のものであるという視点に立った文書のライフサイクル全般にわたる適正管理のためには、公文書管理条例を制定すべきであると申し上げてきました。
今回は、文書を保存期間満了後の移管についても伺います。市役所本庁舎の整備、中央図書館の施設更新という現下の検討課題に加え、今定例会では博物館基本構想検討委員会設置に係る条例が議案上程されていていることから、公文書館、あるいは公文書館的機能についての検討がなされていない現状のままでは済まされないとも考えているからです。
まず、鎌倉市の現用文書、現に業務上使用している段階の文書についてです。鎌倉市には行政文書管理規則、行政文書管理規程、行政文書事務ガイドラインがあり、さらに2015年3月には、行政文書の作成に関する指針もつくられております。行政文書管理規則には、行政文書の定義が規定され、行政文書の作成に関する指針には作成すべき行政文書の例示がされ、また事案が軽易で行政文書を作成する必要がないケースを厳格かつ限定的に解釈する必要があるということも明記されています。しかし、報告のためにつくったメモなどが行政文書に当たるのかどうなのかについては、今、挙げた規定類に照らしても、明文化された判断基準はないということなのでしょうか、伺います。
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○松永健一 総務部長 行政文書でございますけれども、今、お話に出ました行政文書管理規則ですとか、ガイドラインにおいて統一的な判断基準を示して庁内で運用しているところでございます。
今、お話に出たメモでございますけれども、ガイドラインの解釈といたしましては、たとえメモであっても職務上作成し、組織共用したものについては行政文書として取り扱うといったような解釈になっております。
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○23番(保坂令子議員) ガイドラインの規定は御紹介いただいた通りだと思うんですけれども、明文化された判断基準ということでは、現状の規定類ではないのかなと思います。昨今問題にありました国の公文書管理で焦点が当たったことの一つは、省庁内や省庁間の連絡に使われる電子メールが、行政文書として位置づけられずに廃棄されたことでした。鎌倉市でも、北鎌倉トンネルの業務委託に関連したメールの公開請求に対して、不存在決定が出た事案がありました。私がこの事案について2015年の12月定例会で質問した際、都市整備部長は道路課とトンネル技術協会間の電子メールは、検証委員会の進行手順や資料作成等の進捗状況の確認のために行ったもので、内容を確認した時点でメールの目的が達成されたため、文書取扱責任者が行政文書として取り扱う必要がないと判断して削除したと説明されました。これに対して私は、継続中の重要な案件についての外部と交わしたメールは情報が更新されていくような連絡メールであっても、特定のフォルダを設けるなどして、必要な期間保存しておくべきではなかったかと申し上げました。
その後、2016年5月、請求者がこの不存在決定に対して行った異議申し立てについての情報公開個人情報保護審査会の答申が出ました。審査会は、ないものはないわけなので、不存在決定は妥当であるとの結論を示しつつ、鎌倉市行政事務ガイドラインにおいては何をもって行政文書として取り扱うかどうかを判断する基準が定められていない。ガイドライン等の指針においても情報公開の趣旨を十分に踏まえ、実施機関が適切な判断を行えるよう具体的な基準を定める等改善を求める、との付言をつけました。この答申は2年半前に出されたものですが、行政文書かどうかの判断基準を具体的に示すということについてどう受けとめていらっしゃるのか、伺います。
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○松永健一 総務部長 電子メールの取り扱いについてでございますけれども、鎌倉市行政文書事務ガイドラインの中では、組織共用されたものは電子メールであっても行政文書として取り扱ってきたところでございます。しかしながら、職員間の例えば1対1の電子メールにつきましては、組織共用という観点から行政文書とするかどうか確かに不明瞭な点がございました。こうした中で、職員同士の1対1で交わしたメールであっても、組織において業務上必要なものとして利用、または保存されているものについては、行政文書として取り扱うべきという判決が、この平成30年、ことしの11月20日に最高裁で下されたところでございます。今後は、この判決を踏まえた電子メールにおける行政文書としての取り扱いについて、改めて庁内周知を図ってまいりたいと思っております。
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○23番(保坂令子議員) 対応されるということで歓迎するところです。ただ、メールに限らず行政文書かどうかの判断基準をどこまで具体に示せるかというのは、実は難しい部分もあります。継続的に職員の意識改革を促すことも必要です。
私としては、意識改革、動機づけには公文書管理の条例化が決め手となると感じておりますが、関連して、先ほどからちょっと触れております行政文書の作成に関する指針について再び伺います。これは職員が作成すべき行政文書を明確にしたものです。2016年12月定例会でもこの指針の職員への周知について伺いましたが、改めて現状を伺います。指針の職員への周知はどうなっているでしょうか。
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○松永健一 総務部長 行政文書の作成に関する指針の周知について、これまでも研修などの機会を通じて実施してきたところでございますけれども、ことしになって4月に改めて総務課担当課長通知によりまして、指針を再確認し、またその適切な行政文書の作成を行うよう全庁に周知したところでございます。今後も機会を捉えまして、当該指針の周知を図り、指針に沿った文書作成ができるよう徹底してまいりたいと思っております。
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○23番(保坂令子議員) 周知を図るということで、確認させていただきました。国の省庁における恣意的な公文書管理の実態が明らかになっており、森友学園に関する応接記録が財務省内部のルールで1年未満保存と定められたり、南スーダンに派遣された陸上自衛隊の日報の保存期間が1年未満にされていたなど、保存期間1年未満の乱用にも批判が集中しました。保存期間が1年未満の文書は内閣府の確認を受けずにいつでも廃棄でき、また1年未満に分類する基準が曖昧だったということです。2017年12月20日、政府は行政文書の管理やルールを厳格にする新指針を決めました。新指針は行政の意思決定や事業の検証に必要な行政文書は原則1年以上保存するとし、1年未満に分類できる文書は原本の写しや、出版物を編集した文書など7種類に限定しました。
そこで、本市の状況について伺います。鎌倉市行政文書管理規則では、第6条で行政文書の保存期間は30年、10年、5年、3年、1年とする。ただし軽微な行政文書で保存すべき期間が1年を要しないものはこの限りではないと定めています。保存期間が1年未満の文書の取り扱いについて、実際の運用はどうなっているのでしょうか。
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○松永健一 総務部長 鎌倉市行政文書管理規則におきましては、保存期間を1年以上とする文書の取り扱いについては、例えば契約に関するものは5年、あるいは証明に関するものは1年など具体的な例示をしておりましたけれども、1年未満の文書については具体的な明示ではなく、ここに該当しないものについて、なおかつ軽微なものについては1年未満とするというような定め方でございました。こうした中、昨今、今、お話にありましたけど、国におきましては公文書の不適切な取り扱いの問題が相次いだことを受けまして、行政文書の管理に関するガイドラインを改正いたしまして、1年未満で廃棄する文書についても積極的、具体的な例示を示してきているというような流れであります。今後は、少しでも国のガイドラインを参考にいたしまして、1年未満の保存文書の例示をして、それも庁内で周知をしてまいりたいと考えております。
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○23番(保坂令子議員) 国の動向に倣って、鎌倉市においても保存期間1年未満の文書の取り扱いについて、何を1年未満とするかということ、例示という形でもう少し具体化していくという実際の運用を、それに沿ってわかりやすいというか、はっきりしたものにしていくという方向性については確認いたしました。
そのやり方についてということで質問しているわけなんですけれども、9月末に関東弁護士連合会が「未来への記憶−自治体の公文書管理の現場から」という大規模なシンポジウムを都内で開催しました。シンポジウムの開催に先立って行われたアンケート調査に鎌倉市も回答していまして、分厚い報告書が送付されてきていると思います。この報告書では、自治体が公文書管理条例を制定するに当たっては、1年未満の保存文書の定義や、先ほど来取り上げております、個人メモと行政文書の定義、例示について公文書管理法よりも踏み込んだ内容を設けることを検討すべきではないかと指摘しています。行政文書事務ガイドラインや行政文書管理規則を部分的に改めて公文書管理の現状を少しでもよくしようとしている姿勢はわかるのですが、公文書管理の全般を見渡して、レベルアップを図る条例化、このシンポジウムの中では公文書管理法よりも踏み込んだ条例というところまで言っていますけれども、レベルアップを図る条例化をしていくべきだと思います。いつまで後回しにするのかなと思わないわけにはいかないです。
次の質問に行きたいと思います。次は角度を変えて伺います。公文書管理条例の制定により、公文書管理を現状よりも前進させる条文を盛り込むこともできるというお話をしているわけですけれども、次に伺うのが、導入施設が拡大しています指定管理者制度に絡めてのことです。指定管理者から市に提出された当該、公の施設の管理に関する文書は市が取得した行政文書であり情報公開の対象ですが、例えば子どもひろば、子どもの家の日報など、指定管理者が作成してそのまま保管している文書の公開請求があった場合は、どのような対応になるのでしょうか、伺います。
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○松永健一 総務部長 現在の鎌倉市情報公開条例のもとでは、指定管理者は施設の管理の文書の公開に努めなければならないと規定されております。また、鎌倉市等の実施機関におきましては、指定管理者に対し、文書が適正に公開されるように必要な協力及び適切な指導を行わなければならないとされておりますので、こういった文脈の中での対応になろうかと思っております。
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○23番(保坂令子議員) 情報公開条例で指定管理者には文書公開の努力義務を、鎌倉市には指定管理者が文書を適正に公開するように協力、指導する義務を課しているという御答弁です。
これに、さらに公文書管理条例を制定すれば、同様に文書も適正な管理に関して指定管理者に努力義務を、実施機関である市に対して必要な指導や施策を講じる義務を規定することができます。実際に相模原市や藤沢市の公文書管理条例にはそうした規定があるということを申し添えます。
今回は公文書管理についていろいろと聞いているわけですけれども、ここから歴史的公文書とその保管、活用について伺います。2017年2月の代表質問の折には、長期保存文書から歴史的公文書を選別し終わるまであと2年程度かかるという答弁、本年2月の代表質問の折には、歴史的公文書の選別作業に一定のめどをつけた段階で、公文書管理条例制定の検討に入り、閲覧や写しの交付など、一般の利用に供する仕組みを整えていきたいという答弁をいただきました。30年保存文書を対象とした歴史的公文書の選別作業の進捗については、さきの9月議会でも同僚議員から質問がありました。ペースを上げて取り組んでいるようですけれども、現在はどこまで進んだのか、伺います。
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○松永健一 総務部長 平成28年度から着手いたしました、30年保存文書を対象といたしました歴史的公文書の選別につきましては、対象となる約500箱の選別作業を、この10月に完了しました、その400箱を歴史的公文書として位置づけまして、民間の書庫センターに移管したという状況でございます。
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○23番(保坂令子議員) 選別後は民間の書庫センターに移して保管しているということです。整理保存の次のステップとしては、閲覧などの利用請求に対応できる環境整備が上げられます。歴史的公文書の利活用に向けた見通しはどうなっているのでしょうか。
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○松永健一 総務部長 今、お話にありましたとおり、保存というのは今後の管理と活用の前提にすぎないと思っております。この歴史的公文書を市民が利活用することは市政運営の透明性を高め、市民に対する行政の説明責任を果たすことにより、開かれた市政の実現を一層推進することになると思っておりますので、今後、歴史的公文書を広く市民の利用に供する観点に立って、先進市の事例を参考にしながら利活用の情報については検討していきたいと思っております。
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○23番(保坂令子議員) 利活用の具体の取り組みについては、他市の事例を参考に考えていきたいというところにとどまった答弁でした。こちら、利活用への道が具体的に方策が検討されてできるようになれば、どのレベルを目指すかによって、それほど難しいことではなくて、非常に進んだ文書管理のシステムを導入するという考え方もありますし、実際には本当に紙ベースで対応して、求めに応じて閲覧できるようにしているような、実際はそういう自治体もあるということなんです。何らかの形でそこまでできるように、歴史的公文書をただ保管するだけではなくて、利用に供することができるようになると、文書のライフサイクル全体を見渡した、視野に入れた公文書管理というふうになります。そのことは、何度も何度も繰り返して言いますけれども、必要性を訴えております。公文書管理条例の実態が整うことになるのかと思っているわけですけれども、これについて、部長の見解を伺います。
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○松永健一 総務部長 今後は選別を終えた歴史的公文書につきましては、神奈川県の中では相模原市が先進でやっているんですけれども、市民が利活用を行えるよう文書検索システムの整備を目指していきたいと考えております。これが整備されましたら、現用文書と歴史的公文書の両方の情報が検索可能となりまして、行政文書が適切に利活用される枠組みが一定程度構築されることになると思いますので、今お話がありましたような公文書管理条例制定に向けたプラットホームが整うことになるのではないかと思っております。
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○23番(保坂令子議員) 歴史的公文書の選別作業に一定のめどをつけた段階で公文書管理条例制定の検討に入ると言ってこられたわけです。そのめどは立ったわけです。利用請求に応えるための歴史的公文書のデータベース化ができた暁にはという、また新たな要件をつけるのではなく、データベース化と条例制定に向けた取り組みを同時並行で進めていただきたいというふうに思います。
歴史的公文書の閲覧請求などに応えるためには、文書の目録が検索可能であるように整っていればよいと申し上げましたが、もう一つ、文書の閲覧場所の確保も必要です。これについて伺いたいと思います。既存の施設を転用したり、その一部を使ったりして公文書館が整備されることが望ましいのは確かですが、歴史的公文書が必要に応じて取り出せるように整理され、保管され、文書の目録が検索可能で閲覧の場所が何らかの形で確保されれば、公文書館というハードが即なくても、公文書館的機能は確保できるというふうに考えます。2011年に公文書管理条例を制定した熊本県は公文書館を設置していません。ハードの整備には時間を要するので、施設が未整備でも公文書管理条例を制定することはできます。求めに応じて歴史的公文書を利用に供するということもできると考えてよろしいでしょうか。
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○松永健一 総務部長 まさに御指摘のとおり、歴史的公文書の利用者からの請求に対しまして、必要な文書が閲覧等に供されるように適正に管理されておりまして、また、閲覧や写しの交付の窓口のためのスペースさえあれば、公文書管理条例制定に当たりましては、公文書館などの専用の施設は必須ではないと考えております。
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○23番(保坂令子議員) 今申し上げたことと少し矛盾するようなんですけれども、とは言えずっと倉庫に保管したままにしていて、閲覧請求があればそこから運び出して現用文書と同じ、例えば行政資料コーナーで見てもらうというのでは、それはそれで対応にはなるんですけれども、利用は広がらないと思います。そしてまた、展示や開架での設置が望まれる近代史資料をどうするのかという問題もあります。
2015年3月にウエブで公開されました、公文書館機能ガイドブックという非常に参考になる資料があります。全国22カ所の公文書館機能の整備事例が詳しく紹介されております。これを見ますと、公文書館には神奈川県立公文書館のような単独施設だけでなく、鳥取県立公文書館や寒川文書館のような図書館との併設型、三重県総合博物館のような博物館の中に公文書館機能を入れた事例、札幌市公文書館や富山市公文書館のように小学校の旧校舎や市町村合併で生じた旧庁舎を利用して行政センターなどと複合化した事例など、整備手法はさまざまであることがよくわかります。この項目の冒頭で触れましたけれども、市役所本庁舎の整備、中央図書館の施設更新、博物館基本構想といったことが検討される現在の状況で、公文書館あるいは公文書館機能をどうするのかということについても具体的な検討を始めるべきではないでしょうか。これは市長に伺います。
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○松尾崇 市長 公文書の適切な保管や閲覧スペースの確保につきましては、今後の公共施設再編を進めていく中で検討をしてまいりたいと考えています。
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○23番(保坂令子議員) 公共施設再編の検討の中でというのですけれど、そのタイミングとして遅過ぎないようにということを申し上げておきたいと思います。
これも公文書館機能ガイドブックで紹介されている事例ですけれども、静岡県では県史編さん事業で収集した資料の保存公開を目的とした静岡県歴史文化情報センターを中央図書館の組織の一部として、民間ビル内に開設していました。その後、歴史的公文書等を公開する目的で、法務文書課所管の静岡県歴史的公文書閲覧室が県庁内に設置されました。そのため、歴史的公文書と近代史資料等に関する窓口が異なる場所に置かれて、利用者の利便性が損なわれる懸念が生じました。そこで、歴史的公文書閲覧室を歴史文化情報センター内に移して、所管部署は別々のままワンストップサービスを実現したそうです。このような経緯をたどった事例も参考にして、今後の取り組みを考えていくべきだと思います。
次に行きます。公文書館、または公文書館機能について伺いましたが、公文書管理を担う人材の育成と配置も重要です。特に歴史的資料として重要な公文書やその他の歴史資料の収集・保存、利用の職務を行うアーキビストには、専門性と倫理観が求められます。鎌倉市におけるアーキビストの配置はどうなっているでしょうか。内部人材の育成ということも必要だと考えますので、あわせて伺います。
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○松永健一 総務部長 歴史的文書の管理と利活用につきましては、今お話がありましたように特に専門的な知識を要するものであるため、今後はそういった専門的人材の確保や育成に取り組んでいかなければならないものだと課題として捉えているところでございます。
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○23番(保坂令子議員) 先ほど紹介いたしました公文書館機能ガイドブックでは、全国22カ所の公文書館機能の整備事例について、保存期間が満了した廃棄対象となった文書から、廃棄せずに公文書館に移管、収集するよう選別された文書の比率を記載しています。その選別率は、群馬県立文書館は10%程度と回答していますが、おおむね廃棄対象文書の2から5%というところが多いようです。アーキビストが専門性を発揮して選別していることがうかがわれるデータだと思います。
内部人材の育成については、国立公文書館が公文書管理研修とアーカイブズ研修の二つの体系による研修を実施しています。公文書管理研修は、現用文書の管理が中心で文書管理実務対象者を対象とし、アーカイブズ研修は、非現用文書が中心で公文書館等の職員を対象とした研修であるとのことです。前の項で、職員研修について質問した折、派遣研修についてバランスを考えて実施すべきということを申し上げましたが、国立公文書館による研修は活用すれば実務に役立つと思いますので、申し添えます。
さて、この項目は公文書管理と行政情報の提供についてというふうにしております。公文書管理について、さまざまな角度から質問しましたが、次に、行政情報の提供について伺います。
まず、この項の初めに触れた公文書管理法を再度引き合いに出します。公文書管理法は、第4条で「意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう」に文書を作成する義務があると規定しています。公文書管理法が意思決定の過程にかかる文書の作成を義務として明記している意味は大きいと思います。
一方、鎌倉市情報公開条例は、これはどちらの情報公開条例も似たような条文なんですけれども、行政文書の公開義務を定めた第6条でその除外規定の一つに、審議等に関する情報を上げています。この項は行政機関等が行う審議、検討、調査、研究等が自由率直な意見交換や十分な資料収集のもとに行われることを確保するために定められたものですが、未成熟な情報であって、公開することにより不正確な理解や誤解を与え、混乱を招くおそれのあるものを非公開にできる情報の類型として想定しています。情報公開請求に対して、この類型に該当するという理由で非公開決定が下されることは多く、私自身も体験しています。この非公開事由そのものに異議を唱えるわけではありませんが、公開することにより、不正確な理解や誤解を与え、混乱を招くおそれがあるかどうかの判断は、厳格に、限定的になされるべきであり、未成熟な情報であっても、公開することにより、不正確な理解や誤解を与え、混乱を招くおそれがなければ未成熟な情報であると断って、公開すればよいと考えます。この非公開事由の解釈の仕方、総務部長も同様にお考えでしょうか、見解を伺います。
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○松永健一 総務部長 行政運営につきましては、結果だけではなくそのプロセスも大切と考えておりまして、業務が完了していない未成熟な情報でありましても、不正確な理解や誤解を与え、混乱を招くおそれがなければ、公開すべきと考えております。
また、その混乱を招くおそれがあるということで非公開をする場合も、実施機関の主観的な判断ではなく、具体的な権利や法的保護の侵害が明らかに想定されるものでなければならないといったような厳格な運用が望まれているものと思っております。
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○23番(保坂令子議員) 同様にお考えということを確認させていただきました。
意思決定の過程に係る文書の作成を義務づける公文書管理法が川上の話だとすると、意思決定の過程にある未成熟な情報は混乱を招くおそれがある場合は、非公開にできるとする情報公開条例は川下の話という違いはあります。しかし、未成熟な情報は公開、公表できない、未成熟な情報に基づいて検討や議論をするべきではないと一律に考えるのは情報公開や市民参加を勧める立場からすると納得できません。なぜ、このような話をするのかと言うと、臨時会で、住民投票条例が審議された折の討論等で、市民が未成熟な情報に基づいて判断することになるという反対理由が述べられていたからです。市庁舎整備についての情報が不十分な状況では、市民は判断しにくいという意味なら理解できますが、未成熟な意思決定過程の行政情報に対して、市民が意思表明するのは不適当であるという意味であるとしたら、賛同しかねます。意思決定過程の情報を積極的に市民に提供して、市民が政策決定のどの過程においても、市の進め方をチェックし、意見表明ができることが大切だと考えます。その立場で、次の質問は副市長に伺います。
市役所整備についての検討が複数年にわたって行われてきている中で、市はここまで決めました、次はこれを検討しますというぐあいに段階を追って検討の経過や検討の結果、市として決めたことを示してきています。市庁舎の整備計画の最終形からすれば、意思決定過程情報の情報提供です。でも、その示し方、受け取り方も難しかったことが、住民投票条例制定を求める直接請求を提起されたことで明らかになりました。今回の直接請求の担い手には、どんな情報提供をされようとも、深沢移転には反対という方たちだけでなく、市の進め方に納得できないという方たちもいらっしゃったと推測しています。直接請求という非常に強い抗議を受けたことを市は重く受けとめるべきですが、だからといって市民に対してガードをかたくしたり、情報提供において萎縮したりすることがあってはならないと思います。むしろ、より積極的に意思決定過程の情報も含めて提供し、市民に対する説明責任を果たしていくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
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○小礒一彦 副市長 市の重要な施策などを策定する場合につきましては、意見公募手続条例に基づくパブリックコメントを実施するほか、企画立案の初期段階から市民の参画を行うなど、さまざまな手法を用いて市民意見を施策に反映しているところでございます。また、審議会なども公開しておりまして、市の意思決定過程を可能な限り公開するよう努めております。市の意思決定過程における情報を積極的かつ丁寧に発信し説明責任を果たすことは、市民の市政への参画に不可欠でございますので、引き続きより積極的な情報発信に努めてまいります。
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○23番(保坂令子議員) 広報なども含めて、萎縮することなく、より積極的に行っていただきたいということも含めて申し上げたところです。
この項の最後の質問です。鎌倉市は深沢地区と藤沢市村岡地区の一体的なまちづくりについて、県、藤沢市と協議・検討を重ねてきましたが、その直近の協議を踏まえた報告が、今定例会の建設常任委員会で予定されています。6月定例会の建設常任委員会では、新駅ありの一体施行の経済的メリットが前面に出た広域連携調査結果が報告されているため、3県市の合意形成の方向性は予想されましたが、やはり新駅ありの一体施行ということでした。14日の建設常任委員会での報告が予定されているので、ここでは合意形成の中身には踏み込みませんが、今回、報告される3者の合意形成の経緯が市民にわかる形で公開されるのかということについて、お尋ねいたします。
ただその前に、ここで通告はしていませんが、今定例会開会後の12月7日の新聞報道について、まちづくり計画部長に伺います。新聞記事では「村岡新駅負担割合年内合意へ、県3割、藤沢と鎌倉7割」という見出しのもと、3県市の負担割合が報道されています。建設常任委員会では、神奈川県が新駅設置費用を一部負担し、残りを鎌倉市と藤沢市で折半するという内容の報告があると予想されていたので、県の負担が3割という数字が報道されて驚いたところです。報道の経緯について、藤沢市に確認されているのでしょうか、伺います。
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○前田信義 まちづくり計画部長 新聞報道でございますけれども、藤沢市が建設経済常任委員会で報告をしたことを受けて、取材の要請があったというような報告は受けているところでございます。
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○23番(保坂令子議員) 今、御答弁の内容は、新聞記事の書き方を見るとそうなのかなと思いますけれども、そのあたり、鎌倉市においては、県の負担が3割ということを、建設常任委員会の中ででも、藤沢市でそういう取材が後追いであってということだと思いますけれども、報道にまで至ったということも含めて示していくということになるんでしょうか。これは先のことなので、概略で結構ですので、お答えください。
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○前田信義 まちづくり計画部長 新聞の中で、確かに県の負担が3割といったようなことが記事には記載されておりましたけれども、その内容については、まだ決まっておりませんで、県でまだ検討しているというようなところです。9月の県知事の答弁の中でも、これまでの県が広域自治体として負担をした事例を踏まえて、今後、負担について検討していくというようなことでございますので、その3割という数字については、多分、何らかの形で類推されたものと想定しておりまして、私は具体的な数字は把握しておりません。
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○23番(保坂令子議員) 情報提供のされ方とか、その範囲が藤沢市と鎌倉市で違うということがたびたび言われておりますので、非常に気になってお尋ねしたところです。その情報提供ということで続けて質問いたします。
先ほど言ったとおりなんですけれども、情報公開請求に対する市の決定に不服があるとして請求者が行った審査請求については、諮問された情報公開・個人情報保護審査会が出した答申の一覧が、市のホームページに掲載されています。それを見ると、平成27年度から平成30年度までの間に深沢地域整備事業に関連した答申が15件もあり、そのうち一部公開や非公開などの処分について、部分的なものも含めて見直しを求めた答申が7件ありました。7件の中には湘南地区整備連絡協議会及び幹事会の資料を含む書面一式を請求した案件もあり、幹事会の資料を未成熟情報だとして全部非公開にした点について、審査会は解釈・適用を誤ったと強い口調で批判しています。そういう答申があります。3者協議は交渉に係るセンシティブな面があることは推察いたしますが、審査会の答申がこれだけ出てきているということを見ても、公表する情報を必要以上に制限する傾向はなかったと言い切れるでしょうか。
今回の合意形成について、合意形成の中身の妥当性の説明はされるのだと思います。でも、それだけでなく、市民から求めがあれば、非公開部分を最小限にした議事録や資料など、合意の形成過程情報も公開されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
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○前田信義 まちづくり計画部長 これまで深沢の事業の進捗ないし3県市での協議の状況とか、あるいは検討の状況につきましては、たくさん情報公開請求をいただいているということで、非常に人的にも大変な業務になっているというようなところがございます。これまでも、鎌倉市情報公開条例に基づきまして、公開可能な情報につきましては、私どもとしては全て公開しながら、定例会ごとに事業の進捗状況を報告するなど、情報提供に努めてきたと考えています。
しかしながら、今回の広域連携のまちづくりの取り組みにつきましては、御指摘のとおり、協議・調整の相手があるというような事業でございまして、また、協議中の未成熟な情報も含まれていることがありますので、今後の事業の推進に支障となるようなことについては公開できない事項もあるということについては、御理解をいただきたいと考えてございます。
これまで3県市の協議の経過については、最終的な合意が整った時点では必要な情報は公開できると考えてございますが、今後の交渉にかかわる事項につきましては、条例の規定に基づき適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
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○23番(保坂令子議員) 質問の意図は、深沢地域整備事業については、外部との交渉・協議に係るものであっても、できる内容についての素早い情報提供と、そうはできない情報についての一定期間を経過後の徹底した情報公開に努めるべきだという、そういう意図での質問です。県とのパイプ役となりそうな人材をしかるべきポストにつけて、交渉に当たってもらうというような発想は、常に透明な行政運営を目指す方向性に逆行するということも言い添えたいと思います。
以上で、次の4番目の項目に移りたいと思います。
4番目の項目は、本庁舎整備事業の進め方ということです。11月下旬に開催された臨時会から今定例会にかけて、本庁舎整備の検討過程において示してきた資料が、2015年、平成27年に県が公表した津波浸水予測を反映せず、2012年、平成24年の県想定最大クラス津波浸水予測図を元にしたデータを示してきたことが問題になっています。
私は、この6年間、総務常任委員会に所属しておりまして、平成27年2月27日の総務常任委員会で、同じ日に県が公表した新たな津波浸水予測の報告を受けました。この日、午前中に防災安全部の日程が終わったのですが、緊急報告があるということで、午後、日程追加されたものです。14.5メートルの津波が10分で到達するという内容が、緊迫感を持って伝えられました。
その後、同年7月に津波避難計画、翌年3月に津波避難計画地域実施計画がつくられた経緯も、逐一報告されており、私自身も津波避難についてはたびたび質問してきました。防災安全部の所管の報告や資料は、それまでに出された津波浸水予測を踏まえた上で、更新された情報に基づいたものでした。
しかし、本庁舎整備の検討過程では違いました。2016年、平成28年3月に出た本庁舎機能更新に係る基礎調査報告書には、本庁舎敷地の大半は、神奈川県想定明応型地震による浸水予測、最大クラスの津波において、0.5メートル未満、一部0.5から1.2メートルの浸水が想定される区域となっており、庁舎1階部分及び地下への浸水が想定されると述べられており、その1年後に出た本庁舎整備方針、そのまた1年後に出た公的不動産利活用推進方針も、これを踏襲していました。
ようやくこれと異なった内容を提示したのが、最大リスクが重要議題になった、ことし10月24日の第3回本庁舎等整備委員会の配付資料でした。神奈川県津波浸水想定図によると、現在地における津波による浸水の想定は、敷地の南東側に立地する第3分庁舎付近で、0.01メートル以上0.3未満、0.3メートル以上1.0メートル未満及び1.0メートル以上2.0メートル未満が混在していますという記載です。
同僚議員からは、更新されたデータを伏せて、本庁舎の建物自体の浸水想定をした浸水予測を採用して、移転の必要性を説いてきたことが明らかになったのだから、移転の大前提は崩れたのではないかという指摘、また、これまでに示された最大の浸水予測を踏まえるのがリスクマネジメントであるという、市長の見解への疑義が示されているところです。
このうち、後者のほう、これまでに示された最大の浸水予測を踏まえるのがリスクマネジメントであるという見解については、そう考える理由がもっと示される必要があると思います。これについては、総務常任委員会で続きをやるという趣旨の予告がされています。予告されているやりとりを飛び越える形になってしまいますが、私としては、本庁舎整備の検討過程での情報提示は、行政の都合を優先した恣意的なものだったと、とりあえず結論づけさせていただきます。
では、前者のほう、更新されたデータを伏せて津波浸水を強調して、移転の必要性を説いてきたのだから、移転方向決定の大前提はもはや崩れたという指摘は、どうでしょうか。
これについては、多分、この後そのとおりという声が後ろから聞こえないと思いますが、私はそもそも現在地において、本庁舎の建てかえが困難である大きな理由は、津波浸水のリスクではない。津波浸水リスクよりも決定的な理由は、現在地の立地要件により、必要な床面積が確保できる建てかえが見通せないことであり、建てかえ中の仮庁舎の確保ができないことだと考え、また、たびたび申し上げてきました。その意味では、移転決定の大前提が崩れたとは、考えません。ただ、市長と本庁舎整備の所管課の姿勢は、問われてしかるべきだと思います。
以上、前置きが長くなりましたが、この項の最初の質問です。これまで何度も伺ってきた質問ですが、改めて伺います。なぜ、本庁舎の移転を決定した理由として、津波浸水を強調したのでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 本庁舎につきまして、移転して整備をするという方針、平成29年3月に決定をしたわけでございますが、その理由として、今、保坂議員のほうからも御紹介がございましたが、その理由として、一つ目としては、大規模災害、大規模地震と津波が発生した場合の災害対応力や受援力に課題があること。それから、二つ目としましては、風致地区や周知の埋蔵文化財包蔵地のため、本庁舎としての必要な規模を確保することができないこと。そして。三つ目として、仮庁舎の整備や引っ越し費用などがかかることということが大きな理由でございます。
そのうち、津波を含む、防災を主たる理由の一つとして強調いたしましたのは、市民の生命、財産を守ることが全てに優先して取り組むべき施策であるということに加えまして、近年多発する自然災害に対しまして、リスク管理の視点から、新たな本庁舎が市民の生命を守る前線基地となるべきものというふうに考えたためでございます。
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○23番(保坂令子議員) 私が申し上げたのは、今、部長の御答弁があったうちの2番と3番です。それで、津波浸水だけを強調したわけではないというような趣旨でもあったかと思うんですけれども、本庁舎移転整備には、災害に強い町を目指してという言葉が枕言葉のように載っかっています。津波のリスクを言えば、移転を望まない住民も納得するだろうという安直な発想があったように思えてならず、それが非常に残念だというふうに考えているところです。
実際に、法令による現在地の建築制限などによる建てかえの難しさについては、「広報かまくら」などに説明が掲載されてきてはいても、多くの市民は御存じではありません。また、9月定例会終了後に、私は市政報告会を複数地域で開催いたしましたが、参加者の中には、移転は言うに及ばず、どんな形であれ、市役所整備にお金をかけることには反対だという方が何人もいらっしゃいました。市の進め方は、行政の都合を優先し、市民の目線に立っていないということを、強く感じているわけです。
次の質問に行きます。次の質問は、今年度の市民対話についてです。鎌倉市は、今年度、本庁舎等整備委員会に調査審議を託して、本庁舎等整備基本構想を策定中です。市民意見の聴取を目的とする市民対話を並行して開催し、市民意見を整備委員会の検討に生かすとのことです。メンバーは無作為抽出で選ばれた市民26名と、2016年度実施の本庁舎整備方針、市民対話から引き続き参加されている4名の、合わせて30名です。今年度5回の開催が予定されているうち、既に4回が終わりました。また広く市民意見を取り入れるとして、10月8日には拡張ワークショップが開催されています。私も拡張ワークショップにはどれぐらいの参加者があるか見ておこうと思って参加しましたが、参加者は第1部が39名で、うち実際に対話に参加したのは25名。第2部は19名にとどまりました。
さて、市民対話は、固定したメンバーで対話を重ねることで議論を深める意図があると思いますが、反面、ある方向性が生じると、そちらの方向に皆が向いてしまい、関心の所在や意見の多様性が失われるのではないでしょうか。あくまで、例えですが、民間の活力をうまく取り込めば、これも、あれも、可能性が広がるという話で盛り上がり、行政機能のあり方や、移転整備の実現可能性にかかわる交通問題などには余り関心が払われない状況なども考えられます。
一昨年、初めに市民対話を行うと聞いて思い浮かべたのは、討論や質疑応答を通じて、参加者の意見がどう変化したかを調べる、討論型世論調査のことでした。無作為抽出の対象者に討論会への出席を打診する時点と、討論会の前後でアンケートを実施し、意見がどう変わったかと分析する手法で、国内では藤沢市が総合計画の策定に当たって、2009年から2010年に実施したと聞いています。鎌倉市の市民対話は、これとは別物だったわけですが、討論型世論調査の手法が参考にされてもよかったのではないかと思います。
また、民主党政権下の2010年のエネルギー基本計画決定の折には、全国5カ所で公聴会が行われました。公聴会については、市内の地域ごとに開くべきだと、高野議員が早くから提案していました。先ごろ、住民投票を求める直接請求が起こされた際、やはり公聴会を行っておかなくてはならなかったと感じました。市民意見を本気で聴取する気構えがあったなら、今年度の市民対話のやり方では、不十分だったのではないでしょうか。部長はどうお考えですか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 今年度実施しました市民対話の目的といたしましては、本庁舎整備基本構想の策定に当たりまして、本庁舎の現状と課題について、市民と共有するとともに、新しい本庁舎に求める基本的な理念や、この理念を実現するために必要な機能や性能について、市民目線や市民感覚を取り入れるためでございました。
年度当初に応募いただきましたメンバーによる、5回にわたる対話を通じまして、災害に強い、あるいはコンパクトな、あるいは誰もが利用しやすいなどの意見を得ることができました。また、より多くの幅広い意見をお聞きするために開催した拡張ワークショップにおきましては、移転に反対する考えなども含めまして、多くの参加者からさまざまな意見を伺うことができたというふうに考えております。
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○23番(保坂令子議員) 議論が深まるというのでしょうか、収れんされるという方向はあるかもしれませんけれども、十分に広がったのかなということを、非常に市民対話については考えているところです。最初にある程度の広がりがあった上で進んでいくんだとよいんですけれども、そして拡張ワークショップについては、実際に行ってみましたが、やはりより広い市民の参加というのは残念ながらなかったというふうに、私は受けとめているところです。
続いて、本庁舎等整備委員会についてです。委員会はこれまで8月2日、9月12日、10月24日、11月16日の4回開かれており、私は委員会視察と重なった10月24日を除く3回は傍聴しております。委員会が今年度取り扱う基本事項は、新たな本庁舎等の基本構想に関する調査審議です。本庁舎等整備基本構想とは何かというと、1、本庁舎等の整備の必要性とこれまでの経緯。2、本庁舎等の整備の基本理念と導入する機能。3、新たな本庁舎等の規模やコスト。4、本庁舎整備とまちづくりの関係。5、今後の進め方という5項目が委員会資料で示されています。また、本庁舎等の「等」というのは、新たな本庁舎と移転先で合築を検討する他の公共施設の整備ということでつけられた「等」ということです。
私は、この「等」の中に、御成現在地の整備、利活用の構想も入れるべきだとの考えですが、6月議会で確認した折も、現在地の整備は、本庁舎移転の後になるので、本庁舎等整備基本構想の検討の中では具体化せず、おくれて別途基本構想をつくるという答弁でした。
私は、この答弁には納得しておらず、少なくとも現時点で上がっている本庁舎等整備基本構想の四つ目の項目、本庁舎整備とまちづくりのところに、御成現在地の整備、利活用の具体的な見通しが盛り込まれるべきだと思っております。そうでないと、基本構想をトータルとして判断できないからです。
これと、相通ずる問題意識は、本庁舎等整備委員会の委員の発言からも伺われると私は思っております。委員から示された問題意識は、御成現在地との関係ではなく、深沢地域全体と移転先の行政施設用地との関係ですが、新たな本庁舎整備のことだけを取り上げて論じていてよいのかと考える点では、共通しています。委員からは、「防災、地域のインフラ整備、交通、商工業との関係など、まちづくりとの関係性で捉えて検討しなければならないのに、そのあたりの判断材料が不十分である」という問題提起がされているように思います。このあたりの問題意識は、第1回、第2回の委員会での発言から読み取れました。その後、議論が深まっているようには見えません。
また、第3回と第4回には、災害危険性の検証が大きな論点として上がり、防災に関する学識経験者として、関根正人委員が加わりました。さらには、住民投票の実施を求める直接請求が提起され、深沢移転の方針と市の進め方に納得できない市民が多くいることが明らかになって、現在に至っています。それでも、基本構想を今年度内に策定するという、当初のタイムスケジュールを見直さないのでしょうか。今年度の本庁舎等整備委員会の調査審議は、余りにも駆け足で、結論を急ぎすぎていませんか。部長はどう考えていらっしゃるのでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 本庁舎整備につきましては、基本構想、基本計画、基本設計、実施設計の順に、段階を追って進めていく予定でございまして、本庁舎整備が重要な事業と認識しているからこそ、むしろ十分な時間をかけて、取り組みを進めているものというふうに認識してございます。ただ、当初のスケジュールどおりに今年度の基本構想の策定を進めるのかという点につきましては、災害リスク、現在地と深沢地域の災害リスクの検討、再検証、それから災害に対する対応、それについての議論も当初の予定に加えて御議論していただいたという経過もございます。そうした意味では、少し予定としては後ろに押している形になりますので、パブリックコメントも、本来でしたら年内に実施をするというのが当初スケジュールでしたけれども、そこから少し予定としてはおくれているという、そういう状況で、それでも年度内に基本構想の策定まで何とか持っていきたいというのが、今の私どもの考え方でございます。
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○23番(保坂令子議員) 市民対話や拡張ワークショップで、こんな本庁舎がいいねという意見を出してもらって、市民がつくる基本構想という感じのパッケージにして、それを委員会で専門的な見地から修正を施し、ほどほどの着地点を見出すという基本構想づくりでは、基本計画の前に、基本構想というステップを踏む意義がなく、まちづくりの視点での広がり、深まりがなければ、市民の合意形成にはつながらないと思います。よく考えて、年度内ということにこだわらずに進めるべきだというふうに思います。
次の質問に行きます。8月2日の第1回本庁舎等整備委員会資料で、移転先敷地の概況、災害危険性として想定し得る最大規模の降雨による浸水想定が示されて以降、この問題がずっと議論の的になっています。第4回の委員会の資料では、洪水防御に関する計画の基本となる年超過確率100分の1の降雨を、24時間積算雨量302ミリとし、大半の河川で年超過確率1000分の1程度を上回る設定の想定最大規模の降雨を、24時間積算雨量632ミリとした浸水想定について、計画規模の302ミリの降雨では浸水はない。想定最大規模の632ミリの降雨では、行政施設用地の敷地の大半で0.5から3.0メートル未満の浸水が想定されるが、区画整理事業後はゼロから1.5メートルの浸水想定になると整理され、また、区画整理事業で行う造成に加え、建築時の整地などの外構工事により、浸水対策を講じることで、安全性の確保は可能であると記されています。
市民に向けての広報としては、11月発行の公共施設再編ニュース24号に、2018年1月に境川水系の洪水浸水想定区域図が公表されたのは、2015年の水防法改正で、想定し得る最大規模の降雨による洪水浸水想定区域を表示して、避難体制等の充実強化を図るようになったことを受けたものである。深沢の行政施設用地では、ゼロから3メートルの浸水が想定されるが、造成後はゼロから1.5メートル程度になるという説明が掲載されています。
今回の質問では、情報提供について、たびたび質問していますが、洪水浸水想定に関するこうした説明では、市民の理解を促すものとして、また、行政が説明責任を果たす上で十分でしょうか。水防法の改正の趣旨が、多発する浸水被害への対応を図るため、ハード・ソフト両面からの対策を推進しようとするものであり、想定外をなくすために洪水にかかる浸水想定区域についても、想定し得る最大規模の降雨を前提とした区域に拡充させたことへの理解を促す必要があると思います。
河川整備洪水防御計画の基準となる計画規模の降雨と、想定最大規模の降雨の、それぞれに対する洪水浸水想定については述べられています。しかし、その想定される浸水リスクへのハード・ソフトの対策については、造成、整地や雨水貯留施設の整備方針を述べるだけでは、最大規模の降雨による浸水の想定が意味することが、なかなか伝わらないのではないでしょうか。
国土交通省の考え方がわかるという意味で、国土交通省が上げている対策を深沢地域整備事業用地で取り得る対策とともに、整理して示す必要などもあると思います。いかがでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 本庁舎等整備委員会におきまして、現在地と深沢地域整備事業用地の災害リスクの再検証と整理を行っていただいております。今後、災害リスクと対策につきまして、公共施設再編ニュース、あるいは「広報かまくら」などにおきましても、その検討経過あるいは今後の対策の考え方については、詳しく市民の皆様にお知らせしていきたいというふうに考えます。
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○23番(保坂令子議員) 最大規模の降雨による浸水の想定ということについては、もともとの意味合いも含めて、きちんと示していかなければならないなという問題意識を持っているところです。
今の質問は、この後の二つの質問とつながっているので、次に行きます。想定最大規模の降雨による浸水を防ぐために、区画整理事業で、周辺道路に高さを合わせた造成を行い、建築時には整地などの外構工事を行うと、市は説明しています。
これを受けて、造成や整地の費用を考えると、深沢の行政施設用地での本庁舎建設は、とてつもないコストがかかると心配し、憤る声が上がっています。土地区画整理事業での造成については、保留地処分益によって賄われ、市庁舎建設費への上乗せにはならないことを、丁寧に説明する必要があります。
しかし、深沢地域整備事業が、藤沢市村岡地区との一体施行で3県市の合意形成が整いつつあるという状況においては、これはどうなのでしょうか。鎌倉市は、法律上、地域をまたがる土地区画整理事業の施行者にはなれないということです。そうした一体施行の場合も、鎌倉市側の区画整理から生ずる保留地処分益は、鎌倉市単独施行と同様に、造成費も含め、深沢地域整備事業の費用として活用されるということでよいのでしょうか。大変気になるところですので、伺います。
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○前田信義 まちづくり計画部長 土地区画整理事業につきましては、国庫補助金、市費負担額のほかに、事業区域の一部の土地を保留地として第三者に売却することによりまして得られる資金を財源として活用するものでございまして、基盤整備による開発利益を還元して、まちづくりを効率的にやることができる市街地整備事業の手法の一つということになっております。
両市一体施行の土地区画整理事業の場合でございますが、国の事業認可というものは、一つの事業として受けることになりますが、事業収支につきましては、鎌倉市側、藤沢市側、それぞれ工区ごとに区分されて策定していくということになります。そのため、鎌倉市側の工区で発生いたします保留地の処分後の資金といったようなものにつきましては、鎌倉市側の造成地を含む土地区画整理事業の工事費とか、あるいは今回話がありました新駅設置に関連する本市負担分に充当することが可能になると考えてございます。
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○23番(保坂令子議員) 村岡地区との一体施行という方向性においても、今、問題にしているのは、造成にかかる費用なんですけれども、造成にかかる費用が土地区画整理事業の保留地処分益で賄われる可能性は減じていないということを確認いたしました。
ただ、これは本当に大前提としては保留地処分がうまくいくかということもありますし、事業全体がうまくいくということが大前提であるということ、そしてまた、建築時における整地のほうは、これは建設コストに上乗せされるというふうに考えておりますので、コストのことを楽観視しているわけではありません。今の御説明の部分については、説明としてはわかったかなと思います。
最後の質問、再び深沢行政施設用地の災害リスクの捉え方についてです。第4回の本庁舎等整備委員会では、新たに加わった関根委員が、深沢の災害危険性について所見を述べられました。深沢についての直接的な所見というよりは、学者らしく、正確を期して慎重に言葉を選んだ内容でしたが、私は次の2点が示唆的であると感じました。
第1点は、最大級の外力を念頭に対策を講じると、経済的にも環境的にもとんでもない構造物をつくることになってしまう。想定災害には対策の基準がない。想定災害とこれまでの被災データの間のどこに対策の対象を設定するかが問題である、という指摘です。これは書き取った内容をまとめたものなので、このとおりにおっしゃったのではないんですけれども、私はこのように理解しました。
これですけれども、経済的にも環境的にも負い切れない負担となるというのは、東日本大震災後の東北の沿岸部で、津波防御の巨大な堤防を築くべきかどうかが問題になっていることや、首都圏、近畿圏の5河川の下流部で整備計画がつくられているスーパー堤防を思い起こすと、容易に理解できます。1000分の1超過確率の降雨に対応しようとして、川幅を広げる工事をするのは現実的ではないということでもあります。これが第1点。
第2点は、実は委員はこちらのほうを先に述べられたのですが、2015年9月の鬼怒川の堤防決壊で、常総市で病院が被害に遭ったことに触れられて、病院、市役所、警察、消防は、できる限り被災リスクの小さいところに置くべきだ、と言われたことです。これは想定最大規模の降雨量への防御的なハード対応を過剰にすべきではないという意味にもとれる、第1点の指摘と矛盾しているようでいて、していません。想定最大規模の降雨による洪水浸水のリスクへの対策は、ソフト対策としては、洪水予報の的確な伝達、避難場所、避難経路の整備、要援護者対応などの避難確保がありますが、本来的にはまちづくりや住まい方を工夫することによって、水害に強い地域づくりを進めていくことが望ましいのだ、ということではないでしょうか。深沢地域整備事業用地のような、被災リスクのあるところに市役所を移転させることは、しかるべき理由を示す必要があると思います。行政経営部長と市長の両方の御見解を伺います。いかがでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 本市におきましては、地震によって引き起こされる建物や施設の被害に加えまして、津波や土砂災害、液状化、大規模降雨による洪水浸水や内水氾濫、土砂災害などが災害のリスクとして想定されます。災害リスクがまったくない場所というのは存在しないということでございまして、それにどう対処できるかが重要であると考えております。
人口重心のある深沢地域は、全ての行政地域に接するなど、全市的に見て中心的な位置にありますことから、本庁舎の移転先である深沢地域整備事業用地は、発災後の災害応急対策活動や、復旧復興の拠点として適しているものと考えております。
その上で、本庁舎と消防本部を近接して整備すること、あるいは災害対策本部と体育館、グラウンドなどが近接するということで、受援力も向上し、防災力の強化が図れるものというふうに考えております。こうした市の考え方を市民の皆様にも伝えて、御理解を求めていきたいと考えます。
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○松尾崇 市長 今回、検討をしていく中におきましても、津波や土砂災害、液状化、大規模災害による洪水浸水等のリスクということを、比較検討してきた経過がございます。その中で、やはり、どこも何らかのリスクがあるということの中で、どこが適しているかという、こういう議論をしてきたところでございます。
御指摘のように、深沢につきましては、新たな浸水というところについては、十分な議論ができていないというか、そういう御指摘を議会からもいただいてきたところでありまして、改めてここはきちんと議論していくというところが必要であろうという認識のもと、今年度進めているところでございます。
そうした意味で、全体として、安全なまちづくりに資することができることを実現できることができる本庁舎としての役割が担えるように、今後も引き続き、的確な情報提供を含めて、取り組みを進めてまいりたいと思っています。
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○23番(保坂令子議員) 全市的なまちづくりという意味での御答弁ではあったかなと思うんですけれども、災害リスク、水害に強いまちづくりという視点で大きく捉えて考えていく必要がまだまだあると、課題を感じているところですということを、申し上げたいと思います。
これをもちまして、一般質問を終わります。
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○議長(中村聡一郎議員) ただいま一般質問中でありますが、議事の都合により暫時休憩いたします。
(14時42分 休憩)
(14時55分 再開)
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○議長(中村聡一郎議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。次に、松中健治議員の発言を許可いたします。
なお、松中健治議員から一般質問に際し、資料を持ち込みたい旨の申し出があり、議長職権により資料を配付させていただいております。
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○26番(松中健治議員) それでは、質問させていただきます。今回も明治150年に思いまして、その幾つかの点につきまして、御質問を申し上げます。
明治150年ということで、私も思い当たることを率直に述べたいと思います。私は非常にこれからの未来に向けて絶望している、そういう立場であります。それはどういうことかというと、よくわからない、不透明である。今の世界を見ますと何が起きるかわからない、また日本もそうです。一番最近にぎわすのが米中関係ですね。それに伴って、日中関係もおかしくなり、また、北方領土や日露関係、あるいはヨーロッパではEUの問題が起きて、日本とヨーロッパの関係、昨年までは北朝鮮の話題が非常に大きかったわけでありますが、今、ここへ来て非常に米中関係、あるいは日中関係、この辺が大きくなって、そこへ飛び込んできたのが日仏関係、そういう意味では、日産とゴーン前会長の問題。この問題は、後ほど鎌倉とのゆかりの外国人ということで、このようなこともちょっと触れたいと思うんですけれども、この日産とゴーン前会長の問題というのは、非常に深刻で、どのようになっていくか、外交問題に発展していくかもしれない。また、坂ノ下に鯨が打ち上げられる、そして、世界中で鯨が大分異常な事態になって、これはSDGsの関係もあって。それで、国内的には、非常にこの入管法の改正、つまり移民法ですね。この問題が、私自身、アメリカにわずかでしたけれども半年間いた中で、移民という問題に触れたら、日本人というのは、ほかの民族を使うのが非常に下手です。あるいは、使えないんですね。私がアメリカに滞在していたときに、約5人ぐらいの億万長者がいて、豪農というか、菊の栽培で大成功して、それで、我々にとってはうらやましい、すばらしいアメリカ車が数台置かれて、餅つき大会に招待されて、そのとき、つまり日本人というのは、外国人、あるいはほかの民族を雇う、使う、これが非常に苦手なようですね。アメリカの場合には、非常に忌まわしい奴隷問題もありましたけれども、中国とか、あるいはフィリピンとかいろいろ入って、日本も白人のもとに使われるんですけれど、日本人の大成功者は日本人の弱い人間を使ったんです。それで成功したと。そういうことを聞かされたとき、何とも複雑な思いをしたわけでありますが、今、SDGsの関係で、鎌倉がSDGsの未来都市に関して選定されたわけですけれども、そういった意味で、未来というものを明るく捉えていこうとするのは結構ですけれども、非常に深刻な問題もこの地球には起きているわけであります。プラスチックの問題とか、いろいろあります。
そういった意味で、この明治150年を考えると、非常に変化の激しいこのとき、松尾市長の時代の感想というのがおありでしたら、どうぞ。
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○松尾崇 市長 先が見えないというのは、本当にそうした思いというのはございます。さまざま、5年10年先というのが、5年10年前から今が想定できたかということを考えても、なかなかこれだけのテクノロジーを初めとするロボットなどの進化ということが本当に急速に行われているということに加えて、国際情勢が非常に不透明と、今こういう中におけるあり方というのは、本当に非常に難しい時代だなと感じるところでございます。
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○26番(松中健治議員) いろいろそれぞれ考えをお持ちになって、これからのことを取り組んでいただきたいと思います。
ただ、先日のソフトバンクの通信障害、これは非常に私は深刻に受けとめております。この前、タブレット端末も通信障害でとまりましたけれども、これ実際問題として、これからこの問題というのは、一たび起きると、これは大問題になる、そういう問題を含んでいるんですね。そういった中で、この問題もサイバー攻撃だとか、いろいろ別の形で起きてくるし、実際、ちょっとした障害から世界に広がってしまって大きな問題になると、非常に複雑な思いをしました。
それと、私なんかは考えられなかったんですけれど、アメリカの関係で、シアトルに私の姪が嫁ぎまして、それでアマゾンというところの本社に旦那が行って、向こうの方なんですけれど、そうしたら、いろんな人が家もシアトルに行っているよと。最近シアトルの2LDKぐらいの住まいが三十五、六万円だと。それはアマゾンが一斉に集まってきて、従業員が、住宅の高騰が激しいという話を聞いたわけですけれども、特にシアトルというのは、イチロー選手の関係もありまして、非常に日本人も多いようですけれども、そういった問題を考えたとき、この電子的なITとかAIとかという改革の中で、ひょっとすると鎌倉もいいことがあるかななんて考えるけれども、実際問題としては、一たび何か起きたら大変なことになるという意味で、非常に考えるところがあるんですけれども。
とりあえず明治150年に思う関係で、まず刀剣展。刀剣展を扱うのは、たまたま刀剣を扱うということで、足利市に行ったら山姥切国広の展示会をやったら、数万人客が来たと。来場者が来て、大変な盛り上がりをしたというのを聞いて、鎌倉には正宗があると思って、私はそれ以来、何とか鎌倉でも刀剣展というのを考えたんですが、この刀剣展を考えるに当たって、最初は私は刀剣そのものは鉄でできているわけですから、鉄の歴史というのは、確かに伝来、要するに中国から、朝鮮から渡ってきたんでしょうけれども、最初のころは青銅だったんですけれど、鉄の文化が入ることによって、鉄が刀の鍛造というか、つくり上げる刀工が鎌倉時代に非常に栄えたわけですね。そういった意味で、特に今日、鎌倉こそ刀剣展をやるべきだろうと考えて、そして、なおかつ非常に偶然の一致で「刀剣女子」とか「刀剣乱舞」が話題になっているような点があるんですけれども、鎌倉でも刀剣展を過去、戦前から何回かやってきているという資料もいただきました。そういうことで、過去の鎌倉の刀剣展、戦前と戦後は違うわけですけれども、まず、どのような刀剣展が行われたか、ちょっと説明をいただきたいと思います。
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○桝渕規彰 文化財部長 今、議員御指摘の鎌倉における戦後の刀剣展ですけれど、鎌倉国宝館におきまして、昭和30年代に3回、刀剣展を開催してございます。初めに昭和30年の10月25日から11月6日にかけまして、「鎌倉室町名刀展」と題しまして、国宝太刀銘正恒を初めとする42点の太刀、刀を出陳した刀剣展を開催してございます。次に、昭和33年5月7日から18日にかけて、これは「江戸時代名刀展」と題しまして、52点の刀剣類を出陳したと。さらに昭和35年1月1日から17日にかけましては、鎌倉市制施行20周年記念としまして、「新春特別展鎌倉名刀展」を開催しまして、43点の刀剣を出陳するとともに、あわせて刀のこしらえ等の刀装具も展示してございます。
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○26番(松中健治議員) この刀剣にかかわる前に、武家の古都・鎌倉ということで、そういう関係もあったので、甲冑を紙で、段ボールでつくろうというので、市長等も参加していただいて、ここ10年、そして仲間から鎌倉もののふ隊かな、鎌倉智士君が始めて、彼に会うと照れくさそうに笑うから、「いいんだよ、頑張れよと、武家の世界は下剋上の時代なんだ、どんどん頑張れよ」と言ったことがあるので、広まっていくことを、私、非常に楽しみにして、それから、鎌倉ガーディアンズの大津君が私のところに来まして、それから井手君も来たかな、観光協会の。「松中さん、時代祭やりましょうよ」「いや、やれるって、もういいよ、俺は年だから。だけど参加はするよ」と。しかし、時代祭どうでしょうかって言って話が来たとき、ああ、甲冑で行列していく、そういうようなものも関心を強く持っていたんだろうと思うんですよね。
私が非常に興味を持ったのが、三十数年前に、これは平山郁夫先生の生まれた瀬戸田の隣にあります大三島の大山祇神社へ訪ねたことがあるんですね。そこに神社の国宝館の中に、甲冑のすばらしいのが並んでいるんですね。そのときには、刀剣というのは余り興味というか、気がつかなかったんですけれども、それは伝源頼朝、あるいは伝源義経とか並んでいるんです。そこ、どういうわけか昭和天皇の海洋を研究するための和船ですね。お船が展示されるのも何とも不思議に思ったんですけれども、大きな神社ですけれども、そういうところに行って、ここにはこれだけの甲冑があるんだなと、そういう武家の一つの形というものを非常に強烈な印象を受けたんですけれども、市長は大三島に行ったことはございますか。なければないで結構ですけれども。
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○松尾崇 市長 ありません。
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○26番(松中健治議員) ぜひ、いろいろなところで見る機会があって、鎌倉の武家のことということで、参考にしたり、あるいはいろいろ見ていただきたいと思います。
また、刀に関することわざですね。いろいろありますけれども、市長、ふっと刀と思うことわざ、幾つか御存じでしょうか。何でも結構です。相性がいいなんてよく言いますね。何かありますか。僕は調べてきたから、これでいろんなことが言えるんですけれど、市長、一つや二つぐらいないですか。
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○松尾崇 市長 ちょっと思いつきません。
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○26番(松中健治議員) ふだん、僕らがふっと使うのは、急場をしのぐ、なんてね、職員の皆さんの答弁なんか、その場をしのぐ、急刃をしのぐ、急刃の刃はまさに刃物の刃です。あるいは何かぶつかったら気に食わないやつだなと思ったら、さや当てとか。それから、もともと本性あらわしたなと、地金が出たとか。激しい戦いをすると、しのぎを削るとか。それから、市長、どうってことないでしょう、せっぱ詰まるとか、追い込まれて固まっちゃうの、せっぱ詰まると言うそうです。それから、相性が合わない、反りが合わない。単刀直入なんて言ったら、この際ばさっとやっちゃおうなんてね。それから、つけ焼き刃ってよく言いますよね。あるいは、ちゃちゃんとやったら、つばぜり合いとかね。副市長は、市長の懐刀でしょうね、きっとねって言いながら、抜き打ちの質問をするとちょっと気に食わない顔をされると困るんだけれど。小町通りのことを目抜き通りって言いますね。この目抜きというのが刀から来ているとは、私、思わなかったんですけれどね。これから仲よくやりましょうというので、もとのさやに収まるとか、いやそんなわけにいかない、焼きを入れるぞとか、いろいろあります。
そういう、刀が日常に非常に取り入れられたと。そういった中で、何て言ったって、刀剣といったら正宗、正宗はこの鎌倉なんですね。この鎌倉でせんだってあそこの正宗、これは山村さんの正宗、初めて知ったんですけれど、綱廣ですね、伝統的に。それで、正宗が本物がないかと言ったら、綱廣はあるけれど正宗はないって言うから、どこにあるのかねと言ったら、国技館の先に刀剣博物館というのが、昨年11月に開館して、そこにすばらしい刀剣が展示されまして、そこに二振りありまして、それで、外国人なんかぞろぞろ来ますね。それで下へ受付というか、事務所に行って、鎌倉でも刀剣展をやりたいと言ったら、協力しますよというようなことも言ってくれたので。それで、私は非常に鎌倉に正宗が入る刀剣展を……。さっき言った中に、正宗も展示されておりますよね。
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○桝渕規彰 文化財部長 第1回目の昭和30年に開催しました「鎌倉室町名刀展」におきまして、無銘正宗一振りが展示されてございます。
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○26番(松中健治議員) 調べてみたら、当時の山本正一市長も展示会に出して、あるいは松岡正二先生も刀を出している。若い松尾市長には無理にとは言わないけれど、ないでしょうから、どうです、古い昔からの豪農でしたかな、お寺とか神社にはかなり奉納されたそうなので、それで、そういう、あれをしますといろんなものが出てくると。それだったら、随分お持ちになっている方が鎌倉にはいるようであります。
それで、正宗故郷へ帰るということをやったら、爆発的な人気が出るんじゃないかと勝手に想像しているんですけれども、私もこれ驚いたんですけれども、正宗十哲というものが有名なんですけれども、筑波に行ったとき、こうやって油みたいのを売っているのが、「さあさあお立ち会い、御用とお急ぎのない方はゆっくり聞いといで。手前ここに取り出したるは我が家の家宝、正宗が暇に飽かせて鍛えたる天下の名刀、実によく切れる、一枚が二枚、二枚が四枚、四枚が八枚」というような口上が正宗だというのを知って、これは鎌倉でやったらおもしろいなと。それで、先ほど言った山村さんが、あそこで刀鍛冶をやっています。また、日朝さま、本覚寺には正宗の墓があります。それから、歴史文化交流館の手前のところに正宗の井戸があります。それから、古い史跡じゃないけれども、石が立っております。扇ガ谷にありますので、ぜひ正宗を中心というか、鎌倉というところが、そういう意味では、いい意味での、あるいはすばらしい刀剣の発祥地であると。もともと平安とかその前からもありましたけれども、鉄の技術が発達したのが鎌倉時代の半ば以降、それから変わっていくんですけれども、一つそういうことで、刀剣展というのを考えていただきたい。
それと、刀剣展というと何か非常に危なっかしいというイメージがあるかもしれないですけれども、これは、私、ふっと考えるんですけれども、アメリカの銃社会、これは護身用に持ったピストルが、あるいは銃が、今でも銃社会ですから、みんな持っているわけですね。それで撃っちゃうんですね。このことと、刀剣は正直言って、廃刀令が明治維新になったら、日本人というのは素直ですから、刀剣をみんな差し出したわけですけれども、刀剣を使うというのは、ただ持っても、そう簡単に切れるものじゃない。だから、居合いなんかで見るあれは、まさに技術が必要です。それが武術だと。実がないと、本当に刀というのは使いこなせないんだと。そして、刀そのものに、つくるときに魂をまさに入魂する、そういうことで、これが美術として、あるいは美術品として、八幡宮には、せんだって国宝館の90周年、そして戦時下の中で守られた特集展とか特別展が行われましたけれども、それは八幡宮から、国宝刀、六振り出されたと思うんですが、その辺のお話はいかがでしょうか。
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○桝渕規彰 文化財部長 松中議員御指摘の鎌倉国宝館開館90周年を記念しまして、「1937から1945戦時下の博物館と守り抜かれた名宝」という特別展におきまして、いずれも鶴岡八幡宮様所蔵の刀剣をお借りしまして出陳いたしました。御指摘の国宝につきましては、先ほども御紹介しましたけれど、太刀銘正恒、こちらは平安末から鎌倉にかけてつくられた太刀でして、最終的には徳川幕府第8代将軍吉宗が鶴岡八幡宮に奉納されたと。以下、重要文化財5点、いずれも二振りは徳川家重、これは第9代将軍が八幡宮へ奉納したと。それから、金象嵌銘国吉の太刀ですけれども、これは明治天皇が鶴岡八幡宮に奉納されたというものでございます。その他三振りにつきましては、戦国時代の後北条氏の第二代の氏綱がつくらせて八幡宮様に奉納されたという、そういう重要文化財に指定されたという刀剣類を出陳してございます。
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○26番(松中健治議員) 鎌倉には、もっともっとそういうすばらしい刀剣があると思いますけれども、国宝館の冊子をいろいろ見ていくと、わからなかったんですけれど、初めて気がついたんですけれども、米軍、GHQですね。米軍が鎌倉に来て刀狩りをして、相当供出するというか、取り上げられたそうですね。それで海外にも相当持っていかれたと。だけど、神社仏閣は隠して残していたと。そういう意味ではすばらしいものがあるだろうと思うんですけれども、刀狩りをGHQがしたと、米軍が、実際にはお土産として持って行ったかもしれないですね。わからないですけれども、返してくれている人もいるようですけれども。
鎌倉には、今の高校生で鎌倉高校が砂鉄からつくる、もとになります鉄をたたら方式でつくって、刀をつくったというのを、4月の商工会議所で先生が講演してくれたのが非常に興味があって、私もそれを見に行こうと思っているんですけれども、高校生もそういうことで鎌倉の砂鉄がすばらしい、壮大というか、資源になっていたというのを知ったわけですけれども。
私、今、材木座住まいなんですけれど、よく材木座の長老と話すんですけれども、驚いたことに、第一中学校のところで、戦前は刀剣をつくっていたと。ええっ、あんなところでつくったのかと、どういうことかと思ったら、あそこで軍刀をつくっていたそうです。そういう要するに鎌倉というところは、ひとつの武家にまつわることが行われているんだなとつくづく思いました。
そこで、そんなような話の中で、今の刀剣ブームの中でもありますし、あるいは正宗のことを考えまして、刀剣展を教育委員会で、教育長どうですか、御検討していただきたいと思います。
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○安良岡靖史 教育長 鎌倉は武家発祥の地であるとともに、日本刀剣史上、五箇伝の一つの正宗に代表される相州伝の地でもあることなどから、当地で刀剣展を開催する意義は十分にあると考えているところでございます。
刀剣展の開催に向けましては、外部からのどれだけの刀剣を借り入れが可能なのかということ、またあるいは、刀剣の展示に適したケース、それから照明が必要だということを私も聞いているところでございます。施設面の準備が可能かどうかにつきましては、これからも幾つか課題が上げられることから、それらが解決できるかどうか、今後、検討してまいりたいと考えているところでございます。
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○26番(松中健治議員) ぜひ、そういう刀剣展を検討なさってください。それと、鎌倉に23代の山村綱廣刀匠、刀工師、これが現在、刀剣のほかに包丁、はさみ等をつくって、これを引き継ぐためにも、いろんな形で鎌倉の大きな資源としてなり得ますので、ぜひ、そういうことも検討していただくと、これはすばらしいのではないかと。
鎌倉彫も刀剣も、せんだって鎌倉彫会館50周年に顔を出しまして、すばらしい以前のものも見ましたけれども、これは鎌倉の明治150年に考えるとき、どうして刀剣展とか、鎌倉彫展とかというと、廃仏毀釈、要するに神仏分離令が出て、僧侶も神仏分離になりますから、職を失うというか、神職にかわっていくというようなこともありますけれども、この刀剣、刀工、これも廃仏毀釈でぐっと減るんですね。そのころは、鉄砲とか銃が入ってきていますから。そういう意味で、鎌倉彫も武士だったものが鎌倉彫のお盆とか、下駄とか、そういうふうに変わっていきます。そういった意味で明治150年のことを考えても、このような人が生き残っているというのではおかしいんですけれど、代々つないできて、頑張っておりますから、それにかかわる墓とか、あるいは井戸とかありますから、その辺をまとめた文化財としての存在を、いろんな人に発信してもらいたいと思います。これは海外も物すごい関心持っているんですね。日本の刀剣と、それから武術に関しては。ただ、単なる鉄砲を持ったら撃っちゃうとか、銃を持ったら撃っちゃうとか、そういう銃社会とは違って、それはそれなりの規制はあるにしても、使いこなすには術が必要だというのが日本。それは居合道と、道という精神的なものもありますから、ぜひ、その辺検討してもらいたいと思いますが、どうですか、天下の正宗のことに関しまして。
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○桝渕規彰 文化財部長 正宗、議員御紹介の山村綱廣さん、第23世の綱廣ということで、この方は、先ほど来、お話に出ております相州伝正宗の系譜を引かれる刀匠の方で、まさに鎌倉の刀剣を引き継ぐ方と。ちなみにこちらの山村さんは、正宗工房ということで、実は昨年オープンしました歴史文化交流館におきまして、この相州伝の作風を引く新刀ですけれども、これをお借りして展示をしてございます。また、戦国期の綱廣が作刀としたと言われております短刀についても、この春から追加して展示をしていることがございまして、こういったことを通じて、相州伝を検証する、あるいはPRしていく、こういったようなことでやっていきたいと考えております。
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○26番(松中健治議員) ぜひともお願いします。私はあそこで包丁を何回か買ったことがあるんですけれども、刀はやはり高いですから買うことはできないんですけれども、包丁もすばらしいと思いますので、鎌倉の物産としても格のあるものだろうと思いますので、ぜひ御尽力をいただきたいと思います。
次に、鎌倉ゆかりの外国人、これはこういうことなんですね。特に150年の中でいろんな方が鎌倉との関係を持つ外国人、あるいは外国人を通しての日本人もいるんですけれども、日産とゴーン前会長のことを考えますと、何か日本という国は、必ず時代の切れ目で乱れているときには、外国の人の手をかりると。そういう意味では、このゴーン前会長の話が非常に身につまされる。つまり、組織が硬直化して、できの悪い幹部がのさばっていて、それで企業がおかしくなるとき、こういうゴーン前会長みたいな方が来て、整理をして、それでぐっと立ち直ってくると。だけど実際あるとき、その人が何となく、もういいやという感じになって、今、そういう状態になっているんだろうと思うんですけれども。
明治のときにも、以前にも話しましたけれども、コッホとか、医学の、それから鎌倉が保養地としてすばらしいと言ってくれたベルツ、キヨッソーネ、この方々が鎌倉の廃仏毀釈で仏像が転売されるというか、売り出されているのを見て、いたたまれなくて、自分で買ってイタリアにあるベルツ博物館に今展示されていると。それをせんだって、前の近代美術館の館長に話したら、見たよと、イタリアに行って、その博物館に、それは材木座のキヨッソーネが住んでいた材木座の補陀洛寺の十二神将だと言われているんですけれども。
そういう話を聞いたりすると、この明治のころ、何か突然時代が変わったときに、何でもゼロになるような感覚で時代が変わっていく、そういったところに外国人が入ってきて、それで時代をリードしてくれていたというのは事実で、驚いたのは、お雇い外国人というのが日本に入ってきて、雇い外国人じゃなくて、「お」をつけて尊敬したそうです。なるほど、お雇い外国人と。そういう中で、何とこんなにいると思わなかったんですけれども、西欧化を図るために一番来たのがイギリス人の1,127人、アメリカ人が414人、フランス人が333人、中国人が250人、ドイツ人が215人、オランダ人が99人、その他250人と言っているんですけれども、大体1900年ぐらいまでなんですけれども。また、ふえてきて、イギリスが4,300人とかフランス人が1,500人とか、アメリカ人が1,200人とか、ドイツ人が1,200人とふえるんですけれども、驚いたことに、大体教師が多かったんですね。教師が多かったというので、クラーク博士なんていうのは、我々学校で習ったような話もあるんですけれど、そういう意味では、ゴーン前会長みたいな人が来て、がらっと変えさせる、お雇い外国人がこれだけいたんだと。
それで、明治の軍隊を考えたときに、明治6年、最初の天覧演習が八幡宮の前で行われたときには、フランスの陸軍の指揮官というか教師だったんですね。ところが、それも日本で初めて天覧演習を鎌倉でしていた。ところが、普仏戦争でフランスが負けてドイツが勝ったら、今度はドイツ方式になっていく。私、海軍というのはアメリカ方式かと思ったら、イギリス方式だというのが最近、情けないんですけれど、戦艦三笠に行って、明治150年でちょっといろんなことを知ろうと思っていったら、艦長室に洋式トイレがあったんで、あのころから戦艦というのは洋式トイレですか、その中のガイドの人が笑って私に、そうじゃなくて、この三笠はイギリスなんだよ、イギリスから輸入したんだよと、そういうことで、そのころまでは外国のものがすぐれていて、しかし、「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」というのが東京の国立科学博物館でこの前、行われていたので、その最初に入ったときの案内の言葉が何てしゃべっていたかというと、スピーカーで流れていた、日本は明治維新のときに最初に外国の技術を学ぶ、技術、千です、いろんなのあるんです。まず、日本というのは模倣から始めたと言っているんですね、模倣から、物まねから、今の中国みたいだと言うと怒られるかもしれないけれども、模倣から初めて、それで数十年でそれを抜いていくんですね。例えば戦艦なんかは、一つの芸術品にしていくぐらいのすばらしいものをつくるんですけれども、ところが先のことができないから、軍艦の大和だとか、あるいは武蔵をつくっても、そのころすばらしい戦艦をつくるんですけれど、そのころは制空権になっていて、先を行くということが日本という国はできないんですね。そういう意味で、非常にしみじみと、その科学博物館で「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」を見させていただきました。
それでまた、鎌倉に外国人の住んだ人とか、かかわり合った人の中で、モリソン邸というのを御存じですか。
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○桝渕規彰 文化財部長 ただいま御紹介のジェームス・ペンダー・モリソンでございますけれど、日露戦争当時に日本軍にダイナマイト等を供給するという、そういう貿易商として活躍され、横浜の開港地で活躍されていた人間ですけれど、今、御指摘のように、材木座に邸宅を構えられておりまして、今現在は、実はそのときの邸宅のれんがづくりの門柱の1本が残っているという状況でございまして、ここは、実は戦後しばらく敗戦の文書に調印した外務大臣を務めた重光とか、そこら辺のところもそれを買い取って住んでいたというような、そんなようないわくのあるところでございます。
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○26番(松中健治議員) 私、あちらの由比ヶ浜の海岸の育ちですから、よくあの建物の古いのを見たことがあるんですけれど、今はないんですけれども、モリソンはノーベルと、幕末にグラバー邸の鉄砲とか大砲とかしたと言われている商人だって言われて、このモリソンというのは、ノーベル賞のノーベルからダイナマイト、つまり火薬を日本にどんどん向こうから買い付けてもらって、それで、今言ったように、日露戦争に勝った協力者だというのを最近知ったんですね。日露戦争に勝ったのは、このモリソンのおかげでもあるというようなことは言われているんですが、それともう一つ、戦後はモリソン、これは林彦三郎さんって僕らも尊敬していたような大きい人物がいたんですけれども、この屋敷を持っていたとき、重光さんが住んで、そこで昭和二十八、九年ですかな、僕、小学校のころ覚えているんですけれども、新聞で、モリソン邸で重光・吉田会談が行われて、日本の今の政治の基礎は、そこから出発していると。つまり、保守合同が行われたのは、そこでなんだそうです。それも、大変なことなので、鎌倉から日本の政治が出発しているという。重光さん、その後、大磯かどこかへ行くんですけれども、鎌倉から吉田茂がわざわざ重光さんを訪ねて、そういう鎌倉というところは、非常に明治150年の中にいろんなことがあるわけでね。
それから、駅前の西口、ウォーナー博士が鎌倉を爆撃から守ったというウォーナー伝説だとか何とかって言われて、最近どうもはっきりしてきたようで、それは真実だということで、いろいろ語られているんですけれど、実を言うとウォーナー博士を日本中に戦後案内したのは、うちの家内の父親だったんですね。それも最近わかったんです。それはどういうことかと言うと、GHQに勤めて、それで日本の生活、習俗、あるいは民族を知るという意味で、それで案内すると。だけど、ウォーナー博士は志賀直哉との関係で手紙を交わしていたというので、志賀直哉先生が何かしていたというんですけれども、柳田國男先生が何度かウォーナー博士に会っているという話。それで、柳田國男先生の第一弟子がうちの家内の父親なものですから、本を見たらそのことが書いてありまして、それは明らかにGHQが書いたりして、このGHQのすごさというのが、後ほどの質問でも言いますけれども、鎌倉にGHQがかかわってくるのが、マッカーサーが鎌倉に来ているんですね。2回、すぐ来ている。それで、鎌倉山に米軍の将校が、その後住むと。そういう明治150年の中で存在として、マッカーサーのことは忘れることができないと思うんです。
石渡市長のときに、フランス大使が鎌倉に見えまして、当時、私、議長をしていましたので、歓迎につき合ってくれというので、玄関のところでお迎えして、それですぐに、私、フランス語できないですから、それじゃあねと言って、さっと行って、その場をかわしたんですけれども、そうしたら秘書課が松中さん来てよって言うから、石渡市長はソムリエでフランスのことをよくわかっているからいいんですけれども、私、知らないから、議長、何かって言ってと。たまたまアランドロンが川喜多邸に来たということを話したら、そのフランス大使が、そのとき私、来ましたって日本語でしゃべるんですよ。私、フランス語だめだからと思ったんですけれど、日本語がペラペラで、アランドロンを案内したのは私ですと、私がフランス大使館の文化担当だったんですって。それで、奥さんもいて、通訳もいるんですけれど、今度は奥さんも日本語をペラペラってしゃべったので、あれ、これ一体どうなっているんだ、はずかしい思いをして。それで、私は、日本の陸軍を指導してくれた最初のときは、フランスの陸軍の方ですって言って、受け売りの話をしてその場をかわしたら、石渡市長がフランス大使に市長車でどちらに行くんですかって言ったら、江の島に行きたいと言うので、じゃあお送りしますと言ったら、結構ですと、江ノ電に乗りたいんだと言っていました。江ノ電に乗って、江の島でパリ祭というのが行われているというので、そっちへ行きましたので、実に鎌倉というのは、そういう意味では知られているんだなと、江ノ電なんていうのは。それで、よく鎌倉へ来るんだって言うんですよ。どうして来るんですかって聞いたら、向こうの有名なブランド品の社長が二人いるんだって、二人、鎌倉大仏の裏に一人と、何かいるらしいので、二人。そこへよくお屋敷に行くんですが、それで江ノ電に乗りたいんですって。おもしろいものですね。鎌倉というのは、外国の人がいかに興味を持っているかということを。私は非常にそういう意味じゃあ、時代を変えていくというのは、外国人、こなすという意味では日本人もこなしんちゃうですけれども、例えば、ピーター・ミラーという版画家がいるんですけれど、この方、実際には大リーグの選手会の日本代表で、私もたびたびつき合いさせていただいた人、そういう人もいるんですが。
最近、私、やぐらというのを研究して、やぐらを研究していたら、蘭渓道隆が鎌倉に最初に持ち込んだと。京都に持ち込まなかったというので、私の知り合いが建長寺で修業した妙心寺の大長老で、瑞龍寺の和尚、それで蘭渓道隆のことを聞きに行ったんですね。この蘭渓道隆のことを考えると、この禅宗を、市長も建長寺で蘭渓道隆の話をしたかどうか知らないんだけれど、そんなようなことが、蘭渓道隆というのが、鎌倉時代が非常に乱れたときに、これは禅宗だということで、それで時頼が持ち込んだのかな、その辺のこと。その前に、やぐらの話を僕がした前に、比較文化財と言うんですか、部長は向こうへ行っていると。この瑞龍寺に行ったときに、僕は同級生ですから和尚と言っちゃうんですけれども、大変な大長老なんですが、それが言っていたのが、今、中国は賄賂社会になっちゃったので、その習近平主席がどうしても宗教開放を少しずつ始めてきて、だけどキリストとか、あるいは神道は無理ですね。それから自分たちのものはどうしても南宋の、要するに仏教、そうすると禅宗だというので、2年前に京都へ私の友人が一緒に行って、270人ぐらいの訪中団をつくって、向こうが歓迎してくれて、それで禅宗ということで、もちろん建長寺、円覚寺の管長クラスも行って、相国寺のあれが代表になって、つまり中国が禅宗を非常に関心というか大事にして、もちろん建物はあるんでしょう。だけど日本はずっとやってきていますから、非常にそういう意味では京都にはそういうあれして、今度は鎌倉にもそういう意味で禅宗の関係の蘭溪道隆、蘭溪道隆というのはそもそも建長寺を開祖して、そのあれをした栄西とか、そういう意味では、中国系の指導者が相当、当時承久の乱の後入ってきてますよね。それいかがですか。歴史的なことを聞きたいんですけど。
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○桝渕規彰 文化財部長 禅宗の導入ということで、本格的には建長寺、そして円覚寺ということで、大寺院を建立することで本格的に南宋から禅宗を取り入れるわけですけれど、その取り入れ方というものが議員御紹介の蘭溪道隆であるとか無学祖元であるとか、そのほか大勢の中国人僧、この方々を連れてきて、直接禅宗の教えを教わるということをしたということでございまして、大勢の中国人僧がその当時日本に来ているということでございます。
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○26番(松中健治議員) 禅宗も廃れて、廃れるわけじゃないけど宗教も非常にいろいろあって、幕末になると神仏分離が出て、しかし仏教がこれはいかんというので、釈宗演とか鈴木大拙が出てきて禅宗が再び復興してくると。そういう明治150年では非常に禅宗というのは大きな意味もあると。ただ、鎌倉というのは鎌倉仏教という形の中で、日本仏教という意味では鎌倉時代が出たんじゃないかと言われているんですけど、私は専門家じゃないからこの程度にしたいと思います。
それと、台湾とか敦煌の関係をつないだのは私なんです、実際問題、裏で。それは平山先生に頼まれて、中西さんのときには竹下総理と一緒に向こうへ行って、鎌倉と姉妹都市を持ち込んできたのは平山先生から言われて、私東京の勉強会で共同通信から後藤田正晴先生が何とかしてくれないかというので、竹内市長と話して、記念館まではお金ないですから、それでじゃあ姉妹都市をやろうというのでしたんですけども、この中国のことを考えますと、あるいは僕は今、台湾も関係があるんですけど、両国の国父が孫文なんですね。孫文のことをお祝いする、革命をするようなことでいろいろする、国慶節とか双十節ってあるんですけれども、これ、ここは鎌倉の極楽寺に義烈荘という、中村屋の大黒屋という要するに別荘があって、そこに頭山満先生が近くに住んでいて、インドの独立運動家の坊主をかくまったり、あるいは孫文やそういう関係者をかくまったという話があるんですが、その辺はいかがでしょうか。重要だと思うのは、今、禅宗という形もあるんですけれども、非常に鎌倉というところがそういう形の中で義烈荘というものが存在しているということを、私、特に頭山満先生とは家内が親戚筋なものですから、非常に、鎌倉にいたんじゃないかって言ったんですけれども、その辺はまだあれでしたら、じゃあわかりました。じゃあそういうことですから、これは私自身もそんなに詳しくないですから、島本さんか何かに聞いてみればわかりますけど、島本さん今ちょっと疲れているようなのでまた。
そんなようなことで幾つかの明治150年を考えるとき非常に芸術とかパヴロワのバレエとかいろいろあるんですけど、フェノロサの日本の美術とかのあるんですけど、君が代の編曲あるいは作曲はドイツの音楽家だとか、それから抜刀隊の作曲はフランス人だと最近聞いて、これは一体日本の軍隊は誰かなと、近代軍隊は何なんだと考えるような面もありますので、君が代までがそうだったというのは思わなかったので、これもうちょっと今後私の研究として。
それで、非常に明治150年というのは、一つの区切りとして考えた場合には重要なことがあるというものをつくづく思うわけですが、最後に鎌倉都市像の変化。これは、つまり鎌倉というところは外的要因ででき上がってきていると。つまり鎌倉時代も、要するに源頼朝公も鎌倉の人間じゃなくて、鎌倉がつくって、鎌倉というところが外的要因があって鎌倉ができ上がってきたというのが。それから明治も入欧、要するにヨーロッパ文化がいち早く入ってきたのは別荘文化という向こうの生活とか保養所とかそういうものもそうだし、それから戦後はやっぱり鎌倉を外的要因というのは、やっぱり大型開発が行われるのは、これは明らかに外的要因なんですね。ところが、鎌倉というところの戦前を考えていきますと、市長自身はどういうふうに考えているかと。つまり市町村合併は鎌倉と腰越が戦前、戦後が大船と深沢、そういった中のやっぱり違った都市像をお持ちだと。私は、鎌倉というのは文化と歴史と、そういう意味では、文化といっても西洋的な意味も含まれるし、歴史的な意味も、あと緑もあったし、そういう都市像を、あるいは武家という都市像、あるいは武士の関係というのも強く持っておりますが、大船は、産業の、もう私の子供のころから大船の産業で鎌倉が支えられているんじゃないかと、あるいは深沢の工場で鎌倉の財政は支えられているんじゃないかと。山本市長になったとき、もう本当は赤字に落ちようとしたときに17万都市構想というのを打ち出したんですね。昭和三十三、四年のころですね。それで今日17万人、これはもう的確に予想しているんですね。そうすれば自立していけると。しかし、その前は、鎌倉は、明治のころは3,000人か4,000人ぐらいの閑村だったんですね。それで、戦後はどうしても鎌倉を支えていくにはというので、産業振興ということで、大船あるいは深沢ということですけど、そういう意味では、産業という都市像を描くのは大船と私は深沢、そして歴史的なあるいは文化的な、それから自然豊かな環境的なのはこっちの鎌倉側だというのをずっと持ってたんですけれども、市長自身はどんなような思いを持ってますか。
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○松尾崇 市長 旧鎌倉地域ですけれども、武家政権発祥から脈々と受け継がれてきた、やはり本市の歴史的文化的の中心地であるということで、緑や山並み、すぐれた景観などを持つ場所であると思ってます。
それと比べまして、大船、それから深沢については、戦後、こちら企業誘致もしてきたという経過もあり、また、大船については、さらに商工業としての発展をしてきたという町としての大きな色合いがあると感じています。
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○26番(松中健治議員) 戦後の立場としては私もそのように考えていました。そういう意味ではね。鎌倉というのはそういうものだなと。ところが、鎌倉の都市像を描くときに、大きく世界遺産で鎌倉というと深沢、大船も全部入れてしまうんですけれども、しかし、こういうことが昨年から、その前からあるんですけれども、鎌倉の大船の再開発は、そして北側の大船、横浜市側の再開発が同時に進行していて、それで同時にストップして、向こうが白紙に戻して、こっちはずっとやっているんですけど向こうができてこっちはどうしてできないのかなと。だけど、横浜市側から私に案内が来たので、私はやっぱりやじ馬根性じゃないけど、A級戦犯の立場でちょっと行ってみて、何か言われちゃうかなと思って行ったら大船の商店連合会とか自治連合会の人もいたのでほっとしたんですけれども、そのとき、鎌倉なんだから横浜市なんかに顔出したら何か言われるよって思ったとき、自分に自己納得させる方法がないかなって考えたら、ここのあり方が問題だというのが気がついたのは、ここは鎌倉郡なんだと、大船も戸塚も栄区もそれから村岡も、そのことをふっと思った。この鎌倉郡なんだと。鎌倉郡と考えたときには、大分前にも考えたときには、平塚の吉野さんという市長がいた。吉野さんよく知っている。あれは中曽根さんの秘書官で私もよく知っていた。それで、広域的に湘南市を考えていたんですね。広域的な意味で。しかし、鎌倉郡って考えたら、もう本当は鎌倉郡そのもので政令都市ぐらいの、もう100万都市超えるぐらいの大きい存在なんですね。それで、この大船の再開発を考えたときに、鎌倉のコンセプトを使っているのが横浜市側のあそこに今工事をやっているあれなんですね。鎌倉というのは、何であれは、あそこは大船じゃないか横浜じゃないかって思ったら、鎌倉郡という立場であれば鎌倉語っていいんだと、もっと大きい気持ちになってあそこは鎌倉なんだと、それぐらいのことを、それで、鎌倉郡というのは何と、最初はまさに明治150年の中で戦前まで郡制をしいていたわけですね、郡制を。それで、最初からはもう要するに、広い意味では戸塚町とか川上村とかいろんな町とか本郷とか玉縄村とか、だけど、最初のころは東鎌倉村とか西鎌倉村とか深沢村、そんなことが戦前の、だから僕は、ここら辺が中途半端に、要するに戦後のあり方がやっぱり今日のいろんな行政をやる上でネックになっているのではないかと。だから、100万人以上なくても政令都市になっていれば村岡と鎌倉のことを考えたらこれは鎌倉郡じゃないかと。何であのときに鎌倉郡として考えなかったかなと思います。これは、まさに戦後の段階で、市としては、腰越と鎌倉です。戦後は深沢と大船なんですね。これは、そうすると広域的に考えたら、鎌倉というところだけ考えたり、腰越入れても、これは、ごみの処理だとか広域的にやらなきゃならないようなことはちょっと無理だと。もうそれは大船が今度は、あるいは深沢が人口がふえてくるわけですから、それを清掃工場が鎌倉だけで持つじゃ、それはもう戦前のレベルの話。あるいは鎌倉と腰越の話だったらそれは可能だ。しかし、どこかにやろうったって鎌倉はもう既に十分、ある意味の市街化しちゃっていたわけですね。山崩さない限り。そういう意味では、私は、この明治150年の中で郡制というのを考えた場合に、非常にそこでボタンのかけ違いがあって、だから私は今後行政が幾ら頑張ったって私は無理だと思う。それで、この鎌倉の、何で市長、あそこのJRの跡地を鎌倉市が使えるんですか。
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○松尾崇 市長 なぜ使えるかというのは、鎌倉も全体の土地は、3分の1を購入しているということでの活用ということ。全体としては当然約半分がJRが今持っている土地ですから、区画整理事業という形の中で、地権者の方の御理解を得て進められることができるというものです。
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○26番(松中健治議員) これは、何を言いたいかというと、この鎌倉のあのJRを含めて、何で大船、深沢が工業地帯になっているか。何であっちが工業地帯になっている。こっちは市街化されているから工場もできないだろうし、それから東京湾、要塞地帯ですから、厳しく管理下に置かれてますからできない。しかし、何で、大船と深沢がどうしてあの沿岸というか沿線にできているか。ここが問題なんですよ。ここがいろいろ調べたら、これは京浜工業地帯がもういっぱいになって、日本の軍備を増産するためには、工場を、柏尾川沿線に持ってくる国策があった。それで、あの鎌倉のJRの跡地も横須賀海軍工廠として、そしてその先に昌運というのがあった。この昌運というのは、ヤンマーと一緒になる、それで今コーナンになっているんですけれども、これも軍需工場になるんです。それから日立とかいろいろありますね。今、兵器工場は三菱電機だけです。こっちでは、実際。だけど戸塚も日立とか住友とか、この柏尾川沿線に沿った形というのは、つまり工場を東京湾からこっちへ持ってきているんですよね。そういうことがわかったんですよ。それは何かというと工場用水ですよ。工場用水、水がなければ工場が成り立たなかったんです。これはずっと見たら全くそうです。それで、鎌倉の今のJRの土地は、これは誰が決めたかというとGHQなんですよ。GHQが決めてくれているんですよ。戦前の日本は横須賀海軍工廠だった。
それで私、要するに、国鉄の民営化のときに40兆円の借金があった国鉄清算事業団の総部長、仲間でしたから。そして先輩に、もう最後は日本のJR貨物の大長老の会長の伊藤さんだと。それに図面も見せてくれて、そしたら実際にそこのことをやる考え方というのは、駅は運所、これはよく言うんですけど、そして道路、道と駅だと、これが基本なんだと。もう役所だ何だ、もうこれが基本なんだと。そう言ってました。
それで、海軍工廠がなぜあそこに海軍工廠かというと、清算事業団から鎌倉に何か譲ってくれるみたい、買わなきゃいけない、それを地元の、これは、鎌倉市の職員の部長だった石井さんという方がいるんです。これは湘南の先輩ですから、よく話したら、返してもらいたいな、何で返してもらいたいと言ったら、戦前に接収されたんですって、何か1坪1円ぐらい、鎌倉山の土地が8円だったんだって。だって絶対こっちがいいじゃないですか、平らで。それから、どうして海軍工廠がそこのところに、一つの、工場用水もあるかもしれないけど、道路なんですよ。基本的には道路が、自動車専用道路をつくってくれてあったおかげで大船駅まで軍用列車で、要するに魚雷だ、水雷だつくって運べば大船駅からずっと運べたんですよ。それで、海軍工廠ができて、そのような資料は、私入れときましたけど、そのとき、このことをもう詳しく、もう亡くなった方なんだけど、湘南の先輩がそこのところで学徒動員で働いた、いろんな苦労しているような内容が書いてあります。先輩なんです。石井さんも先輩なんです。だから今思えば、つまりどういうことかというと、鎌倉に企業が進出して、倒産するところを、そればっかりなんですよ、鎌倉市は、それはいい意味でつけられる場合もあるかもしれないけれども、実際問題としてGHQがそこのところを許可しなかったら、国鉄の修理場として許可しなかったらないでしょう。それは、昌運だってあれ民間だからですよ。コーナンというのができる。それから、その前に松竹がもう本当にもう倒れかかって厳しいときに突然鎌倉市の文化ホールは今の警察署だったんです。予定は。ある程度直前まで行っていたのが突然大船工場が閉鎖するから、鎌倉市で何とかって言うので、売ってくれたわけじゃない、あれ借地なんですよ。それで、その後もっと大変になった松竹は、鎌倉女子大に100億円で売るんですよ。それで、東洋化学、あれが武道館のところですよ。だから、工場で進出して、それで工場が失敗すると行政に何とか、行政にって、あれはそれは、鎌倉市だってそんなもん、資生堂というのは、これ資料でいただいたんですけれども、鎌倉市の工業出荷高、約五、六千億円あったのが、今はもう二、三千億円ですよ。そしたら、1500億円ぐらいが500人の従業員で、資生堂だったんですよ。それがなくなれば、それは住宅ができるか、何がしかできるかもしれないけど、これも大企業の結局そういう問題になって、自分たちが何か別のことを考えるなんかはしないでもういっそのこと、これはゴーンさんがやったことよく似ている。ゴーンさんが日産の土地を処分し、従業員を処分し、それで立ち直ってきたと。だから、そうすると、JRだって、これは、労組委員長だったのが社長になって、それは勉強会で話聞いたら、株式会社ってこんないいものないなんてよく言うよと思ったんだけど、その人が委員長だ。それが要するに民営化になった。民営化になったら借金は全部日本が背負わされる、国が背負わされる、それで、その土地を整理して来いって言ったのがJR跡地。しかし、そのJRの跡地がなぜあそこに存在しているかというと戦前の海軍工廠、本当はすばらしい田園地帯だったと思いますよ。だけどそこにはやっぱり戦時下ですから、苦しい、それは学徒動員もあるし、いろんな人を徴用されたろうし、それは大変なこと、そういうことを忘れちゃいけないと思う。そこには一つの大きな歴史があるんですよ。それが支えてたんですよ。日本の海軍の魚雷だ何だって、緊急も、それから、調べてみたら鎌倉じゅうにそういう高射砲の基地とかそういうのがつくられている。鎌倉というのはある意味じゃ軍事基地ですよ。相当ありますよ。これは伝えてほしいというようなことをやっている運動があります。年金者組合とかなんとか、私も参考にさせていただきましたけど、市長、そういうところですよ。そういう場所ですよ。
だから大企業があって、いいときはいいけど、だめになったらさって引いちゃうし、じゃああそこが、米軍が海軍工廠から国鉄に譲らなかったらあそこにこんな話題も出ないんじゃないですか。国鉄じゃなくて何かほかの形でされてたら。だから、そういう意味で戦前と戦後、そこに存在するのがGHQ、これだけは頭に入れたほうがいい。そして、戦前のそういう諸先輩が苦労した、学徒動員とかいろんな、苦しいときがあったとき、それは忘れちゃいけない。もう何か夢物語のように、それは無理だ。
そしてなおかつ、鎌倉郡ということを考えたら村岡も鎌倉郡なんだ。鎌倉なんだ。ただここだけで考えたら鎌倉と思うかもしれないけど、大きい意味で考えたら鎌倉郡ですよ。だからそのぐらいの組織をつくらない限り、だから市町村合併だというようなことで考えるのは無理にしても、広域的考え方をじっくりできるような人材のもとでやらないと、こっちはこっち、あっちはあっち、金はそっちこっち、そういう話になってしまう。
だから私は、この話なんかよりも、もうここは、鎌倉は、今、考えるべきことは鎌倉だけのことって考えちゃだめだってことです。ごみだって今度は逗子に頼もうとしているんでしょう。苦しくなったらどこかに頼むんでしょう。そういう問題なんですよ。もっと大きい意味で考えなきゃいけないと。つくづく、今回のやりとりの中で思うわけであります。
つまり鎌倉というところは、こっちは、鎌倉が開発されたのは、これは、西武とか大手がゼネコンが物すごい勢いで開発してきたんですよ。これはもうまさに外的要因ですよ。大資本が開発してきたんですよ。うちのおやじが監督官のころは、つるはしでやった開発ならまだしも、もうブルドーザーというものが、これは、明治150年の、千の技術の中にブルドーザーが1台、小松製作所が開発するんですよ。そのブルドーザーが開発した理由というのは、南方の、米軍が占領してくるとだーってブルドーザーで飛行場つくって、そこから飛行機で飛んでくると。そのブルドーザーって一体何なんだっていって、それを開発をしたのが小松製作所。その開発した戦後は、朝鮮動乱でもうけて、そしてそのブルドーザーで開発をどんどん初めて。
だからそういう意味では、歴史というのはもっと広く考えたほうがいい。鎌倉だって、整備もやったとこなんかもう大変なものですよ。だからそういう意味では、今度の鎌倉市役所の問題なんていうのはそういう問題で考えないで、もっとじっくり考えて、じっくり腹割って。神奈川県だめですよ、もう。なぜかというと、神奈川県の部長なんて、僕に言うんですよ。神奈川県議会なんていうのは、全然鎌倉なんか力ないんだから、横浜と川崎と、今政令市が、要するに相模原、もうそっちが全部チェックされて、向こうは、自分ところは金ないから、こんなとこ、何で鎌倉へ金をつけるんだってやられちゃうんだと。それぐらいのすごい状況なんですよ。ですからそういう意味では本当に大きい意味で、広い意味で考えないと全然できないと私は思う。そういうことで私の演説は終わり。以上で終わります。
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○議長(中村聡一郎議員) 次に、久坂くにえ議員の発言を許可いたします。
なお、久坂くにえ議員から、一般質問に際し資料を持ち込みたい旨の申し出があり、議長職権により資料を配付させていただいております。
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○12番(久坂くにえ議員) 通告に従いまして一般質問を行わせていただきます。よろしくお願いいたします。今回は、人事戦略ということをテーマとして質問を行わせていただきます。
最新の数字を見ますと、現在民間企業の大卒の求人倍率は1.88で7年連続上昇となりまして、38.1万人が未充足ということで、中小企業は過去最高の9.91倍ということで、もう本当に採用難が今加速しております。人手不足も深刻化しておりまして、働き手の確保としての改正出入国管理法の論議、またスタッフのいない無人コンビニの出現など本当にその種の話題には事欠きません。こういった状況下におきまして、民間の採用が今後不調に転じたとしても従来のように、今までは民間だめだったら公務員に来るだろうというふうな傾向があったんですけれども、そういった傾向が果たして続くのかといったら私はそうじゃないんじゃないかと思っております。こういった時代において、どのようにいい人材を確保していくのかということは地方自治体、鎌倉にとっても大命題だと私は考えております。
こういった中、鎌倉市の採用の現状についてまず伺ってまいるんですけれども、まず職員の採用パンフレットについて、今、職員の採用パンフレットをつくってくださっておりまして、鎌倉市役所で活躍できる人、市長が数人の職員の方と一緒に写っております。そして、右側には市長メッセージ、いろいろ書いてくださっているんですけれども、その一番最後の中で、鎌倉市を目指す方に対して私たちとこの鎌倉を日本一、世界一の自治体にしてみませんかと呼びかけをしてくださっております。しかし、ふと思うと、世界一の鎌倉にするためには、やっぱりそういったことに応えられる職員の方に、職員というか学生の方に、この鎌倉市役所で働いてもらうことが必要だと思っております。ここに鎌倉市役所で活躍できる人と書いているんですけれども、市長がおっしゃる世界一の鎌倉をつくるため、どういった職員の方が必要だと考えていらっしゃるかまずお伺いしたいと思います。
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○松尾崇 市長 鎌倉は、いつの時代も市民の皆さんが積極的にまちづくりに参加をしてきた町であると思っております。ありのままの美しい自然や歴史、文化が大切に守られてきたのも先人の皆さんの情熱があったからこそであると思ってます。私はこの鎌倉が、時代が変わっても常に課題を解決して、時代に先んじて進んでいける町でありたいと思ってます。そして、誰もが安心してほっとできるような温かい町、市民が幸せに暮らせる世界一の町を目指していきたいという思いからこういうことを書いています。
このために、具体的な職員像としましては、目標に向かってみずから歩むことができる人、現状に安住しない開拓心のある人、労を惜しまず常に謙虚で誠実である人、他人ごとではなく、全てを自分ごととして捉えることができる人ということで求めているものでございます。
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○12番(久坂くにえ議員) 本当にこちらのパンフレットに書かれている人材をまさしくこれからの鎌倉について求めているということをお伺いしたんですけれども、こういった求める人物像に、果たして合致した、予定どおりの採用が今できているのかということをちょっとお伺いしたいと思います。
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○松永健一 総務部長 平成29年度の採用試験の状況でございますけれども、平成30年4月1日の必要職員数には至らず、欠員が生じる結果となっております。採用に当たりましては、教養試験、適性検査のほか、面接において人物を見ており、優秀な人材が多くいた場合にはいわゆる補欠合格として採用候補者名簿に登載し、急な欠員にも対応することとしておりますけれども、全体として受験者は一定数確保できたものの、最終的に合格に至った人数は少なかったというのが状況でございます。
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○12番(久坂くにえ議員) 具体的に何人求めていたんだけれども、何人ぐらいの欠員が生じているというふうに、数字のところも教えていただいてよろしいですか。
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○松永健一 総務部長 整理して、平成29年度の採用試験の状況を説明させていただきます。平成29年度は、受験者は409人の応募をいただきました。それで、必要人数は、職員の退職ですとか、翌年度の再任用の希望の有無で変わるんですけれども、結果的に、平成30年度の4月で必要となる人数は62名でした。結果、最終合格者ということで採用できたのは30名ということになりました。結果的に言うと32名の欠員が生じたということです。
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○12番(久坂くにえ議員) 正直その数字を伺ったときに、本当に私ちょっとびっくりしまして、鎌倉市というのは、本当にもうバリューのある都市ですし、本当にいろんな取り組みをしていると、いろんな社会人の方とか学生の方が鎌倉を志望してくれるんだろうと、ちょっと本当に思い込んでたところがあったんですけれども、ところがやはり数字を聞いてみると六十数人のところに半数しか結果的に採用してらっしゃらないという事態を聞いて本当にびっくりいたしました。もちろん誰でも彼でも採用していらっしゃるというわけではなくて、やはりきっちりとしたラインを持って採用しているということですので、それが半数だったということなんですけれども、今の採用におきましては、例えば各自治体が合同で出しているフェアにおいても、鎌倉市のブースには本当にいろいろたくさん人が来てくださっているという話も伺いましたし、その応募数も近隣自治体と比べても多かったというところでもこういった状況でございまして、やはりまず採用には力を入れていただきたいとお願いをしたいと思っております。
他市の例なんですけれども、奈良の生駒市の例を御紹介したいと思います。今職員の方が5人並んで、現状打破、未来に進めといったアイドル風のポスターですとか、もう一つがこういう、一般的に言われるような公務員の方は仕事を退屈そうにしているよねとか、検討しないけど検討しますみたいなイラストが書かれているような、まずはこういったキャッチーな採用ポスターをつくっていらっしゃいまして、ちなみにこの採用ポスターをつくったのも職員課ということでございまして、丸投げをしてはおりません。こういった募集のポスターを初め、面接重視の試験、またSPIのみの試験で一般的な教養試験対策は不要ということで、また市長みずからが登壇する説明会を多数開催するなどいろんな取り組みをしております。生駒市は、人口12万人の町でございますが、例えば、大卒事務の20名の枠に対しては900名の応募があるということで、全体としては5年連続で1,000人以上応募をしているということで、まずは採用を頑張る、そして間口を広くして、たくさんの応募者に来ていただいた方の中から厳選して選んでいるということで、本当にすごい取り組みをしてくださっているんだなというふうに思いました。
ただ一方、鎌倉市も、先ほどお見せしました採用パンフレットを作成してくださいましたり、今PRのビデオなども作成中と伺っておりますけれども、採用に関しまして工夫していること、もしくは今後行うことがあればお伺いしたいと思います。
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○松永健一 総務部長 採用に関しましては、本市も同様に受験者確保のため、また採用後のミスマッチを回避するためにも採用プロモーションには力を入れてきております。これまでの民間企業主催の合同説明会への参加ですとか、各大学への訪問も行っておりまして、平成28年度からは、市の取り組みへの理解を深め、また市役所での働き方のイメージを持ってもらうためにパンフレットを作成してきております。それをまた市のホームページに掲載するほか、大学への訪問や合同説明会等でも配布し、活用しております。また大学との個別協定を結びまして、インターンシップ生を受け入れるということもやっておりまして、実際の業務に触れてもらうことで鎌倉市役所への採用のきっかけ、こういったものもつくっております。
また平成31年度採用試験に向けましては、現在、新たなパンフレットと、あとプロモーション動画を作成しておりまして、企業や県内大学等が主催する就職説明会に積極的に参加いたしまして、鎌倉市で働く魅力や就職活動中の学生等が必要としている情報を効果的に提供していきたいなと考えております。
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○12番(久坂くにえ議員) 今、いろんな手法をお伺いしました。新たなパンフレットですとか合同の説明会、そしてインターンシップの受け入れなどさまざまな手法を行っていただく、そして今後もやっていただくことを伺いましたけれども、本当に鎌倉市でも思い切った、本当にとがった採用革命と言われるぐらいのことをしても、本当にそのぐらいしないと、やっぱりもうほかの自治体ですとか民間企業に競り勝てないんじゃないかというのは私ちょっと危機感を持っておりまして、そのぐらいの勢いでぜひお願いしたいと思います。
冒頭も申し上げましたけれども、売り手市場の中、いかによい人材を確保して、そして鎌倉市の持つビジョンに合致した取り組みを展開できる職員として育成していくというのは、鎌倉市が持続可能性の高い自治体でいるためには大命題だと思っております。とりわけ入庁していただいた後の新人期におきましては、その後の方向性を決定づける大変重要な時期の一つだと考えております。民間におきましても、やはり新人期には手厚い研修やOJTなど実施して、集中して育成すべき期間としております。
現在、鎌倉市で実施をされております新人研修は、3日間もしくは4日間で日数的にはかなり短期なんだなとは思ったんですけれども、やはりその背景には、その研修を終えた後すぐにでもやはり現場に配置をしていただいて、少しでも仕事をしてほしいという切実な現場の声もあるということで、本当になかなか余裕を持った研修というのは難しいんだ、新人の方に対しては難しいんだなと思ったんですけれども、ともあれ、この新人研修の実施の後には本当に配属、そしてOJTが実施をされていると伺っております。OJTにおきまして、新人の方に誰が教えるかという教育係の方が明確になっておりまして、またその教える人に対してどう教えるべきかとか、どう接するべきかというような研修も行われているということを伺っておりますけれども、このOJTにメンター的な役割が加味できないのかということを伺いたいと思います。
というのは、OJTとは異なりまして、本来メンター制度というのは、職務上の質問のみならず、その人が抱えている職務環境や人間関係、またキャリアビジョン、全般的にアドバイスをする役割、存在でございます。メンター制度を実施している民間企業では、離職率が低いですとか、また市役所の中でも健康福祉部で一部試行されたと聞いておりまして、なかなかよい効果があったとお伺いしております。
ここで伺うのが、今申し上げたOJTにメンター的な役割を加えて担わせることができないかということをお伺いしたいと思います。
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○松永健一 総務部長 OJTによる育成につきましては、現在、各職場において一定年数を経験した先輩職員ですとか直属の係長等を教育係として実施しております。またOJTの担当者には、職員育成、後輩指導のスキル向上が求められるとともに、今お話しになりましたメンタル面も含んだ仕事の悩みの相談、あるいはサポートといったものが必要になることから、平成29年度からはOJT研修だけではなくて、指導者に対してメンターOJTに関する研修を実施しているところでございます。精神的な悩みの解消等を支援していくということは、職員の満足度の向上ですとか離職率の低下、ひいては生産性の向上にも寄与すると思いますので、今後もそういった職場内でメンター的な対応ができるような取り組みについては進めていきたいと思っております。
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○12番(久坂くにえ議員) こうしたメンターを経験させることによって、今ございましたけれども、教える指導ですとか、サポートする力など、一種のマネジメントをやはり学ぶ機会ともなりまして、その後の教育係の方のマネジメント能力の向上も期待できるということでございます。こういったことにも配慮しながら着実に実施をしてほしいと要望させていただきます。
新人のうちにこうした研修やOJTの方から学びまして基本的な能力を身につけて日常の業務を遂行していただき、そして、やはり若手のうちから政策提案能力なるものをもう磨いていただきまして、それがやはり反映されることによってこの市役所で仕事ができるんだというような成功体験を積んでいただき、そして成長していただくというループをつくることが大事かなと思っております。
以前行われましたコンプライアンスに係る職員意識調査を見まして、ちょっと自由記入のところだったか忘れたんですけれども、やはり若手の意見が反映しづらいというような記入も一部ございまして、それも私もちょっと気になっていたところでございます。
伺うんですけれども、新人ですとか若手のうちから提案できる、それが反映される、政策提案能力を向上させる仕組みが何かあるのかということを伺います。
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○松永健一 総務部長 研修という面では、採用から経験年数の浅い職員につきましては、仕事をする上で必要となる基礎的な知識、技術、この習得が重要であるとの考えから、実務や法務の研修に力を置いてきているということが状況でございますけれども、やはり若手職員の政策形成能力向上もやっぱり今後必要になってきますので、希望に応じて政策形成能力向上の派遣研修等には若手職員の参加も認めてきているという状況でございます。
あと、他方コンプライアンスの取り組みの一環として、組織風土への提言を行うジュニアボードを設置し、若手職員からの提案を生かした組織風土づくりにも取り組んでいるところでございますけれども、今後こうした機会をふやすことで、若手職員の政策形成能力の向上を図り、研修だけではなく、こういった若手職員の意見を反映した組織づくりについても取り組んでいくことで若手職員の政策形成能力の向上、モチベーションの向上というものが図れるのではないかと期待しているところでございます。
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○12番(久坂くにえ議員) 今いろいろ伺った中で、やはり提案をしてもらって、それがやっぱり実際に生かされているんだと思えるような、求めるだけではなくて後押しするような、上司の方も含めてそういった環境をぜひつくっていただきたいと思っております。
政策提案能力の向上とともに、やはりその仕事をする力というのは、やはり実務でも培っていくということを考えれば、そういった提案能力のほかにやはり積極的に若いうちから実務的な経験をどんどん積ませていくということが大事だと思っております。
ここで伺いますけれども、具体的には、今、決裁が、例えばいろんな方がして部長まで行くみたいな何段階もあるところを、もう思い切ってもっと下のところでとめていただいて、決裁の移譲を行うことによって若手の方の責任権限を大きくして、より仕事について自立性をもって取り組める、そういった環境をつくってほしいと思いますけれどもいかがでしょうか。
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○齋藤和徳 行政経営部長 若手職員に一定の権限や決裁権を与えることは、働きがいに関する気持ちを育むこととなり、仕事に対するやる気を引き出す一つの手法として有効であると考えられます。一方、権限や決裁権を与えることは、行政としての意思決定をすることとなるため、若手職員でありましても、適切な判断力や高い責任感が求められるところでございます。制度上の課題なども含めまして、権限や決裁権を与えることというのは少々難しい面があると思われますけれども、各課が所管する業務の範囲内で裁量を拡大することなどによりまして、若手職員のやる気を醸成してまいりたいと考えております。
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○12番(久坂くにえ議員) そうですね、システム上ちょっと今難しいよというお話は伺っておりましたので、今おっしゃっていただいた裁量の拡大についてはぜひお願いをしたいと思っております。すごいちょっと難しいと思っているんですね。各課においてやっぱりいろんな仕事がある中で、どこまで裁量を持たせるのかとか、この人だったらここまで持たせてもいいだろうというふうに、やっぱりちょっとなかなかそこら辺のマネジメントについては、やっぱりその上の方の判断というのはかなり大事になってくる。システム、もうしないという限りは裁量の持たせ方はやっぱり属人的なものになってきますので、それをどう持たせていくのか、裁量を持たせる人がどう考えるのかということをぜひ全庁的に裁量を大きく持たせて、若い人を育てるんだみたいな感じで、ぜひ後押しをできるような、そういった環境をつくっていただきたいと思います。
私ども議会もいろんなことがあると批判をしたりするんですけれども、やはり裁量を持たせた後、失敗をしても、やっぱり上司の方はそれをフォローするんだぐらいの心持ちでいていただきたいかなと思っております。じゃないとやっぱり萎縮しちゃってなかなか育たないということもございますので、やはりチャレンジを持って進む人材を育てるにはどうしたらいいか、というのには、やはりいずれも寛容の心を持ちながら育成を見守るといったようなスタンスもお願いしたいと思っております。
こうして新人として配属されてから、一定の年数で幾つかの部署を経験させると伺っているんですけれども、いわゆるジョブローテーションですね。入庁後のジョブローテーションにつきましてはどのような方針で臨んでいるのかお伺いいたします。
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○松永健一 総務部長 入庁後のジョブローテーションでございますけれども、職員の適性を判断し、また、幅広い視野を持たせるためにおおむね3年から5年程度の期間で他の職場へ異動することを基本としております。複数の部署を経験させることで市役所の業務を包括的な視点で見る力を養い、また部署の関係性を把握することで将来の仕事の進め方がスムーズになるといった、こういったことも期待できるためジョブローテーションを行っているということでございます。
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○12番(久坂くにえ議員) また、こういったジョブローテーションを経る中で、みずからのキャリアを考える中で鍵となる制度と考えられるのが自己申告制度と庁内公募制度ではないかと思っております。
まずは自己申告制度の位置づけと活用状況、件数ですとか年齢層、どういったところが多いのか、そういった点についてお伺いします。
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○松永健一 総務部長 自己申告制度でございますが、翌年度の人事異動に関する職員の意向等を把握するとともに、職務上及び人事上の配慮事項、要望内容等を把握することを目的として、職員課が毎年行っているものでございます。職員課が実施しました平成30年4月1日付の人事異動についての自己申告の対象者は604人でございまして、そのうち自己申告書を提出した人数は150人、主に30歳代から40歳代の職員が利用しているというような状況でございます。
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○12番(久坂くにえ議員) またもう一つの庁内公募制度につきましては実績がある年とない年でばらつきがあるようですけれども、現在の庁内公募制度の位置づけにつきましてはどういったものなのかお伺いいたします。
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○松永健一 総務部長 庁内公募制度といたしましては、課長級昇任と係長級昇任に当たっての自己推薦制度がございます。課長級及び係長級への昇任は、人事評価で一定評価以上の者を候補者として選定しておりますが、この制度によって評価結果が水準に達していなくてもみずから昇任を希望するという意欲がある者については選考を通れば登用することという制度になっております。その目的でございますけれども、意欲の高い人材を発掘し、登用することで組織の活性化を図る、そういったようなものでございまして、直近では課長職及び係長職1名ずつ、合計2名の登用をしているところでございます。
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○12番(久坂くにえ議員) それで、先ほどまず1点目に伺った自己申告制度につきましては、30歳代から40歳代の方の活用が大きいということで、3年から5年の一定のジョブローテーションを終えて、市役所全体のことが見渡せる行政職員としての土台ができたところで、こういった制度の活用がなされている傾向があるということがわかりました。
そこで、もう一歩踏み込んで、受動的ではなくて、こういった年代の方を中心として、全ての職員の方にとってみずからキャリアプランを考える、そうした環境づくりが必要ではないかと考えております。というのも、上からこういうふうにどうですかと言われるのではなくて、自分でこの市役所においてどういった仕事をするのか、どういった分野で、またどういった立場で職務を全うしていきたいのか、キャリア形成のイメージを自分でつくり上げて、そしてこういうふうに成長したいと見通しを持つためにキャリアプランを作成してはどうかと思っております。
またそのキャリアプランを実現するに当たりましては、今伺ったような自己申告制度や庁内公募制度を積極的に利用していただきたいと思っております。とりわけ今伺った自己申告制度につきましては、対象者が六百数人ですけれども、4分の1ぐらいの活用ということで、やはりこういった制度を積極的に活用していただきながら、御自分のキャリアプランを構築するといったことをぜひ取り入れていただきたいと思っております。
これは同時に、市の中で長らく検討中でございました複線型人事ですとか、専門職型の人事といった複数のキャリアパスにつきましても、このキャリアプランをつくらせることによって、職員個人個人がどういったプランを持って仕事を今後進めていきたいのかというその志向を知ることができます。そして、こういった志向を知ることでその組織づくりも寄与すると考えておりますけれども、キャリアプランにつきましてはいかがでしょうか。
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○松永健一 総務部長 現在のキャリアプランの制度として確立したものはございませんが、今お話に出ておりました人事異動に関する自己申告や、あと人事評価制度の中でみずからのキャリアを振り返り、今後どのように成長していきたいかを考えると、そういった機会を設けているところでございます。
しかしながら、今は自分のキャリアについて深く考えていくということはモチベーションの向上にもつながりますし、また目的意識を持って仕事に取り組むということにもなりますので、そういったような意味でキャリアプランの必要性というものは強く認識しているところでございまして、今後、具体的なキャリアプランの制度構築に向けて、職員アンケートを近々に実施していきたいなと思っております。この結果を踏まえまして、より具体的にキャリアプラン制度構築の検討を深めていきたいと思っております。
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○12番(久坂くにえ議員) アンケートをしてくださるということは今伺ってありがたいなと思っているんですけれども、そのキャリアプランを単につくらせるだけではなくて、例えばロールモデルを見せてみるですとか、キャリアプランをつくったらそれを考慮、尊重した面談や人事配置に配慮するですとか、そのプランを実施することによって職員の方がそれぞれ考える自己実現を、例えば研修もそうでしょうし、キャリアプランをつくることによってこういった面があるということをぜひ一緒に打ち出しをしてアンケートを実施していただきたいとお願いをしたいと思っております。
続きまして、管理職について伺っていきます。管理職につきましては、各部下の方への裁量の持たせ方、先ほど申し上げました。そして、今それぞれの職員の方がしている業務は市役所全体の視点から見るとどういった位置づけにあるのかとか、意味づけをしてモチベーションを向上させるですとか、また、目標に対する業務の進捗状況の把握や、そして推進など本当に求められている能力がいろいろあるなと思うんですけれども、管理職の登用については、これらのマネジメント能力を評価した上で登用されているのかをお伺いします。
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○松永健一 総務部長 課長職、いわゆる管理職の候補者となるのは課長補佐でございますが、課長補佐は係のマネジメントを担う職であるとともに、課内のほかの係との連携や調整役として、文字どおり課長を補佐する役職であることから、管理職への登用に当たりましては、当然そういった課長補佐としての役割を果たしているかどうか、ここら辺を評価することになります。課長補佐の人事評価につきましては、業務の進行管理や部下への適切な指導、限られた期間内で目標を効果的に達成する具体的手順の企画立案能力など、まさにマネジメント能力がその評価の軸となっているところでございます。
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○12番(久坂くにえ議員) 昨今そういった管理職につきまして、登用されることについて消極的な方もいるという傾向も伺っている中で、今後は登用を期待する職員に対して、あらかじめもうあなたは管理職に行くんですよみたいな、あらかじめそういった心持ちを持てるようなルートをつくるですとか、今管理職になってから受けている講習を、研修などをあらかじめ受けていただいて、心づもりをしていただくとか、またこの人がルーティングをつくってルートに乗せていくことによって、周囲もこの人はもう管理職になっていくんだなと周囲の理解を得られるような、そういった環境づくりをすることも大事だと思っているんですけれども、この点に関しまして見解をお伺いいたします。
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○松永健一 総務部長 管理職としての職務は、業務の進行管理や課題解決、また部下の労務管理など複雑性や困難性を増しており、責任の重さも課長補佐とは一線を画すものと認識しております。このため、これまでのように経験だけで登用するということは難しくなっておりまして、指摘のとおり早い時期からの教育、研修、こういったものが必要であると考えております。まず役職への登用の第一歩は係長であることから、係長となった段階から管理職への登用を見据えた研修を実施し、また、先ほどお話が出ていましたキャリアパス等も、そういったことも示すことによって各職場の管理職による教育体制について体系的に整えていきたいと思っております。
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○12番(久坂くにえ議員) 本当に適正なマネジメントができる人材を配置していくことがスムーズな組織運営につきましてはかなめでございまして、こうした視点から管理職の育成といったことも行っていただきたいと思って、登用の道をつくるとかそういったことをしっかり行っていただきたいと思っております。
また今回はちょっと触れてなかったんですけれども、市役所全体が今後働き方改革という方向性の中で、テレワークの推進や業務量調査による残業の削減などを行っておりまして、こういったこともやはりマネジメントとして進めなければいけないということで、やはりこれらについてもきちんと配慮ができるような、そういった管理職を育てるというふうなことをお願いしたいと思っております。
それで、もう一つ、ちょっと私が提案したいのが地域における副業の解禁でございます。これは、通告しておりませんので、要望なので安心してください。副業に関しまして、ちょっと聞き取りをした段階では、地方公務員法に規定がないということで盛り込みをしてなかったんですけれども、私も残念ながら勉強不足でして、その後いろいろほかの自治体の取り組みを見ましたら、実際に副業を解禁している自治体が複数ございました。先ほど申し上げました生駒市ですとか神戸市で副業を解禁しております。とりわけ、生駒市におきましては、きちんとした明確な方針を打ち出しております。それは、市内、市外問わず、地域において貢献する活動。また3年以上在職している職員に限定して副業を認めているということでございます。実際に報酬を得るんですけれども、地域で活動して、そしてそのフィードバックを仕事に持ってくるといった内容でございます。そして、地域に飛び出す職員を後押しすることを狙いとしているということでございます。
先ほどの部長答弁の中でございましたジュニアボードの中で、たしかジュニアボードは3点何か提案をしていたんですけれども、ちょっと私が申し上げた意味合いとは違うかもしれないんですが、副業の提案もされてたんですよ。ですので、ぜひその職員の方の幅を広げる、そしてまた地域で動ける職員の方を後押しするといった意味で、ぜひこれも実施の検討をお願いしたいということを要望させていただきます。
ここまでちょっといろいろ伺ってきたんですが、その上で、人がいろいろいます。新人の方に入っていただきました。新人の方を育成しました。そしてまた管理職の方について伺ってきた中で、鎌倉市はどういった組織を目指すのかというようなことをちょっとお話をさせていただきたいと思います。
私の理想は、来てよし、出てよし鎌倉市という流動性の高い組織体である鎌倉市でございます。職員の方は、やはり今まではきっちりとした仕事をしなければいけない、国から、上から言われた仕事をそつなくこなさなければいけないということで、やはり同質性のある方が集まってきていたのかなと思っているんですけれども、やはりそういった方が集まっていてもやはり同じ思考に陥る傾向があるのかなと思っております。ここ数年言われておりました前例踏襲による弊害がコンプライアンスの視点からどうだったのかと指摘されながらも、やはり同じ価値観や同じ仕事のやり方をしている集合体の中では、それまでのやり方についてそれがどうだったんだろうという振り返りの判断軸を持つことは非常に難しいんじゃないかと思っております。しかし、外から来た方の外部での視点や、役所とは異なる経験を持った人材を積極的に取り入れることによって、庁内でのこれまでの価値観、そして仕事の進め方に違和感を持って変えていただくこと、また外から来た人材だからこそ、今公がやっている日常の何げない仕事にこれすごいねと価値観をやはり見出していただいて、それがもとからいた人がそんなふうに思ってもらえるんだみたいな好循環が生まれるんじゃないかと考えております。
鎌倉市におきましては、もう既に民間人材の受け入れとして、今年度は地域フィールドラボ経由による民間企業の人材の受け入れを行ってくださっておりますが、こうした取り組みが組織にどういった影響を与えるのか、どう評価しているのかお伺いします。
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○比留間彰 共創計画部長 平成28年度から一般社団法人コード・フォー・ジャパンが実施しています地域フィールドラボ、旧コーポレートフェローシップですが、これに参加いたしまして、民間からの人材の受け入れを実施しておりまして、これまでに日本電気株式会社、NECです、富士通株式会社、サイボウズ株式会社の3社から研修生を受け入れました。研修生には、3カ月という限られた研修期間で、民間ならではの視点やノウハウを生かした課題の発見と解決方法の思考や提案をしていただいたほか、現在も共創パートナーとして課題解決のための意見交換等を実施しております。民間人材とともに働くことで、市職員が民間の視点や課題解決の具体的な手法を学ぶことができ、職員にとって新たな気づきやスキルアップの機会となっており、非常に有益であると評価しております。
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○12番(久坂くにえ議員) いろんなメリットを伺いましたけれども、また同時に毎年社会人経験を持った人材の方も採用していると伺っておりますけれども、どういった視点を持って社会人の方を採用しているのかお伺いします。
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○松永健一 総務部長 職員採用の際には、在職している職員の年齢構成バランスを考慮した上で社会人採用を行っております。先ほど議員からの話にもありましたとおり、急速に社会環境が変化していく中で、自治体が変化に柔軟に対応していくには、やはり均質の職員集団だけではなく、経歴の異なる人材を組織内に取り込んでいくということも必要だと、そういったような視点も持ち合わせて実施しております。なお、平成29年度の採用試験におきましては、採用時年齢27歳までとして募集したところ、全体で30人を採用いたしまして、そのうち9人が社会人経験者でございました。
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○12番(久坂くにえ議員) 結構な社会人の採用の方が今鎌倉市役所で働いてくださっているということがわかりまして、ぜひ先ほどいろんなメリットも伺った中でやはり社会人の方にも鎌倉市はウエルカムだと思っていただけたらなと思っているんです。
ですので、こういった社会人採用につきましては、もし採用した後で処遇に差があるんでしたら改善を図り、より積極的な外部人材の登用を図るべきだと考えますけれども、この点いかがでしょうか。
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○松永健一 総務部長 初任給を決定する際には、学歴に応じた初任給に社会人での経験年数に応じた加算をしておりますが、他市との均衡の中で最高でも8割の換算率としております。したがいまして、民間で例えば5年の職歴があった場合には、市役所で4年働いたものとみなして初任給に加算するため、その点では新卒採用と差異がございます。ただし、採用時に一定の年齢に達している者につきましては、昇格に要する在級年数を短縮して前歴を反映する仕組みと、それも一方では持っておりまして、そこで新卒採用との差をできる限りカバーするようにしてございます。
人材確保が厳しさを増していく中、社会人採用の必要性を強く認識しているところでございまして、今後、近郊の他市との状況も見ながら改善に努めていきたいと思っております。
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○12番(久坂くにえ議員) 新卒と差がないようにしてくださっていると伺ったんですけれども、他市より待遇がいい方だったら待遇よくてもいいんじゃないかぐらいな感じで、本当に社会人採用の方には見ていただきたいと思っておりまして、またその年齢につきましてもまだ上限が28歳と伺っておりますので、その引き上げも検討するなど一層の取り組みをお願いしたいと要望させていただきます。
またこうした社会人の方が、今お話もございましたけれども、一定の専門的な知識や技術を生かせる、そういった方々がいる中で、その方々がお持ちの情報の蓄積に努めて生かせる環境づくりをするべきじゃないかと思っております。いかがでしょうか。
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○松永健一 総務部長 社会人採用の職員につきましては、それまで培ってきた経験を見据えて適材適所の配置に努めているところでございます。また、個人の資格やスキル、これについても職員が職務に有用な知識の習得や資格取得を支援するための奨励金制度等を設けております。今後も多様化する住民ニーズや社会環境の変化に迅速かつ適切に対応できるよう、職員の資格やスキルの支援をするとともに、その積極的な活用に努めてまいりたいと思っております。
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○12番(久坂くにえ議員) 本当に、具体的には、庁内における人材バンク的な、そういった感じぐらいの情報を蓄積していただいてその知識や経験を活用していく。またほかの人がアドバイスが欲しいなと思ったらアドバイスもらえるぐらい、誰がどういったスキルを持っているかとわかるぐらいだといいなとちょっとイメージしておりますのでお願いいたします。
また外部人材じゃないんですけれども、例えば職員の方が転職して戻ってくださるかもしれないという、元職員の方がスムーズに復職できる制度を整えて、市役所の中も外も知ってますよという、そういった人材として登用を図っていくこともいいんじゃないかと思っているんですけどいかがでしょうか。
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○松永健一 総務部長 採用につきましては、今地方公務員法に基づきまして、不特定多数の者のうちから競争によって選抜する平等取り扱いの原則により行わなければならないとされております。そのため、本市を1回退職した後に、一定の社会経験を積んで、改めて入庁を希望する場合には、形式的には再度試験を受けていただく必要がございます。しかしながら、それまでの経験により培ってきたキャリアや経験は高く評価すべきものと認識しておりますので、法的な課題はございますけれども、復職制度についても人材確保の観点から研究していくべき課題だと思っております。
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○12番(久坂くにえ議員) ぜひ、今のところは制度的にちょっと難しいけれども検討ということでぜひお願いしたいと思います。言うまでもなく多様性のある組織こそ強みがあるということで、こうした積極的な外部人材の登用を図りまして鎌倉市において活用していただく、また、鎌倉市で育った人材については、外でも十分に高く評価され引く手あまたであるような、そういった環境をぜひ整えていただきたいと思っております。
今回、質問に当たりまして鎌倉市職員育成基本方針を改めて拝見しました。平成12年に策定されておりまして、それ以来改定されてないんですね。別にと言っては何ですけど、と言えども、育成すべきところは、やっぱり市役所で働いてほしい職員像というのは、やはり昔から……改定されているんですか。職員像などは根底はやっぱり一緒ですから古びてはいないと私は思っているんです。だけれども、今申し上げてきたような、例えば今後の人材の活用に当たって、各それぞれ個々人にキャリアプランを構築していくことですとか、そのプランをつくるために資する研修の実施ですとか、自己申告制度や公募制度がキャリアプランにどういうふうに体系的に組み合わさって、それで実現されていくのかといった取り組みの示しですとか、今伺ったジョブローテーションがどういったことで行われているのか、またそういったジョブローテーションを経た先にどんな登用ができるのか、自分が鎌倉市に入ってどういった仕事ができるんだろうというように、ちょっと見通しができるような、残念だけれどそういった基本方針ではなかったんですね。ですので、鎌倉市に入れば、みずからを成長させて、先ほど申し上げた副業の話もしたんですけれども、地域のみならず社会に貢献できる、そういった人材となれると期待できる仕組みを育成方針として明確に示すことが私は必要だと思っておりますがいかがでしょうか。
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○松永健一 総務部長 職員育成基本方針では、求める人材や職員像などの大きな方針を掲げておりまして、また時代によって市役所を取り巻く環境は変わることから、実務的には毎年度採用予定者数や人事異動規模、研修計画を定めており、それに基づいた人事戦略を行っているところでございますが、こうした人事戦略を体系的に整理していくことでさらなる人材育成につなげていく必要があると思っております。
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○12番(久坂くにえ議員) 先ほど言いましたけれども、本当に鎌倉市は、入ってよし、そして鎌倉市を出てもよし。もちろん優秀な方を育てた上、優秀になってそれで出られるのは痛いんですけれども、それでもまたやっぱりまた新たに優秀な方に入ってもらう。そして鎌倉市を出ても稼いでいけるというような、鎌倉市はいわゆる人材輩出企業的な存在を目指して、そういった人材育成ができるということを対外的にもアナウンスすべきといった意味も込めて、今伺った人材育成方針につきましては見直しをしていただいて、しっかりと公表していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
最後に市長に伺います。冒頭伺いましたように、鎌倉市が今後も本当にしっかりした自治体、魅力ある自治体であるためには、やはり優秀な人材に来ていただく、そして育てていくということが欠かせません。ほかの市と同じことをしていてもなかなか難しいなと思っております。
先ほど、ちょっと同僚議員から研修の課題についてお話があったんですけれども、私は、鎌倉市は研修につきましては本当にしっかりと構築していただいておりますし、ほかの市より何かお金をかけてマネジメントとか学ばせてくれているって、すごいなと思ったんですよ、3倍とかって聞くと。鎌倉市そんなに研修にお金かけて、人材のためにお金使ってくれているんだというのは、私は本当にすばらしい取り組みだなと思いましたので、そういったこともあわせて打ち出したらどうかと思っております。
もちろん同僚議員の方が指摘されたように、その内容ですとか費用につきましてはしっかりと精査すべきだけれども、だけどやっぱり鎌倉市で働いていただく職員の方を育成して、本当にすばらしく育っていただくことは、やはり回り回って私たち市民がその対価を受け取ることができるし、やはりそういった職員の方と一緒にこの鎌倉市にいられることがうれしいなみたいに本当に思ってもらえるんじゃないかと思うんです。
ということで、市長に最後に人材方針の人事戦略についてどういったふうに思われますかということを伺いたいと思います。
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○松尾崇 市長 御提案いただきましたように、本市の人事戦略ということを体系的に理解していただくということができれば優秀な人材の確保につながっていくと思いますし、また入庁した後も自分自身の人生、キャリアプラン含めてどう考えていくかということが納得度を高くそれが共有して、自分自身の能力を磨いていくことですとか、自分のライフプランということを考えていくということがやはり可能ということは、非常に重要なことであると考えています。そういう意味からしましても、この人事戦略について、改めて体系的にこれをまとめて、しっかりと発信していくことができるようにしてまいりたいと思ってます。
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○12番(久坂くにえ議員) 本当にいい方に来ていただいて、そのいい方々が本当に鎌倉市に入って落胆することなく、この鎌倉市で仕事していくんだ、本当にそんなふうに思えるような環境をぜひともつくっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
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○議長(中村聡一郎議員) ただいま一般質問中でありますが、議事の都合により暫時休憩いたします。
(17時04分 休憩)
(17時20分 再開)
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○議長(中村聡一郎議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。
議事の都合によりこの際、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。次に、西岡幸子議員の発言を許可いたします。
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○8番(西岡幸子議員) 皆様こんにちは。本日私、7番目の質問者でございます。公明党の西岡幸子でございます。通告に従いまして一般質問させていただきます。本定例会におけるテーマは、レジリエンスと逃げる力を育むでございます。理事者におかれましては、明快なる御答弁をお願いいたします。
さて、レジリエンスと言われて、初耳という方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの方はどこかで見たり聞いたりされていると思います。
レジリエンスについては、毎年各国の政治経済、学術界、そして市民社会を代表するメンバーがスイス・ダボスに集い、開催される世界経済フォーラム、通称ダボス会議において報告されたグローバルリスク報告書2013年版のレポートに166回も登場してくるキーワードとなり、メーンテーマとして取り上げられたことにより各国で広く知られ、議論されるようになりました。
レジリエンスとは、もともと反発性、弾力性を示す物理の用語であり、和訳では再起性、再び立つの再起とも訳されることから、外からの力が加わってもまたもとの状態に戻れる力という意味で使われるようになりました。東京都市大学環境学部教授で、幸せ経済社会研究所所長の枝廣淳子氏は、しなやかな強さ、しなやかに立ち直れる力と解説しています。このしなやかな強さ、レジリエンスという概念は、生態系と心理学の分野で発展してきましたが、現在では教育、子育て、防災、地域づくり、温暖化対策などさまざまな分野で使用されるようになっており、数多くのレジリエンス向上の取り組みが展開されております。本日は防災の観点から見てまいりたいと思います。
まず初めに、本市の防災におけるレジリエンスについてお伺いしたいと思いますが、その前に防災大国として知られるキューバ、後ほど詳細についてはお話をしたいと思いますけれども、大変逃げるということに力点を置いた防災大国でございます。このキューバについて学びながら、本日防災のレジリエンス向上についてお伺いしたいと思います。
まず初めに、本市の防災におけるレジリエンスの考え方、どのように捉えているのかお伺いいたします。
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○柿崎雅之 防災安全部長 防災におけますレジリエンスの考え方でございますが、いかなる災害等が発生しようとも最悪な事態に陥ることが避けられるような強さとしなやかさを持った安全・安心な社会を平時からつくり上げていこうとすることと捉まえております。
また平成25年12月に施行されました国土強靭化基本法、これは、正式名称が強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法となっていることからも、レジリエンスの考え方が基本となっているものと理解をしてございます。
さらに、ハード対策とソフト対策を適切に組み合わせることや、自助・共助・公助を適切に組み合わせることなども基本的な考え方であると認識してございます。
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○8番(西岡幸子議員) 今、防災安全部長が御答弁くださいました国土強靭化は、ナショナルレジリエンスと言われますけれども、単にハード面を強くすることではなくて、物理的な環境はもとより、地域社会、行政など組織、システムのレジリエンスを向上させることを意味します。一人一人の市民の負うところにとどまるのではなく、自治体、地域社会、あらゆる組織がたくましく、しなやかに強く持続可能性を高めることにほかなりません。
ここで、国連も赤十字も世界的な防災モデルと称賛するキューバの取り組みについて、中村八郎、吉田太郎共著「防災大国」キューバに世界が注目するわけ」から少し御紹介をさせていただきます。カリブ海に浮かぶキューバは、人口約1200万人、国民1人当たりのGDPは日本の5分の1を下回る途上国です。世界で最も人々の命を奪っている災害は、熱帯暴風雨、ハリケーン、台風、サイクロンで、北米やカリブ海では、20世紀以降7万5000人が命を落としています。キューバは、ハリケーンの通り道に位置する国で、1932年のハリケーン・サンタクルス・デル・スルでは3,500人以上が死亡、1963年、ハリケーン・フロラでも1,126人が犠牲となっています。しかし、2001年ハリケーン・ミシェルは、国土の52%にダメージを与え、約500万人が被災するほど強烈だったにもかかわらず死者は5人、軽傷者10人、16万戸以上の住宅が破壊されましたが1年足らずで復旧されています。翌2002年、来襲したイシドレとリリは、1万8000戸の家屋を破壊、沿岸の漁村は高波にのまれ、内陸の村々も洪水で孤立し、学校や病院、水道や電気のインフラも破壊され、農畜産物でも甚大な被害が出たにもかかわらず、両ハリケーンによる死者は1人、負傷者は皆無でした。そして、ひと月足らずで水道、電気、電話は完全復旧しています。2004年、最大級のカテゴリー5の大型ハリケーン、ユアンが来襲時には、アメリカでは52人、カリブ海では70人以上が命を落としましたが、キューバは死傷者ゼロでした。2008年には二つのハリケーンが立て続けに来襲し、ハイチでは150人、アメリカでも160人の犠牲者が出ましたが、最大勢力で直撃を受けたキューバは7人でした。ハリケーンは以前より威力を強め、頻度を増しているにもかかわらず、キューバは、近年はほとんど死傷者を出さず、信じられないほどのスピードで復旧を果たしております。
このキューバでは、まず全国民の避難体制をとっておりますが、鎌倉市ではどうでしょうか、伺ってまいりたいと思います。鎌倉市民とお話、高齢者の方とでございますが、お話をいたしますと、津波災害から避難をすることを諦めているという人がいらっしゃいます。1人残らず避難をさせるといったキューバの事例のように、レジリエンスを浸透させていく必要があると思いますけれどもいかがでしょうか。
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○柿崎雅之 防災安全部長 キューバの事例御紹介いただきまして、たび重なるハリケーンでも周辺国と比べ被災者数が少なく、復元力の強い、国を挙げてレジリエンスの取り組みを進めているケースとして改めて認識いたしました。本市におきましても迅速に正確な情報をつかみ、的確に市民の方々に情報を伝えて、要支援者等を含めまして迅速な避難にこれをつなげるということは市民の皆様にもレジリエンスの考え方を浸透させていくこと、これが減災に資する上では非常に大事なことだと考えてございます。
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○8番(西岡幸子議員) 具体的に何をしているのかということでございますが、まずキューバの場合にはどこが脆弱なのか、何をしたらいいのかということをまず予測と、それから情報伝達、きちんとした正確な情報を伝達をしている、その情報をもとに行動をする、避難行動をとるということでございます。
キューバでは、具体的に迅速かつ効率的な避難体制をつくるために、ハリケーンが来襲するシーズンの前に学校や工場で避難、救助活動のリハーサルを実施しています。これは2日間かけて行っております。自分たちの逃げる道のどこが危ないのか、脆弱なところはどこなのかということをきちんとまず1日目にチェックして、そして避難をするということを訓練をしています。小学校では防災の授業が実施されます。こういったことによって脆弱な組織、場所をみんながチェックして、そして一人一人が逃げる体制ができる。鎌倉市ではどうなっているかお伺いいたします。
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○柿崎雅之 防災安全部長 市内にお住まいの方々がお住まいの地域や御自分の行動範囲にどういった自然災害リスクが存在するのかということを平時から把握していただくために平成28年8月に津波洪水、内水、土砂災害の危険箇所を一つにまとめた地域別危険箇所マップを作成いたしまして市内を6分割して該当のエリアの各御家庭に配布をしたところでございます。
また各自治会、町内会や小学校ブロックにおきまして、地域の災害リスクの実情に応じた訓練を実施しているところでございます。各訓練には、防災安全部の職員、それから消防職員、あるいはミニ防災拠点担当職員が参加しまして、地域の特性を踏まえた危険箇所等のリスクを地域の方々と共有しているところでございます。
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○8番(西岡幸子議員) この地区別危険箇所マップについては提唱させていただきまして、おつくりいただきましたけれども、まずこの危険箇所マップ、プラスもう一重詳しいリスク、脆弱なところはどこなのか、そしてどうやって逃げるのかということを一人一人、自分の地域で住んでいる人たちが共有し合って、そして逃げることができる、それは家族でお一人お一人、また家族であったり地域であったりさまざまな単位が考えられるわけでございますが、そういった地区別危険箇所マップとともに、もう一重詳しい自分の危険なところはどこなのか、そして自分はどこをどう逃げたら一番いいのかということを皆さんお一人お一人が自覚ができるような、そういった防災の訓練にならなければ意味がないというところでございます。今やっていただいているのは大変よく努力をしていただいていることは存じ上げておりますけれども、今一重、お一人お一人が真剣にこの防災ということを考えられるような訓練にしていかなければいけないのではないかと、私はこのキューバの事例を通して感じました。
既に沿岸部の全世帯に配布した津波避難経路マップについて市民のお一人お一人が避難を自分のこととして捉えることが必要であると考えます。この点についてはどうお考えでしょうか。
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○柿崎雅之 防災安全部長 議員おっしゃるとおり、災害時におけます避難行動に際しましては、自助の観点から自分ごととしての意識を持ちまして、対応することが重要であると考えてございます。御紹介の津波避難経路マップの作成に当たっては、平成28年3月にワークショップを行い、地域の方々の御意見を取り入れて作成していることから、発災時に身を守るべく危険箇所を避け、適切に避難できる避難経路や日ごろからの準備の重要性を再認識し、自分ごとの意識も入れて作成されたものであると認識をしているところでございます。
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○8番(西岡幸子議員) 鎌倉市の場合は、大変作成するところまではすばらしいと思いますけれども、それが本当にどのように役に、皆さんの中に自分ごととして捉えていただき、実際の逃げるといった行動に出る、役に立つか、身についているかというところのチェックがまだできていないわけですね。PCDAとよく言われますけれども、防災についても同じことが言えると思います。特に常識的にそういった間接的な情報というのは、それを出せば逃げる、例えば防災の行政無線等たくさんございますけれども、逃げるということを考えられながらもその行動に結びつかない。これは山梨大学の教授がおっしゃっていましたが、人は目の前の危機からは身を守るために逃げる、その選択をするけれども、警報などの間接的な情報、またこういったマップ等配られておりますけれども、そういった間接的な情報は必ずしも直接避難行動の動機づけにはなりにくい。加えて、人には一般的に都合の悪い情報を過小評価して自分は大丈夫だと思い込む、そういう心理特性があるということでございます。そうしたときに、この避難マップが、せっかくここまでのものができているわけでございますので、これが皆さんに、鎌倉の市民にとって、特に沿岸部のこの津波避難経路マップでございますので、皆様に大切に保存をしておくのではなくて、常に自分の頭の中に置いて、もう自分はここをこのように逃げたら大丈夫なんだというところまで市民お一人お一人が自覚をしていただけるような、そういった作戦を考えていただきたいと思います。
それでは、鎌倉市の津波避難計画によると、津波の浸水区域内には4万5345人いらっしゃいます。このうちの避難困難地域には8,944人もいらっしゃいます。改めて今回一般質問をするのに当たり、この鎌倉市の津波避難計画を読みました。そうしたときに、この浸水区域には4万5345人もいらっしゃる。そしてさらには避難困難地域には9,000人近い人がいらっしゃるということに驚きました。こういった地域の避難をどのように考えているのでしょうか。
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○柿崎雅之 防災安全部長 避難対象区域内での円滑な避難行動を支援するため、新たに建設される建物につきましては、津波避難ビルの指定に協力を求めるとともに、地域におけます避難経路の確保など、各種安全対策に取り組んでいるところではございます。津波浸水区域内の避難区域内に建設した公共施設には、平成29年2月の鎌倉消防署腰越出張所、平成29年9月の由比ガ浜こどもセンターがありまして、津波避難ビルとしての機能を持たせ、緊急時の避難場所の確保を図っているところでございます。同時に、避難対象区域内の自治会、町内会、自主防災組織等は津波避難経路マップ等を活用いたしまして防災訓練を実施するなど、津波避難に対する意識を高め、迅速な避難ができる体制を整えていただくよう引き続き周知をしてまいりたいと考えてございます。
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○8番(西岡幸子議員) 確かに努力をしていただいて、平成29年2月には鎌倉消防署腰越出張所ができ、そして平成29年9月には由比ガ浜のこどもセンターが津波避難ビルとしてできました。こういった避難をするところ、あそこに避難をしようと市民が思える、あそこに行けば大丈夫なんだと思えるところがどれだけあるのかというところが一番大事でございます。市民が鎌倉市は何もしてくれないと思ってしまったら最後でございますので、こういった努力を続けていただきたいと思います。
そしてまた自治会、町内会、自主防災組織はその防災訓練に力を入れておりますけれども、その防災訓練についても、同僚議員から御紹介がございましたように、この地域は職員の誰が担当するのか、あそこの地域よりもこちらの防災訓練が進んでいるよと、あそこの防災訓練のこんなところはいいね、自分のところにもこうやって取り入れていこうと、そういった思いで防災訓練を皆さんが競い合いながら行えるような、そんな鎌倉市になったら、この津波避難区域、浸水区域の方々も、もっともっと希望を持っていられるのではないかと思います。
一番先に申し上げましたけれども、この津波浸水区域にお住まいの御高齢の方と何人もお話をさせていただきましたが、そのうちのお一人、お二人ではございませんでした、「私はもういいのよ」といったような御発言がございましたので、これではいけないと思いまして、今回こういった質問をさせていただいております。
そして、津波の到達まで最短で8分間と想定をされております。この災害弱者の避難可能距離はわずか180メートルとのことでありますけれども、その対策をどのように考えているのかお伺いいたします。
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○柿崎雅之 防災安全部長 本市の津波避難計画におきましては、議員御紹介のとおり最短で8分後に津波が到達する想定としておりまして、避難の開始時間、これは地震発生の5分後としておりますことから、避難時間は実質3分間としているところでございます。歩行の速度1秒当たり1メーターといたしまして、3分間180秒の間に移動できる距離は180メートルとなるところでございます。このように、避難時間に余裕がない想定ではありますが、避難開始までに要する時間を短くすることによりまして、避難行動に充てる時間が長くなることから、素早い避難行動を開始することの重要性について、各訓練等を通じて意識啓発を行っていくことが非常に大切なこととなると考えてございます。
災害弱者の方々への対応といたしましては、まず津波浸水設定区域内の弱者施設の方々に対しましては、各所管部局を通じて避難体制を整備するよう促しているところでございます。
また在宅の避難行動要支援者に対しましては、自治会、町内会を初めといたします地域の支援組織に該当者の名簿を配付し、地域における支援協力をお願いしているところでございます。この取り組みの中で、発生時の声かけ等により、少しでも早い避難行動に結びつけることも期待できるものではないかと考えているところでございます。
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○8番(西岡幸子議員) 地震発生から5分後を避難開始と見ている、5分間のタイムラグがあります。これが大変大きいですよね。これを1分でも縮めること、その努力が必要であると思います。8分間あるうちの3分しか使えないわけですから、これが4分になり、5分になったときには本当にどれだけ多くの人の命が助かるかということでございますので、そういった意味では、今の情報伝達のタイムラグというのは、もうこれ以上短くすることはできないぐらいの正確性を誇っているということでよろしいのでしょうか、今は。もしこのタイムラグを縮めるとしたら、これは情報を受ける側が努力するしかないのか、情報を発信する側の努力がまだできるのか、ちょっとそこをお伺いいたします。
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○柿崎雅之 防災安全部長 まず、津波に関して言えば、Jアラートが一斉に流れますので、これに関しては情報は即座に伝えられるということになってございます。ですので、即座に伝えられた情報に基づきまして、即座に避難行動を起こしていただく。ここの間には、情報の伝達にはタイムラグがそれほどないと感じております。そういった意味におきまして、災害時におきましては、市民の皆様等が安全に避難するために迅速かつ確実な情報が提供できるように防災行政無線による周知のほか、防災安全情報メール、あるいはホームページ、消防テレホンサービス等さまざまな手段による情報提供を行っているところでございます。先ほど申し上げましたように、津波警報等はJアラートを通じまして自動的に防災用行政無線で放送されまして、それと同時にエリアメールも配信される仕組みとなってございます。
また本年、平成30年10月1日から、市ホームページのトップに新たに防災気象情報、鎌倉市の天気のバナーを設けまして、防災気象情報がより入手しやすくなるよう対応を図ったところでございます。引き続き、迅速かつ正確な情報提供に努めるとともに、情報の受け手であります市民の方々への意識啓発をさらに行っていきたいと考えてございます。
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○8番(西岡幸子議員) それともう1点、180メートルが3分間で逃げられる距離と想定をされているんですけれども、逃げ地図の場合には129メートルと3分間で想定をされているんですね。この180メートルというのは、かなり129メートルと差があるものですから、どちらを信用していいのかというところをちょっとお伺いしたいと思います。
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○柿崎雅之 防災安全部長 先ほど申し上げました、歩行速度1秒当たり1メーターとしております。これは、高齢者の方々等のゆっくり歩くという角度の観点から示したものが国として1秒当たり1メーターとされてますので、この180秒という数字は公式にどこの自治体も使っている、1秒間に1メーターということは使っている数値だと考えてございます。ただし、災害弱者の方々にとりましては、これ以上このスピードで歩けない方々も多分いらっしゃることと思いますので、その際にはやはり先ほど申しましたように、避難行動の要支援者の方々の周りにいる地域の方々、こういったものの共助の観点によって支援をしていただくことによって、素早い避難行動につなげることが肝要かと考えてございます。
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○8番(西岡幸子議員) 180メートルということで、全国的に採用をされているこの数字であるということでございました。逃げ地図の129メートルというのは、民間の会社がつくっている逃げ地図の想定の距離でございまして、かなり歩行の難しい方を想定をしてつくったものであると考えます。鎌倉市の場合には老人の自由歩行速度、群衆速度、地理不案内者歩行速度等、いろいろな観点から考えられているとこの津波避難計画には書かれておりますので、この180メーターという数字を信頼していいのかと考えます。とにかく何に対しても正確な情報、迅速な情報がまず災害の場合には一番大事で、その情報をいち早く流し、またキャッチをして避難行動に出るというところでございます。
次に質問をさせていただきます。1人も取り残さない体制づくり、これは1人も残さないというのはSDGsのキーワードでございますけれども、このキューバの防災体制は、これはもう国を挙げてやっているわけでございます。1人も取り残さない体制づくりとして、津波や豪雨災害に対する避難対策、その予測をいかに早く、今、防災安全部長お答えいただきましたけれども、いかに早く正確に情報を伝えられるかが重要と考えます。鎌倉市の情報伝達機能については、部長お答えいただきましたので、引き続き迅速かつ正確な情報提供に努めていただきたいと思います。
そして、要支援者名簿の配付状況について、これは大変問題もある名簿でございますので、全市及び沿岸部の状況についてお伺いいたします。
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○柿崎雅之 防災安全部長 要支援者名簿の配付状況でございますが、平成29年度実績におきましては、提供団体数で見ますと、全市では184団体中126団体が受領をしていただきまして、68.5%。一方、沿岸部に限って言いますと53団体中35団体が受領をいただきまして66%でございます。提供済み人数で見ますと、全市では76.1%でございますが、沿岸部では82.8%であります。平成30年度の名簿につきましては、現在順次提供をしているところでございます。受領した名簿をもとに、地域をブロック分けしまして、複数人の支援者を設定している自治会、町内会もございますが、取り組みに温度差があるため、名簿の活用に対する意識の向上が今後の課題であると考えておりまして、機会を捉えまして先行事例の紹介などを行い、活用を促してまいりたいと考えてございます。
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○8番(西岡幸子議員) 確かに、この要支援者名簿は、渡された自治会長たち、また地域の方々、大変重く受けとめて、困っていらっしゃるのが実情でございます。この名簿を使うことによって、その正確な情報を早くキャッチして、その情報をまず流すことが可能であり、例えば8分であったらそれは難しいことかもしれませんけれども、それが20分、30分そして1時間とその予測ができるような台風の状況であったり、命を助けることができる、そういった名簿として使うことができますので、これはその意義をしっかりと訴えていただくとともに、こういった状況のときに使っているところがこういうふうに使われているよという、その成功事例をお話していただきたいと思います。その名簿を持っている方が責任に押しつぶされてしまうのではなくて、これで自分たちの地域の方々の大変なときに、みんなでお一人お一人を支えることができると、そういう地域のきずなのもとになるような、そういう要支援者名簿となればこれはベターだと思います。なかなかベストに持っていくのは難しいかもしれませんけれども、今、全市で76.1%が提供済みであるということでございます。また沿岸部ではそれだけ需要が高くて82.2%ということでございますので、その名簿が有効化されるようにどうしたらいいのかというところでお知恵を絞っていただきたいと思います。
このキューバの場合でしたらば、やはり国の体制が違いますので、これは国を挙げての防災支援体制、市民防衛軍というような形で逃げる体制をつくっております。それがこの鎌倉の場合にどのようにできるのか、またイコールではありませんけれども、どれだけお一人お一人に寄り添った避難の体制が組めるのか、もう一度考えてまいりたいと思います。
それでは、きょう最後の質問にいたします。沿岸地域の避難対策として、新たな視点での取り組みは検討されているのか。また危険なところへは住宅の建設ができないようにするといった対策が必要ではないか、この点についてお伺いいたします。
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○柿崎雅之 防災安全部長 沿岸地域の避難対策といたしましては、鎌倉市津波避難計画に基づきまして、平成29年度に本市の津波避難誘導標識につきまして、適正かつ効果的な配置を行うべく設置箇所、構造、設置数量、サイン条件、概算事業費等を検討したところでございます。これに基づきまして、平成30年度は長谷地区におきまして当該津波避難標識の整備を現在進めているところでございます。また、材木座地区の皆様と市との間でまちづくりの観点を基軸といたしまして、津波避難対策も含めた地域課題の解決を目指した協議が現在行われておりまして、中長期的ではありますが、新たな視点に基づく取り組みが期待されるものであると考えてございます。さらに、平成23年12月に交付された津波防災地域づくりに関する法律に基づきまして、神奈川県におきましては、津波災害警戒区域、これに指定する準備が現在行われております。この指定により津波災害特別警戒区域となりますと、要配慮者利用施設等に対して一定の開発行為、建築の制限をすべき区域となることを申し上げます。
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○8番(西岡幸子議員) 一般住宅に対してはどうでしょうか。
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○柿崎雅之 防災安全部長 先ほど申し上げました津波災害警戒区域、これの指定に当たりましては、まず県と市が事前調整を行い、協議が整った段階で、事前に広報等で関係住民の方々や関係団体に通知した上で説明会を実施することとされております。また、指定後におきましては、県ホームページや県土木事務所、市役所等で図面を閲覧することができるよう取り計らうこととされております。こうした手順により、一般の方々に周知を図る機会は確保されているものと考えておりますが、一般住宅の取り扱いについては、その後市と県で調整をしまして、規制をかけるかどうかは今後決めていくことになると思います。
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○8番(西岡幸子議員) 重要事項説明書等に書くなり、お一人お一人がこの地域はこういうところなんだと、そういうところに住宅を建てようとしているんだということがわかるようにしていただきたいと思います。
きょうの質問はここまでとさせていただきます。
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○議長(中村聡一郎議員) お諮りいたします。ただいま一般質問中でありますが、本日の会議はこの程度にとどめ、延会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
(「なし」の声あり)
御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決しました。
なお、残余の日程については、明12月11日午前9時30分に再開いたします。ただいま御着席の方々には改めて御通知いたしませんから、御了承願います。
本日はこれをもって延会いたします。
(17時57分 延会)
平成30年12月10日(月曜日)
鎌倉市議会議長 中 村 聡一郎
会議録署名議員 久 坂 くにえ
同 森 功 一
同 安 立 奈 穂
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