平成30年 6月定例会
第4号 6月18日
○議事日程  
平成30年 6月定例会

          鎌倉市議会6月定例会会議録(4)
                                      平成30年6月18日(月曜日)
〇出席議員 26名
 1番  千   一   議員
 2番  くりはらえりこ 議員
 3番  竹 田 ゆかり 議員
 4番  中 村 聡一郎 議員
 5番  志 田 一 宏 議員
 6番  長 嶋 竜 弘 議員
 7番  武 野 裕 子 議員
 8番  西 岡 幸 子 議員
 9番  日 向 慎 吾 議員
 10番  飯 野 眞 毅 議員
 11番  池 田   実 議員
 12番  久 坂 くにえ 議員
 13番  森   功 一 議員
 14番  安 立 奈 穂 議員
 15番  高 野 洋 一 議員
 16番  納 所 輝 次 議員
 17番  永 田 磨梨奈 議員
 18番  高 橋 浩 司 議員
 19番  山 田 直 人 議員
 20番  前 川 綾 子 議員
 21番  河 村 琢 磨 議員
 22番  伊 藤 倫 邦 議員
 23番  保 坂 令 子 議員
 24番  吉 岡 和 江 議員
 25番  大 石 和 久 議員
 26番  松 中 健 治 議員
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〇欠席議員 なし
     ───────────────────────────────────────
〇議会事務局出席者
 事務局長        大 隅 啓 一
 次長兼議事調査課長   木 村 雅 行
 議会総務課長      茶 木 久美子
 議事調査課課長補佐   笛 田 貴 良
 議事調査担当担当係長  窪 田 敬 司
 書記          美 田 浩 平
 書記          片 桐 雅 美
 書記          菊 地   淳
 書記          鈴 木 麻裕子
     ───────────────────────────────────────
〇理事者側説明者
 番外 1 番  松 尾   崇  市長
 番外 2 番  小 礒 一 彦  副市長
 番外 5 番  比留間   彰  共創計画部長
 番外 21 番           文化財部長
         桝 渕 規 彰
 番外 6 番           歴史まちづくり推進担当担当部長
 番外 7 番  齋 藤 和 徳  行政経営部長
 番外 8 番  松 永 健 一  総務部長
 番外 11 番  進 藤   勝  こどもみらい部長
 番外 12 番  内 海 正 彦  健康福祉部長
 番外 13 番  石 井 康 則  環境部長
 番外 14 番  前 田 信 義  まちづくり計画部長
 番外 15 番  服 部 計 利  都市景観部長
 番外 16 番  樋 田 浩 一  都市整備部長
 番外 19 番  安良岡 靖 史  教育長
 番外 20 番  佐々木   聡  教育部長
     ───────────────────────────────────────
〇議事日程
               鎌倉市議会6月定例会議事日程(4)

                               平成30年6月18日  午前9時30分開議

 1 一般質問
 2 報告第1号 交通事故による市の義務に属する損害賠償の額の決定に係る ┐
         専決処分の報告について                 │
   報告第2号 交通事故による市の義務に属する損害賠償の額の決定に係る │
         専決処分の報告について                 │
   報告第3号 交通事故による市の義務に属する損害賠償の額の決定に係る │
         専決処分の報告について                 │
   報告第4号 交通事故による市の義務に属する損害賠償の額の決定に係る │
         専決処分の報告について                 │
   報告第5号 道路管理に起因する事故による市の義務に属する損害賠償の │市 長 提 出
         額の決定に係る専決処分の報告について          │
   報告第6号 道路管理に起因する事故による市の義務に属する損害賠償の │
         額の決定に係る専決処分の報告について          │
   報告第7号 継続費の逓次繰越しについて               │
   報告第8号 繰越明許費について                   │
   報告第9号 繰越明許費について                   │
   報告第10号 事故繰越しについて                   │
   報告第11号 事故繰越しについて                   ┘
 3 議案第1号 鎌倉市市税条例の一部を改正する条例の制定に関する専決処 ┐
         分の承認について                    │
   議案第2号 鎌倉市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の保育料 │
         等に関する条例の一部を改正する条例の制定に関する専決処 │
         分の承認について                    │同     上
   議案第3号 鎌倉市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営 │
         に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定に │
         関する専決処分の承認について              │
   議案第21号 平成30年度鎌倉市一般会計補正予算(第1号)に係る専決処 │
         分の承認について                    │
   議案第25号 工事請負契約の締結に関する専決処分の承認について    ┘
 4 議案第4号 市道路線の廃止について                 ┐同     上
   議案第5号 市道路線の認定について                 ┘
 5 議案第6号 工事請負契約の変更について                同     上
 6 議案第7号 物件供給契約の締結について                同     上
 7 議案第8号 施設管理に起因する事故による市の義務に属する損害賠償の  同     上
         額の決定について
 8 議案第10号 不当労働行為救済申立事件の和解について          同     上
 9 議案第9号 緑地管理に起因する事故による市の義務に属する損害賠償の  同     上
         額の決定について
 10 議案第12号 鎌倉市市税条例の一部を改正する条例の制定について     同     上
 11 議案第13号 鎌倉市子ども会館条例の一部を改正する条例の制定について ┐
   議案第14号 鎌倉市子どもの家条例の一部を改正する条例の制定について │
   議案第15号 鎌倉市放課後子どもひろば条例の一部を改正する条例の制定 │
         について                        │同     上
   議案第16号 鎌倉市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準 │
         を定める条例の一部を改正する条例の制定について     │
   議案第19号 鎌倉市パチンコ店等の建築等の規制に関する条例及び鎌倉市 │
         災害派遣手当等の支給に関する条例の一部を改正する条例の │
         制定について                      ┘
 12 議案第17号 鎌倉市介護保険条例の一部を改正する条例の制定について  ┐
   議案第18号 鎌倉市後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例の │同     上
         制定について                      ┘
 13 議案第11号 鎌倉市生産緑地地区の区域の規模に関する条件を定める条例  同     上
         の制定について
 14 議案第20号 平成30年度鎌倉市一般会計補正予算(第2号)        同     上
 15 議案第22号 鎌倉市教育委員会の委員の任命について           同     上
 16 議案第23号 鎌倉市公平委員会の委員の選任について           同     上
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〇本日の会議に付した事件
  1 一般質問
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                   (出席議員  26名)
                   (9時30分  開議)
 
○議長(中村聡一郎議員)  定足数に達しましたので、これより本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、配付いたしましたとおりであります。
 会議規則第142条の規定により、本日の会議録署名議員を指名いたします。14番 安立奈穂議員、15番 高 野洋一議員、16番 納所輝次議員にお願いいたします。
     ────────────〇─────────────〇────────────
 
○議長(中村聡一郎議員)  日程第1「一般質問」を6月15日に引き続き行います。
 次に、吉岡和江議員の発言を許可いたします。
 
○24番(吉岡和江議員)  それでは、通告に従いまして、共生社会と福祉、暮らし、健康づくりの充実について質問させていただきます。このことにつきましては、何度か質問しておりますけれども、改めまして市長の見解を伺いたいと思います。
 市長は、公約でも共生社会、特に共生条例の設置、また平成30年度予算の提案説明でも自助・互助・共助を強調されておりました。市長の考える共生社会とはまず何なのか。その点について伺いたいと思います。
 
○松尾崇 市長  お互いに異なる人格、個性、多様な生き方など、それぞれがその違いを認識して尊重し合いながら、ともに支え合い生きていくことで子供からお年寄りまで何らかの困難を抱えている人も含めて、全ての人が生き生きと楽しく暮らせる社会と捉えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  ともに支え合って、お互いを認め合って生きるという、共生のあり方は大事なことだと私も思っております。その上で、市長が平成30年度の予算提案説明では、自助・互助・共助、このようにおっしゃってますね。自助・互助・共助の精神を高め、町で起こるさまざまな出来事を自分ごととして捉え、考え、行動する人材をふやし、いつまでも安全で安心に暮らせるまちづくりを進めていくとしております。市長がおっしゃる、市長という立場で、自助・互助・共助ということは、どのようにお考えでしょうか。
 
○松尾崇 市長  まず自助とは、住民一人一人、また家族がみずから働き得た収入等によって生活をして、また健康に留意して活動する。または民間のサービスを利用するなどして抱えている課題ということを自分自身や家族で考え、解決しようと努めているという状況であると考えています。
 互助とは、地域社会で生活する上で、自助のみでは解決できない課題を抱えるときに、住民同士の協力ですとかボランティアの活動などによって、相互に助け合うことであると考えています。
 また共助とは、介護保険や医療保険などの制度化された相互扶助の仕組みのことと考えているところです。
 
○24番(吉岡和江議員)  市長が、それを自分ごとのようにということは、市民に例えば自助・互助は、特に助け合いとかそういうことは強制するものではございませんよね。お互いにそれは自主的にやっていくことだと思うんですね。強制というのは、ともに生きるほうの共生ではなく。いわゆる強いていくということの意味ですけどね。
 そうすると、確かにお互いに支え合ったりするということは非常に大事なことですし、共生社会ということでいけば、お互いの違いを認めて、それを日常の暮らしの中でお互いに、作法というんでしょうか、ルールというんでしょうか、そういうものをお互いに学びながら暮らしていくことだと私も思うんです。ただ、市長はこの間、このときに、市長としていわゆる公助ということは何もおっしゃらなかったわけです。市長ですからね。今、自助・互助・共助、それをいろんな目で支えていく上での公助の役割。そこら辺の兼ね合いについて市長はどのようにお考えですか。
 
○松尾崇 市長  自助・互助・共助の精神を高めまして、さまざまな出来事を自分ごととして捉え、考え、行動する人材をふやしていくということが重要であると、ここを強調しているところでございますけれども、これは公助とともに、こうしたそれぞれの自助・互助・共助・公助ということを高め合うということが大切な視点であると考えています。
 
○24番(吉岡和江議員)  答えてないんですよ。高め合うのはいいんです。それはお互いに、そういうことをやっていくことは大いに大事なことです。しかし、市長は公の人なんですから。そのときにそういう問題を、いわゆる公的な役割としてはどのようにお考えになっているのか。その辺の位置づけを伺ってるんです。
 
○松尾崇 市長  いわゆる公的な支援というところにつきましては、住民の生活基盤ということを支えていく制度であると考えておりまして、国もしくは自治体が責務を持つということはとても重要な部分であると考えています。
 
○24番(吉岡和江議員)  一般論で言わないで、市長はいわゆる市民には自分ごとでやりなさいよとおっしゃっている。市長という公的な立場でいけば、それを自分ごとで考えるならば、公の立場での支援、やり方が非常に大事だと思うんですよね。その辺は共通認識でよろしいんですね。
 
○松尾崇 市長  自治体が責任を持って、こうしたさまざまな公助といわれる部分での施策を実施していくということが重要であるという認識です。
 
○24番(吉岡和江議員)  ということは、市民にも、職員にも自分ごととおっしゃってるようですけれども、市長みずからがそこを捉えて公的な責任を果たすということで理解してよろしいですか。改めて伺います。
 
○松尾崇 市長  はい。そのとおりでございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  さあそれが、じゃあ市民の生活の実態、どのように考えているのか。市民がどのような現状の中で暮らしていくのか。そこをきちっと見るということが非常に大事だと私は思っております。その中で幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、市民の所得の変化、低下していると私は思っておりますが、貧富の差の拡大が全国的にあると思います。例えば、介護保険が始まったのは平成12年。2000年でございました。その始まったときと比べて、今の鎌倉市民の生活実態、収入実態、それについて伺いたいと思います。
 
○松永健一 総務部長  給与所得者1人当たりの平均給与収入額でございますけれども、介護保険制度が始まりました平成12年度が約615万円。平成29年度は、これが約580万円と約35万円の減少となっております。
 次に、給与収入の階層別で見ますと、収入額が200万円以下の給与所得者の構成割合は、平成12年度が全体の約12.4%でございました。これが平成29年度になりますと、約16.8%で4.8%の増加となっております。この階層の平均給与収入額は、平成12年度が約130万円。平成29年度が約123万円と7万円の減少となっております。また、収入額が2000万円を超える給与所得者の構成割合でございますけれども、平成12年度が全体の約1.8%、平成29年度が全体の約1.7%と0.1%の減少となっておりますが、この階層の1人当たりの平均給与収入額は平成12年度が約3130万円。平成29年度が約3448万円で318万円の増加となっております。
 
○24番(吉岡和江議員)  所得格差が大変広がっていると。いわゆる所得の多い方は収入がふえ、平均的には収入が減っているという現状を確認いたしました。
 それでは、所得が年々減少している中で、社会保障を受けるための負担がふえていると認識しております。特に国民健康保険は、国民皆保険制度の最後の受け皿の役割を担っております。加入者の負担は相変わらず重いままと考えております。そのような段階の中で、国保にはどのような方が加入しているのか、まず伺いたいと思います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  国民健康保険は、他の健康保険に加入しない方がお住まいの市町村で加入するものでございます。自営の方、無職の方などが多く、特に無職の方は全国統計では約4割を超える状況となっております。国民健康保険は、企業退職後に加入された方が多く、他の健康保険と比較して高い年齢構成で、一般に医療費は年齢が高いほど水準が高いため、他の健康保険と比較すると医療費水準が高くなるような構造的な問題を抱えているところでございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  国保の加入者は事業、いわゆる商店主とか年金暮らしだけではなく、今いわゆる労働者の方も4割という形で変化しているということでございます。
 それでは、国保加入者の現状について伺ったんですが、この方たちの負担ですね。収入に応じての負担にならなきゃいけないんですが、その負担の関係がどうなっているのか。そして保険料が払えなくなっている実態はどうなのか。その辺について、まず状況を伺いたいと思います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  ここ数年、被保険者数や、その所得金額がともに減少しているところですが、国民健康保険料率の上昇に伴い、所得に占める保険料の割合はふえているところでございます。平成12年当時の保険料は、1人当たりが約9万38円で、所得に占める保険料の割合は6.4%でございます。平成30年度の見込みでございますが、国保の保険料は一人あたりが12万1021円で、所得に占める保険料の割合は10.8%となっております。
 保険料が払えなくなっている状況でございますが、滞納者の生活事情に適した把握に対応しているところではございますが、それでも平成29年度は約3,300世帯において、約4億4000万円の滞納がある状況でございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  それでは、介護保険制度が先ほど開始されたのが平成12年度でございますが、そのときと比べて介護保険料はどの程度上昇しているのか伺います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  65歳以上の第1号被保険者の介護保険料でございます。3年ごとに改定しておりますが、平成12年度から平成14年度までの第1期では、基準額が月2,660円でございます。平成30年度から32年度までの7期では、月額が5,464円となり、約2.05倍となっております。
 
○24番(吉岡和江議員)  介護保険料というのは、年金から基本的には天引きされておりますけれども、年金の少ない方は普通徴収で御自分で払ってる状況だと思うんですね。そういう点で、介護保険料の滞納者はそういう方たちだと私は認識しているんですが、介護保険料の滞納状況はいかがでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  介護保険の滞納状況でございます。平成26年度が6411万円、平成27年度が6014万円、平成28年度は6067万円となっており、推移としては横ばいの状況でございます。
 滞納の実態でございますが、年金から差し引かれて納付する特別徴収には滞納はなく、議員御指摘のように、自主的に納付される普通徴収の方が滞納が主になっております。理由といたしましては、被保険者の死亡による徴収不能や生活困窮によるものが大半を占めている状況でございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  いろいろな現状は、さまざまございます。今回はその現状を言っていただいたんですけれども、それ以外にも、就学援助金が10年前と比べると約2倍になっているとか、いろんな数値があると思います。そういう中で、市民が本当に安心して暮らせる共生社会をつくっていくという意味で、今の市民の皆様が何を望んでいるのか。どういう問題があるのか。それについて、市としてどのように考えていくのかというあたりを質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、市長も健康長寿ということを、ずっと言っていらっしゃいます。大事なことだと思います。そういう点では、健康づくりのためには病気の早期発見、早期治療が大切であると考えております。その中で、私もいろんな観点で健康づくりについては、この間質問させていただきました。がん検診の内容の改善とか、それから利用料の問題。また特に今、先ほども国民健康保険の中でもございましたけれども、いわゆる正規労働者がふえている中で、40歳前の若い人たちの健診をきちっとするべきではないかということなども含めまして、いろいろな改善を求めてきたところでございます。
 今回、その中で一つ、いわゆる40歳以上特定健診について、国保の加入者については鎌倉市が責任を持っております。健康を知る状況の中で、いろいろな健診の中で特定健診がありますけれども、現在の特定健診の受診率の実施状況はどうでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  平成29年度の国保の被保険者における特定健診の対象者数が2万9404人でございます。このうち受診者数は9,716人であることから、受診率は約33%となっております。神奈川県全体での平均の受診率は24.4%であることから、本市は県内では中位に位置しているという状況でございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  今、特定健診の実施状況について確認しましたけれども、市としては特定健診の受診率、前に伺ったときは60%を目指すと伺っておりました。そういう点では、確かに県内と比べれば高いわけですけれども、まだまだ市の目標からいけば低いわけでございます。そういう点では、この健診率を向上する必要があると考えておりますが、この受診率向上のために市は何に取り組んでいるんでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  特定健診は自分の健康づくりへの意識づけや生活習慣病の早期発見、早期予防へ寄与するため、健診受診率の向上は重要な課題であると考えております。
 本市では、特定健診の受診率を向上させるため、未受診者への電話での受診勧奨や人間ドック費用助成を初め、インセンティブ事業として健康スリーステップラリーの実施やスポーツクラブお試しクーポンの配布等を行っているところでございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  その上で、なかなか受診率が向上していかないということの原因はもう少し探っていただきたいと思います。
 先ほどのお話にもさせていただきましたけれども、市民の生活実態がかなり厳しい中で、受診率を向上する取り組みの例として、横浜市では平成30年の4月から国民健康保険特定健診を無料化して受診率向上に努めているという新聞報道がございました。この例にならって、ぜひ横浜市での取り組みに学んでいただきたいと思います。
 横浜市での例では、40歳から74歳の方が特定健診の対象者でございますけれども、後期高齢者はたしか無料になっていると思います。その中で、受診をしていない方に対して再度はがきを出したり、いろんなことをやっておりますが、この受診率を高めるために今回無料化したと。そして初年度の予算は1.3億円の予算を投じて、健診にかかる自己負担、一般的に1,200円。これを無償化したということでございます。そういう点では、鎌倉市でもこの受診率を上げるために、横浜市の例に習うということのお考えはないでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  特定健診受診率の向上のために、現在行っている取り組みを定着させ、さらに充実したものにしたいと考えているところでございます。とりわけインセンティブ事業に関しましては、健診受診へのきっかけや健康づくりへの動機づけにもなることから、今後も魅力ある企画や工夫を行ってまいりたいと考えております。
 また、今、御紹介いただきました特定健診の無料化につきましては、今後、他市の動向や本市の健診事業のあり方なども踏まえながら研究してまいりたいと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  研究段階ですか。積極的に、その辺は横浜がどうしてそうしたのかも含めまして、学んでいただきたいと思います。
 もう一つ、市民の皆さんが元気で暮らし続けられるという点では、高齢者の健康づくりにもつながる外出支援をすることが非常に大事であると私は思います。活動しやすくなる環境づくり、それが大事ではないかと思います。
 今、鎌倉市は平成26年度ですか、高齢者の交通のいわゆる補助制度を凍結してしまったわけでございますけれども、今、交通事故の問題が大変大きな問題になっておりまして、高齢者の方に伺いますと、いわゆる運転免許証を返上したということは、自分の体がだんだん衰えてきているということで運転免許証を返上したんだけれども、その後のいわゆる外出手段、そこに非常にお悩みを持っていらっしゃる。そういう点では、外出支援ということは非常に大事だと私は思うんですけれども、その辺についてのお考えをまず伺いたいと思います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  議員御指摘のように、高齢者が外出支援することは大変重要だと考えております。現在でも、そういったことからデイ銭湯事業やサロン活動を行ったり、老人福祉センターにおいてもさまざまな催し物を開催しているところでございます。今後も、高齢者が外出しやすい環境については積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  高齢者の方からいろいろお話伺いますと、例えば老人センターに行くのは楽しみにしているんですけれども、もう少し使いやすいようにしてほしいと。例えば、教養センターに行く場合でもバスを乗り継いで行かなければいけないとかね。それから、腰越老人センターの方たちで言うと、七里ガ浜とか非常にバスの便が悪いところからの方たちについては、循環バスが欲しいという要望を幾つか受けております。今、老人センターに行く場合に、材木座の老人センターには鎌倉市役所からバスが出てるわけですけれども、そこを利用されている方は多いですよね。この間、私の知り合いの方に、たまたまお会いしましたら、午前中はスポーツをして、バスに乗って材木座のところに行ってお風呂に入って、食事をして帰ってくるんだと。それが楽しみなんだとおっしゃっていました。高齢者の方が元気で行かれるようにするという点では、非常に外出支援のあり方が大事だと思うんですね。そういう点では、凍結された交通費の助成、それから老人センター間の循環バスの運行など、そういう検討はするお考えはないでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  議員御指摘のように、高齢者の割引乗車証購入助成事業につきましては、平成26年度から凍結をしているところでございます。この間、他の選択制なども考慮しながら検討してきたところですが、現時点では財源の見通しが立っていないということで引き続き凍結という状況でございます。
 また、老人福祉センター間の巡回バスにつきましては、現在、名越センターと市役所の間で一日5往復のマイクロバスを運行させているところでございます。巡回バスを運行する場合には、新たな財源の確保、路線の重複する民間事業者との調整などが必要となってくると考えております。
 いずれにいたしましても、高齢者が外出しやすいという視点では、センター間のバスというようなことも検討をしていく必要はあるだろうとは考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  財政的な問題でできないということでございますが、本当にそうなのでしょうかね。それは次のときに、また伺いたいと思います。
 今、共生社会という点では互助の面、市民の皆さんが自主的に行っているボランティア活動、それに対する支援というのは非常に大事な、ともに生きていくという点では大事な課題ではないかと思います。
 市民団体が取り組んでいる高齢者配食サービスに対して、配食サービスの方たちが、最近、「食を支えて」という活動報告を出されました。平成5年、この配食サービス、グループ連絡協議会が始まって、この平成29年で24年間の活動を終了しました。この方たちは、平成26年12月に鎌倉市議会に陳情書を提出しています。この陳情書の中身は、私たちはボランティアとして、労働をもちろん無償奉仕するのは、そのとおりだと思っているけれども、そのときのことは生涯学習センターの利用料の有料化と、それから優先的な使い方について、なかなかうまくいかないということで陳情が出されたわけでございます。このような陳情が出され、こんないいものを終わりにしなければならない、現在の私たちの現実があります。私たちは精いっぱいやってきました。こういうグループの方たちが、縮小されてきているという。この実態について、今、共生社会、共助・互助というならば、市民がやっている活動に対して、どのように市が支えていくのかが私は大事だと思っているんですけれども、その点について、この市民団体からのお声について、どのように考えるのか。そして共助について、どのようにこれを進めていこうとしているのか伺いたいと思います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  今、議員御指摘いただきました、市民団体が取り組んでいる高齢者の配食サービスにつきましては、学習センターの調理室の優先予約や利用料の減免、在宅福祉サービスセンターの一部の提供を行ってきたところでございます。残念ながら、団体につきましては、会員の高齢化や後任不在等の理由により受託については終了したということでございます。今後も同様の団体が活動を行う場合には、調理室の確保等、市民団体が活動しやすいような環境づくりのために協力はしていきたいと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  ここから何を学ぶのかというのは、わざわざこの方たちが陳情を出さなければいけないという状況は非常に重かったと思うんです。このときに質疑の中で言ったのは、ボランティアというのは労力を無償で提供するわけですから。受益だっておっしゃった。受益。市の答弁ですよ。いわゆる利用料を払う。それは受益だと言うんですけれども、この方たちが誰が受益を受けているのか。受益者負担だと。だから生涯学習センターなどの利用についても、いわゆる有料化するんだと。この受益者負担の考え方が違うんじゃないか。私はそのときに質疑の中で感じました。
 もう一つ、今、鎌倉市のいろいろな広報などについても、点字で幾つか実行しておりますね。議会報などもそうです。その点字を請け負っていただいているのは、まさにボランティアというんでしょうか、点字奉仕団にお任せしている。議会報は年間2万円だそうです。4回出しているわけですから、1回に5,000円です。そういう方たちが、今なかなかなり手がないと。そういう互助・共助というのならば、市が少なくとも、この市民団体を支えることが必要ではないかと。点字ボランティアが継続して育成していくためには、どのような課題があると認識されてますか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  現在、市では点字ボランティアである鎌倉市点訳赤十字奉仕団に対して、補助金を交付しているところでございます。同奉仕団では、年に2回の点訳講座を開催し点訳者の養成を行っているほか、市内中学校ボランティア部の生徒や市内小学校の児童を対象とした点字指導等を行っており、点字活動の普及に寄与しているところでございます。
 本市といたしましても、点字ボランティアのなり手不足が課題であるということは認識しているところでございます。今後、どのような支援を行っていけるのか、同奉仕団と意見交換を行いながら検討してまいりたいと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  点字奉仕団の方は、点字の印刷機も含めて自分たちで購入してやっているということで、本当に努力されているわけでございますけれども、今お話があった点字ボランティアの育成という点では、その人たちにお任せされているわけですよね。でもなかなか受講者の問題や、それから具体的には、その受講者の方が実際に点字に携わるという点では大変少ないと私は聞いております。その辺も含めて、市が自分ごとと言うならば、その辺についてどういう問題があるのか。ちゃんと探っていただきたいと思います。
 「かまくら社協だより」の平成30年5月号にも、社協はまさに、今ボランティア活動をやっていらっしゃる方たちのお声です。その中で、地域の担い手について、過度な負担がかからないよう住民、行政、社協、包括の役割分担を明確にしたほうがいいのではないか。活動場所について、市民が活動する場、集える場をつくってもらいたい。親同士が接点を持てるところは幼稚園などになってしまうため、隣接する地域での情報交換は薄い。高齢、障害、児童といった分野に捉われず、総合相談ができる窓口をつくってほしいなど今一生懸命やっている方たちの生の声です。
 こういう懇談会で出された要望に対して、いろいろな市としてはどのように受けとめていらっしゃいますか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  地域における市民の活動の場、集いの場の確保については、行政の支援を望む声があることは承知しているところでございます。これまでも地区社協への運営費補助金、自治・町内会の会館の建設補助金、高齢者のいきいきサークル事業に対する支援などを取り組んできているところでございます。最近では、支所等の余裕スペースを、市民の打ち合わせ場所として確保するなど、さまざまな形で市民の活動の場等に対して支援を行ってきているところでございます。
 行政による支援については、公共施設の活用や活動財源の確保のための支援などが考えられますので、今後とも市民の声に応えられるようなあり方について検討していきたいと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  共助、いわゆる互助、推進する上での課題と市の役割というのは非常に大きいと思うんですね。その辺について改めて伺いますが、今まで、一生懸命やっておられた方が縮小していったり、後継者不足の問題、場所の問題があるわけですけれども、この推進する上での課題と市の役割について改めて伺いたいと思います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  少子高齢化が進み、福祉の担い手が不足する中で行政運営を進めていく上には、自助・互助・共助についてもそれぞれ適切な役割分担のもとに機能するのが大切であると考えております。共助や互助を進めていくに当たっては、福祉の担い手不足が課題である認識しており、担い手の育成に向けた事業のコーディネートの支援など、市に求められる役割を果たしていきたいと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  それでは次に進みます。
 高齢者の方のごみ出しなどについて、ふれあい収集は非常にいい制度だと思うんですね。それについては、もう少しいろんな面で拡大してほしいと私どもは要望してまいりました。今、高齢者が増加しているわけですけれども、この声かけふれあい収集、退職者不補充ということで、今後実施できなくなるのではないかという大変心配があるわけですけれども、その辺では市としてはどのようにお考えでしょうか。
 
○石井康則 環境部長  声かけふれあい収集でございますけれども、高齢化率が高まる中、ごみ出しが困難な方の負担を軽減いたしまして、生活環境の保持、高齢者などの福祉の増進を図っていく重要な制度と考えてございます。声かけふれあい収集の今の世帯数でございますけれども、ここ数年500世帯前後で推移をしてございまして、事業としては当然継続して実施していく事業と考えてございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  今、市が、この声かけふれあい収集ではなく、新たにこの間の予算特別委員会でお話があったんですけれども、ごみふれあい収集の拡大ということで、ひとり暮らし高齢者を対象にした、いわゆるふれあい収集ではなく、ひとり暮らし高齢者戸別収集の導入を検討されているということを伺いました。いわゆる声かけではなく、その方の玄関前にごみを出してそれを持っていっていただくということでございます。今、担当はふれあい収集はこのまま行っていくということでございますけれども、ふれあい収集という言葉どおり、高齢者と具体的に触れ合うことによって、いろいろお話を伺いますと、たまたまごみを収集されたときに倒れられてたとか、それから収集でお顔を見ていらっしゃる、その人たちが、市の職員が、たまたまその方が歩いてらして、その様子がおかしいということで、いろんな関係のところに御連絡したとか。そういう面では、ふれあい収集が地域を支える上で非常に大事な役割を果たしているんだなと改めて考えたところでございます。
 そういう点では、今ふれあい収集については、市は退職者不補充方針ですけれども、継続するためには現業職員の新規の採用が必要だと思うんですね。昨年から始まりました、いわゆる削減計画の中では、必要に応じて検討するというようなことが書かれてたと思うんです。そういう点では、市のふれあい収集という大事なものを、継続するために現業職員の退職者不補充については、しかるべく検討していくべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
 
○石井康則 環境部長  第4次職員数適正化計画では、今御紹介いただきましたように原則退職者不補充としておりますけれども、最低限の職員体制を維持するとなってございます。いずれにしても、将来の技能労務職のあり方につきましては、今後も関係部局と協議を図っていきたいと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  大事な課題ですので、市民の目線でお願いしたいと思います。
 それでは、障害を持つ方たちの課題について伺いたいと思います。ある障害を持つお母さんたちからいろいろお話を伺いました。障害者、私たちの団塊の世代のお子さんたちも、団塊の世代がだんだん70代になってきて高齢化してきている。その中で、障害者の方たちも高齢化してきている。親亡き後の対応が本当に心配なんですと。市として、この問題を捉えてやっていただきたいということで、市長にも要望が出されてきていると思います。
 国は、障害者の入所施設はつくらないという方向で今進んでおりまして、具体的にはグループホーム、また地域で過ごすための施策ということで進んでおりますけれども、実際に重度障害者の方が在宅で暮らし続けることは大変困難です。特に親御さんたちが亡くなった場合どうするのかという、大変不安な思いでいらっしゃいます。地域での住まいの場として、グループホームの役割は非常に大きいと思いますけれども、この特に重度障害者、身体障害も含めて知的障害も含めて、重度障害者のグループホームの設置には相当な設備や経費、人材的な確保面での課題があると思いますけれども、このことについて、市としてはどのように考えているでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  現在、重度障害者が入所する施設、グループホームでございますけれども、事業者がグループホームを設置するに当たっての支援といたしまして、県が備品購入などについての補助金を交付しているところでございます。また運営費についても、国が給付するサービス給付費に上乗せして県と市で補助をしているところでございます。重度障害者を受け入れているグループホームには、またその人数に応じた補助を県と市で行っているとともに、バリアフリー化したグループホームに対しては、市が利用する人数に応じて補助を行っているところでございます。グループホームの設置につきましては、さまざまな支援をしているところでございますけれども、今後もグループホームが設置しやすいような施策について、引き続き検討してまいりたいと思っております。
 
○24番(吉岡和江議員)  お母さんたちはこのようにおっしゃってますね。グループホームは、夜はいわゆる世話人の方がいるわけですけれども、その世話人の方たちの給与が非常に低いと。それと昼間は余暇支援ということで、昼間は別のところに行って余暇支援をされているわけなんですけれども、例えば、その障害の方がぐあいが悪くなってしまったと。昼間そこに行けなくなった場合には、グループホームには誰もいないんだと。重度の方たちの障害に沿ったやり方をしてほしいんだと。
 また、グループホームの設置については、法人単独での設置はかなり困難だと。今、法人自体の運営が厳しい状況で、重度知的障害者がいるグループホームの設置は欲しいんだけれどもなかなか厳しいと。今、国も社会保障審議会の障害者部会では、障害者福祉サービス等の報酬改定の基本的な考え方が出されて、今までの類型から建物20人まで可能とする、そういう類型の創設をしたということなんですけれども、それを行う上でも具体的に特に重度の方たちに対しては、もっときめ細かな支援が必要だということをおっしゃっています。そういう点では、今お話しになりましたことも含めて、いわゆる補助金や利用者負担、グループホームそのものが私は不足していると認識しているんですけど、その辺はいかがでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  重度障害者の対応のグループホームにつきましては、特に身体障害者の受け入れについて設置要望が出されるなど、一定のニーズがある中では必ずしも充足しているとは言いがたい状況であると考えているところでございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  そういう認識を捉えているということでございます。障害者のサービスの平成32年度までのサービス料をこの間出されましたけれども、具体的に、こういうお母さまたちが本当に安心して暮らし続けられる。障害を持つ方も安心して過ごせる、そういう場所の確保は、公的な責任が大きいかと思います。
 さて、市長は障害者の2,000人雇用ということを打ち出しました。この障害者2,000人雇用、どのような取り組みなのか。課題は何なのか。さまざまな要求やニーズにどのように応えていくのか、まず伺いたいと思います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  障害者2,000人雇用の取り組みといたしまして、「障害者二千人雇用センター」の開設のほか、市内の障害者就労実態を調査するアンケートの実施、市による障害者就職面接会や講演会の実施、障害者就労移行支援金制度の構築などを行う予定でございます。
 働きたい障害者が生き生きと働く場を市内事業者がともにどのようにふやしていくかが大きな課題であると考えております。この課題に対しては、市内事業者の障害者雇用への理解を深めていただくなどの協力も求めていくほか、障害者雇用関係者を含む、「(仮称)二千人雇用協議会」を立ち上げ、就労創出などに取り組んでいく予定でございます。
 また、さまざまなニーズへの対応について、「障害者二千人雇用センター」に寄せられる相談内容を市も積極的に共有するなど、障害者福祉施策に反映させるよう取り組んでまいります。
 
○24番(吉岡和江議員)  今後、どう取り組むのかということは、推移を見たいと思いますが、現実に今起こっている問題です。就労継続支援A型事業所、また就労継続支援B型事業所は福祉の立場でこういう支援事業があるわけですけれども、実際に私が知っている方が今までA型事業所で働いてらした。しかし、経営が厳しくなったということなのでしょうか、今A型からB型に変更する。そうすると、A型とB型では、A型は雇用契約ですから最低賃金を保障しなければいけない。B型は雇用契約がないやり方ですよね。今、2,000人雇用ということですから、少なくとも雇用形態で働く障害者をふやしていくことだと私は認識しておりますけれども、今この就労継続支援A型事業所が今どんな状況になっているのか。そういう事例について、いわゆる働く障害者の労働条件が悪化しているということが言われておりますけれども、その辺について、市としてはどのような背景や現状があるのか。市としての対策について伺いたいと思います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  鎌倉市内で就労継続支援A型からB型に移行した事業所は2カ所ございます。就労継続支援A型事業所は、報道などによりますと、仕事が全くなく毎日本を読むだけなど、生活活動の内容に適切でない事業所があるということでございます。また、利用者の意向にかかわらず、事業収益がなくても利用者の就労時間を短くして賃金を抑えれば、利用者に給料を払ってももうけが出るため、全ての利用者の労働時間を一律に短くする事業所など、不適切な事例がふえているという指摘がございます。
 これを受けて国は、支援内容の適正化と就労の質の向上のため、給付費が賃金に充てられなくなるなど見直しをしたことにより、運営が苦しくなったことが就労継続支援A型が減少した背景でございます。
 対策といたしまして、今後、就労継続支援A型事業所が事業を継続できるような仕事をふやしていくなど、適正な運営ができるような仕組みなどについて、2,000人雇用事業の中で関係機関とともに検討してまいりたいと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  今、仕事をふやしていくとおっしゃったんだけれども、結局、悪質な事業所がいて、そのことによって、いわゆる賃金に勘案してはいけない、そこに使ってはいけないということから、具体的にはそうなっていったんだと思うんですね。鎌倉ではA型事業所の方たちみんな適正に一生懸命やっていらっしゃると思ってるんです。それは今、部長がおっしゃったのは全国の一部の例だと私は認識するんですけれども、それでよろしいですね。
 
○内海正彦 健康福祉部長  鎌倉でのA型事業所については、そういったようなお話はございませんので、今私が申し上げたのは、全国の報道などによるものと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  皆さん一生懸命、障害の方を受け入れてやっていらっしゃる。そういう事業所だと思うんです。それで実際に、最低賃金で働いていた方がB型になるということで、同じような仕事をしたとしても給与がすごく安くなってしまってやる気を失っているという状況が、私実際に聞いております。そのような、今、2,000人雇用ということは、雇用ですからね。いわゆるこの就労継続支援A型をもっとふやしていくことだと。基本的にはA型ということじゃありませんよ。ただ、事業所、事業そのもののところが、障害の方を受け入れて一緒に働くという環境をどうつくっていくのかというのはね。今、福祉型のところでもこういう状況があるのに、2,000人雇用というのは大変大きな課題だと思うんです。ですから、どうしてそうなるのか。何が問題なのかはきちっとこのことから、市の役割は何なのかを、やってもらいたいと思います。
 そして要望の中に出されてきたのでは、総合相談窓口をつくってほしいという要望がございますし、国も総合相談窓口のことを言っているようですけれども、市が言っている総合窓口というのはどのようなものなのでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  福祉の窓口のどこへ相談や手続に行ったらよいのかわからない方もいることから、まずその総合窓口では御用件を伺い、必要であれば各窓口の手続について支援するとともに、相談をお受けして、その後適切な部署や関係機関につなげていくことを想定しているところでございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  そうすると、受付窓口みたいなイメージですよね。本当にそれでいいのかという点では、今も玄関のところに受付の方がいらっしゃいますけれども。今、地域共生課ですか、そこの中に総合相談窓口というのが書いてあったんですよね。ただそれは余り今は機能していないなと。市民の皆さんが何を考え、何を問題にしているのか。そしてそれを解決するためにはどういう施策を打たなきゃいけないのか。私は総合相談窓口の機能というのは、とても大事な機能だと思いますけれども、そのためには相当の力がなければやり切れないし、そこで基本的にはあっちに行きなさい、こっちに行きなさいじゃなく、そこで解決できるような力があるような、そういう窓口であってほしいと私は思ってるんですね。そういう点ではいかがですか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  福祉の各分野における現行の相談体制は、それぞれ機能していると考えておりますが、複数課題を抱える世代、世帯の問題や制度のはざまにある問題など、分野横断的な対応が必要なケースもあることから、総合的に相談を受ける体制の検討を進めているところでございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  次にまた体制の問題で伺いたいと思いますが。今いろいろな課題を、市民がいろんな要望を出されている。それに対して市はどのように応えていくのか。自助・互助・共助、それを具体的に支えていくためには、市の役割が非常に大きいかと私は思っております。自助・互助ではできない公的責任の重要性、今までのいろんな例を踏まえて、大変残念ながら高齢者の交通問題では、財政がないということでやらないということでございました。自助・互助ではできない、そしてそれが本当に機能するために、いわゆる公的な行政の責任、それについてどのように考えているのか伺います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  高齢者、障害者などを対象とした公的な社会保障制度は、住民の生活基盤を支える重要な制度である認識をしているところでございます。少子高齢化が進み、福祉の担い手が不足する中で行政運営を進めていくには、自助・互助・共助がそれぞれ適切な役割分担のもとに機能することが大切でございますが、公助についてはこれからも引き続き、国や自治体が責任を持って行っていく必要があると考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  同じような答えなんですよね。ちゃんと今の具体的な、それぞれの皆さんの切実な要求、それをどうやって具現化するのが、公的な役割じゃないんでしょうか。その辺では、最後に市長にとは思ってるんですが、ただ市長さん、自分が公助ということに対して、今までのいろんな例を私は具体的にお話させていただきました。市民が大変、今厳しい現状の中で、共生社会を実現していく上での自治体の役割というのは非常に大きいと思うんです。市長に伺うんですけれども、これだけ皆さんが収入が減ってきていて大変な状況になっている。
 最近、私はお手紙をいただきました。台に住んでいらっしゃる66歳の女性です。65歳まではその近くの会社で働いていたそうです。昨年の5月から年金生活になり、国民年金、厚生年金合わせて100万円ちょっとしかないと。今後、再就職も考えたんですけれども、小さいときから体が弱く、働くことが結局できない。病気がちだったので会社の働き方も正規の就労ではなく、10時出勤で行ってきた。それでも一生懸命働いてきた。ひとり暮らしの方です。どなたも身寄りがいないということで、一人の方はお姉さまか何かが北海道にいらっしゃると言ってましたけれども、遠いし、もうお姉さまですから、年金暮らしになっている。そういう中で、本当にどうしたらいいのか。鎌倉市の福祉の方に御助言いただければと思い、お手紙差し上げましたということで、非常に不安に思っていらっしゃるんです。一生懸命働いていた方たちも、市長がいうような健康長寿というならば、もちろん自立、みんな頑張ってますよ。一人一人は。そこを支えるために今どう公的な役割をするのかという。そういう点で、私は循環バスの提案もさせていただきましたし、それから高齢者の方が元気で活躍できるような交通問題。特に今、運転免許証返上もございますからね。そういう方たちが、本当に鎌倉市で元気で暮らし続けるという点では、財政支援の問題が非常に大きいですね。ですから、暮らしやすいという点では、交通網を、例えば循環バスを出すとか、いろんな点で支援するということは、活動しやすいということですよ。それがお金がないということでできないということですか、市長。
 
○松尾崇 市長  それぞれの施策については、優先順位をつけて実施をするしない、そういう判断をしているところでございます。当然、さまざまな市民の皆さんのニーズ、要望ということについては、それを受けとめて判断をしていくということでございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  幾らだと思います、市長。高齢者のいわゆる交通の補助制度。年間2,000円。鎌倉市の予算としては2000万円。そりゃ今までいろんな協議をしてきたということで、年齢の見直しとかも含めて、今75歳以上でした、そのときは。それも含めていろいろ聞きますと、3500万円ぐらいあれば、もう少し年齢を少なくしてできるんじゃないかと思っていたようですけれども、財政が厳しいということでできていないというのが現状です。いろいろ伺いますと、出したとしても3000万円から3500万円だというんですよ。この間の、生ごみの減容化施設は約7000万円。市は3000万円が出せないような財政難なのですか。
 
○松尾崇 市長  先ほど申し上げましたように、さまざまな施策の優先順位をつけてということでの判断をしているところでございます。外出支援ということにつきましては、市でのさまざまな事業ということもサービスとしては提供しながら、全体として、そして高齢者の方が外出しやすい体制づくりということについては取り組んでいるところでございます。
 
○24番(吉岡和江議員)  どう取り組んでいるんでしょうか。全然見えてこないんです。この間、高齢者、いわゆる保健福祉計画、もう何回か改定がされました。そういう中で、いわゆるバスの問題もそうですけれども、高齢者のいろんな施策の選択制だったと。全然その結論も出てない。市長は、今、優先順位からいうと低いということなんですね。
 市長が自助・互助・共助はおっしゃって公助は言わなかった。今、国がどのような状況になっているか。共生社会の推進といっております。国は、「我が事・丸ごと」の考え方を言っております。まるで市長が言ってることとほとんど変わらないなと。いわゆる国の「我が事・丸ごと」との関係では、市長そこには全然ないですか。市長のお考えを言ってください。どうなんですか。市長が言った、その自助・互助・共助との関係ではどうなんですか。国の今言っている「我が事・丸ごと」との関係はどうなんですか。
 
○松尾崇 市長  国が示します「我が事・丸ごと」というのは、地域住民や地域の多様な主体が、我が事として参画をして、人と資源が世代や分野を越えて丸ごとつながることで、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域をともに地域共生社会をつくっていこうとするというものであると理解をしているところでございます。
 本市としましては、地域福祉計画につきましては、社会福祉法に規定されました地域福祉の増進に関する事項を一体的に定める計画でありまして、この「我が事・丸ごと」という方針を受けて法改正がなされたと。市町村に策定の努力義務が課せられるとともに、計画に盛り込む内容につきましても高齢者や障害者、子供など福祉に関して共通して取り組む事項、また包括的支援体制を整備する場合には、その事業に関する事項も含めた計画とすることなどが求められているところでございます。そういう観点からしますと、この国が言っている「我が事・丸ごと」ということは、市が進めていこうとしている共生社会ということと同じ方向であると私自身としては認識しているところです。
 
○24番(吉岡和江議員)  国が言っている共生社会というのは、私たちが望む共生社会とは事が違いますね。去年出されました、いわゆる地域包括強化法案って私たち言ってますけれども、その中では約31の法案がほとんどの論議がなく決まりました。そして今、福祉をなるべくなら安上がりの方向、今までだったら例えば保育士にしても、いろんな介護などの専門職も、ある程度の時間を勉強すれば、いわゆるそういう事業にも参入できるという。本来ならば専門職を育てて、私たちがいろいろな介護や福祉を受ける場合に、専門職の役割は非常に大きいんですけれども、そこを今弱めようとしているのが国の考え方ですよね。そして「我が事・丸ごと」と言いながら、まさに市長は自分ごとと言いましたけれども。地域での、いわゆる支え合いが共生社会だと。お助け合いが共生社会だと。そこには自治体の責任が後景に追いやられているのではないかと思うのですが、市長は同じだとおっしゃった。市長が公約された地域共生、いわゆる共生条例ですね。それは法的な根拠がある条例ではありませんね。先ほど市長が言いました地域福祉計画は「我が事・丸ごと」の関係で、これはつくるということで努力義務になっていることは承知しておりますけれども、市長がおっしゃった共生条例は、いわゆる国が言う、しなければいけないという条例ではありませんね。
 
○内海正彦 健康福祉部長  市長が言っている共生条例は、別に国から言われてつくっているというものではございません。
 
○24番(吉岡和江議員)  国の「我が事・丸ごと」、市長が言うのは自分ごと。いわゆる共生社会というのは地域の助け合い、昔の戦前に戻ったみたいな。戦前というか昔は地域で支え合ったって言いますけれども、実際よくテレビで見たってそうですよね。戦前、財政的に貧しい暮らしの人たちは、娘を売ったりした。そういう時代もあったんですよ。ですから困りごとを本当に助け合うっていったってなかなかできなかった。今やっと法律で、いわゆる憲法で保障されている社会保障としてのあれがつくられてきた中で、今また「我が事・丸ごと」、いわゆる地域での助け合いという方向に今なっているというところは非常に大きな問題だと私は思っております。
 今、市長は共生条例は市長の公約でやると。先ほど言った地域福祉計画、どういう計画になるのかという点では、非常に国の言うとおりだととっても心配なんですけれども、このかまくら共生条例と地域福祉計画との関連はどのようになるのでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  (仮称)かまくら共生条例は、今後、有識者の意見なども伺いながら検討していくこととはなりますが、本市が共生社会の実現を目指すための基本的理念等を定めていくことと考えているところでございます。
 地域福祉計画でございますが、このかまくら共生条例の示す理念等を踏まえ、社会福祉法で規定された内容について、本市が進む方向性や基本施策等を体系的に整理していくことになると考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  藤沢では既に今年度から、藤沢市地域福祉計画2020というのが出されております。私は、国が言っている「我が事・丸ごと」のとおりにやったら、鎌倉の市民の皆様は一体福祉や暮らしの問題でどうなっていってしまうんだろうと思います。ただ、市が市民の皆さんの実態に踏まえて、市として行政として何が必要なのか。そこを考えていってほしいと私は思っています。藤沢市の地域福祉計画はつくられておりましたけれども、どういう体制で、どういう角度でつくっていくかというのは非常に大事だと思うんです。先ほど、総合窓口の話をいたしましたけれども、専門家、今の国のやり方というのは、地域で支え合いなさいよと。町内会やいろんなところで支え合いなさいよという考え方ですけれども、行政としては、この間の同僚議員が、子供の虐待の問題で子育て支援の専門職のことおっしゃってましたけれども、そのとおりだと思うんですよね。障害者の窓口でも専門職の配置をということで、ずっと言い続けて、やっとパートですか、派遣ということでできましたけれどもね。本来ならば、そういう専門職の方がきちっとスキルを積んで、そして市民の福祉・暮らしのためにやっていくというのが大事なことだと思うんです。
 それでは今、地域福祉計画との関連でどうなるのか。ことし中に共生条例をつくるということでありました。じゃあ地域福祉計画は、「我が事・丸ごと」の法的には努力義務になっているわけですけれども、どのように体制的にはつくっていくのか。私は福祉分野だけではないと思うんですね。共生ということでいけば。まちづくりの観点が非常に大事だと思ってるんです。ですから、福祉分野だけではなく、いろいろな分野にわたってどうやって相談し、どんな問題があって、それをどう解決していくのかという、そういう計画にならなければいけないし、総合相談窓口もせっかくつくるんでしたら、専門職がきちっと配置されて、市の職員もまちづくりからいろんな面で勉強して、ある面では総合的に判断できる人が必要だと私は思っておりますけれども、そういう点で、この福祉分野だけではないまちづくり。子育て分野も含めましてね。そういう幅広い体制の中で考えていく必要が私あると思ってるんですけれども、いかがでしょう。
 
○内海正彦 健康福祉部長  地域福祉を推進していくためには、福祉分野のみならず、子供、教育、地域コミュニティー、防災防犯、まちづくりなどの計画、施策との連携・協力が必要であり、そうした考え方などを地域福祉計画の中に盛り込んでいくつもりでございます。したがいまして、健康福祉部が中心となり、庁内関係課との連携会議等を設置し、地域福祉に対する共通認識を図りながら市の基本的な考え方をまとめていきたいと考えております。
 また、審議会を設置し、有識者や関係者の助言をいただくとともに、広く市民の意見もお聞きしながら計画の策定に努めてまいりたいと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  藤沢の福祉計画をつくられた方にもお話伺ったんですけれども、地域で、いろんな面で地域を大事にするというのは非常にいいことだと思うんです。その中では、13の行政区、そこの例えば行政センターですよね。そこがもっと中心になってそれを取り組んでいこうと。その辺はみんながそこの地域でつながるような、そういう取り組みを今していかなきゃいけないんだと。それが課題だけど、それやりたいと言っておりましたけれども、鎌倉市は行政センターの機能を縮小しようとしているわけで、逆行してるんじゃないかなと。これについては今言いませんけれども。
 今、いわゆる共生条例をつくるというのも、課ができましたけれども課長も含めて2人ですよね。しかも、課長が係長を兼務してるんですよ。それで本当に市長が言っている、いわゆる共生条例という点では、福祉関係者の人が市長がいろいろ言ってくださっていることにすごく期待しているんですよ。いいものができるんじゃないかなって。福祉はもっと向上するんじゃないかなって期待されてたんです。たった2人。しかも課長が係長を兼務する。それで次は、これは市長のいわゆる公約に基づいた、法定計画じゃないわけですからね。それ以外に地域福祉計画をつくるわけでしょう。そういう点では、体制の問題も含めて、どういう中身にするかということが、私は問われていると思いますけれども、市長はいかがですか。
 
○松尾崇 市長  体制の面も含めまして、これは縦割りという今までのさまざまな福祉政策ということを、横につないでいくと、こういう重要な役割を持って、市役所としても一体として取り組んでいくと。こういう考え方を持つのが重要であると思っています。
 今回、共生社会を構築するに当たりまして、推進するに当たっては、理念と同時に、複数の課題を抱えた世帯ですとか、制度のはざまにあってこれまで福祉の支援が届きづらかった世帯、生活困窮世帯など、今御紹介いただきましたように、こういう方々への対応などをより細かく目を向けて取り組みを進めていくということが重要であると考えています。
 
○24番(吉岡和江議員)  市長が子育て支援という点では、保育園の子供たちの、まだまだ不十分ですけれども無償化したと。お母さんたちから、財政的な支援を受けて非常によかったと喜ばれてますよ。市民のいろいろな背景を、実際に困っている市民、充実を望む市民、その声に真摯に耳を傾けて実際に公的責任を果たしていくことが、本当の意味で共生社会ということになると思うんですね。共生条例ができても実際の事業等が実行されなければ、絵に描いた餅になってしまうということは申し上げておきたいと思います。
 その中で、私は3年前のたしか9月議会のときにも市長に申し上げました。東京の日の出町での取り組みについて、私は申し上げたところでございます。最近、この日の出町に行く機会がございまして、直接いろいろなお話を伺ってまいりました。私が感心しましたのは、市民の声を本当に真っすぐ捉えて実行しているということですね。10年前、全国的にもそうですけれども、ここでも少子化問題が大変深刻で、子育てママ100人委員会をつくってお母さんたちから直接お話を伺ったそうです。そのときに一番多く出たのが経済的支援。ああそうかということで、町は子育て支援として次世代育成クーポンの支給をしたそうです。1人1カ月1万円。15歳以下。そしてこのクーポンは、お買い物とかに使っていただくということなんですが、実際に保育料や、また幼稚園なんかの授業料にも使ってもいいということで非常に喜ばれたそうです。そのほかにも、高校生までの医療費の無料化なども行ってきました。
 そして今、どうなっているかというと、合計特殊出生率0.79%だったのが、平成26年度は日本の平均の1.42%を上回って1.5%に改善してきたそうです。その次に町長が行ったことは何か。平成20年、後期高齢者医療制度が誕生して、あのときに多くの高齢者が長く生きてきた高齢者を差別するのかと相当な怒りが広がりました。そのときに町長は、9月の高齢者大会で日本一お年寄りに優しいまちづくりを進めるということを宣言した。そして次の年から75歳以上の高齢者のいわゆる自己負担分ですね。医療費無料化を打ち出したそうです。そして健診制度の充実。早期発見、早期治療。そして今どうなっているか。その積み重ねによりまして、医療費は全国平均よりも東京都は少ないんですけれども、その東京都よりも年間20万円医療費が低くなっているということです。人口は10年前と比べて、10年前は1万5000人だったのが今は1万7000人になっている。じゃあ鎌倉市に換算するとどうなるのか。鎌倉の人口の10分の1ですから。鎌倉で換算すると2万人ふえたことだということです。おもしろいお話を伺いました。近隣の自治体の職員が、この日の出町に引っ越してきているそうです。子育てしやすい、そういう町になっているということです。これは受益者負担だとか利用料を多くするとか、そういうんじゃなくて、いかに町の人たちの声を聞いて、そして具体的に実行していった。高齢者のこの75歳以上の医療費も、全体の予算の1.1%だそうです。そしてきわめつけはこういうことですよね。町に町営住宅をつくったときに、町長が木材でつくって、だから2階建てにしたわけですよね。普通でしたら高層ということを考えるでしょうけれども。聞いたんだそうです。なぜ高層にしなかったのか。そしたら町長が言うには、町の木材を使うことで事業者支援にもなるし、町の経済が循環することになる。だからつくったんだと言ったそうです。ここは老人センターは小学校区に一つです。
 ですから鎌倉で考えれば、16校小学校があるわけですから、今5地域にありますよね。そうすると約3倍ということですよね。そこは循環バスを出してお年寄りが行きやすいような環境をつくって、そしていつでも誰でも使えるようにしていると。それは、もちろん町役場にも行ける。それから買い物の場所、病院。お年寄りが行きやすいようなところはバス停つくって、そこでおりてもらってる。だから老人センターだけじゃないんですよね。循環バスを使ってるんです。この小さな町でできて鎌倉市でできないはずはありませんよ。全てにわたってやれと私は言っておりませんが、この精神を学んでほしいんです。結果、よい循環になってるじゃありませんか。市長はこのことについて、どのようにお考えですか。
 
○松尾崇 市長  本市としましても、健康づくりを進めていくということは、誰もが健康で安心して生活を送ることができるまちづくりを進めることに通じると考えております。今、御紹介いただいたような日の出町、そのほか他都市でもさまざまそういう工夫を行いながら施策を進めているということは承知をしております。
 本市におきましては、平成28年3月に策定しました鎌倉市の健康づくり計画を軸に、健診事業や地域でのさまざまな健康づくり事業に加えまして、新たにかまくらヘルシーポイントや未病センターの活用などを初め、今後、推進していく健康経営とも連携をしまして、市を挙げた健康づくりということに努めてまいりたいと考えております。
 
○24番(吉岡和江議員)  前の質問とほとんど同じ答えですよ。今、加わったのは何ですか、健康クーポンとか、そういうのを新しくまた始まったことは言ってらっしゃるけれども、心が感じられない。市民がこれだけいろんな思いを持って、鎌倉はボランティアの町といわれてますよ。本当にボランティアの方たちが多く一生懸命自主的にやっていらっしゃる。そして今、市民の方たちが財政厳しくなっている。国が「我が事・丸ごと」と言って、地域での助け合いにしなさいよと言ってる。そういう中で、行政の役割は何ぞや。そこがすごく問われていると私は思います。日の出町の精神を学べば、より市民も、それから市の職員も。言ってました、町の職員が。市民に喜ばれる。町の人に喜ばれる施策って非常にいい。自分が町のためにやっているという、そういう自負があると。それによって他の人が、そこの町に引っ越してきたくなるような。
 今、コンプライアンスとかもちろん大事ですよ。だけど市は、市の職員が市民のために、ああこれはよかったなと。市民も喜ばれるような施策をともにやっていくことこそ今大事であるし、市長が自分ごとと言うならば、市長こそ市長としての自分ごと。それは公の人ですよ。市民に自分ごとを押しつけることではありません。市民は自主的にやることであるし。そこは今残念ながら、また同じような答えだったということで非常に残念なんですけれども、市民の皆様の声を聞いて、真に共生社会のために、それのためにぜひ市の職員も努力していってもらいたいな。市の職員、ぜひ頑張ってもらいたいな。市長のもとですけれども頑張ってもらいたいなと思って発言を終わります。
 
○議長(中村聡一郎議員)  次に、大石和久議員の発言を許可いたします。
 
○25番(大石和久議員)  皆さん、おはようございます。
 一般質問も折り返し地点をようやく回ったところで、私も含め9名の議員の皆さんが待機しているということなので、早速質問に入りたいと思います。
 今回は、松尾市政の8年間を振り返ってとの大項目で、深沢地域区画整理事業と北鎌倉駅裏トンネルを中心に質問をさせていただきます。
 まず、深沢地域区画整理事業ですけれども、ここは過去に平成27年度までに都市計画決定を打つという目標があったわけですが、焼却施設の候補地の一つとなったために都市計画決定を延期、それから3年以上が経過し、現在、平成31年度に都市計画決定を打つための手続に入っていると思いますが、その進捗状況をお聞かせください。
 
○前田信義 まちづくり計画部長  平成29年度の広域連携調査では、両市一体施行と単独施行の事業計画の検討を行いまして、メリット、デメリットの比較を行っております。また、新駅を設置した場合の費用便益や将来の税収効果などの試算を行ってございます。現在、その結果を踏まえまして、新駅を設置する場合の費用負担について神奈川県、藤沢市、鎌倉市の3者で協議、調整を実施しているところでございます。
 そのほか、平成30年度につきましては、基本設計の修正や都市計画図書等の作成を予定しておりまして、平成31年度には都市計画決定の手続には入れるよう準備を進めていきたいと考えてございます。
 
○25番(大石和久議員)  都市計画決定を平成31年度までに打てるような形で進んでいるということでございますけれども、今の答弁にもございましたように、藤沢市、神奈川県、鎌倉市でいろんな新駅ありなしの試算というようなこともやられているというようなお話も今答弁の中でありましたけれども、ここで一番大事なことは、本当に基本になるということは村岡地域での新駅構想というのが、まさしくそれだと思うんですけれども、鎌倉市としての判断というのはどうなんだというところは、大事になってくると思うんですね。新駅ありなしでのまちづくりというのは変化してくると思いますので。ここは一番大事なところなものですから、市長にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、村岡地域での新駅構想についての鎌倉市としての判断はどうなるのか、お答えいただけますか。
 
○松尾崇 市長  今回、駅あり一体施行の場合、駅なし単独施行に比べまして、市の負担額というのは約12億円減少するということになりますけれども、別途新駅整備に対する応分の負担というのが必要になるというところが現状でございます。新駅の設置につきましては、地区のポテンシャル向上に寄与するとともに、将来の税収効果等が期待できるということは認識をしておりますけれども、負担につきましては、本市が抱える事業全体のバランスですとか、長期的な財政負担も見据えて慎重に判断していかなければならないと考えています。
 
○25番(大石和久議員)  慎重に判断というところでは、もうないと思うんですよね。平成30年度、平成31年度に都決を打つと言ってるんですから。駅は別ですよ。だけど先ほど言いましたように、駅からアクセスがあるようなまちづくりと、それがないまちづくりって変わってくると思うんです。この段階でしっかりと検討していきたいという答弁はまずいんじゃないですか。ましてや本庁舎をその事業区域の中に持っていきたいって行政として決定している場所ですから。ここは、その答弁というのは譲れないですね。後ほども言いますけれども、自治法4条との関係もありますしね。ここにお勤めになっている、今はこの本庁舎に勤めている方々は1,000人ぐらいだと。1,300人ぐらいいらっしゃるみたいですけれども、支所だとかいろんな形の中で、1,350人ぐらいいらっしゃるというような先日の答弁でしたけれども。そこへ集約化を図るわけですしね。支所は集約できるかどうかわかりませんけれども。都決を打つんですよ。都決を平成31年度に打つ。ましてや都決が打てなかったら、後ほど言いますけれども平成27年度までに都決を打つという目標があったわけですけれども、それが打てなかった理由は何なんですか。焼却施設の候補地、4候補地の中の一つにしたんでしょう。それで平成27年度までに打てなかった。平成30年度、平成31年度を目指します。平成31年度までには本庁舎の基本構想、基本計画ぐらいまではできる形にしたい。その事業区域の中に本庁舎を持っていきたい。そういうふうに今までの議員の皆さんの質問の中に答えてるわけじゃないですか。交通アクセス、本当に大変な重要なポジション、位置づけとなると思います。新駅は。その新駅の判断が慎重に検討しますという、今の段階でそういうレベルというのは、おかしいと思うんですよね。判断はしなきゃ。鎌倉市として。いかがですか。
 
○松尾崇 市長  先ほど私が申し上げました答弁は、慎重に検討ではなくて慎重に判断をしていくと、こういう段階に来ているということで御説明をさせていただいたところでございます。
 
○25番(大石和久議員)  慎重に判断をするって言うんだから、その判断はもう出てなきゃまずいんじゃないですかということを言ってるんです。慎重に判断をするじゃなくて。どっちにするんですか。AなのかBなのか。具体的に都決を打てば進んでいくんですから。ありなしで大きく違います。これをやってると押し問答になっていきますのでね。慎重に判断をするという答弁は、私は今の段階でもう遅いんではないかなと思います。
 進めます。新駅の判断は、鎌倉市としても区画整理事業を進めていく上でも財政的にも重要だということが、市長も十分御理解いただいていると思いますけれども、新駅を含む一体的整備を行った場合と区画整理事業を鎌倉市単独で行った場合とを比較した場合、国庫補助や市の負担額はどのように変化していくかを伺います。
 
○前田信義 まちづくり計画部長  先ほども、市長から一体施行と単独施行の場合の市の負担額の差額について答弁させていただきましたが、広域連携調査におきまして、深沢地域単独で土地区画整理を行った場合と藤沢市村岡地区と一体的に施行した場合のそれぞれにつきまして、最新の土地評価、国庫補助金の交付状況などを踏まえまして検討を行ってございます。
 検討の結果では、駅なし単独施行の場合、事業費につきましては過年度の平成25年から約1割増加をいたしまして、約151億円となりますが、保留地処分金、国庫補助金の交付率がいずれも低くなりまして、市の負担額につきましては、約48億円になるという試算結果になっております。
 一方、駅あり一体施行の場合につきましては、事業費総額につきましては約205億円に増加するということですが、保留地処分金、国庫補助金の交付率がいずれも高くなることから、市の負担額につきましては約36億円となると試算してございます。
 結果といたしまして、先ほど市長が答弁いたしましたように、約12億円減少するということになります。これに加えまして、一体施行の場合につきましては新駅を前提としておりますので、新駅の整備に対する応分の負担が必要になるということでございます。
 
○25番(大石和久議員)  新駅ありだとすると、市の負担分は約12億円ぐらい減少すると。これはもっと土地が上がって保留地を処分する折に、土地そのものが上がるからその金額も上がるとか、いろんな状況があるんだと思いますけれども。簡単に言えば、新駅ありとすると新駅負担分を除くけれども、事業費に係る鎌倉市の負担分は縮小すると捉えましたけれども、ここで西側権利者の方々などは、土地の価格が上がるということは、そこで土地を持っているわけですから、固定資産税なども上がることなどへの配慮と、無事に住居ゾーンへ移転できるかという不安をすごく抱えているとお聞きしております。また、それに対する経済的不安ということも配慮が必要だと思いますので、そこも指摘をしておきたいと思っております。新駅ありがマイナス12億円の負担。負担が減ると。新駅の負担は別にしてということだと思いますけどね。こういうことも含めて、市長どうですか。
 
○松尾崇 市長  負担額が毎年ということではなくて、これは全体で12億円の差があるというところでございます。この12億円、一体で減少はしますけれども新駅に対する負担というところは、最新で新駅費用が約160億円と出ているところでございます。プラスさまざま藤沢市側のお話にはなりますけれども、ロータリー等々の整備ということ。これは必要になってくるような大きな事業ということになります。これらの負担というところをしっかりと見きわめて、これは判断をしていく必要があると考えています。
 
○25番(大石和久議員)  以前、村岡新駅と一体的な整備とするならば、国の面的整備にかかわる公金が約100億円程度見込まれますというようなお話も聞いておりました。そうなれば、面的整備というのは約138億円ぐらいかかりますという報告も受けておりますけれども、市の負担は、その面的整備の40億円ぐらいで済むのではないかとの説明も受けております。新駅をやらないと判断するとなると、事業組合の道路整備、またモノレール駅前の整備、貯水槽の設置など、整備費用約138億円の面的整備の鎌倉市単独での負担というのは変わってくるのですか。
 
○前田信義 まちづくり計画部長  先ほど答弁させていただきましたが、平成20年で実施しました最新の試算によりますと、総事業費138億円ということで、平成25年度に試算をしたところがございますけれども、それに比べまして市単独施行の場合につきましては、総事業費が151億円となるという御説明をさせていただいたというようなことです。
 それに対して、単独施行の場合につきましては、保留地処分金、国庫補助金との交付率がいずれも低くなるということからすると、市の負担額につきましては約48億円になる試算結果が出ているということでございます。
 
○25番(大石和久議員)  新駅なしとすると、面的整備にかかる国庫補助が私は縮小すると聞いているんですが、その縮小した分を見込んで約50億円ぐらいの金額を試算していると捉えていいんですかね。
 
○前田信義 まちづくり計画部長  駅なしの単独施行の場合についての事業収支について御説明を多少させていただきます。事業費につきましては、約151億円になるとお話をしましたけれども、その財源の内訳でございますけれども、保留地処分金が約84億円。それから国庫補助金が低くなりまして、国の重点配分方針に合致しないことによりまして、国庫補助金の減額が約28億円あるというようなことになりますので、その分が市単独費になるということで、市の負担額、総額につきましては48億円になるという試算結果になってございます。
 
○25番(大石和久議員)  いずれにしても試算の段階で、先ほど言ったような比較になると思うんですけれども、先ほど言いましたようにまちづくり、例えば真ん中に走る20メートル幅のシンボル道路だとか、交通アクセスの問題だとか、そういう問題を、ありなしでは大分変わってくるなと私は思っておりますので、また区画整理事業を進めるに当たり、何のための都市計画決定なのかというところも含めて質問させていただきたいと思いますけれども、都市計画というのが、人々の健康で文化的な生活と機能的な土地利用や都市としての根幹となる施設。これは道路とか公園だと書いてありますけれども、この整備や改善を行い、秩序ある市街地づくりを総合的に計画し、実施することを目的とすることで都市計画における都市計画を大きく三つに分けた中での市街地開発事業の中の土地区画整理事業という位置づけであるとなっております。
 都市計画を策定するに当たって、区域を設定し非区域内の土地について、道路・公園などの公共施設の整備、改善や宅地の利用促進を図るために、土地の区画形質変更及び公共施設の新設または変更を行う作業ですが、市内に発行された「広報かまくら」やホームページで、本庁舎の深沢への移転が決定しましたとか、また移転しますなどの広報は、行政として本当に確定した決定事項と言えるのでしょうか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  確かに都市計画決定はまだしてございませんけれども、平成28年10月に深沢地域整備事業区域に対する土地利用計画ということを策定をして行政決定をしているわけでございまして、その中に行政施設用地として位置づけられた区域を本庁舎の移転先に決めたということ。またそれを広報したこと。それについて問題があったとは認識してございません。
 
○25番(大石和久議員)  これは後で言いますけれども、次に行きますけれども、議会としては全員協議会を開催して、本庁舎を深沢の事業用地に移転をしたいとの報告を聞いたにとどまっているんですね。議会としてはですよ。自治法第4条2項の話になってくるんですけれども、さきの議員からも指摘されておりましたけれども、当該地方公共団体の議会において出席議員の3分の2以上の者の同意がなければならないとしていますし、この移転の件は、現段階で条例改正を提出し決定していく条件ではないと認識しておりますけれども、議会に報告をしただけで、報告したときに多くの議員の皆さんが、このここに移転したいということに対して質問や指摘がありまして、その指摘や質問にきちんとした答弁はされていません。だから聞いたということになったんだと思いますけれども、このような状況の中で、広報とかホームページで移転が決定したかのような掲載は、拙速だと私は思うんですけれども、いかがですか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  本庁舎の移転に関する取り組み状況につきましては、これまでも議会にたびたび報告を重ねてまいりまして、その都度市民との情報共有に努めてきたと認識してございます。
 例えば、本庁舎の整備方針を、昨年、移転して整備すると決定したときも、「広報かまくら」平成29年5月1日号に、その旨掲載をいたしまして、その後、移転先の選定や公的不動産の利活用の検討に取り組んできたところでございます。
 今回も移転先を行政として決定したことにつきまして、まず議会に報告をさせていただきまして、その内容を市民と情報共有したいということで、広報に掲載したものでございまして、これについての取り組みは間違っていたとは認識してございません。
 
○25番(大石和久議員)  間違っていないということですね。先に質問された議員の方から、横浜市の本庁舎移転の事例も紹介されておりました。この横浜の本庁舎の移転の事例も調べさせていただきましたけれども、現在横浜市でも約168億円で購入した用地に、2020年の6月利用開始の予定で本庁舎の建設工事に今入っておりますけれども、この本庁舎移転の話って、古くいえば平成7年からあったみたいですね。調べますと。だけれども市庁舎整備方針について、審議会等からの答申を受けて、平成19年に新庁舎整備構想素案を公表し、その後議会にも林市長の要請で、新庁舎に関する調査特別委員会を設置し議論を開始したそうです。その後、新庁舎整備基本構想案を公表して、市民意見の募集を図って整備基本構想を作成し、整備基本計画を作成というような、さまざまな決定までのプロセスを丁寧に踏みながら、10年間かけて工事に入ったと。平成29年8月1日に着工に至っております。こういう経過があるそうです。この横浜市の本庁舎移転のフロー、またプロセスを聞いて、何か鎌倉市と違いませんか。どう思われますか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  横浜市におきましては、特別委員会ということを議会に設置して、その中で御検討いただいたというプロセスがあったということは、現在の鎌倉市においては、そういった取り組みにはない状況であったと認識してございます。ただ、先ほども答弁してきましたとおり、議会にはこれまでたびたび御報告を、議会のたびに常任委員会で報告をさせていただいたと。そうしたプロセスを経ておりますので、その上で今回行政決定に至ったということで認識してございます。
 
○25番(大石和久議員)  整備方針とかそういうものが出ていることは、もちろんホームページなんかにもアップしてますし、報告があるということはわかるんです。だから決定事項としてオープンしてしまうことがどうなんだと。私たち市民に聞かれますよ。決定したんだって、深沢。行くんだってね。議員の立場としては決定してないんですよ。違いますか。行政としてと書いてあるけれども、市長と役所の中では決定しただけで。議会は聞きおきになっています。決して決定していません。そうじゃないですかね。何かもう、事実をぼんと出しちゃって、反対なんかするんじゃないよというような圧力にもとれちゃう。本庁舎の移転は、別に常任委員会だけでいいんですかね。こうなりましたって。決定までのプロセスとは、私は違うと思いますよ。間違っていることを訂正してくださいと言ったって、間違ってないと言うんでしょうから。
 次に行きますけれども、じゃあ都市計画決定、事業区域も設定されてないような状況の中で、本庁舎移転決定までの、私はきちっとしたプロセスも踏んでない状況だと思うんですけれども、私はそれをしてしまうことは致命的だと思うんですね。じゃあ都市計画決定、事業区域も決まっていない中で、用地は確かに市かもしれません。都市計画決定をして変更することってないんですか。平成31年までに都決が打てないことだってあるんじゃないですか。ましてやずっと打てなかったり。といった場合にフローはもうできちゃってます。平成37年にはもうでき上がって引っ越しするんでしょう。打てなかったらどうするんですか。都市計画決定が。だって、ずっとこんなことよくあるじゃないですか。先ほど例に出した焼却炉を予定地にすることだって、それが予定地だとしたって、それを待ったわけでしょう、打つの。何があるかわからないですよ。平成31年までに。例えば事業区域から本庁舎だとかを建てるところを事業区域から外しますって言うんだったら別ですよ。市の単独でやりますって、そこは。でもそういうわけにもいかないでしょう。32ヘクタールの方々、鎌倉市だけが持ってるわけじゃないですから。そういう方々と同じ歩調で、この区画整理事業をやっていきましょうという基本的なベースがあるからじゃないですか。だけど市は、これをつくりますって限定をして、それを発表しちゃった。本当に例えば近々でいえば平成19年。大船駅東口駅前再開発事業を都決するって議会で否決されちゃいました。それから10年たって、今10年たちました。平成19年ですから。何か変化ありますか。10年間何もないんですよ。そこで都決を打てなくて何かがあったら。都決打ってだってそういうことがあるんですから。平成31年都決を打てるところまで、しっかりと基本構想、基本計画しっかりとつくっていったほうがよかったんじゃないですか。だって横浜でいう素案もできてないんですよ。ある意味では。基本構想の素案なんていう段階でもないんですよ。整備方針もちろんあります。だからJRさんは、私は、利用しようとしている地権者の皆さんはおもしろくないと思いますよ。だから飛ばしちゃいますけれども、JRさん17ヘクタール、約32ヘクタールの総面積の中で17ヘクタール持ってます。商業区域とか都市型住宅用地とか、そういうものを大きく持っています。事業区域の中で。それでこの商業用地というのは、例えばこういう大手を持ってきて、こういう規模でこういう形でやります。決定しました。土地住宅型用地、こういう建物、こういう形で建てますよ。いつまでに建てます、決定しました。今の段階でこんな発表されちゃったら、鎌倉市はJRさんに対してどんな対応をとるんですか。それと同じことやってるんですよね。だってそうでしょう。修正土地利用計画のところには、商業用地とか土地住宅用地とかって、あとまた鎌倉市にしてみれば行政用地とか行政施設用地とか、そう大まかにしか記載されてないんですもの。その裏には体育館建てたい、グラウンドつくりたい。消防本部を持っていきたい。こういうことが内々に決まっていて、そういうことを括弧して織り込んでありますけどね。今回のものは、鎌倉市役所を持っていきたい。決定しました。移転します。こう言っちゃったわけですから。じゃあJRさんだってやっていいじゃないですか。うちの17ヘクタールの土地はこうします。商業用地としていたところはこういうものを持ってきて、こうしてこれです。これが決定事項です。そうやられてしまったら、どうされるんですか。
 
○前田信義 まちづくり計画部長  JR東日本につきましては、深沢の行政施設街区が本庁舎移転候補地になっていることにつきましては、検討の経過も含めまして、これまでも説明をしてきているところでございます。また4月以降も横浜支社につきましては、深沢への本庁舎移転について御説明をさせていただいているというような状況でございます。JR東日本につきましては、深沢地域整備事業区域内の大規模地権者として、これまでもさまざまな協力をいただいておりまして、基盤整備だけでなく地区のまちづくり全般で協力をいただく必要があると認識しているところでございます。
 
○25番(大石和久議員)  何か聞いてることと答弁が違う感じがするんですけれども、結構です。JRさんも敏感です。また32ヘクタールの区画整理事業の全体の計画の中で、鎌倉市やほかの権利者などの皆さんと、足並みをそろえてオープンにしていこうという考え方は持ってくれているんだと思います。だけどJRさんも敏感ですしね。17ヘクタールの土地を更地のまま置いておくということは大変考えているところじゃないかなと思うんです。更地で置いておけば固定資産税だって6倍になるみたいな話もあるわけですしね。土地利用については決定すれば、すごく早く進むんではないかなと思っております。
 西側権利者への説明と協議というのは、これは必須だなと思ってるんですけど、平成27年都市計画決定が焼却炉候補地の一つとなって先延ばしになり、西側権利者の方々は行政への信頼というのを大変大きく失ったと。先ほど言ったように、個人権利者も土地を提供する事業協力者の一人ですので、この事業用地の一角に本庁舎が移転することに対して、広報やホームページの発表前に説明や意見を聞くようなことをされたんですか。
 
○前田信義 まちづくり計画部長  御指摘の点につきましては、4月4日の市議会、議会全員協議会の報告の後、速やかに個別訪問等によりまして、深沢まちづくりだよりの配付と合わせまして深沢の本庁舎移転につきましての情報提供を西側の地権者の方に実施しているところでございます。お知らせしました際に、地権者の方々からは、これで深沢の事業が進むんではないかといったような期待の声も複数いただいているところでございます。
 
○25番(大石和久議員)  しっかりと議会全員協議会の後に回っていただいたということだと思いますけれども、西側権利者の個々の相談なんていうのは、個々に聞きますから、どうぞ言ってくださいというような感じで受けているようですけれども、今のところ西側権利者の全体会というものに対しての報告というものはないわけですよね。全体会などを開催していただいて、本庁舎の移転の説明会というのは、僕は全体会なんかでの意見も吸い上げてよかったんじゃないかなと思っているんです。特に訪問してもね。いきなりぽんと紙を渡されて本庁舎移転決まりましたみたいな形になっちゃうわけですから。だけれども権利者の皆さんからは、本庁舎がこちらへ移転するだ、決定しただとかっていう話は聞いておりません、なんていう声が、今上がらなくてよかったなと思います。都市計画決定はおくれてしまいましたけれども、権利者の皆さん全員とまちづくり案の検討をしっかりと協議して、この区画整理事業を進めさせていただきますと。権利者優先の市の姿勢をぜひ継続していただきたいと思います。
 この本庁舎の移転は、条例改正をしなければならない議決事項ですけれども、先ほど述べたように。横浜市の本庁舎移転のプロセスを踏まえても、地方自治法に求められている手続を踏んだ計画になっているかという観点から、また市民理解が進んでいるかという観点から、まだ厳しいのではないかなと思うんですけれども、いかがですか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  本庁舎の位置を定める条例につきましては、建築に必要な財源の見通しも立てない時期に制定することは適当でないとの行政実例がございますことから、現在本庁舎整備の基本構想、基本計画の策定に取り組んでいるところでございます。今後、この基本構想、基本計画の策定に取り組む中で、これまでの経緯を含めて市民の皆様には広く御説明を尽くし、御理解を得ていきたいと考えております。
 
○25番(大石和久議員)  市民理解という面から、今お聞きしたんですけれども、松尾市長は記者会見の中で、新聞記事にもなっていましたけれども、本庁舎を移転することを多くの市民理解がある中で決定したと。また二、三年かけて住民と話し合いながら決定したとお話をしたそうですけれども、とするなら、なぜ発表後、市民による本庁舎の移転の是非を問う住民投票を求める活動というものが発足し、発展していってしまうのか。ホームページ上でも、その市民の意見を聞く形の中で、少し人数が書いてありましたけれども、たしか816人というような方の御意見を聞いたと書いてあったと思いますけれども。何でこんな活動になっていってしまうんですかね。多くの市民の意見を聞いた。二、三年かけてじっくりと市民の皆さんの話を聞いて決定したと市長が言われているのに。どうですか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  私どもとしましては、先ほど答弁しましたとおり、これまでも市民の皆様、そして議会に対しましても丁寧に御説明をしてきたつもりではございます。そうした中で、そうした動きがあるということでございますが、市民の皆様がこの本庁舎の移転について、とても重要な案件として捉えていると、そのあらわれであるという認識でございます。そういった意味では、5月1日号以後の広報で、一面であのような書きぶりで深沢に移転をすると、そのように広報して、それによって多くの市民の方が関心を持っていただいたと。先ほど答弁したとおり、昨年、一年前に本庁舎は移転をしますと。移転先はもう一年かけて検討しますと、そういうような広報もして、そしてその検討の経緯の中でも広報もして、さらにはパブリックコメントということで、市民の皆様にも方針を策定するに当たっては御意見も聞いてきております。そうした中でも、なかなか市民の皆様への、私どもの取り組みが浸透してこなかったというような反省といいますか、そういう認識も正直ございます。そうした中で、この間の広報で多くの市民の皆様に、この本庁舎移転の問題というのが、ようやく関心が持たれてきたのかなと認識しているところでございます。
 
○25番(大石和久議員)  今の答弁の中で、本庁舎移転までの取り組みについて市民の皆さんに浸透してこなかった部分もあるかもしれないというお話がありましたけれども、そういうことを思ってるんだったら、決定事項として話しちゃいけないんじゃないですかね。担当になっている部長さんがそういう答弁をするんですもの。住民投票の要件というのは、有権者の50分の1だそうで、15万人と考えても3,000人の署名が集まればいいわけですよね。もしこれが通っちゃって、どうなっていくのかわかりませんが。何で本庁舎を移すこと。私は個人的には賛成なんですよ。だけどきちっとしたプロセスを踏んで市民意見を本当によくとって、ここでオーケーだというときに出してもよかったんじゃないですかね。それは指摘をさせていただきます。
 また、以前の質問で資金計画を出してくださいと要望させていただきましたけれども、面的整備、本庁舎移転、また消防本部、体育館、グラウンドなどの超概算でも約400億円からの財源が必要で、それ以外にも新駅の判断をし、新駅ありとの判断をするのであれば、その負担分。焼却炉の建設費用、これは事業用地だけじゃないですよ。岡本二丁目の施設整備費用、学校の建てかえ計画、ここの本庁舎跡地、動くんだとすると、そこの跡地の利用など、これから5年、10年で約200億円以上の財源も必要だと考えられますし、この区画整理事業だけでいえば、ここの事業用地には3,000世帯の方々が住まれるようなことを想定されているようですけれども、その方々からの例えば税収、商業用地をJRさんが持ってくるというのであれば、その商業用地から出る法人税などが上がってくることも踏まえた、返済計画も含んだ形の資金計画を、この区画整理事業だけじゃありませんが示すことが必要だと考えるんですけれども、いかがでしょうか。
 
○松永健一 総務部長  今後、さまざまな大型事業の実施を控える中におきまして、今お話にありました、しっかりとした財政見通しを持って事業の実施可能性を見きわめていくということは重要であると考えております。
 そのような中で、現在、平成30年度から10カ年を期間といたしました、概算ですけれども財政的な推計を作成しているところでございまして、その中で本庁舎整備、深沢地区区画整理事業及び新焼却施設整備といった事業については、今後、消費税増税に伴う交付金の増収なども見込めることから、事業実施を可能とする財源確保は図れるものと推計しているところでございますけれども、しかしながら、今御質問にもありましたとおり、これら事業以外にも実施しなければならない事業課題が鎌倉市には山積しておりますため、それらを円滑に進めるためには公共施設の再編ですとか行政改革などによるコスト削減、あるいは事業手法の検討を組み合わせていくことが必要になると考えております。
 なお、現在作成している概算推計につきましては、今お話したとおり、今後予定しております大型事業実施のための当面の財源確保についてのシミュレーションをしているところでございまして、深沢整備後の経済効果につきましては、別途まちづくり計画部等とも連携して見きわめていく必要があると考えております。
 
○25番(大石和久議員)  今行っているのは、この事業区域の推進のためのメニューを今考えているということでした。そうですけれども、これもここの活用なんかもあると思うんですけれども、例えば本庁舎とか消防本部だとか、今決定だとしている、また決定しているこの事業用地について、行政施設が建つわけですけれども、その整備に利用可能な国庫補助のメニュー、活用というのは具体的にこういうメニューが、というものはあるのですか。
 
○比留間彰 共創計画部長  整備を予定しています各施設の詳細な内容というのは、この後検討していくことになりますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、施設整備に活用できます国庫補助がありましたら積極的に活用していくというスタンスはとっております。
 
○25番(大石和久議員)  初めの質問で言いましたけれども、平成27年度までに都市計画決定を打つ予定だった深沢地域の区画整理事業用地も焼却炉の四つの候補になって、実際は山崎に決定したわけですけれども、その間、都市計画決定を打つことができず延期をせざるを得ませんでした。西側の権利者ですけれども、ほとんどの方が協力しますから早く事業化してくださいとしていた方々への配慮は、今までどのように対応していたかはわかりませんけれども、早い事業を求めていることは間違いありません。平成31年度に向けて都市計画決定手続を完了し、本庁舎建設を平成37年度利用開始となるスケジュールで進めたいというプロセス、計画ですが、私は先ほど申しましたように、きちっとしたプロセスが踏めてないなと、不確定な計画を市民に発表しちゃっているなと思っております。深沢の用地は焼却施設建設候補地の一つとなって都市計画決定を打つことを見送りましたけれども、焼却施設建設予定地が山崎の浄化センター横の未利用地に決定したことにより、すぐにでも都市計画決定を打つ手続に入るのかなと思ってました。でも、その平成27年度から数えたって、もう3年が経過しています。その理由と事業がおくれている事実をどう捉えているのか教えてください。
 
○前田信義 まちづくり計画部長  平成27年度に深沢地域の土地利用計画案に市民要望を反映するため、深沢地域整備事業のまちづくり意見交換会を設置して対応してまいりました。修正土地利用計画案を策定するまでの間、時間を要したということでございます。また、平成28年度から重点配分方針に合致しないと、土地区画整理事業への国の補助金の充当率が低下することとなりまして、平成29年度に両市一体施行と単独施行の事業計画の検討を行い、現在、神奈川県、藤沢市、鎌倉市の3者で協議調整を進めているところでございます。
 事業がおくれていることにつきましては、権利者の方々からは大変厳しい御意見をいただいている状況でございますが、できる限り早期に実現可能な事業計画の確定を図っていきたいと考えてございます。
 
○25番(大石和久議員)  一番最初の市長答弁と同じだと思いますけれども、都決を打たないで長く用地をあのままに置いておく。ほかのところもそうですけれども、そうやって長く放置することによって、前々回でしたっけ、一般質問の中でJ1のベルマーレのホームグラウンドを事業用地内になんていう報道や、それに伴う議会での質問や指摘につながった経過もありました。全てに言えることだと思いますけれども、長くとめるということにより、市長を初めとした職員の信頼や意欲の低下を招きます。そこにかかわる権利者の方々が矢面に立たなきゃいけないようなときもあります。そして嫌な思いをされるなど、よいことはありません。野村総合研究所跡地だとか、笛田のし尿処理施設の用地の周辺の方々や深沢の区画整理事業区域の権利者の皆さん、この3方には大変な御心配と御迷惑をおかけした上に、最終決定した山崎浄化センター横の未利用地での焼却施設建設の判断もまだ出てません。本当に迷惑かけましたよ。都決を3年も4年も。平成31年までというか、今予定しているけれども平成31年まで延びちゃうような状況ですもの。野村だって議会に陳情が出ました。深沢も陳情が出ました。本当に地域の方々で犠牲になるような形で、ようやく山崎に決まりました。そうしたら山崎は決まりません。用地は決定と言いましたけれども判断が出ません。この判断というのは、市長いつまでにするのですか。
 
○松尾崇 市長  可燃ごみ焼却施設につきましては、新焼却施設の必要性や可燃ごみの広域連携の可能性につきまして、本市の安定的なごみ処理体制を構築することを前提に今評価を行いまして、平成30年度末までには方針を明確にしていきたいと考えています。
 
○25番(大石和久議員)  市長、思い出してください。松尾市長は、今年度の予算を決定する大事な定例会、2月定例会ですね。ここの各派の代表質問の中で多くの同じような質問がありました。ここでは3月末までに結論を出すと言われたんですよ。そして、その後の予算特別委員会の理事者質疑の中で再確認をしたら、3月いっぱいで結論を出すことができませんと。そう答弁されたんです。同一議会中に答弁が変わってしまったんですよ。代表質問では3月いっぱいには結論出します。その議会の最終になった予算特別委員会の理事者質疑では、3月いっぱいには出せません。本当は議会がとまってしまうような大きな答弁ですよ。市長としての責任として、あってはならないことがありました。これは指摘しておきますけれども、これだけではありません。
 続いてやらせていただきたいと思いますけれども、北鎌倉駅裏トンネルの安全対策の質問に、同じような質問をさせていただきますが、これも同じようなことが見受けられました。順次質問させていただきます。北鎌倉駅裏トンネル、隧道というんでしょう。閉鎖、もう3年以上が経過しておりまして、過去に早期の安全対策を求める陳情とか、早期の開通を求める請願などが議会に提出されて可決されております。今定例会にも、北鎌倉隧道関係の複数の陳情、請願が提出されているようですが、私もこの問題の当初から質問をさせていただいていることもあり、再度質問させていただきます。
 基本的なことを伺います。まず松尾市長。松尾市長はこの仮設工事を行うのですか、それとも本設工事を行うつもりなのですか。どちらですか。
 
○松尾崇 市長  北鎌倉隧道の安全対策につきましては、開削工法の見直しをした際に、本設の工法を決定するまでに時間を要すると考えられたことから、仮設工事を行って通行を確保した上で、本設工事の検討を並行して行うという、こういう考えでございました。地権者の同意が得られれば仮設工事にまずは取り組んでいきたいと考えております。
 
○25番(大石和久議員)  市長、その答弁というのはまた議会で言われたことと違うんですよ。わかりますよね。市長は、前議会に何て言ったかというと、松尾市長は仮設工事を行い、その後、本設工事となると通行どめの期間も長くなり、費用の面も負担は増大するために、現在検討している本設工事3案の中から一つ選択し、本設工事で対応したい。こう言われたんですよ。これは私だけじゃなくて皆さん知ってると思いますけど。今の答弁は、違うじゃないですか。
 4月24日、5月27日と二回開催されたと聞いておりますけれども、開催された近隣での住民説明会では、仮設をなぜやらないんだという声に対して、じゃあまず仮設工事をととれるような話を参加者にしたとも聞いておりますけれども、これは間違いない話ですか。
 
○松尾崇 市長  去る4月24日に開催した説明会におきまして、本設工法の検討状況について説明を行いましたところ、参加者から仮設工法の説明を求められたために、5月27日に説明会を開催して、この仮設工法の説明をしたところでございます。
 繰り返しになりますけれども、この地権者の同意が得られれば仮設工事に取り組むということには変更はございません。
 
○25番(大石和久議員)  地権者の了解がとれれば仮設。何で本設じゃないんですか。仮設もだめだと何か言われてましたよね。権利者の了解が得られないって。了解がとられましたら本設でいいんじゃないですか。1、2、3どれを選ぶにしろ。何で仮設やるんですか。前に期間的にも、通行どめの期間が多くなっちゃう。工事費も増す。だから今検討している本設1、2、3案の中で、どれか一つ選んで本設工事をやりたい。こう言われていたのに何でそうやって変わっちゃうんですか。
 これはほかの議員の質問で既に明らかになっておりますけれども、開削工事の直前、文化庁から尾根に守るべき文化財的価値があるという趣旨のことを言われ、工事を中断した経過がありました。どのような文化財的価値があるのか、その根拠を文化庁に聞いてますか。
 
○桝渕規彰 文化財部長  文化庁記念物課主任文化財調査官から、円覚寺境内の史跡指定の根拠となっております境内絵図、そこに描かれた尾根の状況と現況の地形の一部とが一致する可能性が高いと。そういったことから、文化財的価値があると判断したと聞いております。
 
○25番(大石和久議員)  それでは戻ってしまいますけれども、平成16年から平成22年までかかってつくった保存管理計画。そのときにきちんと議論したんじゃないですか。そういうことも含めて区域どりもあのようにされたと私は認識しているし、前の質問の流れからもそういう認識でおりました。そしてその文化財的価値が議会としてもわからない。何で文化庁が急にそんなことを言うのか。わからないで議会としても二度にわたって、議長名で北鎌倉隧道の文化財的価値などをお聞きしたい旨の要請文を文化庁に送ったわけです。しかし来ていただけませんでした。1人は退官し、1人は異動したと聞いております。行政の継続性ということもあって、鎌倉市から文化庁記念物課の担当者に松尾市長名で、この文化財的価値を伺うために要請、招聘をしていただき、確認していただきたいと思いますけれどもいかがですか。
 
○松尾崇 市長  これまでも担当部局からも要請をしてきたところでございますけれども、私としても文化庁記念物課の担当者に来ていただけるよう要請してまいりたいと考えております。
 
○25番(大石和久議員)  また招聘できるのであれば、その席に議員も同席するか、また別の場所でもよいので、その担当者に質問できるような形で要請していただきたいと思いますけれども、いかがですか。
 
○松尾崇 市長  その点も合わせて要請してまいりたいと考えています。
 
○25番(大石和久議員)  文化庁が文化財的価値の継承を第三者委員会、ここ鎌倉でいえば専門委員会なんでしょうけれども、開催して検証しなさいとの指示により開催したいと聞いておりますけれども、具体的な検証結果と価値があるとの判断であれば、文化財的価値が何か明確にしていただきたいと思いますけれども、先ほどの答弁と変わりませんか。
 
○桝渕規彰 文化財部長  議員御指摘の文化庁からの指摘を受けまして、平成28年7月8日に開催いたしました文化財専門委員会、ここには外部の有識者2名も加わっていただきまして議論いたしましたが、この専門委員会において、北鎌倉隧道の所在する尾根の文化財的価値について協議を行い、主に14世紀前半の円覚寺の一番盛んだったころの状況を描いたとされ、重要文化財に指定されております境内絵図と現況の尾根について検討を行いました。
 こうした文化庁からの指摘及び専門委員会での議論を総合しますと、まず境内絵図でございますけれども、その特徴は当時の円覚寺の伽藍全体と、それを囲む尾根に寺の境界を示す主線が引かれております。そしてその主線に当時の支配者側を代表する足利直義の執事であります上杉重能の花押が随所に付されているというものでございました。こうしたことから、この絵図は改装間もないころの円覚寺が盛んであった状況を体制側が認めたことを示します資料として、歴史的・学術的に価値が非常に高く、それによって重要文化財に指定されておりまして、さらに史跡、円覚寺境内はこの絵図にのっとって指定範囲を定めているというものでございます。
 一方、北鎌倉隧道が所在します尾根につきましては、中世以来の自然地形が一部残り、先ほど御説明しました歴史的・学術的価値が高いと考えられる絵図という文献資料と現地の状況が一致すると考えられることから、削られた部分があるとしても残った尾根に文化財的な価値があると判断されるものと考えております。
 
○25番(大石和久議員)  上杉重能の花押が絵図面にあるというんだったら、保存管理計画をつくったときに、あそこに出てるわけですから状況は同じですよね。後からつけ加えたわけじゃないですから。だとすれば価値ありという判断が、あの保存管理計画をつくるときに出なきゃおかしいんじゃないですかね。こんな安全対策をやるとき、文化庁が「急に文化財的価値があるんだ」、「第三者委員会つくって検証しろ」。何かおかしいですよね。今、そういう判断をしているんだということはわかりましたけれども。
 その後、5月18日に第14回国指定史跡円覚寺境内保存管理計画運営連絡協議会というものが開催されたそうですけれども、これは保存管理計画をつくった後、年に2回ぐらいその境内、また建物、その中のことに関して役所と協議をしていきましょう。年2回ぐらいやりましょうというような連絡協議会だそうですけれども、そこの議事内容に、円覚寺からは宗務総長、教学部長、法務部長、庶務部長を初めとする10名の本山の役員が出席をされて、鎌倉市からは都市整備部長を初め5人の担当職員、文化財部からは文化財部長を初めとする5名の職員で、北鎌倉隧道安全対策工事に係る検討状況についてということと、北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値についてという2点の議題を議論されているそうですけれども、そこで出た意見として、抜粋ですけれども尾根に文化財的価値があると結論が出ていることに納得がいかない。これは円覚寺さんですね。二つ目、以前、文化庁が尾根の価値について異なる判断をしていた。その判断変更の理由の説明を文化庁が行うことが議論の最初である。文化庁はなぜ説明に来ないのか。そして尾根について史跡指定されていないのに、現在、安全対策工事案から尾根を開削する案が除かれているのは筋が通っていない。開削案も含めて検討すべきであるという意見が出され、円覚寺からの要望として、事の発端である文化庁の発言により変わってしまった尾根に対する文化財的価値の説明、根拠を文化庁に求めております。開削工事の実施についても再度検討することを求められております。市長にも報告されていると思いますけれども、この内容に関して市長はどう考えていますか。
 
○松尾崇 市長  平成30年5月18日に開催された協議会で出された円覚寺側の御意見につきましては、報告を受けたところでございます。尾根の文化財的価値に係る経緯等につきまして、円覚寺にも文化庁に説明していただけるよう要請をしてまいりたいと考えています。
 
○25番(大石和久議員)  1カ月前にということを言いました。5月18日なんですよね。この話が円覚寺さん総体の話なんです。例えばそこを持っている雲頂さんとか、そういうことじゃないんです。円覚寺総体からの要望なんです。5月18日にその話を皆さん受けてきている。もう1カ月たちました。今の市長のような答弁だったら、もう文化庁にその要請だとか招聘が行っていて不思議じゃないんじゃないですか。もうしましたという答弁、僕はくれるんだと思ってました。5月18日から1カ月たってるんですよ。だって何で今ごろ、土地をお持ちの円覚寺総体からこんな話が出てきちゃうんですか。開削工事をとめたときに文化庁からこういう話をいただきましたと。円覚寺さんいかがでしょうか。それに対して、こういう話が出てくるんだったらまだわかりますよ。もう3年経過してるんですから。3年ですよ。一に戻った話じゃないですか。文化財的価値がわからないと言ってるんです。何で文化庁は持ち主である私のところにそういう説明してくれないんだって。その根拠の説明をしてくれよ。わからないがゆえに開削工事がなくなっちゃったというのも納得できない。こういうことですよね。だから市長も出席して住民説明会などやられていると思いますけれども、その仮設とか本設とかいう前段階の問題を処理しなきゃいけないんじゃないですか。何かおかしいですよね。この3年間。通行どめして大変な御迷惑かけて、さっきも言いましたけど陳情や請願が出ている。調査もしてさあ文化庁呼びましょう。市長は地元に行って仮設だ本設だという話をしてきている。そういう中でこんなものがぽんと5月18日に、たった1カ月前に出てくる。3年間何やってたのという感じですよね。このままでは、もうまた年単位で工事がとまっちゃうんじゃないですか。安全対策が。本当に先ほど言いましたけど、5月11日の話なので、市長名でも文化庁へお話が行っているものだとばかり思ってました。そういう答弁を期待していたんですけれどもそうではないです。だから早急にやってください。本当であれば、やったのかって。確認したのか。向こうは何て言ってた。そういう質問になるんですけれどもね。いいです。私もこの判断を誤らないように、どのような文化財的価値があるのか、しっかりと掌握したいと思います。
 先ほど申しましたように、国が地方行政に関与し、工事・工法まで国に相談して結論を出すんですから、決定したら工事費用は国で出してくれって言ってください。この通行どめをした3年の期間、幾ら使ってます。これも先日答弁ありましたけれども、約3年間でガードマンなどの費用が1億4000万円もかかっているでしょう。それで安全対策まで市に任せるんですかって。費用を。そしてその安全対策ができたら国指定史跡の拡大、区域の拡大がどこまでできるかわかりませんが、それも区域の拡大まで国が主導でやるように言ってくださいよ。私も、もしも議員という立場で先ほど要望したような場ができるのであれば要望しますけれども。このままにすると、今後の鎌倉市の文化財行政にも多大な影響を及ぼすと私考えておりまして、だから同僚議員が例えば大町釈迦堂の下の崩れてるところ、崩落対策などの対策工事も含めて国に相談しなきゃいけないと思いますし、ああいう問題もあります。繰り返しますけれども、この円覚寺さん、北鎌倉隧道の対応については早急な対応、これは私たちじゃなくて一番最優先に円覚寺さんにやってください。来るとすれば。そして本当に文化庁の説明において、円覚寺さんの御理解をいただけなければ進まないと思いますので、仮設にするにも本設するにも。市長、今抱えている問題、事業の総合的な判断をすると、もうこれこういうことだけではなくて、本当に先ほど言いましたように、市長の判断を職員さんも待っているというような状況じゃないんですかね。このままでは犠牲者は職員と市民です。議案提出までのプロセスをきちっと踏むこと。そして2月の定例会の一番後に市長への問責決議も出ましたけれども、そのときにも指摘をさせていただきましたけれども、市長の優柔不断な態度と判断、外部でのプロセスを無視した不規則発言、住民市民軽視、こうなっちゃうんです。ここへつながっていくんです。議会軽視、本庁舎の件に関していえば、行政内部でのプロセスを無視した行政計画とその広報。このままでは、行き詰まってしまうということを指摘させていただいて質問を終わります。
 
○議長(中村聡一郎議員)  ただいま一般質問中でありますが、議事の都合により暫時休憩いたします。
                   (12時06分  休憩)
                   (13時20分  再開)
 
○議長(中村聡一郎議員)  休憩前に引き続き会議を開きます。
 一般質問を続行いたします。次に、河村琢磨議員の発言を許可いたします。
 
○21番(河村琢磨議員)  鎌倉のヴィジョンを考える会の河村琢磨でございます。
 今回は、五つのテーマについて質問を行ってまいりたいと思います。通告とは変わるんですけれども、4番目の8050問題を最初にして、順次質問してまいりたいと思います。
 一つ目は8050問題から考える今後の地域福祉のあり方について。二つ目はRPAによる行財政改革推進事業について。三つ目は組織内CSIRTの設置について。四つ目は障害者ワークステーションと障害者福祉施策について。そして最後にグリーフサポートの展開と必要性についての順番で質問してまいります。今回はボリュームがありますけれども、日程も押しておりますから、できるだけ早回しで質問してまいりたいと思います。理事者の皆様におかれましては、どうか明快なる御答弁をよろしくお願いします。
 それでは最初の質問項目、8050問題から考える今後の地域福祉のあり方について質問してまいります。
 私たちが暮らす日本は、世界に前例のない速さで高齢化が進み、1970年に高齢化社会となってからわずか24年で高齢社会となりました。その後、2007年には65歳以上の高齢者が全人口の23%を超え、直近の人口推計では高齢化率は28%。今や世界で最も高齢化が進んだ超高齢社会であります。平均寿命においても、女性87.14歳、男性80.98歳と男女ともに過去最高を更新し、日本は世界中のどの国もこれまで経験したことのない人類の夢の最先端にいるのです。ベストセラー書となった「ライフシフト」ではありませんけれども、まさに人生100年時代。かつて余生と言われていた老年期も、今や人生の4分の1を占める時代となり、これまでの人生65年時代を前提とした福祉施策ではもう立ち行かない時期を迎えたわけであります。
 しかしながら、何も高齢化した社会が悪いということを言っているのではありません。先ほど人類の夢という言葉を使いましたけれども、その言葉どおり長寿は大変喜ばしいことであり、むしろ、だからこそその4分の1を占める大切な老年期をいかにして幸せに生きることができるのか。つまり幸福な老いを意味するサクセスフルエイジングの考え方が、個人的にも社会的にも大変重要となってくるのでございます。
 では、問題はどこにあるのかということになるかと思いますが、それは現在の私たちの社会が、高齢化の上昇率よりも生産年齢である現役世代の人口減少率が大きいということです。これについての解決策は、少子化問題の解決しか抜本的な解というのはございませんけれども、その前に大きく立ちはだかる問題が、今回質問いたします8050問題でございます。80代の親とひきこもり状態にある50代の子供の世帯をあらわす8050。引きこもる本人、そして親の高齢化が進み、経済的にも精神的にも追い詰められ孤立が深刻化をし、生活が困窮、行き詰まってしまうという社会問題です。これまで国は、いわゆるひきこもりやニートを若者特有の問題として捉え、40歳以上の人たちの現状というのを把握してきませんでした。調査対象を15歳から39歳までに限定していましたから。しかし、その条件下においても調査をしてみたら、54万人もの人たちがひきこもり状態にあり、かつ高齢化・長期化しているという実態が明らかになったわけであります。この生産年齢人口、まさにど真ん中となる世代のひきこもりが、このまま長期化をしていけば、親が働けるうちはまだよいですけれども、いずれ親の年金収入のみの生活となったとき、家計は厳しくなり年齢もそうですが長期化することによって親子ともに体力・気力とも衰え始め、やがてどちらかが病気になったり認知症によって介護が必要になったりすれば共倒れとなってしまう。そんな非常に大きな危険性をはらんでいるということでございます。実際に、ことしの1月、札幌市内のアパートで、82歳の母親と長期間ひきこもり状態だった52歳の娘さんが親子ともに衰弱死をしてしまうというとても悲しい事件がありました。
 国も、このように問題がにわかに顕在化してきたことから危機感を強め、政府として初めて中高年世代のひきこもりについての実態調査に乗り出すことを決定したわけであります。早ければことしの秋から、40歳から60歳前後までの約5,000人の中高年のひきこもり者とその家族を訪問し、原因や期間などの聞き取り調査を実施するとのことですけれども、そこでまずお伺いしたいと思いますけれども、鎌倉市はこの8050問題、現状をどのように捉え、そして考えていらっしゃるのか、まずはその御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
 
○進藤勝 こどもみらい部長  いわゆるひきこもりにつきましては、何らかの支援が必要な状態であると考えております。平成28年5月からひきこもりに関する連絡会を立ち上げて検討しているところでございます。8050問題が抱えている課題は、個々に複雑、多岐にわたることから、横断的な対応が必要だと認識しているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  では、本市においてひきこもり状態の方を把握するきっかけというのはどのようなものがあるのでしょうか。
 
○進藤勝 こどもみらい部長  現在は、生活困窮や就労相談など、それぞれの制度の相談窓口において相談者の家族関係を確認する中で、ひきこもりの家族を把握することが多いと認識しております。
 
○21番(河村琢磨議員)  ひきこもりの問題が社会的な問題となった1980年代から90年代ぐらいですかね。それから30年ほどたった現在、当時のひきこもり世代が社会に出る機会を逃したまま、今なおひきこもり続け、40代、50代になろうとしている。そのような例は決して少なくないと思うんですよね。もしかしたら不登校になってしまってから、そのままずっとひきこもり状態となってしまっている子だって、私はいるかもしれないと思っています。そのようなケースの場合というのは、行政は把握することというのはできるのでしょうか。国は中高年世代のひきこもり調査をするとは言っておりますけれども、もし把握できているのであれば、現状鎌倉市におけるひきこもり世帯の数と人数を教えてください。
 
○進藤勝 こどもみらい部長  ひきこもりに関する連絡会におきましても、ひきこもり世帯の数や人数を把握することが課題だと捉えられておりますが、現状では把握できていない状況でございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  把握できていないというのはわかります。つまり、この8050問題の難しさ、ひきこもり問題の難しさというのが、私は結局そこにあるんではないかなと思います。女性の場合はもっと複雑だと思うんですよね。いわば家事手伝い、専業主婦としてひきこもりの人数にカウントされないというか反映されないわけでございます。これまで介護や生活困窮者自立支援、障害者支援など、何かしらのルートで支援のひっかかりにたどり着けた人というのは、私はその支援の必要性が見えるからまだいいと思うんですけれども、ひきこもり支援の難しさというのは、そもそもそういった方に支援の光が行き届かないというところにあるのではないかと思います。具体的な状況把握ができないまま、気がつけば8050の状況に陥ってしまう。そうなってからでは自立に向けた支援というのは非常に厳しい状況となってしまうわけです。
 では、鎌倉市としては、このようなひきこもり状態の方に対して、具体的にどのような働きかけを行っておられるのでしょうか。
 
○進藤勝 こどもみらい部長  現在、鎌倉市ひきこもりに関する支援マップというものを作成しているところでございまして、平成30年7月に発行することを予定しております。この支援マップでは、市・県の相談窓口や市内で活動している支援団体等を紹介しております。ひきこもり状態の方々が個々に抱える課題を解決する糸口になればと思っております。
 
○21番(河村琢磨議員)  また見ていきたいなと思っておりますけれども、ひきこもりに陥ってしまう原因や理由というのは、一人一人違うわけですよね。よく自己責任とか甘えなんていうことを言ってひとくくりにおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、現実は決してそう単純ではないと思うんです。家庭環境であったり社会的な要因であったり経済的な状況、そして障害であったり、もちろん本人の自立心というのは最終的に大変重要になってくるわけですけれども、ごらんになられたかはわかりませんが、6月2日のNHKスペシャルである特集が放送されました。「ミッシングワーカー働くことをあきらめて…」というタイトルで、親の介護などによって離職せざるを得なくなった介護離職ですよね。これ前にも一般質問でやりましたけれども、まさに今、働く世代の40代、50代が長期にわたる介護生活などによって社会から孤立し、働く意欲を失ってそのまま労働市場から排除されてしまうというケースが急増しているという大変衝撃的な内容でございました。その数はおおよそ103万人。これはNHKと専門家が推計した数値となりますけれども、日本における40代、50代の失業者の数がおおよそ72万人ということですから、いかに深刻な問題なのかというのがここからわかるのではないかなと思います。これはまさに、8050問題の一つのケースでもあるのではないかなと私は捉えております。介護のために仕事をやめ、親の年金収入に頼らざるを得なくなり求職活動を行えないことから、雇用統計上の失業者にカウントされない。番組では、その背景に非正規労働の急増と独身の中高年がふえている。そういった社会背景があるということを述べておりました。つまり何が言いたいかと申しますと、社会変動になるわけです。個人化する社会、家族や地域社会、会社といった、これまで個人と社会を結びつけていた中間集団が機能低下し、さまざまなリスクが直接個人に降りかかってくるような社会になってきているということです。かつての日本には、親が定年を迎えたら子が養うというような社会構造がありましたけれども、よほど恵まれた境遇にいなければ、そのようなセーフティーネットはもう機能しなくなっているということなんです。当議会においても、セルフネグレクトや、またLGBTQの問題が取り上げられてきましたけれども、まさにこれまで潜在的だったことが、社会構造の変化とともに社会的孤立という形で、より深刻な問題となって表面化してきたわけでございます。
 そこで必要となってくるのが地域福祉という考え方になろうかと思います。コミュニティーソーシャルワークでございます。自分たちが暮らす地域の課題は地域全体の問題として捉えて、働き方や社会参加、地域コミュニティーや生活環境のあり方などを地域住民や福祉関係者らと協力をして、全世代で参画しデザインしていくということです。これ先ほど吉岡議員もやられておりましたけれども、これに向けてはことし4月に施行された改正社会福祉法の中で、地域共生社会の実現という形でしっかりとうたわれております。これまでの縦割りの支援から包括的・総合的な支援体制をインフォーマルな社会資源の活用も含めて、基礎自治体は整えていかなければならないということになるわけですね。
 今、会議システムに表示させている通知というのは、恐らく国から届いてきていると思います。これらの資料でございます。この最後の図が、まさに複雑な図ですよね。これだけのことをこれから地域でやっていかなければいけないということになるわけです。そこでお伺いしますけれども、それぞれの分野ごとに相談窓口でも示されていると思いますが、相談の中で、その世帯が複数の課題を抱えていることが判明した場合、庁内での連携というのはとれる支援体制となっているのでしょうか。このイメージ図を見てもらうとわかりやすいと思うんですけれども、これだけ多様的なわけですけれども、いかがでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  複数の課題を抱えている世帯への対応についてでございますが、ケースごとには異なりますが、基本的には最初に課題を把握した相談窓口が中心となって対応に当たっているところでございます。その対応といたしまして、まずは関連課に対し情報提供を行い、その後必要に応じて横断的にケース会議を開催するなど連携した対応を図っているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  高度成長期の日本というのは、社会福祉施策を税収だけで何でもできると考えていた時代だったんだということを、私、先日受講した社会福祉の講習で聞いたんですけれども、今はもう時代が大きく変わって、これからは社会のあり方というのも、そして生き方というのも働き方も、そこにプラス人々も、まさに多様なこの社会と移りゆく時代にあっては、当然福祉にも私は多様的なケアが求められていくということは必然的なことなのではないかなと考えております。本人や家族が地域でどういう課題に直面しているのか。行政には実態に即した支援が求められていくということになるんだと思います。
 そこでお伺いしたいと思いますが、本市における地域福祉の柱となる考え方があれば、それをお聞かせいただけますでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  地域を推進していくためには、地域にかかわる全ての者がお互いに協力し合うということが重要であると考えております。福祉課題が多様化、複雑化してきている中で、行政が行う事業だけでは解決できない課題がふえているところでございます。本市といたしましては、福祉課題のニーズに合わせ、公的サービスの充実に努めるとともに、地域の見守り、支え合い活動を行う市民活動団体等と協力し合いながらきめ細やかな対応を行い、地域福祉を推進していきたいと考えております。
 
○21番(河村琢磨議員)  結局、多分必要なのは、この引きこもる人たちに、これまでにないアプローチで、私は仕事をする意欲や自信を持ってもらう取り組みというのも必要だと思うんですね。動機づけと言ったらいいんでしょうかね。
 これほんの一例ですけれども、昨年ですか、発達支援を行っている方から聞いた話なんですけれども、不登校になってしまった生徒さんからeスポーツ選手になりたいという相談があったそうです。このeスポーツというのは、エレクトロニックスポーツのことで、広義には電子機器を用いて行う競技・スポーツ全般を指す言葉として、わかりやすく言えばコンピューターゲームを使った競技となります。まだ日本ではなじみが薄いですが、世界に目を向けてみれば、ことし8月にインドネシアで開催されるアジア版オリンピック、第18回アジア競技大会でこのeスポーツが公式公開競技として採用されるなど、世界的には今このeスポーツが大きく注目されているそうです。そんなeスポーツ選手になりたいという相談を受けたとき、その支援者の方も最初は戸惑ったそうです。それはそうですよね。普通なら学校に行きなさいと言ってしまうところではないかなと思います。当然、親も学校の先生も、これまでのほかの支援者も誰も本気で話を聞いてくれなかったと。でもその支援所では、一丁やってやろうじゃないかと、挑戦してみなさいということで必要な機材を調べて用意をしてあげたそうなんです。私はこの姿勢というのが、本人のための支援、あるべき姿ではないかなと私は強く感じたわけであります。
 これまでの画一的な支援の考え方を取っ払って、柔軟にあらゆる可能性を模索する。陥りがちな行政や支援者の都合で支援を行ってはならないし、してしまってはならないと思うんです。まさに当事者の視点と立場に立った支援というのが、これからの施策には絶対必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 
○佐々木聡 教育部長  教育の立場から御答弁させていただきます。教育委員会としましては、登校することが難しく、悩んでいる子供たちに対して、家庭訪問等によって本人、保護者に寄り添った支援等、きめ細やかな対応に心がけ、学校への復帰だけを目指すのではなく、子供たちの社会的自立を目指して支援を行っております。
 教育支援教室ひだまりでは、朝から丸一日通室できる子供もいれば、午後から通室する子もおります。また小集団になじめず全く個別に支援している子など、それぞれの子供の状況に応じた支援を行っております。学校は平成27年に教育委員会が配布した不登校の予防と対応ハンドブックをもとに、一人一人の子供の状態を把握し、個々の状態に応じた支援を行っているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  家庭訪問ということは、それアウトリーチ支援になるんですか。そこだけ教えていただけますか。家庭訪問しているというのは、ただ訪問なんですかね。それとも支援を行っていらっしゃるんでしょうか。
 
○佐々木聡 教育部長  一応現場と話し合いながら、子供たちとか保護者に寄り添うような形での対応をしているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  わかりました。
 ではもう一つ、児童福祉の視点で伺いたいと思います。このひきこもり問題と関連づけるのであれば、昨今、子供たちが外で遊ばなくなったといわれておりますけれども、その理由が、先ほどのeスポーツではありませんが、スマホやテレビゲームの台頭だと指摘する御意見があるのは承知しております。しかし、果たして理由は本当にそれだけなのかということを疑問に思っております。つまり子供が主体となる公園において、その当事者である子供たち自身の意見を直接聞いて公園はつくられているのか。行政や大人の都合によってつくられているのではないかということを考えてみなければならないと思います。子供たちが本当にほしい、遊びたい公園が私たちの町にあるのかということです。そこで伺いたいと思いますが、鎌倉市では公園の整備に向けて直接子供たちが意見を言ったり、子供たちの意見を聞いたりするような場はあるのでしょうか。
 
○樋田浩一 都市整備部長  子供たちの意見を聞いて整備してきた公園がございます。材木座のたぶのき公園、梶原六本松公園、七里ガ浜東いるか公園がございます。これらは、周辺にお住まいの方々に参加していただきましたワークショップにおきまして、子供たちに意見を聞いたものとなってございます。今後も公園の再整備を行う際には、子供たちに意見を聞くとともに、ワークショップに加えて子供たちの意見を聞いていくための手法について調査研究してまいりたいと考えております。
 
○21番(河村琢磨議員)  ぜひよろしくお願いいたします。国際条約である児童の権利に関する条約の第12条によれば、子供たち自身が自由に自分の意見をあらわす権利や聞いてもらう権利を尊重することと定められております。日本はつまり批准しているわけですから、このように自治体の諸活動にも影響を及ぼすような事例であれば、国家間で取り決めた規律だからと国家のみに義務を負わせるのではなくて、基礎自治体、むしろもっと能動的に対処していっていただければなと思っております。当事者目線を、今言ったのを忘れないでほしいと思います。
 ここまで8050問題として質問してまいりましたけれども、つまるところ、この8050問題が投げかけたこれからの福祉施策というのは、高齢者の分野も、児童の分野も、障害者の分野も、生活困窮者の分野も、その他の分野も、全ての福祉分野にわたって横糸通し。線ではなく面で捉えた支援をしていかなければならないということです。これ本当に大変な時代だと私は思いますよ。本当に、現にここまでかわるがわる所管となる部長にいろいろお答えいただきましたけれども、まさにそれがあらわしているんではないかなと思います。
 今、会議システムに表示しましたが、恐らく、こういった形になっているわけですよね。地域社会。支えていくということです。これも厚労省の資料になるわけですけれども、結局地域で「我が事・丸ごと」として担っていかなければいけないということですよね。これ本当に私はできるのかということを非常に疑問に思っております。コミュニティーソーシャルワークという言葉を使いましたけれども、であるならば、私は今後、鎌倉市が地域福祉のこの仕組みをきちんと整備をしていく。そういうお考えであるならば福祉の総合的な窓口の体制は絶対必要ではないかと考えます。さっきもそういう議論出ましたけれども。例えば、複数の課題を抱える世帯の問題など、現行の福祉制度ごとの相談体制では対話が難しい問題。またあるいは制度のはざまにあることから、これまでの支援の手が届いていない問題などについて、総合的に相談を受けることのできる体制、窓口というようなものが私は絶対必要ではないかと考えますが、いかがでしょう。
 
○内海正彦 健康福祉部長  福祉の複数課題への対応につきましては、福祉の分野において、現行の相談体制の中でそれぞれ機能はしていると考えているところですが、複数課題を抱える世帯の問題や制度のはざまにある問題など、分野横断的な対応が必要なケースが増加し、また複雑化してきていることから、議員おっしゃるとおり総合的に相談を受ける体制の検討を進めているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  これは松尾市長もマニフェストで掲げていらっしゃいますよね。もうそれは絶対進めてほしいと思うんですけれども、その辺についてはもう今指示は出して動いていらっしゃるんでしょうか。
 
○松尾崇 市長  実施に向けた指示を出しているところです。
 
○21番(河村琢磨議員)  市長、これは御存じでしょうか。政府が、2040年を見据えた社会保障の将来見通しというのを先月発表したんですけれども、これによると社会保障の給付費の総額が2025年に140兆円、2040年に190兆円になる見通しだというんです。内訳は見ていただくとわかると思いますけれども、年金が最も多くて73.2兆円。医療費は単価の伸び率が低い方で66.7兆円。介護に至っては、25.8兆円になります。これ、2.5倍近くも伸びる予測がされているわけです。この資料にあるように、2040年の公費負担というものを考えていかなければならないと思うんです。今、給付費を申し上げましたけれども。まさに順調にというか予測どおりいけばというベースラインケースになりますけれども、結局、この公費負担額というのは80.3兆円ということになるわけですよね。この負担増額分は33.4兆円になるわけですけれども、これを全て消費税で賄おうとするには、今申し上げたこのベースラインで消費税率は18%になるという、政府の計算ですから、実際には30%を超える、そういう予測もあっていいと思うんですよね。されていくと思います、これから、まさに。2025年、2040年としたのは、多分おわかりだと思いますけれども、まさに団塊の世代が全員後期高齢者になる2025年と団塊の世代の団塊ジュニアが引退をして我が国における高齢者の数というのはピークを迎えるわけです、2040年。日本の人口が1億人に減る一方で、その約4割が65歳以上になる。想像にしにくいかもしれませんけれども、確実に来る未来なんです。
 このまま無為無策で過ごせば、本当に日本は大変な事態に見舞われることになるんじゃないかなと思います。これは決して国だけが考える問題ではなくて、基礎自治体はもちろん社会全体で取り組んでいかなければならない問題であると思います。社会保障の破綻、際限のない増税といった山積みの問題があと10年足らずで本当に一気に表面化してしまうかもしれないわけですから、だからこそ私は市長に早く動いてほしいと思うんです。ほかの問題もそうですけれども、もっとスピード感を持って、しっかりと結果を出していっていただきたいなと私は思っています。既に動いていらっしゃるということですから、そこは形にしてほしいと思っております。結果だけ欲しいなと思います。
 市長自身はこのマニフェスト、月一つずつ実現されるとおっしゃられていたはずです。進捗までは聞きませんけれども、市長、よろしいですか、進めていただけますよね。もっとしっかりと、結果出していただく。
 
○松尾崇 市長  政策に掲げました内容の実現、一つ一つ、早期実現に向けて取り組んでいるところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  誤解ないようにお願いしたいなと思うんですけれども、決して市長を責めているわけではなくて、むしろ市長が掲げている市長のマニフェスト、実現に向けてむしろ助け船を今出しているんじゃないかなと思っているぐらいです。日本の社会福祉の特徴というのはよくも悪くも、さまざまな人や機関が社会福祉を支えている点にあるんではないかなと思います。社会福祉法人やNPO、そしてそういったものはそれぞれ独立した民間団体ですし、今や民間企業も福祉サービスを提供しております。そして、民生委員を初めとした多くの地域住民が既に地域福祉を支えてくれていますよね。
 でも、これは、放っておくとみんながばらばらに活動してしまうことになるんではないかと思っております。結局それではそれぞれが努力をしても全体としてはうまくいきません。だから総合的な体制と窓口というのが必要になっていくんではないかなと思います。法人や立場、分野は違っても地域のために連携をし、同時に地域全体を考える。そして人や機関をつなげていく。それが結果として地域全体の暮らしを豊かにすることになるんではないかと私は思います。その核となる役割を行政が担わなくて本当に誰がやるのかと思っています。ぜひその思いを持って、基礎自治体に携わる私たち全体として考えていければなと思っています。ですから、このマニフェスト、しっかり進めていただきたいと思います。本当応援してますから、よろしくお願いします。
 では、続いて、RPAによる行財政改革推進事業についての質問項目に移ります。
 今年度、行財政改革推進事業として1805万円、新たな事業として市役所に業務に対するロボティクス・プロセス・オートメーション、いわゆる業務自動化に向けたロボット導入の検証を行うその予算が計上されたわけですけれども、これまで本当にAIであったりこういったロボット、ICTを利活用した行財政運営の手法の導入については、前期からずっと質問を行ってきただけに、私はやっと一つの大きな方向性が打ち出されたなと、本当にある種の感慨深さを持って本施策については感じているところでございます。
 さきの2月定例会においても、各派代表質問や一般質問で多くの同僚議員が御質問をされておられましたし、今定例会においてもドローンやIoTといった質問ワードが出てきたことを鑑みれば、理事者の皆様も時代の趨勢と申しますか、世の中の潮流というのを感じていただいているんではないかなと思っております。
 アメリカのアル・ゴア元副大統領が、ノーベル平和賞を受賞した際に、受賞式典の中でこんなスピーチをしています。「早く行きたいならひとりで行きなさい、遠くへ行きたいならみんなで行きなさい、私たちも遠くへ行かなければなりません、それも早く。」アフリカのあることわざを引用したらしいんですけれども、4年前にも申し上げましたけれども、いわゆる技術的特異点の突破によって大きく社会のありようが変わっていくということが予測されているわけです。でも現実的には、その予測よりもはるかに早くその時期はやってくると。グーグルでAI開発の技術責任者を務めている、天才と言われているカーツワイル氏はそう予見しております。
 これからは、まさに議会も行政もいや応なしにやってくる未来に向けて、本当に力を合わせて取り組み、しっかりと備えてまいりたい、そのように思っております。
 そこで、まずお伺いしたいと思いますが、このRPAを導入する目的と趣旨というのは一体何でしょうか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  本市におきましては、業務の効率化によります生産性の向上や職員の健康を守ることなどを目的といたしまして、ICTを活用した働き方の見直しに取り組むこととしておりまして、RPAはその一つの手法だと考えております。
 
○21番(河村琢磨議員)  いわば働き方改革なのかもと思いますけれども、先週、政府が未来投資戦略の中で、国家公務員の兼業を正式に認める調整に入ったというニュースがあったと思うんです。これまで兼業ほとんど認めてこなかった従来方針というのを改めて、NPO法人や非政府組織、こういった広域的な活動を目的とした兼業に限りという条件つきのようですけれども、最終的には地域の活性化につなげていくということを目的にしているとのことです。これについては国でこれから議論がなされることですから、ここではこれ以上申し上げませんけれども、大きな要因となっているのが先ほどの8050のときにも申し上げた社会構造の変化、そして地域福祉という考え方になっていくんではないかなと思っています。
 私たちの生活の核となるのは、結局、仕事、働くということですから、当然、社会福祉の観点からもワークライフバランスやQOLといった視点における働き方改革というのは、まさに今日本が直面している最大の難題である少子化問題の解決にもつながっていく、まさに大変重要なテーマとなるわけでございます。もちろんこれまでも、鎌倉市では松尾市長がイクボス宣言をされておりますよね。これで市役所内でのワークライフバランスの取り組み、また働き方改革というのを進めておられることは十分承知をしておりますけれども、何でRPAなの、これは、結局働き方の改革と同時に、生産性の向上が求められるからだと思うんですよね。働き方を変えたからといって、何も皆さんが行う仕事の量だったり業務の総量というのは減るわけではありません。つまり、業務時間が短くなる一方、業務量、やり方は従来どおりのまま結果として現場にいる職員の方々の負担は大きくなり、ややもすると終わらなかった業務の持ち帰りまで起こってしまうなんてことも考えられるわけです。本当にそうなってしまったら本末転倒ですよね。
 言葉は悪いですけれども、市長、イクボス宣言をしたはいいですけど、市民サービスが低下してしまったなんてことにならないようにしてほしいなと思います。そうなったら本当面目ないですから。
 そこで、伺わせていただきたいと思うんですけれども、このRPAをどのような業務に活用することを想定しておられるんでしょうか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  一般的には、RPAは、定例的な業務に向いていると言われております。市の業務といたしましては、申請受付業務や、財務処理業務などが想定されますけれども、具体的にどの業務にRPAを活用していくかにつきましては、今年度取り組みますICT活用支援業務委託の中で対象業務を抽出をいたしまして、試行的導入を行い、その効果を検証した上で判断してまいりたいと考えております。
 
○21番(河村琢磨議員)  現在の鎌倉市における働き方の現状をお伺いしたいと思います。
 時間外勤務についてでございます。時間外勤務、いわゆる残業ですけれども、この時間外勤務によって発生している人件費というのは幾らになるんでしょうか。またそのうち、わかれば休日出勤によって発生している人件費についても教えていただけますか。
 
○松永健一 総務部長  平成29年度の時間外勤務に係ります超過勤務手当等の執行額は、衆院選等の選挙を含めまして、約5億1800万円でございました。今、話しました選挙費を除けば、4億8800万円ということになります。
 続きまして、土曜日、日曜日などの勤務を要しない日、並びに祝日や年末年始などの休日に出勤したことによる手当の額は約2億400万円でございます。このうち、選挙及び消防署やクリーンセンターなど、土日祝日等に出勤のある変則勤務職場を除く超過勤務手当等は約4100万円でございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  結局それだけの残業が発生しているという事実はあるわけでございます。そういったところも減らしていかなければならないことに結局なっていくのかなと思います。RPAの効果としてそういったところはこれから見ていきたいなと思ってますけれども、結局AIですよね。この活用について、ちょうど1年前の6月定例会で、鎌倉市にとってAI元年にしてもらいたいということで、他市の事例などを用いて質問させていただきましたけれども、その質問の中で、庁舎内における業務データを集積し、業務のサポートを行うAIチャットボット、実例として出させていただきましたけれども、その実現性についてその御見解を伺わせていただきました。また、RPAを導入するに当たっては、必要になってくるのはそういった皆様の煩雑な業務をサポートしてくれるシステムなんではないかなと考えております。例えば日常的にかかってくる市民からのお問い合わせや相談の電話、事前にお伺いした数字で言えば、昨年度で年間58万件ですか、月ごとで差があるとはいえ、平均すると月に4万8500件、1日換算ではおよそ1,600件近くの着電があるということになるわけです。電話のほかにも、結局メールやウエブでのお問い合わせなども含めると、私は相当な時間を費やさなくてはならないんではないかなと察するわけでございます。もちろんきちんとお答えしていかなければなりませんけれども、特にそういったメールやウエブでの返信、これはデジタル文書として記録が残ってしまいますから、より慎重に時間を充てていかなければならないというのが実情ではないかなと推察するところでございます。また、視点を変えれば、まだ業務になれていない新人職員の方や、異動によって業務内容を把握し切れていない職員の方でも、AIのサポートがあれば即、より大きな戦力となって現場で活躍していただける、そんな働き方の改革にもつながっていくのかもしれません。
 そこで、お伺いしたいと思いますが、市民からのお問い合わせや相談の内容というのはさまざまだと思うんですけれども、これまでの統計といいますか、わかる範囲で結構です。どのような内容のものが多いのでしょうか。そしてそれはチャットボットによる自動回答、または前例を示してもらうなどのサポートがあれば業務がはかどるのかどうか、これらの今後の活用に向けて、その御見解を伺わせていただけますでしょうか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  問い合わせや相談内容の全庁的な把握につきましては、申しわけございません、把握をしていないところでございます。一方、チャットボットの活用についてでございますけれども、これまで窓口や電話で対応していたことがチャットボットに置きかわることで、対応に費やす時間の軽減が見込まれ、結果として業務の効率化につながるものだとは考えております。これからの活用につきましては、今年度取り組みますICT活用支援業務委託におきまして、業務課題の解決に向けたICT活用の方向性を検討する中で導入の可能性を探ってまいります。
 
○21番(河村琢磨議員)  今、把握されてないということですけれども、多分これからAIチャットボットなどを入れていくときというのは、データの集積というのが絶対必要になりますから、どこかでそれは御負担いただかなければならないのかなとも思っておりますけれども、それは今後検討していただきたいなと思います。
 先ほどの8050のところで福祉の総合的な窓口と体制について最後に市長にお伺いしましたけれども、これから基礎自治体が担っていく多様的で複雑な課題に対しては、チャットボットを実装していく、まさにこれ働き方改革に向けた最もな早道じゃないかなと思うんです。現行、市のウエブサイトでも検索機能というのは装備しておりますけれども、あれ結局グーグルのカスタム検索機能ですよね。それを利用しているだけです。検索をかけたはいいけど、ずらずらっと検索結果が出てきた中から拾い上げていかなきゃいけないわけです。本当、単純な内容であればすぐにヒットするわけですけれども、率直にお伺いします。いかがですか。鎌倉市のサイトの入り口にチャットボットを実装する。AIが24時間365日、まさに多様なお問い合わせに自動応答してくれるようなシステムです。他市で行っているコールセンターに外部委託するよりも、コスト、汎用性、将来性を考えればよい選択ではないかなと考えますけれども、市長、試験的でもいいですから検証していただいて、いち早い装備というのを目指しませんか。
 
○松尾崇 市長  御提案のように24時間365日問い合わせを自動的に対応できるということにつきましては、大変有効であると思っています。チャットボットについては、業務の効率化のほか、そういう意味でも市民サービスの向上にもつながると考えております。本市では、昨年度民間が設立した研究会に参加するなどして調査研究を今、進めているところでございます。チャットボットが実際にどの分野に活用できて有効であるか検討する中で、その導入の可能性を探ってまいりたいと考えています。
 
○21番(河村琢磨議員)  もう一つ、RPAになじみやすいというのが先ほども御答弁ございましたけれども、まさに定型業務でございます。その最たるものが、フィンテックに代表されるようなお金とITを融合した仕組みではないかなというように思います。資料というわけではないんですけれども、イメージ像として見ていただきたいんですが、フリーイラストなんですけれども、非常に日本でも大変なじみの多いQRコード、女性が読み取っているイラストでございます。先日、中国の北京で仕事をしている人からある衝撃的な話というのを伺ったんですね。それは、今や世界屈指の電子マネー大国となった中国の都市部においては、「Alipay」とか「We Chat Pay」というこういった2次元コードです、QRコードに代表されるような、それによって行われる、このモバイルで行う電子決済システムというのが、本当に社会的に大変普及しておりまして、公共の交通機関や一般のお店はもちろんのこと、路上で営業を営む露店のほかに、何とホームレスの方までもこのイラストにあるようなQRコードを掲げて生活をしているということなんです。むしろ現金のほうが使えないというんですね。本当に衝撃を受けまして。日本に暮らす私たちからすれば、極端な例に聞こえるかもしれませんけれども、隣国における本当の現実であって、世界的に見れば先進諸国でのトレンドというのは圧倒的にキャッシュレス社会のほうに軍配が上がるわけでございます。私自身はQR決済じゃなくて、Suicaなどに代表されるような日本のFeliCaに覇権を握ってもらいたいなと強く思ってますけれども、後発組ながら、私たちの日本においても三菱東京UFJ、三井住友、みずほの三大メガバンク、そしてゆうちょ銀行などがこのQRコード決済の実用化に向けて大きく動き出しております。そして地方に目を移してみれば、ふるさと納税や観光におけるインバウンド対策として既に導入、実用化している自治体もあるようでございます。
 こうした世の中の動きを捉えたとき、その背景にあるのは2020東京オリパラの開催ということに収れんするのではないかと考えるわけですけれども、このとき観光地として鎌倉を見るのであれば、こうしたQRコードというのを掲示するお店などを、目にする機会というのはこれからふえていくんではないかなと感じております。まさにこういった電子決済が普及する情勢としては、それぞれの国におけるインフラの整備状況、または歴史文化などがございますから一概には言えませんけれども、間違いなく言えることは、市場の寡占化が進むに従って導入という圧力の波というのは高まっていく一方なのは間違いないと思います。
 ここまで大上段に構えてお話をしてしまいましたけれども、私たちの最も身近なところで電子決済ということ考えてみれば、既にクレジットカードやデビットカードなどがあるんではないかなと思います。日常の買い物利用だけではなくて、インターネットで買い物、レストランでの食事や公共料金の支払い、ETCなど、既にさまざまなシーンで御利用されていらっしゃる方は多いんではないかなと思います。
 そこで、お伺いしたいと思いますけれども、現状については事前に聞いておりますので把握はしておりますけれども、鎌倉市においてRPA施策を考えた場合、行政としてフィンテックのようなシームレスのお金の流れを整えていくことが肝要だと考えます。そこで、まず、現在クレジットカードで決済することのできない市税などの税金収納を市民がクレジットカードを使って支払いができるようにしていく、そういうお考えはございませんでしょうか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  市税などのクレジット決済につきましては、徴収業務の効率化が図られ、市民の利便性の向上にも寄与するものと考えております。しかしながら、クレジット決済の導入に際しましては、システムの改修費用や取り扱い手数料の負担に見合った利用率が見込めるかどうか、費用対効果の点で課題があると認識しております。今後フィンテックに関しますさまざまな取り組みにつきましては、ICTを活用した業務改善の一環として引き続き研究を進めてまいります。
 
○21番(河村琢磨議員)  もちろんそういった御答弁ございましたけれども、システム導入、保守に発生するコストというのをバランスはきちんと考えていかなければなりませんけれども、利用する市民の立場に立ってみれば、多様な支払い方法の選択肢がふえるだけではなくて、自宅や外出先から24時間いつでも支払うことができます。そして、クレジットカードならではの分割払いにも対応することになるわけですよね。家計のやりくりが必要となってしまったときでも安心して支払うことができるということになるわけです。何といっても最大のメリットはカード会社から付与されるポイントになるのではないかなと思います。利用額に応じてカード会社からポイントが付与される仕組みというのは納税でも原則、恐らくですけれども同じだと思います。
 これらのメリット、見方を考えれば、税の徴収率を上げていくということにも寄与することになるんではないかなと考えております。そしてそれは同時に督促の業務を減らすことにもなるわけです。いわばRPAの恩恵ですよね。働き方改革になっていくということです。
 既に全国の自治体では多くの導入事例があるようですから、本市においても今後のまさにおっしゃいましたけど、調査研究対象としていって進めてほしいなと思っております。よろしくお願いします。
 では、この項目の最後に市長にお伺いしたいと思うんですけれども、これまでいろいろとRPAの可能性について具体的な事例に基づいて質問させていただきましたけれども、もちろん検証事業とはいえ、事業化されたわけですから、その必要性については御認識されておられると思います。今後の取り組みに向けた市長のお考え、スピード感であったりそういったものお聞かせいただけますでしょうか。
 
○松尾崇 市長  AIを含みますRPAにつきましては、市の業務を効率的に進めて、職員一人一人の生産性を高めていく上で大変有効なツールになると考えておりまして、平成30年度におきましては、RPAの対象業務の抽出や試験的導入、さらには効果の検証ということを行うこととしています。平成30年4月1日の機構改革ではこうした点も踏まえまして、行政経営課にパブリテック担当を設置し、また情報推進課をIT政策課に名称変更しまして、行政経営部に移管したことで働き方の見直しとICTをより深く連携をさせていくということとしたところでございます。この分野の技術は御案内のとおり日進月歩でございますから、本市におきましてもスピード感を持って取り組みを進めてまいりたいと考えます。
 
○21番(河村琢磨議員)  本当速いですよね。今やスマートフォンとスマートウオッチみたいなのがあれば、電車やバスに乗れるだけじゃなくて、こないだ始まった鎌倉ではモノレールにも乗れるようになりましたし、まさに新幹線や飛行機、そしてコンビニ、またスーパーでお買い物、ガソリンスタンド、有料駐車場、自動販売機、コインロッカーやレストランでも、現金を使わずに本当に利用できるわけですよ。Apple Pay使っているかわかりませんけれども、いろんなさまざまな電子マネーありますけれども、今、本当にそういう時代です。まさにこういったカテゴリの進化というのは本当に速いわけですから、しっかりとスピード感を持って臨んでもらいたいと思います。本施策についてはこれからもしっかりと注視してまいりますので、松尾市長、よろしくお願いします。
 続きまして、組織内CSIRTの設置について質問してまいりたいと思います。
 今、RPAの可能性についてさまざま質問させていただきましたけれども、これからIoTやM2M、そしてCPSに代表されるようにクラウドシステムだけではなくて、さまざまな物やデバイスといったものがネットワークに接続していく、そういった時代にあっては同時に考えていかなければならないのが情報セキュリティーの問題です。通信されるデジタルデータの量、質、重要性というのはこれからもますます増加していくことを考えれば、その安全性をしっかりと確保しておかなければならないわけですよね。これは何も未来の話をしているわけではなくて、今、この時点でもそうです。私たちが先ほども申し上げましたけれども日ごろ使っているスマートフォンであったり、もう少し身の回りを見渡せば、目の前にあるマイクなんかもケーブルでつながって、あそこの事務局が座っているところ、あそこでバックではPCが動いているわけです。その中にはプログラムが格納されているわけでございます。
 つまりこれから、どのようなシステムであれ、結局ネットワークにつながっていくものを導入していくということは、全てイコール情報セキュリティー対策の考えを持っていかなくてはならないということになろうかと思います。特にそれが市民の大切な個人情報であったり、税務情報や国保などの健康に関する情報であったり、そういった行政が機密を保持しておかなければならない秘匿性の高いデータに格納しているシステムであるならば、そのセキュリティーの大切さというのは本当に殊さらに申し上げる必要がないということは既に御理解いただいているものと思います。
 そこで、考えていかなければならないのがインシデントへの備えです。
 情報セキュリティー上におけるインシデントというのは情報セキュリティーを脅かす事件や事故、セキュリティー上好ましくない事象や事態のことを意味する言葉になるわけですけれども、例えばコンピューターウイルスなどのマルウェア感染、不正アクセス、アカウント乗っ取り、なりすまし、ウエブサイトの改ざん、情報漏えい、迷惑メールの送信、サービス拒否攻撃、まさにDoS攻撃ですよね。そのほかにも情報機器や記憶媒体の紛失、盗難、簡単に思いつくだけでもこれだけの脅威というのが想定されるわけです。広義に考えれば、システムや機器の破損、そして故障、意図しないシステムのダウンなどもこのインシデントに含まれることになりますけれども、行政にはそういった守らなければならないシステムやネットワークというのがたくさんあるはずです。
 最初にお伺いしたいと思いますが、現在の鎌倉市においてはこういった情報セキュリティーのインシデントに対してどのような体制で対応しておられるのでしょうか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  本市におきましては、ウイルス感染、不正アクセスの発生に備えまして、最高情報セキュリティー責任者を筆頭に、連絡、証拠保全、被害拡大の防止、復旧、再発防止などの措置を迅速かつ適切に実施するための体制を構築しているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  ということは、事後の対応ということだけではないわけですよね。もう一回お聞かせいただけますか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  発生するおそれがある場合、それを迅速かつ適切に実施するための体制となってございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  自治体が保有しているシステムの中でも特に守っていかなければならないというのは、基幹系のセグメントになっていくのではないかなと思います。住基システムもそうですけれども、以前にも指摘させていただきましたマイナンバーシステムにつながる中間サーバーなどがそれに当たるのかなとも思います。
 先日の自治体総合フェアで行われた情報セキュリティーのセミナーでもらった資料なんですけれども、もちろん今回の質問に当たっては、引用についての許可はいただいております。一般的な自治体における総合行政ネットワーク、いわゆるLGWANの環境をわかりやすくデフォルメした図になるんではないかなと思いますけれども、鎌倉市もおおむねこんなネットワーク環境になっているはずではないかと思いますけれども、合ってますよね。大体こんな感じですよね。
 そこで、お伺いしたいと思いますが、行政のシステムは、このLGWAN系基盤によって全国自治体間の相互ネットワークが組まれているわけですけれども、これまでの安全性については鎌倉市としてはどのように評価しておられるのでしょうか。基本は三層分離がなされているかと思いますので、基幹系のセグメントへのセキュリティーリスクはそんなに心配しておりませんけれども、念のためお聞かせいただけますでしょうか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  LGWANネットワークは、インターネットから切り離された行政機関専用の閉域ネットワーク、閉ざされたネットワークでございます。行政機関同士の結節点ではファイアーウオールによります防御、通信経路の暗号化、侵入検知機能を初めといたしまして、専門家によりますセキュリティー監視を行っているところでございます。これらの対応によりまして、高度なセキュリティーを維持していることから、安心安全なネットワークであると考えております。
 
○21番(河村琢磨議員)  確かに、LGWANというのは情報セキュリティーの三大要件になります機密性、安全性、可用性の確保といった条件をかなり高度なセキュアに満たしているシステムではないかなということは承知しておりますけれども、システムである以上、万全であっても完全ではないと思うんです。
 そこでもう一つ、会議システムに表示したこちらの図を見ていただきたいと思います。これは想定される脅威の経路を示した図になります。ごらんいただくとおわかりいただけるかと思いますが、どれもこれまでの一般的な脅威のルートとそう変わりはないんですよね。でも、だから怖いと思うんですよ。シンプルだから怖い。よく一般的な情報セキュリティーの対策というのは三つの種類、技術的、物理的、人的な対策と三つの機能、防止、検出、対応を組み合わせて考えろと言われますけれども、日常的な業務を考えれば、先ほど申し上げた三大要件の一つ、可用性を考えなければいけません。つまり使いたいときに必要な情報手段を必要なときに使用できるようにしておかなければならないわけです。そうすると、つい業務効率が優先となってしまって、気がつけばシンプルな感染経路をたどってしまったなんていうことも考えられるわけです。本市では以前に管理パスワードを漏えいしてしまったなんていう事故がございましたけれども、まさに本当にそんなケースです。これについては、基本的にはマネジメントで対応していくしかないと思いますけれども、この図にあるように、もし万が一本市において何かしらの理由でランサムウェアなどに感染してしまった場合、つながっている他の自治体との感染の経路というのになってしまうわけですね。このLGWAN経由して他の自治体上とやりとりしているわけですから、これは絶対発生してしまうと思います。だからこそセキュリティーはしっかりしておかなければならないわけでございます。そういった可能性というのはほとんどゼロに近いよとおっしゃるかもしれませんけれども、世界的に猛威をふるったワナクライのランサムウェアのような事態があれば、そのときに人的な要因で感染してしまうという可能性も否めないわけでございます。
 もう一つシステム的に懸念されるのが、図を見ていただけるとわかるかと思います。LGWANのASPでございますね。提供されるASPというのはJ−LISで厳格な審査をされていますから、余り現実的ではないのかもしれませんけれども、多様化する自治体のニーズに対して当然、製品化されるASPというのは複雑性を増してきます。ソリューションベンダーというのもふえてくると思うんです。製品化していくベンダーがふえていきます。
 消してしまったんですけれども、ここにメモ書きを書いていたんですけれども、そのときにASP、ポートがあいているよということをメモしていたんです。何が言いたいかというと、結局極論的なことを言えば、ASPを使っていく以上、ポートが完全に閉じていないということなんですね。新たな外部のルートでの可能性というのは必ず存在してしまうわけです。キャッシュだって残ってしまうわけです。そういうところだって心配だと思うんですよね。
 お伺いしたいと思うんですけれども、LGWANのASPサービスについてはどんなレベルといいますか、どんなふうにセキュリティー評価をされておられますでしょうか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  LGWANASPでございますけれども、高度なセキュリティーを維持しているLGWANネットワークのもとで提供されております。国がLGWANに定めたセキュリティー要件やサービスレベルを満たすサービスのみが登録、提供されていると、そういうふうに認識してございます。これらの対応によりまして、LGWANネットワーク同様、安心・安全なサービスであると考えております。
 
○21番(河村琢磨議員)  安心・安全なサービスでなければ逆に困るわけでございますけれども、安心・安全だからといって、これからもベンダーはふえてくるし、自治体に求められてくるサービス、提供してほしいというのがどんどんふえてくるわけですよね。オラクルって御存じだと思いますけれども、そこがJavaのスタンダードエディションというのを無償サポートを中止するなんて話がここ最近、システムエンジニア関係者を中心にインターネットをにぎわしてたんですけれども、当然サポートが行われていないものについては行政は使うことができませんよね。そうなれば、システムを別のものにかえるか、またお金を払って有償サポートに切りかえなければならないという問題に直面するわけです。実際にJavaのSEについては、行政の入札システムなどでも利用されていると思います。こういったケースも、ある意味でインシデントであるんではないかなと考えられると思うんです。特にこれから、RPAやAIの導入を図っていくというのであれば、おのずとさまざまなプログラム言語が絡み合って、そして高度に複雑化をしていくことになります。そうなれば、単にシステム管理者の頑張りだけで済む問題ではなくなっていくということでございます。
 これを、組織全体の問題と捉えて、組織として取り組んでいこうという考え方がCSIRTの構築になるわけです。現にこうしたさまざまな不測の事態に対応するため、既に茅ヶ崎市では自治体組織として組織内にCSIRTを設置し、情報セキュリティーのインシデントに備える体制が構築されました。いわばより踏み込んだ情報セキュリティー対策を始めたわけです。本市ではこの茅ヶ崎市の動きというのはつかんでおられたんでしょうか。であれば、この動きをどのように捉えておられますか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  茅ヶ崎市におきましては、情報管理やシステム運用に関して保安上の脅威となります事象が発生した際に、発生した事案を正確に把握・分析し、被害拡大防止、復旧、再発防止など迅速かつ的確に行うため、組織内CSIRTの体制を整備していると確認をしてございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  ここまでるるいろいろと伺わせていただきましたけれども、確かに、鎌倉市はお伺いした限りではしっかりと堅牢なシステムというのは組まれているということはよくわかりました。それは評価したいなと思っております。
 ただ、市民の皆様や事業者の方の大切な情報というのを、さまざまな脅威から組織的かつ計画的に守っていく、自治体内にも組織として統一的な体制と考え方というのは必要になってくるんではないかなと考えます。まさに見えないインシデントに対して陥らせない、また陥ってしまってもデータを漏らさず、壊さず、迅速な復旧を行うことができる組織的CSIRTの設置、ぜひとも鎌倉市でも考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  現在鎌倉市におきましては、事後対応を主に考慮された体制がつくられておりますけれども、当然事前対応が必要という状況になれば、当該体制をもちまして対応を図ってまいるところでございます。情報セキュリティー問題を専門に扱う組織内CSIRTにつきましては、鎌倉市の規模に合ったチームを目指してまいりたいと考えます。
 
○21番(河村琢磨議員)  ぜひよろしくお願いします。
 続いて、四つ目の項目となります。障害者ワークステーションと障害者福祉施策について質問してまいります。
 私ごとですけれども、ことしに入って、障害者の雇用の促進等に関する法律に定められた障害者職業生活相談員、そして職場適応援助者、いわゆるジョブコーチに認定をしていただくことができました。これまで取り組んでまいりました障害者雇用と障害者福祉施策をより一層推進していくのはもちろんですけれども、何よりも当事者の、先ほども申し上げましたが当事者の立場に立った支援施策の発展に寄与できるように学んだこと、そして現場で経験したことを生かして、これからもしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 質問に入る前に、市長にお伺いしたいなと思うんですけれども、おわかりだと思いますけど、松尾市長のウエブサイトなんで、「ちょっとちょっと松尾さん! もっとわかりやすく説明してください」という、チャット形式でわかりやすく説明しておられるコンテンツの障害者雇用のページを撮ったものになります。市長、この最後尾にあるコメントですけれども、農福をうたってますよね。農業と福祉のコラボレーションを進めてくださることになっているんですか。ずっと質問してきましたけれども、その辺、教えてください。
 
○松尾崇 市長  障害者二千人雇用ということに向けまして、農業、漁業などの連携ということは重要だと認識をしております。障害者二千人雇用センターも開設しまして、障害者雇用に対する事業者へのサポートもきめ細やかに行うことができる体制となったことから、これまで以上に雇用拡大に向けて積極的に取り組んでいくと、こういう姿勢で臨んでいるところです。
 
○21番(河村琢磨議員)  積極的に取り組んでくださっていることは評価しております。できれば、本当に何度も申し上げますけど、6次産業までも見据えた農福と魚福の仕組みというのはしっかりと考えていっていただきたいなと思います。
 では、ここから本題に入ります。
 先日ワークステーションの現場を見学させていただきましたけれども、まず最初にお伺いしたいと思います。
 現在ワークステーションで働いているスタッフの人数と、その内訳を教えていただけますでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  ワークステーションで働いています職員の配置でございますが、まず事務嘱託員として作業に当たる障害の方の職員が5名、その内訳は知的障害の方が1名、精神障害の方が4名となっております。そのほか支援業務に当たる職員が3名おります。この支援業務に当たる職員3名のうち1名は再任用職員で、ほかの2名は作業療法士の資格を有する障害者就労支援嘱託員を配置しているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  知的の方1名、精神4名、それと作業療法士の方と再任用の方ということですよね。
 このワークステーションですけれども、鎌倉市内にさまざまな障害福祉サービスを行う事業所がございますけれども、ワークステーションとの違いというのはどんなふうになっているんでしょうかね。前回も少しお伺いしましたけれども、結局位置づけといいますか、そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  ワークステーションは支援つきの一般の職場で、今、議員おっしゃられましたそういう事業所、就労移行支援事業所などについては、そういったところは就労に向けた障害福祉サービスを提供する場でございます。ワークステーションは、知的障害や精神障害の方のうち、働く意欲のある方を市が非常勤嘱託員として雇用し、障害者就労支援員の支援を受けながら職務経験を積むことによって、一般企業への就労が円滑に行えるように設置したものでございます。
 雇用された障害の方は、短時間労働者として障害者雇用率の対象となるものでございます。一方、就労移行支援事業所などにつきましては、利用者が一部負担を利用する障害者総合支援法に規定する障害福祉サービスを提供する事業所でございまして、対象者と利用契約を結んで事業所内作業や企業への実習を通して、企業等への就労につなげ、また就労後の職場の定着の支援も行う事業所となっております。
 
○21番(河村琢磨議員)  先ほども継続のA型とかB型のお話も出ましたけれども、結局既にそういう事業ってあるわけですよね。なぜそんなに一般就労を目指しておられるのか、私にはわからないんですけれども、その辺についてはこの後でお伺いしたいと思いますが、このワークステーション、以前の質問で確認させていただいたときは平塚モデルでやっていくんだというようなお話があったかと思うんです。
 このワークステーションについて、鎌倉の場合、精神の方が多いですよね。4名いらっしゃるということですから。平塚はたしか知的の方モデルを対象としてやっておられたんではないかなと思います。平塚とどのような違いを持って活動しておられるのかお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  平塚市は、知的障害と精神障害の方も対象にしているところでございます。ただ、現在は精神障害の方の採用実績はないと聞いております。鎌倉市も採用対象といたしましては平塚市と同様に、両方を対象としていますが、採用した結果、精神障害の方が多い結果となったということでございます。
 作業内容についてでございますが、各課が行う紙張り、仕分け、封筒への課名押印、シール張り、郵便物の集配など、こちらについても平塚市とほぼ同様の内容で行っているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  民間の就労移行支援事業所と比較をして、その差というんでしょうか。どのような目的、ゴール設定をした活動というのを行っておられるんでしょうかね。何年後に実現をさせていくのかとかそういったものを含めてその計画内容というのを教えていただけますか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  ワークステーションでは、仕事のスキルや社会性を身につけてもらうことを目的としており、企業等への一般就労に向けてステップアップするための支援を行うこととしているところでございます。ワークステーションでの経験を踏まえて、おおむね3年程度をめどに一般企業等への就労を実現していきたいと考えております。
 
○21番(河村琢磨議員)  結局ここの中で特徴とすると、医療とリハビリテーションの専門医である作業療法士を支援者として入れておられることではないかなと私は思っています。就労支援ステーションとしては、多分ですけれども、わかんないですけれども、作業療法士をしっかり入れてやっているというところは多分国内初なんじゃないかなと思っていますけれども、彼らを一体どんなふうに活用していらっしゃるのか、そしてまた今後どのような活動をしてもらう予定なのか、そのあたりお伺いさせていただけますか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  作業療法士は、医学的知識があり、身体的リハビリを行うだけではなく、精神的側面の評価も含めて支援できる職種であることから、ワークステーションでは、作業工程の分析と調査や、障害のあるスタッフの得意、不得意な作業を評価した作業の配分を行うとともに、スタッフに合わせた環境調整など具体的な支援に当たっているところでございます。現在、スタッフの個別支援計画を作成しており、定期的に見直しを行うとともに、支援技術向上に向けた研修にも参加して、スタッフが一般企業への就労を実現できるよう専門性を生かした支援を行うこととしているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  では、何度も一般就労というのがキーワードが出てきてますけれども、ワークステーションから一般就労に結びついた場合、庁内の法定雇用率というのが下がることになると思うんですけれども、ワークステーションと法定雇用率の兼ね合いというのについてどのように考えておられるのかお伺いさせていただきたいと思います。ことしのロクイチ調査でも、法定雇用率を達成しているということは承知はしておりますけれども、そのあたりお伺いさせていただけますか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  ワークステーションでは、障害のある方が5人スタッフとして雇用されているところでございます。これらの方から一般就労に結びつくことによって、市の非常勤嘱託員を退職された場合は、欠員分について新たに募集を行うことを予定しているところでございます。障害の種別や程度により、雇用率が変動する可能性はありますが、市の雇用として5人を維持していく方針としているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  では、ワークステーション、スタッフというのは最終的にどこを目標としておられるんですかね。一般就労というキーワードが出てきてますけれども、市役所で私は働きたいという方もいらっしゃると思いますし、考えによっては、特性がマッチングした場合というのは市役所で働いてもいいんではないかなと思います。そのあたりというのは可能なんでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  あくまでも一般就労に向けて仕事のスキルや社会性を身につけてもらうことを目的としており、ステップアップをするための支援を行うこととしているところでございます。一般就労先は企業だけでなく、市役所での採用も含んでいると考えております。
 
○21番(河村琢磨議員)  では、ワークステーションだけではなくて、各課に障害者が実際に勤務して軽作業を行うということもあってもいいのかなと思います。つまり、何が言いたいかというと、結局ワークステーションという中に入れるんではなくて、もう少し広く視野を持ってもらいたいなと思っています。そういった軽作業などをやってもらうということは逆に可能なんでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  現在はスタートしたばかりということもありまして、ワークステーション内で作業を行うこととしているところでございますが、仕事の内容とワークステーションスタッフへの負荷の程度について十分に精査した中で、可能な範囲で各課への作業を行うことについても検討してまいりたいと思っております。
 
○21番(河村琢磨議員)  この問題については、総社市の「障がい者千人雇用」というのを引き合いに出して質問した責任というのも感じております。二千人雇用の実現に向けた、ここまで点検的にいろいろ質問させていただきましたけれども、結局何が言いたいかというと、ともに働き、ともに生きるということだと思うんです。先ほども申し上げましたけれども、ワークステーションという枠の中だけではなくて、働ける、働きたいという方がいらっしゃれば、一緒に働ける市役所であってほしいなと思っています。今、そういうこともおっしゃられておりました。ワークステーションはそのためのステップにしてほしいと思いますし、皆様一般就労に目が行きがちですけれども、私はむしろ庁舎内で、健常者も障害者も一緒に生き生きと働いている姿を市民の方が日常的に目にすることができるような、そんな市役所になれば世の中も、共生社会に向けた考え方を変える大きな一歩になっていくんではないかなと思っております。
 そのとき、決して忘れてほしくないなと思う、忘れないでいただきたいということは、何度も申し上げておりますけれども、結局は当事者の視点と立場になってくるわけでございます。これは、よく陥りがちなんですけれども、結局支援者の都合でいろいろ変えてしまうなんてこともよくありますから、先ほどのeスポーツの例ではございませんけれども、しっかりとそのあたりを忘れないで取り組んでいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 質問の最後に障害福祉施策の視点から、旧優生保護法の不妊手術の問題について伺いたいと思います。
 この問題については、竹田議員がこの後の質問項目に掲げておられますから、詳しくはお任せしたいと思いますけれども、昨年の12月の初めごろですか、宮城県内の知的障害がある60代の女性が1996年まで施行されていた旧優生保護法のもとに強制的に不妊手術を受けさせられたとして、宮城県に手術記録の情報公開請求を行いました。この女性は、幼いころの麻酔治療の後遺症で重い知的障害が残ってしまっていたにもかかわらず、情報公開により公開された優生手術台帳によると、遺伝性精神薄弱というのを理由に、事前に国や県から説明を受けることもないまま15歳で不妊手術が行われていたという記録が残っていたそうです。そしてこの女性は、ことしの1月、この問題としては全国で初めてとなる国家賠償請求訴訟を起こしました。
 今、このことが発端となって、全国的な問題として取り上げられておりますけれども、その数はわかっているだけでも1万6500人が全国でいるんではないかなと見られております。旧厚生省の統計からの算出によると、この神奈川県内でも少なくとも420人はいるとされております。これを受けて黒岩知事は強制不妊手術を、人権を無視した非常に遺憾なこととして、庁内に調査をするように指示を出されましたけれども、では、鎌倉市ではどうだったのか、伺いたいと思います。
 ずばり伺います。1948年から1996年まで施行されていた旧優生保護法下において、鎌倉市では同法による不良な子孫の出生防止を目的とした強制不妊避妊手術は行われていた事実はあったのか、もし実施されていたのであれば、その人数と今後の対応についてお答えください。
 
○内海正彦 健康福祉部長  旧優生保護法による優生手術は、都道府県が所管していることから、神奈川県に確認をしたところでございます。実際に手術を受けた方の中に鎌倉市民が含まれていたかどうかは現時点では確認できないとのことでございました。また、厚生労働省が各都道府県に、神奈川県から各市町村に対して旧優生保護法に関連した資料の保全についての通知があり、資料が存在する場合は、保存期間を問わず当分の間廃棄せず、保存を継続するとともに、県へ連絡するよう依頼があったところでございます。これを受けて、関連資料の有無及び市民からの問い合わせ等があったかどうかを本市の各課で照会をいたしましたが、どちらにもないことは確認しているところでございます。国等の調査も進められていることから、今後の国や県の動向を踏まえた上で、市の対応について判断してまいります。
 
○21番(河村琢磨議員)  なかったということですけれども、たしか神奈川県は強制不妊手術の費用というのは県が補助していたんですよね。ニュースでも最近なりましたけれども、公文書館に保存してあった資料から判明したみたいなんですけれども、つまりこれ県は費用を補助することで手術件数をふやそうとしていた、そういうふうになるわけだと思うんです。でも鎌倉市がなかったということのようですけれども、結果としてこれよかったなと思ってますけれども、県が補助まで出していたのに、鎌倉市は1件もなかったということですね。文書がなかったのかもしれませんね。県が所管だっておっしゃられてましたから。そこの部分は理解はいたしました。
 であれば、今後の対応方針というのについて教えていただきたいと思います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  先ほどの答弁、聞き苦しかったのはあれでしたけれども、県からの回答は現時点では確認できないというような回答をいただいているところでございます。今後の対応でございますけれども、今、先ほど御答弁申し上げましたが、国等の調査が進められていることから、国や県の調査の動向を踏まえた上で対応してまいりたいと考えております。
 
○21番(河村琢磨議員)  確認できないということは、県からいつごろ回答するとかそういったことはあったんですか。そういった何か回答って来ているんでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  特に県から来てございません。ただ、県から来ている通知によりますと、資料があった場合には当分の間保存をして県へ連絡するということだけが来ていますので、そこの締め切りまでも県から来てございません。
 
○21番(河村琢磨議員)  しっかり今後対応していっていただきたいと思いますけれども、確かに、当初は法律として存在していたとしても結局は、黒岩知事がおっしゃるとおり人権を無視した、本当にいわば国策の愚だと思います。それがわずか二十数年前まで存在していたということは信じがたいことなんですけれども事実なわけです。
 聞くつもりはなかったんですけれども、市長、この問題というのをどのように捉えて、もし強制不妊手術が行われていることが判明した場合、市としてはどのように対応していくお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
 
○松尾崇 市長  旧優生保護法下における強制不妊手術につきましては、関連した資料の保全について国が神奈川県を通じて市町村や関連施設等、依頼がなされておりまして、今後議論が進んでいくものと認識をしているところでございます。現時点では本市の状況ということについては確認ができておりませんけれども、仮に本市民が含まれているということが判明すれば、今後の国や県の動向を踏まえた上で適切に対応してまいりたいと考えます。
 
○21番(河村琢磨議員)  適切にということ、本当にそれはお願いしたいと思います。公文書館に残っていた文書には偏見とも受け取れるような記録が記載されていたとも聞いておりますから、本当、市に適切な対応を求めたいと思います。
 改めて確認してよろしいですか、市長。
 
○松尾崇 市長  本市におきましては、全ての人がお互いに人格、個性を認め合いながら多様な生き方を尊重して、ともに支え合える共生社会の形成を目指しているところでございます。この件につきましては、現在国等の調査も進められていることから、今後国や県の動向を踏まえた上で、適切に対応してまいります。
 
○21番(河村琢磨議員)  よろしくお願いします。
 それでは、最後の質問項目となります。グリーフサポートの展開と必要性についてです。
 2000年の12月の大みそか、一家4人の命を無残にも奪った世田谷一家殺人事件というのを皆さん覚えていらっしゃいますでしょうか。この凄惨な事件によって突然民家で暮らしていた妹さん一家を失うことになってしまった入江杏氏のお話というのを、四谷の聖イグナチオ教会で聞かせていただく機会というのを4月にございましたので参加をしてまいりました。平穏に暮らしていた家族が突然襲われ、子供たちも含めて惨殺されるという、余りにも残酷なこの事件は、現在も未解決のまま18年の歳月が過ぎようとしております。まずこれから質問に入る前に、この事件の犠牲となられた御家族の御冥福、心からお祈り申し上げるとともに、一日も早く犯人が逮捕され、事件の解決が図られますことを強く願っております。もし、殺人事件の時効撤廃を盛り込んだ時効廃止法が成立していなければ、時効を迎えていたことになったかもしれない、これは考えたくないことです。しかし、時効が廃止された今、警察には何としても犯人を逮捕するという執念を持って引き続き捜査に当たっていただきたいなと思っております。
 質問に入ります。
 もし、こういった突然事件や事故、災害、自死などで家族や愛する人を失ったとき、その悲しみとどう向き合うのか、一生涯、事件や事故と向き合っていかなければならない遺族たちにとって喪失感、そして悲しみというのははかり知れないものだと思っております。入江氏は、そういった方々に寄り添ってケア、サポートを行う公助・共助の仕組み、グリーフサポートが必要であるとお話の中でおっしゃっておられました。既に世田谷区では事業として取り組みが行われておりまして、地方の自治体においても着目され始めておりますけれども、本市ではこのグリーフサポートの必要性というのをどのように捉えておられますでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  グリーフサポートとは、身近な人の死別などにより、深い悲しみ、悲嘆、苦悩などが長く続くことで、精神の状態や体調にまで影響をもたらすことに対し、その悲しみに寄り添い支援することであると認識しているところでございます。これまで、こうした苦悩等に対しては多くの家族、友人、地域コミュニティーなどが支えてきたと考えております。しかしながら、社会の状況として核家族化や近所づき合いが変化し、人間関係が希薄となってきており、これまでのような支援が行われない状況となってきていることから、グリーフサポートが注目されていると認識しているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  では、鎌倉市ではそういったグリーフの状態にある方への支援体制というのは現状どのようになっているのでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  本市といたしましては、現在グリーフサポートとしての体制はございませんが、人の死にかかわらず、市民の健康や生活に課題がある場合には、当事者の意思や状況等を考慮しながら、関係各課が保健福祉事務所や医療機関、市民活動団体等と連携し、課題解決に努めているところでございます。また、地域においては民生委員や地区社協、自治・町内会などが地域住民の組織や地域包括支援センターなどを初めとした福祉関係機関等が中心となって見守り活動を行っているところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  今回、日向議員の質問の中にもございましたけれども、鎌倉市は、巨大地震が発生した場合、津波に襲われる鉄道路線、駅というのは多く擁している自治体だということでしたよね。きょうも大阪で震度6弱の大きな地震がございましたけれども、本当に被害がなければいいなと思っております。つまり、幾ら減災に努めていても、災害による被害というのは本当に考えたくないことではございますけれども、自治体の責務として想定をしておかなければならないというのが現実的な役割ではないかと思います。本庁舎の災害を理由に移転したいとおっしゃっておられましたけれども、つまるところ、そういった地理的な被災状況を考えたときに、特に本市においては災害という視点でのグリーフサポートというのも整えておくべきではないかなと考えておりますけれどもいかがでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  災害時には、被災者に不安感や無力感など著しく増すなどさまざまな影響が出るので、災害時のグリーフサポートについては、メンタルケアを中心に十分行う必要があると考えております。本市の災害時の市民メンタルケアにつきましては、神奈川県保健医療救護計画により、県の精神保健福祉センターが神奈川DPAT、DPATとは精神科医療及び精神保健活動の支援を行う専門的な医療チームでございます。このDPATや心のケアチームと連携して対応に当たることとなっております。市では、医師会等と連携し、避難所や仮設住宅等巡回するなど、精神科医師や保健師によるメンタルケアを行うことになっており、また必要に応じ、他県・市の応援を求め、対応することも考えております。震災時のグリーフサポートにつきましては、メンタルケアを中心に医師会等関係機関と協議し、きめ細やかな対応に努めていくところでございます。
 
○21番(河村琢磨議員)  入江氏のお話は、犯罪被害者の悲しみや苦しみなどといった本当に言葉だけではなくて、言いあらわせないほど重くて、本当に身を引き裂かれるような思いで私たちの社会のあり方というのを考えさせられた講演でございました。警察、マスコミ、偏見、そしてスティグマ、ソーシャルディスタンスも行政手続なんかも発生してくるわけです。こういった非日常の事件や事故に巻き込まれ、まさに嵐の中にいるような人たちに、私、一体何ができるのかなと思うんです。ここにはとても自助なんていう言葉は存在しないわけです。何度も申し上げましたけれども、これから孤立化が進んでいくという、先ほど部長もおっしゃられていましたけれども、そういった社会にあっては、グリーフに必要なのは本当に公助・共助の仕組みになってくるわけでございます。
 今後、鎌倉市においても、自治体としてこの悲しみを生きる力につなげていく、このグリーフサポートの体制づくりというのを進めていくべきではないかなと考えますけれども、最後にそのあたりお聞かせいただけますか。いかがでしょう。
 
○内海正彦 健康福祉部長  グリーフサポートの体制づくりには、医療・介護・福祉など地域の資源を基盤として連携させたアプローチと相談や人間関係の社会的アプローチがバランスよく提供されることが重要であると考えており、こうした地域資源等を結びつける作業、人材が必要となると考えております。現在本市では社会福祉士等総合的な福祉人材の養成、育成に取り組み始めているところであり、また、障害者、子供、高齢者など対象による縦割りではなく、ワンストップで相談できる窓口の開設に向け、検討を開始したところでございます。グリーフサポートのようなさまざまな心の反応を原因とした市民の生活課題に対する体制につきましては、こうした取り組みの中で検討をしてまいります。
 
○21番(河村琢磨議員)  よろしくお願いします。
 では、最後にまとめとして市長にお伺いしたいなと思います。
 松尾市長、このたびは、SDGs、未来都市、そして数少ない自治体SDGsモデル事業に鎌倉市が選定されましたこと、まずはおめでとうございます。
 応募のあった55の自治体の中から29の自治体が未来都市として選ばれ、さらに10の自治体しか選ばれない自治体モデル事業に選定されたということは、持続可能な社会を目指している鎌倉市、市長がずっとおっしゃられていることですよね。本当に名誉なことではないかなと感じているところでございます。今回中身に入るつもりはございませんけれども、これは同時に、大きな責務を鎌倉は担っていくことになったんではないかなと思っております。
 そこでお伺いしたいと思います。モデル事業となったこの自治体SDGsは今後鎌倉市の総合計画の中に導入、組み込まれていくことになるかと思いますけれども、これまで市長が御決断されず、言葉は悪いですけれども、たなざらしになってしまっているようなこの事業への計画変更などの影響というのが懸念されると思います。これに対する市長のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
 
○松尾崇 市長  今、御質問の中にございましたけれども、本市におきましては、持続可能なまちづくりとともに、SDGsの目標を達成するために、市の最上位計画であります総合計画、次期の基本計画の中にこの自治体SDGsの理念というものを掲げまして、施策体系を構築するための改定を行うということを予定しているところでございます。また、この改定作業の過程には、徹底した市民参画などを入れまして、市民等への普及啓発、計画を実現するための新たな仕組みとしての産官学民等の多様なステークホルダーの参画と共創の仕組みづくりや、目標・指標設定と評価の仕組みづくりなどに取り組んでいくこととしております。現在、課題になっているということが多くございます。こうしたことも含めまして、その実現に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 
○21番(河村琢磨議員)  そこは本当にしっかり臨んでいただきたいなと思います。厳しいことあんまり言いたくはないんですけれども、本当に市長に申し上げたいのは、やることを決めたら決めたことを本当にやってほしいと思います。それだけです。行政というのは議会を経て、特にやることを決めていくわけですから、決めたことというのを執行できるようになるわけじゃないですか。これは市長にはしっかりやってほしいと思います。市長というポストは本当に市長という椅子の名前じゃないですよ。市長にはすごい大変な権限とそこに責任があるわけですから、結果を出していくとおっしゃられたこの3期、松尾市長の判断力と決断力にかかっているんではないかなと思います。本当、大変だと思いますけれども、そこは応援したいと思いますから、どうか頑張ってください。
 長くなりましたけれども、以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
 
○議長(中村聡一郎議員)  次に、千一議員の発言を許可いたします。
 なお、千一議員の一般質問については、運営委員会の協議もあり、事前に議長宛て文書が提出されております。便宜、課長に代読させます。
 
○1番(千一議員)  (代読)大分熱くなってまいりました。今期5回目の一般質問をさせていただきます。今回からは本会議では、初めて女性の茶木課長が代読してくださるということになりました。木村次長、今までありがとうございました。
 それでは、一般質問を始めます。
 1、鎌倉駅西口から中央図書館及び福祉センターまでの点字ブロックの設置について。2、5月26日の福山市での側溝転落事故は鎌倉市でも起こり得ること。3、障害者差別解消法の施行から1年。4、鎌倉市立の中学生の学力は優秀だが不登校が多いことについて。5、肢体不自由の特別支援学級をもっと多く。6、身体障害者を中心としたグループホームの設置を早く。7、障害者施設殺傷事件から間もなく2年。以上、7項目について、理事者におかれましては明確なる御答弁をお願いいたします。
 1、鎌倉駅西口から中央図書館及び福祉センターまでの点字ブロックの設置について。
 JR鎌倉駅西口及び江ノ電鎌倉駅から御成小学校を通り、中央図書館に行き、鎌倉市の福祉センターに行くまでの点字ブロックが昨年度にはできる予定だったのが、いまだにできていません。今まで私は何度となく早く点字ブロックをつくってほしいと要望してまいりましたが、ここの部分は最低限のことです。また、鎌倉駅東口からトイレに行くところや、東急ストアやきらら鎌倉に行くところなども点字ブロックが欲しいものです。一つ一つ指摘していくと切りがありません。なるべく早急に設置してほしいものです。
 あと2年で東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。江の島ではセーリングが行われます。また、最近東京でマラソンコースが決まりました。鎌倉の道々には視覚障害者の方を見かけます。視覚障害者の方が安全に通行できるよう、点字ブロックを設置してほしいものです。いかがですか。
 2、5月26日の福山市での側溝転落事故は鎌倉市でも起こり得ること。
 5月26日の夜、広島県福山市で自転車に乗っていた男性が側溝に転落して亡くなるという痛ましい事故が起こりました。最近では、鎌倉市では側溝の前にガードレールのようなものを設置し、安全対策をとっているところもありますが、福山市のような危険な側溝も少なくありません。例えば、寿福寺の前の側溝は、通学路でもあり、地域の市民から危ないのでぜひできる限り何とかしてほしいという声も多く上がっております。そして、斉藤建設から海蔵寺に行く道の脇にも危険だなと思う側溝もあります。そのような側溝が鎌倉市には至るところにあります。なるべく安全性を担保できるようにしていただきたいものです。いかがですか。
 3、障害者差別解消法の施行から1年。
 障害者差別解消法の施行から1年以上たちました。その中には合理的配慮という項目があります。鎌倉市庁舎内で変わったことはありますか。また、鎌倉市全域では、どういうことがどう変わりましたか。
 ?鎌倉市障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領によれば、市長は職員に対して、障害特性理解や障害者への適切な対応等を目的とした研修・啓発を行うため、あらかじめ研修計画等を定めるものとするとありますが、これまでどのぐらいの頻度で、また職員何人に対して行ってきましたか。
 ?私は、市庁舎内では、職員・議員の皆様には大変親切にしていただいていますが、一度だけふれあいショップで、健常者のスタッフの方に無視された経験があります。そのときは、当時の障害者福祉課長に来ていただき、私の欲しいものを購入しました。障害者の関係者ですら、障害者差別解消法を把握していないようです。いかがですか。
 ?また、最近では新しいコーヒー屋で店内が狭いため、ベビーカーや車椅子の入店は御遠慮願いたい旨の表示が、日本語・英語の両方があり、しかもベビーカー、車椅子の文字は目立つように赤で強調していました。幾ら合理的配慮がする側に負担にならない程度でとはいえ、このあからさまな拒否反応は東京オリンピック・パラリンピックを控えて恥ずかしいし、悲しいです。いかがですか。
 4、鎌倉市立の中学生の学力は優秀だが不登校が多いことについて。
 これは、鎌倉市の教育のあり方についていびつさを感じます。教師・保護者・子供・社会の人々の教育に対するあり方の問題です。現に鎌倉市立の中学校で100人以上の生徒が不登校であり、一方では全国レベルでは学力は優秀であるというアンバランスなことはとても残念です。とてもおかしな問題ではないでしょうか。この不登校の問題は、それぞれ違うとは思いますが、わかる範囲で原因を教えてください。そしていつかの学校に行くのが嫌なら図書館にいらっしゃいというのは、とてもよい言葉だと思います。図書館ばかりではなく、不登校の子供が行ける場を、地域地域でつくってあげてほしいものです。いかがですか。
 5、肢体不自由の特別支援学級をもっと多く。
 現在、身体障害児者が行ける特別支援学級があるのは、御成小学校と御成中学校だけです。身体障害だけで知能が正常な子供は普通学級に介助者をつけ、肢体不自由の特別支援学級がない学校でも通学できる状況です。しかし、重複障害の場合、特別支援学級が必要になります。ですから、重複障害のある子供は御成小学校、御成中学校、または鎌倉養護学校に通うしかありません。身体障害のある子供が通える特別支援学級がある学校が少ない状況です。何とか肢体不自由の子供が通える特別支援学級がある小・中学校をふやしてほしいものです。いかがですか。
 6、身体障害者を中心としたグループホーム設置を早く。
 現在、鎌倉市内で重度身体障害者の方が入居されているグループホームは1軒で、そのグループホームの入居者のほとんどが知的障害の方です。2月の一般質問でもやりましたが、健康福祉部長の答弁によると、
  入居施設やグループホームは身体障害者の生活の場として必要であると考えております。市内の身体障害者の入所施設は1カ所で空きがない状況でございますが、国や県の施策では、施設入所者の地域移行を進めていく方向にあり、今後、県の事業所指定を受けて新たに入所施設を開設することは難しいものと認識しているところでございます。このため、グループホームの役割が重要になってまいりますが、身体障害者が利用可能なグループホームは市内に1カ所しかないことから、その整備を進めていくことが課題であると考えております。
 及び、
  障害者の親亡き後の支援といたしましては、生活の場の確保が重要であり、グループホームの整備を進める必要があると認識しているところでございます。現在、設置時の備品購入費等に対する補助や基準を超えて職員を配置し、重度の障害者を受け入れている事業所への補助を実施しているところですが、今後補助対策や補助額について、より整備が進むような方法について検討してまいります。さらに、身体障害者以外のグループホームの設置の意向を示された事業者に対しましては、重度身体障害者の受け入れについて打診するなどの働きかけを積極的に行ってまいります。
 そして市長の答弁では、
  市では神奈川県とともに、グループホームの人件費も含めた運営費について、加算の補助を行っているところです。また、基準を超えて職員を配置して、重度の障害者を受け入れている事業所に対して一定の補助金を支給して支援しております。重度の身体障害者のグループホームに特化した補助金につきましては、引き続き検討してまいりたいと考えます。
 ということでしたが、横浜市と比較すると20年以上おくれています。答弁を聞くと、認識していますとか検討しますという言葉が多く出てきますが、実行していただかなくては意味がありません。部長の答弁にもあるように、親亡き後のことも考え、一日も早く重度の身体障害者のグループホームをつくっていただきたいものです。いかがですか。
 7、障害者施設殺傷事件から間もなく2年。
 7月26日で相模原市の障害者施設殺傷事件が起きて2年になります。7月23日に相模女子大学で追悼式が行われ、県知事や県下の市町村長なども参列すると思われます。もちろん松尾市長も参列するに違いないと思います。19人の何の抵抗もできない方が無残にも殺され、またこの事件は世界中を駆けめぐりました。いまだに植松被告はヒトラー並みの優生思想を肯定しているようです。この優生思想は1996年まで旧優生保護法として存在していました。子孫を残さないように旧優生保護法のもとで、約2万5000人の障害者に不妊手術を施していたことが明らかになりました。つい最近までこのようなことが行われていたのはとても恐ろしいことです。植松被告と根本的に変わらないと思います。このようなことを市長、副市長、教育長は、どう思われますか。
 そして今回の一般質問の6にも関係しますが、やまゆり園で生活していた28歳の男性が横浜のグループホームで生活を始めたそうです。自分の意思でその生活を選ばれたことはとてもよいことだと思います。いかがですか。
 
○樋田浩一 都市整備部長  まず初めに、JR鎌倉駅西口及び江ノ島電鉄鎌倉駅から福祉センターに至る点字ブロックの状況についてでございます。JR鎌倉駅西口周辺につきましては、平成30年6月から点字ブロックの設置工事を実施しておりまして、同年7月、来月には完了する予定でございます。なお、江ノ電鎌倉駅前は民有地となっておりまして、鉄道事業者と点字ブロックの設置に向けた協議を進めていくこととしております。
 また、御成小学校前から鎌倉市福祉センターまでの点字ブロックの整備についてでございますが、平成30年度中の整備に向け、町内会などと地元調整を開始しておりまして、調整が整い次第、工事発注を行いたいと考えております。
 続きまして、JR鎌倉駅東口からトイレ、東急ストア及びきらら鎌倉に行くための点字ブロックの設置についての御質問です。
 JR鎌倉駅東口からトイレ、東急ストアなどに向かう点字ブロックにつきましては、2020東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、平成30年度、今年度から開始いたします鎌倉駅東口駅前広場整備工事の中で設置を計画しております。
 また、きらら鎌倉への点字ブロック設置につきましては、県道を経路とすることになりますので、駅前広場整備に合わせ、神奈川県に働きかけてまいります。
 次に、視覚障害者の方が安全に通行できるよう点字ブロックを設置してほしいという御質問でございます。平成18年に策定いたしました鎌倉市道路特定事業計画におきまして、バリアフリー化の整備対象としまして位置づけられた特定経路や準特定経路につきましては、順次点字ブロックの整備を進めてきておりまして、整備可能なところにつきましては、おおむね整備が進んでいる状況でございます。しかし、歩道がないなどの理由から点字ブロックが整備されていない箇所があり、今後は整備手法を工夫するなどし、設置可能な箇所から整備してまいります。
 なお、平成17年度から進めております歩道切り下げに伴う点字ブロックの設置についてでございますが、平成29年度末に全806カ所のうち、405カ所が整備済みとなっておりまして、整備率は50.2%となっております。
 次に、斉藤建設から海蔵寺に行く道脇について安全を担保できるようにという御質問でございます。
 斉藤建設から海蔵寺にかけての道路脇の水路は管理上、開渠を原則という考えなどから、これまでふたの設置を行ってきておりません。側溝の転落防止策として、防護柵の設置などが考えられますが、道路の幅員が狭くなり、円滑な交通の確保が難しくなるといった影響が考えられます。そのため、設置に当たりましては、警察との協議はもとより、近隣住民の理解が必要であることから、まずは地元町内会などと調整を行ってまいります。
 
○内海正彦 健康福祉部長  続きまして、職員対応要領に関する研修についての御質問でございます。
 障害者差別解消法の職員に対する研修につきましては、平成29年度の取り組みとして、29名の新採用職員に対し、障害者福祉課職員が講師となり、障害者への合理的配慮についての講義を行ったところでございます。また、その他の職員につきましては、実務基本研修において、2級・3級職員75名に対し、外部講師と障害者福祉課職員が講師となり、障害者差別解消法及び障害のある方に対する職員対応要領についての研修を行ったところでございます。今年度におきましても、職員課の職員研修とあわせて、障害者福祉課独自の研修についても取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、ふれあいショップについての御質問でございます。
 障害者差別解消法については、障害福祉課窓口に障害者差別解消法に関するパンフレットを配架しているほか、平成29年度においては12月1日発行の「広報かまくら」で、障害者週間の特集として、障害者差別解消法についての記事を掲載するなど、市民やふれあいショップを運営する障害者施設関係者などへの周知に努めてきたところでございます。今後も受け入れる側である障害のある方が、差別と感じてしまうことのないような対応が図られるよう、さらなる周知・啓発に努めてまいります。
 続きまして、ベビーカーや車椅子の入店に御遠慮願いたいと書かれたものが店の前に張ってあった質問についてでございます。
 障害者差別解消法においては、民間事業者はその事業を行うに当たり、負担が過重でないときは、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮に努めることとされております。御紹介の事例の場合、店内が狭いという事情があるため、車椅子等での入店を可能とする配慮について、事業への影響の程度、費用や体制上の実現可能性などが過度な負担に当たるかどうかを、事業者自身が総合的に判断し、対応することとなります。障害者への合理的配慮につきましては、今後も機会を捉えて、市民、事業者への周知・啓発に努めてまいります。
 
○佐々木聡 教育部長  続きまして、不登校の問題はそれぞれ違うと思うが、わかる範囲で原因を教えてもらいたい、御質問についてでございます。
 平成28年児童・生徒の問題行動、不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、不登校の原因につきましては、家庭に係る状況が最も多く、次いでいじめを除く友人関係をめぐる問題、学業の不振が多いものとなっております。学校生活を通して、子供たちが互いのことを認め、みんなで力を合わせて生活していく学級づくりやわかる授業を研究するなど、子供にとって魅力ある学校となるような取り組みをさらに推進していくことが必要と考えております。
 次に、図書館ばかりではなく、不登校の子供が行ける場を地域地域でつくってあげてほしいとの御質問でございます。
 学校に行けない子供たちの居場所としては、教育支援教室ひだまりで、安心できる小集団の指導や学習のフォローを行っております。学校では、教室に入れない子供に対し、可能な限り別室での対応を行っており、大学生のボランティアがメンタルフレンドとして支援も行っているケースもございます。フリースクールに通っている子供については、フリースクールの協力を得て、学校と出席状況や学習内容の共有などの連携を行い、社会的自立を目指しているところでございます。
 続きまして、肢体不自由の子供が通える特別支援学級がある小・中学校をふやしてほしいという御質問でございます。
 肢体不自由特別支援学級は、現在、小学校は御成小学校、中学校は御成中学校を拠点校としております。肢体不自由特別支援学級では、児童・生徒の安全の確保や体調管理に十分配慮しつつ、機能訓練のような障害の特性に応じた独自のカリキュラムが必要であると認識しております。充実したカリキュラムや安全に配慮した手厚い対応を行い、子供同士のかかわり合いを通して成長できる場を確保するためには、拠点校方式が望ましいと考えております。
 現在、独自のカリキュラムといたしましては、理学療法士による機能訓練、プールでのトレーニングを行っており、安全に配慮した対応としては、登下校のバスの運行や医療的ケアへの対応なども行っております。また、コミュニケーション能力や社会性を身につけるためには、同年代の子供同士のかかわりが重要であるため、一定数の集団の学級による教育が必要であること、またさらには同じ小学校で学んだ通常級の子供たちと同じ中学校に進学し、ともに成長することも大切であると考えております。
 今後も拠点校方式で行ってまいりますけれども、鎌倉市内には県立鎌倉養護学校に肢体不自由部門の小・中学部があります。県立鎌倉養護学校との連携を図りつつ、指導の充実を図ってまいりたいと考えております。
 
○内海正彦 健康福祉部長  続きまして、重度の身体障害者のグループホームについての御質問でございます。
 重度身体障害者のグループホーム設置に当たりましては、介護者の確保や設備面などにおいて課題があるものと認識しておりますが、親亡き後の生活の場として必要な施設であるとの認識に立ち、グループホーム整備に対する有効的な支援策の検討を進め、早期に整備が実現するよう取り組んでまいります。
 またあわせて、重度身体障害者以外のグループホームの設置の意向を示された事業者に対しましても、重度身体障害者の受け入れについて打診するなどの働きかけを引き続き行ってまいります。
 
○松尾崇 市長  旧優生保護法のもとで、不妊手術を施していたことについての御質問です。
 旧優生保護法下における強制不妊手術につきましては、関連した資料の保全について、国から神奈川県を通じて市町村や関連施設と依頼がなされており、今後議論が進んでいくものと認識をしております。現在障害者福祉計画の将来目標であります、「障害のある人もない人も、だれもが一生にわたり、健やかで安心して暮らせるまち」の考え方を基本とした取り組みを我が市では進めているところでございます。今後、全ての人がお互いに人格・個性を認め合いながら、多様な生き方を尊重し、ともに支え合える共生社会の形成を目指して取り組んでいくということをより力を入れてやっていかなければならない、そういうふうに感じているところでございます。
 
○小礒一彦 副市長  同じく旧優生保護法に関する御質問でございます。
 旧優生保護法のもとでの強制不妊は、現在国で調査が進められていることから、今後実態が解明されるものと思われますので、国・県等の動きを注視してまいりたいと考えております。鎌倉市といたしましては、ただいま市長が御答弁申し上げましたように、障害のある人もない人も全ての人がお互いに支え合える共生社会の形成に向け、積極的に取り組んでまいります。
 
○安良岡靖史 教育長  旧優生保護法に関する御質問でございます。
 誰もが個性と能力を発揮して、そして地域社会で生き生きと暮らしていける共生社会の実現に向けまして、できるだけ同じ場で子供たちが学び、ともに育つインクルーシブ教育の推進をしていくことが教育委員会の役割であると考えております。ともに学ぶことを通しまして、子供たちは命を大切にする心、思いやりの心、助け合う心などの力を身につけるとともに、子供たちが持っている能力や可能性を最大限に伸ばして、自立し、社会参加できる力を育むためにも、さらに地域ととともに支え合っていくネットワークづくり、これも大切になってくると考えております。学校におけますインクルーシブ教育の推進におきましては、地域との連携がこれからも重要になってまいりますので、ともに育つ共生社会の実現に向けまして、学校、地域が連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 
○松尾崇 市長  やまゆり園で生活していた男性が横浜のグループホームで生活を始めたということについての御質問でございます。
 障害のある方が自分の意思でその生活を選ばれたということについては、とても喜ばしいことであると感じているところです。今回の事件を通じましても、家族会の考え方と本人の意向というところは大きな議論になった部分であると思っております。本市としましても、障害のある方の自己決定ということが尊重される、ここが非常に大事だと考えておりまして、こうした意思決定の支援について努めてまいりたいと考えております。
 
○議長(中村聡一郎議員)  ただいま一般質問中でありますが、議事の都合により暫時休憩いたします。
                   (15時15分  休憩)
                   (16時40分  再開)
 
○議長(中村聡一郎議員)  休憩前に引き続き会議を開きます。
 一般質問を続行いたします。便宜、課長に代読させます。
 
○1番(千一議員)  (代読)2、5月26日の福山市での側溝転落事故は鎌倉市でも起こり得ること。
 寿福寺前の側溝について、答弁がなかったようですが、どうなるのですか。
 4、鎌倉市立の中学生の学力は優秀だが不登校が多いことについて。
 なぜ、こういうことになるのか、本当の意味でのインクルーシブ教育はなされているのか。学力重視の学校ではないのか疑問に思います。教育長はどうお考えですか。
 5、肢体不自由の特別支援学級をもっと多く。
 拠点校をもっとふやしていただきたいという質問でしたが、肝心の答弁がありません。はっきり答弁してください。
 6、身体障害者を中心としたグループホームの設置を早く。
 具体的な方策はありますか。なければ、9月までにつくってください。重度の身体障害者が他市へ逃げていくのは今の現実です。とても恥ずかしいことですので、よろしくお願いします。いかがですか。計画に盛り込んでいただけますよね。いつも優しい言葉で逃げられていますが、よろしくお願いします。
 
○樋田浩一 都市整備部長  寿福寺前の側溝についての御質問でございます。
 寿福寺前の側溝につきましては、史跡に指定されている寿福寺境内の指定地には含まれておりませんが、保存管理計画で本来保護すべき範囲、今後追加指定を進めるべき範囲とされており、文化庁との協議が必要となるため、現在文化財課と調整しており、今後関係機関と調整を進めてまいる予定でございます。
 
○安良岡靖史 教育長  初めに、不登校が多いことについて、本当の意味でのインクルーシブ教育なのかという御質問でございます。
 子供たちが個性、多様性を認め合い、ともに生活し合うインクルーシブ教育は、教育委員会、そして学校とも重要であるという認識を持っているところでございます。学力のみを重視するのではなくて、一人一人を大切にし、皆で力を合わせて生活していく魅力ある学校づくりというものに今後も取り組んでまいりたいと考えております。
 学校に行くことに不安を感じて、登校することができない子供たちにとって、それぞれ一人一人が一人一人の悩みを持っていると感じております。この悩みを解決するためには、一人一人の子供たちに丁寧に対応していかなければなりません。それは家庭訪問を通して子供に会って、保護者とともに話をする。あるいは子供が学校に来られたときには一人一人の子供に多くの先生たちがかかわって、先ほどお話のありました勉強という部分でも支援をしていくこと、そんな機会も設けていきたいとは考えております。日ごろ学校に来られなかったときに、学校からは学校のお便りだとか、あるいはきょう勉強した内容のプリント等を家庭に届けるなど、子供と一緒に御家庭でも勉強できるような学習する機会をつくっていきたいとは考えております。そのような子供たちへの支援を通して、子供が社会の中で自立していく、そんなことを目指していきたいと考えております。
 次に、肢体不自由児学級の特別支援学級をもっと多くつくってほしいということでございますが、現在行っております御成小学校、御成中学校におきます理学療法士による機能訓練、あるいはプールでのトレーニング、そして安全に配慮した登下校のバス運行など、今行っているところでございますけれども、現状の御成小学校・中学校での拠点校方式というものを今後も教育委員会としては継続していきたいとは考えております。
 今後、保護者のニーズの把握に努めまして、要望等があれば、またその時点ではいろいろ検討する必要もあるかと思いますけれども、現状ではこの御成小学校・中学校での取り組みを進めていきたいと。また保護者のニーズ等の把握にも努めてまいりたいと考えております。
 
○内海正彦 健康福祉部長  グループホームの設置についての御質問でございます。
 グループホームの整備に対する補助金の拡充などについて、事業者の意向を確認しながら予算確保に向けて取り組んでまいります。
 
○比留間彰 共創計画部長  計画に盛り込むということの御質問です。
 鎌倉市が目指す共生社会実現に向けて、必要な施策と考えておりまして、実施計画等への位置づけについては健康福祉部と連携し、検討してまいりたいと考えております。
 
○議長(中村聡一郎議員)  便宜課長に代読させます。
 
○1番(千一議員)  (代読)時間の関係で、今回の私の質問は終わりますが、次回に続けたいと思います。よろしくお願いいたします。あと11回続く。
 
○議長(中村聡一郎議員)  議事の都合により、この際、会議時間を延長いたします。
 ただいま一般質問中でありますが、議事の都合により暫時休憩いたします。
                   (16時47分  休憩)
                   (17時05分  再開)
 
○議長(中村聡一郎議員)  休憩前に引き続き会議を開きます。
 一般質問を続行いたします。次に、前川綾子議員の発言を許可いたします。
 
○20番(前川綾子議員)  それでは、通告に従いまして、一般質問させていただきたいと思います。
 障害者の雇用については、少し重なるところもありますけれども、前の議員が何項目かなさっておりますが、流れがありますので、省略しないで、私の流れでやらせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず最初の項目ですけれども、鎌倉の緑についてということで、鎌倉の維持管理のための体制ということでやらせていただきたいと思います。
 これまでにも、私有地の緑も民間の土地の緑もいずれもあわせて鎌倉の緑として、これからの維持の仕方や緑に対する考え方を議会の場で尋ね、そして施策に反映できるよう努力してまいりました。その結果、樹林管理事業の改善や、市役所内に緑にかかわる部局からなる、鎌倉市危険斜面及び危険木に関する調整会議が設置されることになり、実際に平成29年5月に第1回目の委員会が開かれたことはよかったと思っております。そして昨年は2回、そしてことしも既に1回開かれたということです。その1回は先日の同僚議員の質問に対する御答弁にもありましたけれども、材木座の件で6月4日に開かれたということですね。そのようにして、この会議を利用して調整していただきたいと思っております。ぜひその連携の中で、この会議は開かれることを、これからもよろしくお願いいたします。
 それにしても、鎌倉の緑の成長はとどまるところを知りません。これまで保全のために緑を残すことに力を注いできた緑政策を決して否定しているわけではございません。むしろ、その成果を評価しているところもあります。通り沿いの崖の枝を1本でも切ろうものなら、お散歩で通る方にお叱りを受けることもあり、防犯上の死角をつくる緑の伐採と、美しく繁茂する緑の保全とのはざまで揺れる緑保全時代はとても長く続きました。ずっと保全を唱えてきた声も、今は維持に悩む声に変わってきたと強く感じております。
 さて、鎌倉市はこれからの緑にどのように向き合っていくつもりなのか、再度お伺いしていこうと思い、質問をさせていただきます。
 ことし、平成30年4月11日未明のことですが、大分県中津市耶馬溪町で住宅の裏山が崩落し、崖下の住宅の住民6人の命が一瞬にして奪われました。特に強い雨が降ったわけでもなく、崩落の直接の原因がわからないものでした。専門家が調べてさまざまな原因が憶測されるのでしょうけれども、映像で見る限り、急斜面に植えられた杉林が根本から滑り落ちた状態に見えます。ほかにも日本各地であるいは市内でも、自然災害は多く続いています。こうした最近の傾向、現状に対して、技術職員である方たちはどのような感想を持っておられるのか、ここで部長に代表してお伺いさせていただきたいと思います。
 
○樋田浩一 都市整備部長  まず、去る4月11日未明に大分県中津市で発生しました大規模な山崩れにおきまして、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、心よりお悔やみ申し上げます。また、被災された方々の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
 ここ数年、全国的にゲリラ的な集中豪雨などによる自然災害が頻繁に発生し、全国各地で大きな被害が出ている状況を見ますと、インフラを初め、緑地を管理している立場となりました今、他人事ではなく、あすは我が身という思いでおります。
 鎌倉の現状を見ますと、崖を抱えた緑地も多くあり、中津市以上に住宅が建ち並んでいることに鑑みますと、市民の方々が安全・安心に暮らせるための取り組みは不可欠と感じております。技術職員として、また技術職員を束ねる立場として、少ない費用で最大の効果を発揮できるよう、職員が英知を結集し、職員一人一人が危機意識を持ち、着実に業務遂行と災害への対応が図れるよう、いま一度気を引き締めて業務に取り組んでまいる所存でございます。
 
○20番(前川綾子議員)  求めていたお答えをいただきましたけれども、鎌倉にも杉は過去に多く植えられております。そして杉に限らず多くの木がとてつもなく大きくなってしまっています。このたび神奈川県では、昨年の秋から冬にかけて、平成25年に制定された古都保存法緑地管理指針に基づいて、鎌倉市内の県が持っている緑地、県有緑地の樹木の伐採や枝払いを実施しているようです。その経緯や対象範囲、そして伐採などの計画、今後の事業予定についてどのような内容なのか、教えてください。
 
○樋田浩一 都市整備部長  神奈川県では、平成25年3月に、今、御案内ありました古都保存法緑地管理指針を策定しまして、歴史的風土特別保存地区内の県有緑地を計画的に維持管理するため、県有緑地管理計画を策定しております。神奈川県では、宅地や道路に近い県有緑地の大木について、鎌倉市内約5,000本の樹木を調査しまして、平成26年度から29年度までの4年間で倒木の危険性のある樹木を約1,600本伐採したとしております。
 本事業の平成29年度の関連費用につきましては、年間3億円弱程度となっております。平成30年度以降は、契約業者が月1回の巡視点検を実施し、危険木の伐採などを行い、防災に努めていくという計画になっております。
 
○20番(前川綾子議員)  本当にそうだったんですね。私もこの鎌倉の緑について質問させていただいておりましたけれども、こうした計画が県で進んでいたということは逆に知らなかったんです。でも今回、4年間そうした計画で実施されてきたということを知りまして、非常に驚きました。よかったということではあるんですけれども、木々の成長が危険を及ぼすと感じたのは県は一足先だったわけですよね。それで、危険木の調査を行って、そしてその伐採も行ったとわかりました。
 それでは、伐採後の景観といいますか、とってもすっきりとなって、そして長いこと高くて視界を妨げていた木々がいきなり伐採で低くなったわけですよね。あたりが明るくなって、それはそれは木の重みによって起こる崖崩れの不安もかなり解消されると感じて、地元の方は感激して一体誰が伐採を行っているのかということをお知りになりたくて私のところに何人かお電話をくださいました。特に二階堂の方からお電話をいただきました。
 そういうわけで、県が伐採を行ったことで、地元の、そしてそれを見た地元の方のお電話で私は知ったわけではございますけれども、県のお仕事ではございますけれども、その姿をごらんになって実際どのようにお感じになっていらっしゃるでしょうか。
 
○樋田浩一 都市整備部長  私も先日、神奈川県が古都保存法緑地管理指針に基づきまして、緑地管理事業を実施しました現場を拝見させていただきました。その際の印象としましては、本市の管理が繁茂した樹木の枝払いが中心であるのに対しまして、県は危険な樹木の伐採が中心となっておりまして、はた目から見ますとすっきりとした緑地管理がなされているという、正直そんな感想を持ったところでございます。
 本市でも状況に応じて伐採も行っているところではございますが、今後は今年度実施する樹木調査や、策定する緑地維持管理計画をもとに、効果的な緑地維持管理が行えるように取り組んでまいりたいと考えております。
 
○20番(前川綾子議員)  やっていただいたことに文句を言うつもりは全くないんですけれども、本当に市が先にやって、残るほうが県かなと思っていたのが逆転してしまって、私も驚いた限りでして、何度も言ってもしようがないんですけれども、とにかくこれから今、お話にありました平成28年度に策定した鎌倉市社会基盤施設マネジメント計画に基づいて樹木の調査を行って、市が持っている緑地、それから私有緑地を対象にした緑地維持管理計画を策定するということでおりますよね。それがおくれていると思いますけれども、その後の進捗状況お聞かせください。
 
○樋田浩一 都市整備部長  鎌倉市緑地維持管理計画及び樹木調査業務委託につきましては、既に業務を発注しているところでございます。今後は市域の61緑種を対象に、まず樹木調査等を行う予定にしておりまして、その調査後は計画策定に向けた方針の検討を行い、今年度中に緑地維持管理計画を策定する予定としております。
 
○20番(前川綾子議員)  計画をつくるということは着々と進んでいると理解させていただきたいと思います。その予定どおりにとにかくまず調査をして、しっかり計画を立てていただいて、県が4年間行ってきている伐採計画と同じ手法で調査から伐採まで進んでいくということでよろしいですね。
 今回の質問の表題を私は最初、これからの鎌倉の緑と向き合うためにということにしていました。先ほども申し上げましたとおり、これからどうやって緑とつき合っていくかを考える。今まさにその時期に来ているということを考えると、将来の鎌倉の緑とつき合っていくことになる子供たちにはどのようにこの意識を伝えていけばよいかということがとても重要になると思っています。
 今、鎌倉市には緑のレンジャー・ジュニアという取り組みがあると思います。発足当時は人気のある取り組みであったものがだんだんその人気が下落傾向にありまして、そして現在はどのようになっているかをお聞かせいただきたいと思います。受講者の推移の概略と、それから今年度の参加希望者からの応募数、それから受講者数、講座の内容をお聞かせください。
 
○服部計利 都市景観部長  緑のレンジャー・ジュニアでございますが、平成6年度から市内の小学校4年生、5年生を対象といたしまして、自然の生き物や草花と触れ合うことで自然に対する意識の高い緑のレンジャー・ジュニアの育成を図っているところでございます。受講者数の定員を30名といたしまして、平成20年代前半に減少したことが一時期ございますけれども、継続して定員以上の参加があるところでございます。平成30年度は73名の応募がございまして、抽せんの結果、小学4年生から継続する7名を加えた37名の児童が竹林の管理や森の手入れ体験などを通じて、緑の楽しさや大切さを学んでいるところでございます。
 
○20番(前川綾子議員)  担当の方たちの御努力で一時、下落傾向にあったものが、とても応募者がふえているということで、それは本当に感謝いたします。これからもそうしていただきたいと思いますが、鎌倉の豊かな自然の中で暮らす子供たちにとって、緑に関心を持つことはただ自然を愛することだけではなくて、これから大変重要になってきます。今、お話ししたような、みどり課が主催している緑のレンジャー・ジュニアの取り組みを教育長は御存じだったでしょうか。子供のころから緑に関心を持ち、緑とつき合っていかれるようになる教育は大切だと思っておりますが、教育長のお考えをお聞かせください。
 
○安良岡靖史 教育長  緑のレンジャーに関する取り組みについてでございますが、緑のレンジャー・ジュニアの講座は、自然観察や体験講座を通しまして、自然の大切さを学ぶことを目的に毎年開催されておりまして、多くの小学生が参加をし、貴重な体験の場となっております。学校におきましては、生活科や理科、総合的な学習の時間に、自然と触れ合う活動を行っておりまして、特に中央公園や広町緑地に出かけ、季節の動植物の観察をし、驚きや発見を通して、子供たちは本当に多くのことを学んでいると思っております。
 鎌倉は緑豊かな自然が多く、自然を守るための緑地や森の手入れをすることは大切なことと考えておりますので、今後もこのような体験活動を通して子供たちを育ててまいりたいと考えているところでございます。
 
○20番(前川綾子議員)  ぜひ続けてそのようにお願いしたいと思います。
 緑に触れ合うということは、虫とか鳥とかいろいろと接触していかなければいけないので、そういう意味ではいろんな範囲で自然と触れ合うということで大切なことだと思います。
 実は、第二中学校は、私の出身校ですけれども、この議会にも何人か同窓生がおられますけれども、第二中学校は鎌倉市内でも広大な緑地に囲まれた学校です。裏山にグリーンコースがあるほどです。このグリーンコースは実は私が在学中に生徒と先生でつくったものでした。そのときから40年ほどがたって、改めて整備しようと保護者の間で活動が始まっています。そうした活動に子供たちが加わることで経験することは貴重な体験学習につながると思います。第二中学校に限らず、市内の中学生にそうした経験をこれからも生徒たちができるような場を教育現場につくっていただきたいと思いますけれども、またそれが生きた体験学習になると思っておりますが、いかがでしょうか。
 
○安良岡靖史 教育長  中学生が、体験を通して緑に関心を持つことが必要ではないかということでございますが、中学校ではそれぞれの地域の特徴を生かしまして、風致保存会の協力を得て、伐採作業あるいは草刈りなど、緑地の保全活動に参加をいたしまして、体験活動を通して、地域社会の一員としての自覚ということも得るようなそんな機会をつくっているところでございます。
 ただいま議員から御紹介のありました第二中学校では、現在もグリーンコースの整備活動を継続しております。山の上の尾根を歩くということは、非常に今は大木も多くなっているところでございますけれども、その際、風致保存会や、あるいはおやじの会の協力を得まして、安全な作業の方法について御指導いただきながら年2回整備活動に今も取り組んでいるところでございます。
 このような活動を通しまして、鎌倉の豊かな自然に関心を持ち、守っていこうという意識の醸成におきましては、体験活動が非常に重要な活動になると考えております。自分の地域に関心を持ち、そして社会に貢献するという心を養うためにも、今後も地域の皆さんの協力を得ながら、環境教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 
○20番(前川綾子議員)  そうなんです、子供のころから緑と向き合って、緑とともに生きるためには、自分の身の回りのできる範囲の緑は自分たちで整備していこうと、そうした活動がさっき教育長おっしゃっていただきました地域社会の一員というそうした考えの中で、まちづくりの担い手を育てることにつながると思っておりますので、そういう気持ちでこれからも続けていただきたいと思いますし、ぜひ教育長からもそういう気持ちで進められるようにお願いしたいと思います。
 話は変わりますけれども、鎌倉市では樹林管理事業で、民有地の樹木の剪定を行っていただいているのは高く評価しているところでございますが、剪定後の状況を見ると、その剪定の手法で本当によかったのかなと思うことがあります。作業終了後の現場を確認して、剪定の手法を適宜考えて対応していくことが必要だと思っておりますが、作業終了後の点検はどのようになっているのか、お伺いします。
 
○樋田浩一 都市整備部長  樹林管理事業は、土地所有者からの申請内容をもとに、市が現地を確認した上で、剪定等の内容を受託事業者に伝えることで現場での作業にそごが生じないよう実施しているところでございます。業務完了検査は、受託事業者から提出されている業務完了届と写真や書類の作業内容を点検することで行っております。今後は業務が完了するまでに写真では確認しづらい現場につきましては、受託事業者と現場確認を行ってまいりたいと考えております。
 
○20番(前川綾子議員)  細かいことですけれども、この手法が現状に合わないで伐採をしても、後に飛び出した枝ができてしまったりとか、さっきの話じゃないですけど、県有緑地がきれいになったというのと逆に何もならないことになってしまっては残念だなと思うことがありますので、従来のものの見直しを、今、部長おっしゃっていただいたようにしっかりと行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 鎌倉市では、これまで緑の保全のために計画的に緑地を取得してきた経緯があると思います。その取得率はどのぐらいになるのかを教えてください。
 
○樋田浩一 都市整備部長  (仮称)山崎・台峯緑地のうち、鎌倉中央公園拡大区域及び鎌倉市土地開発公社が先行取得しました区域を合計した用地取得の対象面積は約30.7ヘクタールとなっておりまして、このうち取得済みの面積は約27.3ヘクタール、取得率は約89%となっております。
 
○20番(前川綾子議員)  89%ということで、単純に、いろいろな緑、これからも取得はあると思いますけれども、単純に計算して89%ということは、残りはあと11%ということで、緑の確保の量は十分にされてきていると思っております。それは高く評価しております。
 しかし、今後はとにかく緑地の維持管理について、市民とともにもっと真剣に考えていかなくてはいけない時期に来ているということで、先ほどから口が酸っぱくなるほど言ってしまって申しわけないんですけど、そういうふうに思っております。市民とともに緑のことを考えていく上で、市として今後緑行政についてどのように取り組んでいこうと考えていらっしゃるのか、都市景観部長とそれから都市整備部長にお聞きしたいと思います。
 
○服部計利 都市景観部長  都市景観部では、これまで特別緑地保全地区内の私有緑地を対象として、間伐等の取り組みと、作業後のモニタリング調査を進めてきたところでございます。緑の基本計画におきましては、樹林地の植生管理の方向性を定めることを目指しており、モニタリングの結果も踏まえまして、庁内で連携しながら緑の質の充実に向けた検討を進めていきたいと考えているところでございます。
 
○樋田浩一 都市整備部長  都市整備部では、緑地の維持管理はこれまでも市民の皆様のお力添えのもとに事業を実施してきておりまして、これからも緑のレンジャー事業との連携も図りながら、緑地の良好な維持管理に努めてまいりたいと考えております。また、平成30年度に策定いたします緑地維持管理計画では、安全性に配慮した計画的な緑地の維持管理を行い、予算の平準化やライフサイクルコストの削減を目指してまいります。
 緑の基本計画の推進に当たりましては、今後も庁内で連携しながら、緑の質の充実が図れるよう、努めてまいりたいと考えております。
 
○20番(前川綾子議員)  これまで、鎌倉市は緑の保全に尽力されてきたわけですけれども、今の組織では市民がどの部署で緑のことを相談できるかということがわかりにくくなっていると私、思っているんです。つまりこれまでは公園課、みどり課、風致担当の三つの課がそれぞれ別々の部に所属していました。今回の機構改革で、風致担当とみどり課は都市景観部の所属になりましたけれども、公園課は相変わらず都市整備部に所属しています。そういう状態では、市民にとってとてもわかりにくいものになっております。もちろん法的に縦の関係ではそういうふうになるのだということは、ここで細かく御説明しませんけれども説明していただきました。それでも市民にとってはとてもわかりにくいと思っております。
 先ほどから申してますように、これからの緑とのつき合い方はとっても重要になってくると思っています。誰にとってもわかりやすい、さらに一歩進んだ緑の維持管理に特化した専門的な組織編成に取り組むべきと考えているんですけれども、いかがでしょうか。
 
○齋藤和徳 行政経営部長  現在市の緑に関する組織につきましては、御案内いただきましたように、主に政策関連部門、許認可部門、それから緑の維持管理部門の三つの専門的組織を設置をしておりまして、それらの部署が綿密に連携を図ることで効率的かつ効果的な事務を行っていると認識してございます。緑の維持管理に関する市民ニーズが高まっていることは認識しておりまして、また市民にとってわかりにくいという御指摘でございますので、まずは、市民の皆様へ周知方法、工夫をいたしまして、相談内容に応じた部署をわかりやすく伝えてまいりたいと考えております。
 
○20番(前川綾子議員)  そうおっしゃいますがというところでございますけれども、今、公園課、みどり課、風致担当という話はしましたけれども、緑の問題になると、道水路管理課も結構皆さん相談に行ってしまうんですよね。かかわりがとてもあるので。緑と考えると、公園課、みどり課、風致担当かもしれませんけれども、一般に市民の皆さんは道水路管理課に行きます。実を言うと私も道水路管理課に行きたくなるような案件がたくさんあります。でも結局は日ごろの緑を維持する担当の方たちがしっかりやっていただければそこに行かなくても済むかなとは思っているので、こういう質問をさせていただいているのとお願いをしているわけです。
 例えば、以前こども局という組織がありました。こども局は子供に関する10以上の課が横連携で組織化されて担当課長には兼務辞令が出ていたと思います。緑についてもみどり局のような組織を考えて、関連する課が連携をして課題解決に当たるということで、市民にとってとってもわかりやすく、そして緑の維持管理に対する市の気概を示すことになると思っているんです。ですから、質問をさせていただいてお願いしています。
 さまざまな行政課題の解決に当たって、いつも組織に横串を通すとか横連携を図ると言われます。先ほども冒頭に申し上げました鎌倉市危険斜面及び危険木に関する調査員会議もそうした考えのもとで開かれるようになった会議です。市としての緑に対する姿勢とでもいいますか、取り組む姿を見せていくことは、これはこれからとっても大切になると思っております。これまでのやりとりをお聞きになって、市長はどのようにお考えでしょうか。
 
○松尾崇 市長  御指摘のとおり、緑の保全に関する考え方というのが時代とともに変化してきているというのは私自身も感じてきているところでございます。現在組織体制において、維持管理を含めた市民ニーズには十分応えられると考えておりますけれども、御指摘いただきましたように、市民の皆さんにとってのわかりやすさということについては課題が残るということを感じたところでございまして、御指摘の点を踏まえて検討してまいりたいと思います。
 
○20番(前川綾子議員)  十分に今の体制でやっているとおっしゃっていますけれども、やっていただいているんだと思いますし、やっていただいているとも言えるんですけれども、ここは先ほどから申し上げておりますように緑に対する市の態度も改めていく時期であって、向き合い方を変えていく時期だと思います。ぜひ組織のあり方も見直していただいて、そうやっていくうちにまたこの緑のレンジャーもシニアもジュニアもどんどんふえていくでしょうし、それから先ほどの質問にもありましたけれども、御自分の身の回りの緑はある程度自分ごとでできるところはやっていく。そうした市民との気持ち、皆さんお花を植えたりとかとても好きで、鎌倉は本当にあちこち緑とお花きれいですから、そういう意味では市民の皆さんは緑、お花を愛していると思います。ただそれの維持をどうしたらいいか、最終的に手に余るものは市でやっていただく。そこで生じるのがこの問題だと思っておりますので、しつこいようですけれども、ぜひこのことにつきましては考えていただいて、鎌倉の緑をこれからどうするかということを市がしっかり考えてくださっているということをお示しいただくようにぜひお願いしたいと思います。
 同じお答えになるかもしれませんが、市長、いかがでしょうか。
 
○松尾崇 市長  御案内のとおり、緑の保全ということにつきましては、これまでのように守っていくということから、さらにそれを管理し、活用していくと、これから転換をしていく、こういう流れの中にあると認識をしております。その中での市民の皆さんにとってわかりやすい、またその市の姿勢も含めて、わかりやすいそうした発信ということも含めまして、今後取り組みについてはより検討してまいりたいと思います。
 
○20番(前川綾子議員)  では、よろしくお願いいたします。
 それでは、障害者雇用についてに移らせていただきたいと思います。
 このたび第3期鎌倉市障害者基本計画が策定され、4点の重点課題の一つとして働く場の充実と就労支援体制の推進が掲げられています。また、市長のマニフェストでも障害者雇用2,000人を目指すことを掲げられておられます。
 私はこれまで一般質問でたびたび法定雇用率や障害者の就労などの課題について伺ってきた者として、市が障害者の就労の推進にいよいよ本腰で取り組んでくれるものと大変うれしく思い、また大いに期待するところでございます。
 市庁舎内に障害がある方の働く場としてワークステーションがことし平成30年4月に開設されたわけですけれども、この6月からは福祉センターの中に、鎌倉市障害者二千人雇用センターができたということです。
 こうした具体的な事業を始めてくださったことは大いに評価したいと思っておりますが、これらの事業が今後どのように展開されていくのか、事業の方針、目標値や進め方について改めて確認させていただきたいと思います。
 
○議長(中村聡一郎議員)  もう一度質問願います。
 
○20番(前川綾子議員)  まず、ワークステーションについて伺います。開設して2カ月余りですけれども、体制やそれから雇用している障害者数、それから支援のあり方などの現状とこれまでの活動内容や成果、それから課題と感じていることなど、まとめてお伺いさせていただきたいと思います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  まず、ワークステーションの体制や内訳についてでございます。
 職員の配置でございますが、ワークステーション事務嘱託員として作業に当たる障害のある職員が5名、内訳は知的障害の方が1名、精神障害の方が4名。支援業務に当たる職員が3名でございます。この支援業務に当たる職員の3名のうち1名は再任用職員で、ほかの2名は作業療法士資格を有する障害者就労支援嘱託員を配置しております。
 業務は毎日の定例業務として健康福祉部を中心に3部13課の郵便物の集配を午前午後各1回行うほか、申請書類のファイリングや協議会の資料、仕分けなどを毎月定例的に行っております。また、随時業務として資料の印刷や宛名シール張りなど文書発送準備、封筒への課名の押印、紙折り、封入、封緘などを行っております。平成30年6月現在の作業実績は21課86業務でございます。
 次に、現在までの状況や得られた成果でございます。まだスタートから2カ月半程度ではございますが、ワークステーションスタッフは業務を順調にこなしており、丁寧な仕事ができていると評価を受けているところでございます。
 今後の課題でございますが、おおむね3年程度をめどとして考えている一般企業への就労に向けて、関係機関といかに連携を図っていくかが課題でございます。また、事務的な面ではワークステーションの業務を標準化する上で、定期的な事務の割合をふやしていくことが課題であると考えております。
 
○20番(前川綾子議員)  では、ワークステーションのあるべき姿、それから目標とする姿を描いて開設されたというように思っております。その目標達成に向けてさらに充実、それから拡大されていくことを望むところなんですけれども、今後の展望はどのようでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  現在在籍するワークステーション事務嘱託員の一般就労が可能となるよう、引き続き職務体験が積める仕事や環境の提供に努めていき、1人でも多くの方が一般就労ができるように支援をしていく予定でございます。集配、資料仕分け、紙折りなど多くの作業を受けておりますが、パソコン作業や障害者支援協議会の準備、会議中のマイク渡しなど、スタッフの適正に合った業務の拡大に努めてまいります。
 また現在5名のワークステーション事務嘱託員数拡大や、それに伴い必要となる作業スペースの拡張など、今後ワークステーションの役割や機能を向上させるための重要な検討課題であると捉えております。
 
○20番(前川綾子議員)  市職員への障害者雇用については、第3期鎌倉市障害者基本計画の事業として掲げ、職員課と障害福祉課が担当課として示され、そして事業内容としてワークステーションを盛り込まれています。私はこれまでもたびたび市職員への障害者の採用をお願いしてきましたが、当時の総務部長が、課題は知的障害者の採用であり、努力することを約束されました。ワークステーションができて、そこで訓練された知的障害者が行く行くは市の職員として採用されていくものと期待しているんですが、今後の見込みはいかがでしょうか。健康福祉部長と総務部長に、それぞれの立場でお伺いします。
 
○内海正彦 健康福祉部長  最初にワークステーションでの知的障害の方の対応ということでお答えさせていただきます。
 ワークステーション事務嘱託員の採用については、最初となる平成29年度の実施分については、採用試験に知的障害と精神障害の区分を設けずに実施をしたところでございます。知的障害者の市職員への採用は取り組むべきと認識していることから、ワークステーション運営実績から得られる知見を踏まえ、次回以降の採用試験においては、試験内容に知的障害と精神障害の特性や採用枠等も考慮した内容へ変更することについて検討をしてまいります。
 
○松永健一 総務部長  私のほうからは、人事全般の立場から答弁させていただきたいと思います。
 市ではこれまでも障害者雇用の促進のため、一般職等の採用に当たりましては、障害の種別によらず幅広く募集してきたところでございますが、知的障害者の雇用に限定してみた場合、身体障害者や精神障害者ほど雇用は進んでいないのが現状でございます。今後はワークステーションで一定経験を積んだ方の一般就労への移行については、市も移行先の事業所の一つとして知的障害者を含め、積極的に雇用していく必要があるものと考えておりまして、そのためにも市における知的障害者の雇用促進のために、先進事例を研究しながらさらなる業務の切り出しですとか、課題を整理し、雇用に必要な環境を整えてまいりたいと考えております。
 
○20番(前川綾子議員)  これまでの組織や業務のあり方にとらわれていると、実現はしにくいものだと思っております。雇用の仕方や仕事のあり方を根本から障害者本位で考え直して、新たな仕組みを構築していくことにより、知的障害者が働くことができる市役所を実現することができるのではないかなと思っております。ぜひ発想を切りかえて、前向きに取り組んでいただきたいと思いますので、お願いします。
 また、ワークステーションを大きく育てていくのは、障害福祉課だけの仕事ではないと思っております。健康福祉部だけの仕事でもないはずです。ぜひ市を挙げて連携して取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、このほど福祉センターの中に開所した鎌倉市障害者二千人雇用センターについて、その内容や今後の進め方を伺っていきたいと思っております。
 まず、2,000人雇用というのはどういう雇用を目指すのでしょうか。いわゆる会社のような場での雇用を対象に考えているのか、それとも1時間でも働くことができるのであれば就労と考えるのか。ほかにも障害の種類や程度に合ったさまざまな就労の仕方があると思います。2,000人雇用というのはどのように考えておられるのでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  障害者2,000人雇用における雇用の形態でございますが、一般就労では正規職員以外のパートタイマーやアルバイト等の短時間就労など何らかの就労や、また一般就労に限定することなく、福祉的就労としての就労移行支援事業所や就労継続支援事業所での就労も含めて、それぞれの方に合った雇用を考えているところでございます。
 
○20番(前川綾子議員)  市内にある障害者のA型やそれからB型などの事業所数とそれから働いている障害者の数は把握しているでしょうか。他市の方も利用しているということでしょうけれども、その比率はどれくらいなんでしょうか。障害がある人にとって、いろいろなタイプのA型、B型が必要であると思いますので、2,000人雇用を目指し、今後さらにA型、B型をふやしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  鎌倉市にある就労移行支援事業所でございますが、平成30年4月時点で5事業所、就労継続支援A型事業所が4事業所、就労継続支援B型事業所が18事業所でございます。鎌倉市民による利用実績といたしましては、平成28年度時点で就労移行支援事業所が定員82人のうち14人で17%、就労継続支援A型事業所は定員85人のうち30人で割合は35%、就労継続支援B型事業所は定員265人のうち181人で割合は68%となっております。
 
○20番(前川綾子議員)  障害福祉も契約行為になっていますから、鎌倉市の事業所を他市の障害者が利用したり、それから他市の事業所を鎌倉市民が利用していることは私も承知していますが、この比率を伺って私は意外に思える部分もありました。逆に鎌倉市の障害者が他市の事業所を利用する事例も多いのでしょうから、ぜひこの実態をきちんと把握されて2,000人雇用と結びつけていただきたいと思います。
 さて、2,000人雇用を打ち出すに当たっては、現在就労している障害者数を把握することが必要で、市長のホームページでは1,245人という数が出ております。この考え方を、教えてください。
 
○内海正彦 健康福祉部長  まず一般の就労者の人数がこの数字を出す上では不明でございました。こういったことから障害者福祉計画策定にかかわるアンケートで収入を得る仕事をしている人と回答された方の比率が25.17%であったことからこの数字を活用し、この割合を障害者手帳所持者のうち、稼働年齢層の18歳以上65歳未満の方の人数2,696人に乗じて得た数が678人となります。この678人に市役所で働いている方を加えた710人を一般就労者数といたしました。この710人に就労移行支援事業所、就労継続支援事業所での福祉的就労者の535人を加えた数を1,245人として就労者数として推計をしたところでございます。
 
○20番(前川綾子議員)  調査を行われるということを聞いておりますけど、ぜひこの実情が把握できる丁寧な調査をお願いしたいと思います。同じ取り組みで既に成果を上げた岡山県総社市の話もありますけれども、当初の推計よりもずっと多いことが調査によってわかったということですので、鎌倉市でも1,245人、今のお話を聞かせていただきました、内訳を聞きましたけれども、今年度は市内の就労実態を改めて調査するということですので、数を把握して今後の取り組みに生かしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  私どもも、まず何人障害者の方が就労しているかというのはこれは大変必要な情報だと考えておりますので、この2,000人雇用を進めていく中で、まず今何人の方が就労しているというのは関係機関と連携をとりながらまず把握に努めてまいりたいと考えております。
 
○20番(前川綾子議員)  それでは、この実態調査以外にどのような取り組みをしていくのか伺います。
 
○内海正彦 健康福祉部長  障害者二千人雇用センターの開設のほか、市内の障害者就労実態を調査するアンケートの実施、市による障害者就労面接会や講演会の実施、障害者就労移行支援制度の構築などを行う予定でございます。これら市の取り組みのほか、市内事業者への就労雇用への理解を深めていただくなどの協力を求めていくほか、障害者雇用関係者を含む(仮称)二千人雇用協議会を立ち上げ、就労創出などの課題に取り組んでまいります。
 
○20番(前川綾子議員)  それ以外に就労移行支援金というようなものもつくられると思っているんですけど、そこはいかがでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  障害者が福祉的就労から一般就労へ移行し、自立に向けた生活を営むことを支援するとともに、生きがいを感じながら安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指し、就労移行支援金を支給することにより、障害者2,000人雇用の事業推進を図ることを目的にした制度でございます。この支援金の内容でございますが、支援金の金額は10万円とし、福祉的就労3カ月以上利用して、一般就労に移行し、6カ月が経過した障害者に対して1人につき1回限りの支給とする予定でございます。
 
○20番(前川綾子議員)  それぞれ重要な取り組みだと思います。しっかり進めていただきたいと思います。センターが設置されたことで相談業務を担う窓口ができたと理解しております。この窓口ですけれども、どういう対象の相談をどのような手法で受けるのか教えてください。
 
○内海正彦 健康福祉部長  働く希望のある障害者を対象に、一般就労に必要な能力の取得支援、就労支援、生活支援及び職場定着支援を行うための総合的な相談窓口となります。県内では国の制度である障害者就労生活支援センターが同様な業務を行っておりますが、鎌倉市を所管するセンターは横須賀市に所在しており、利用者が伸びていないのが現状でございます。福祉センター内に同様の機能を持つ障害者二千人雇用センターを開設したことから、専門的な相談を受けることや必要な支援を行う機関へ速やかにつないでいくことができると考えております。
 
○20番(前川綾子議員)  その相談ですけれども、障害者からの相談を受けるだけなのか、あるいは事業所からの相談も受けるのか、そしてマッチングまで行っていただけるのかお伺いいたします。
 
○内海正彦 健康福祉部長  障害者を雇用したいが配慮すべき点がわからないなどにより、障害者の雇用にちゅうちょしている事業所などからの相談も受け付け、また逆に障害者二千人雇用センターから事業所に出向いての説明も積極的に行うことで障害者が働く場の拡大・拡充を図っていく予定でございます。相談者に対し、障害の程度や希望などを勘案し、一般就労については、企業見学会などへの同行やハローワークへの連携を行い、福祉的就労については、就労移行支援事業所、就労継続支援A型・B型事業所などへの適切なマッチングも行っていく予定でございます。
 
○20番(前川綾子議員)  また、たくさんの関係機関と連携が必要になると思いますけれども、どのような機関を想定して、どのように連携しようと思っていらっしゃいますか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  議員御指摘のとおり、多くの機関との連携が必要になると考えております。その連携先でございますが、ハローワーク、障害者就労生活支援センター、就労移行支援事業所、就労継続支援A型・B型事業所、相談支援事業所、特別支援学校、商工会議所などとの連携が必要であると考えております。これらの連携機関との連絡を密にして、相談者が必要な支援を得られるような運営に努めてまいります。
 
○20番(前川綾子議員)  そういうたくさんの今、おっしゃっていただきました機関と連携を図ったり、それから障害者のための新しい仕事を開拓したり、なかなか大変な仕事だと思いますけれども、雇用センターの体制はどのようなものでしょうか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  センター事業に従事する職員の配置についてでございます。施設長が1名、専任指導員が3名、その他事務職員を1名配置することを予定しております。
 
○20番(前川綾子議員)  現状ではこれ、充実されていますか。
 
○内海正彦 健康福祉部長  今、申し上げましたのは最終的に専任指導員3名ということでございますが、現時点ではその施設長1名に専任指導員が1名となっており、段階的に専任指導員は最終的に3名を配置していくという計画になっております。
 
○20番(前川綾子議員)  今後、軌道に乗れば相談もふえていくと思います。常勤にこだわらずに、非常勤やそれからボランティアの方、そうしたフレキシブルな職員体制で障害者一人一人に寄り添った支援をお願いしたいと思います。
 
○議長(中村聡一郎議員)  お諮りいたします。ただいま一般質問中でありますが、運営委員会の協議もあり、本日の会議はこの程度にとどめ、延会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
                   (「なし」の声あり)
 御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決しました。
 なお、残余の日程については、明6月19日午前9時30分に再開いたします。ただいま御着席の方々には改めて御通知いたしませんから、御了承願います。
 本日はこれをもって延会いたします。
                   (17時58分  延会)

 平成30年6月18日(月曜日)

                          鎌倉市議会議長   中 村 聡一郎

                          会議録署名議員   安 立 奈 穂

                          同         高 野 洋 一

                          同         納 所 輝 次