○議事日程
平成28年 7月25日議会全員協議会
議会全員協議会会議録
〇日時
平成28年7月25日(月) 13時10分開会 14時47分閉会(会議時間 1時間19分)
〇場所
議会全員協議会室
〇出席議員
中澤議長、久坂副議長、千、竹田、河村、池田、保坂、岡田、西岡、日向、永田、長嶋、前川、三宅、納所、小野田、渡辺、山田、吉岡、赤松、大石の各議員
〇理事者側出席者
松尾市長、小礒副市長、小林副市長、松永総務部長、三上総務部次長兼総務課担当課長、伊藤(昌)都市整備部長、関都市整備部次長兼都市整備総務課長、前田都市整備部次長兼道路課担当課長、森(明)道路課担当課長、原田道水路管理課担当課長、谷川(宏)道水路管理課担当課長、桝渕文化財部長、高木(明)文化財部次長、西山文化財課担当課長、安良岡教育長
〇議会事務局出席者
三留局長、鈴木次長、笛田議事調査担当担当係長
〇本日審査した案件
1 報告事項
(1)北鎌倉隧道安全対策工事について
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○中澤 議長 ただいまから、議会全員協議会を開催いたします。
本日の議会全員協議会は、市長から北鎌倉隧道安全対策工事について、議会に報告する必要があるので開催してほしい旨、依頼がありましたので開催した次第であります。
まず、報道機関の取材及び傍聴の申し出について、事務局から報告を願います。
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○三留 議会事務局長 本日の議会全員協議会に、NHK、神奈川新聞社、タウンニュース、東京新聞社、朝日新聞社、読売新聞社、共同通信社、ジェイコム鎌倉、しんぶん赤旗、週刊新聞新かながわから取材並びに写真及びビデオ撮影の申し出がございます。
また13名の傍聴希望の申し込みがございます。
本件の取り扱いにつきまして、御協議をお願いいたします。
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○中澤 議長 ただいまの事務局からの報告について許可することでよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
本件については、特にインターネット中継をしたほうがよいかと考えておりますが、いかがでしょうか。
(「はい」の声あり)
では、インターネット中継を行いますので、準備に10分ほど時間がかかります。報道機関及び傍聴者入室とインターネット中継の準備のため、暫時休憩いたします。
(13時11分休憩 13時19分再開)
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○中澤 議長 再開いたします。
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○中澤 議長 「北鎌倉隧道安全対策工事について」、理事者から報告を願います。
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○松尾 市長 本日は、議会全員協議会を開催していただきまして、まことにありがとうございます。
本日、報告いたします事項は、北鎌倉隧道安全対策工事についてです。
平成28年7月8日に鎌倉市文化財専門委員会を開催し、北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値について、外部有識者を招き検討いたしました。
その結論は、当該尾根は円覚寺境内絵図に書かれた境界として、文化財的な価値を有する場所であり、国指定史跡の指定を図っていくべきというものでした。
また、安全対策の工法についても、「文化財を守る立場からは現状保存を求める」などの意見もいただきました。
こうした結論及び意見を得た中で、北鎌倉隧道安全対策工事については、既に予算をお認めいただいているものでございますが、現在の工法を見直し、できる限り尾根を残す形での安全対策工事について検討を行っていく必要があると考えております。
しかしながら、この検討には、文化庁などとの協議を含め時間を要するため、当面の間、仮設により隧道の通行を確保してまいりたいと考えます。
なお、尾根の追加指定に向けた調査・研究、指定の範囲については、検討を行ってまいります。
私からの説明は以上ですが、引き続き、担当部長から詳細な説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 北鎌倉隧道安全対策工事について報告させていただきます。
本日は、お手元に資料1として「北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値に係る鎌倉市文化財専門委員会における審議結果及び今後の市の対応について」、それから資料2として「案内図」、資料3として「平面図」、資料4として「ライナープレート断面図」を配付しておりますので御確認ください。
本件は隧道の安全対策ではありますが、文化財的価値の検証を前提としておりますので、まずその部分について文化財部から説明いたします。
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○桝渕 文化財部長 北鎌倉隧道安全対策工事について、文化財部所管部分について報告させていただきます。
平成28年6月市議会定例会におきまして、北鎌倉隧道の所在します尾根の文化財的価値の検証につきまして、外部の専門家を入れた文化財専門委員会を開催し、文化財的価値の有無について検討すること及び文化財専門委員会の結果が出た後、文化庁とも協議していくことを答弁いたしました。
その後、7月8日に外部の専門家を含めた鎌倉市文化財専門委員会を開催し、「北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値」を検討していただき、あわせて工法に関する御意見もいただいたところでございます。
資料1をごらんください。当日、出席していただいた文化財専門委員は、考古学が御専門の河野会長、建築史が御専門の大野委員、民俗学が御専門の大谷津委員、植生学が御専門の鈴木委員、絵画史が御専門の瀬谷委員、中世史が御専門の高橋委員、近世史が御専門の馬場委員。外部有識者には、中世史が御専門の五味東京大学名誉教授、同じく中世史が御専門の藤原青山学院大学教授、以上の9名でございました。
また、当日は御出席いただけませんでしたが、松島元文化財専門委員会会長には、地質学の見地から文章で御意見をいただいたところでございます。
文化財専門委員会における北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値については、先ほど市長からも申し上げたとおり、「当該尾根は、円覚寺境内絵図に描かれた境界として、文化財的な価値を有する場所であり、国指定史跡の指定を図っていくべきである」との結論でございました。
また、開削工法に関する主な御意見は、「史跡としての価値があるのだから、保護すべきである」、「小型自動車は通れなくなるが、トンネルを内側から支え、内側が見えるようにするのが現実的ではないか」「文化財を守る立場からは、開削せず、保存を求める」「素掘りのトンネルの現在の景観を残すべきである」「史跡としてどういう形がふさわしいか、工法のさらなる検討が必要である」「尾根の形状の調査などを行った上で、手を尽くしてほしい」との御意見をいただいたところでございます。
私からは以上でございます。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 続きまして、都市整備部としての対応を説明いたします。
この文化財専門委員会の審議結果を受け、今後の鎌倉市の対応について、以下の内容を7月15日に文化庁と協議いたしました。
その内容は、現在の工法を見直し、できる限り尾根を残す形での安全対策工事について検討すること及び検討から工事実施までに時間を要するため、当面、仮設により通行を確保すること、さらに文化財部の所管ではありますが、史跡の追加指定に向けた調査・研究・指定範囲の検討を行うこと、そして、これらの対応については、引き続き文化庁の指導、助言を仰ぐというものです。
文化庁からは、これらの市の対応について了解をいただき、さらに尾根の保存方法だけでなく、仮設についても検討の範囲として今後助言をいただくこととなっています。
できる限り尾根を残す形での安全対策工事につきましては、日本トンネル技術協会から提案されている工法を基本に、景観等に配慮した基本設計を実施し、文化庁やさまざまな方から御意見を伺った上で案を策定し、実施設計を行ってまいりたいと考えております。
また、北鎌倉隧道は生活道路として使用されているほか、児童や生徒の通学・通園路でもあり、市民の皆様には大変な御迷惑をおかけしている状況であり、今後の本工事までには時間がかかることから、文化庁と協議を行い早急に仮設工法の手だてを行っていきたいと考えております。
この仮設工法につきましては、平成26年度に市が検討していました、ライナープレート工法による隧道の内側に波板状の鉄板を設置し、隧道とのすき間をモルタルにより充填するものです。
ライナープレート工法は、仮設工法のため、外圧がかかって隧道が崩落した場合には安全は確保できませんが、モルタル等をライナープレートの裏側に充填し、現在の隧道とライナープレートを一体化することにより利用者の危険を回避することが可能となります。
資料3の平面図をごらんください。ライナープレートは現在の隧道にあわせて設置し、隧道の出入り口の部分は崩落の危険があるため、隧道よりも2メートル程度道路側へ張り出す形状となります。
資料4の断面図をごらんください。ライナープレートは、現在の隧道よりも幅員が狭く、高さも低くなるためオートバイや自転車も通行できなくなります。
なお、この工法につきましては、既に文化庁と調整を始めております。
最後になりますが、本日報告いたしました内容につきましては、本日この後、北鎌倉駅裏トンネルの安全対策協議会において報告するとともに、関係地権者へ説明してまいります。
以上で説明を終わります。
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○中澤 議長 ただいまの報告について、御質疑、御意見がありましたらお願いいたします。
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○長嶋 議員 私は三つ伺います。
まず1点目ですけれども、このまさに文化財的価値についてですけれども、以前、陳情が出されて、私もその判断をするために部長のところまで伺って、その内容についてをお伺いしました。そのときの御説明では、文化財的価値はないということだったわけですけれども、なので私は陳情については反対しました。今回このような形で、文化庁は全く違うことを言い出して、全然違うことになってしまったということに流れ的にはなっておりますが、私はそのときに、今のような状況がわかっていれば、当然のことながら陳情は反対しませんでした。だから、思い切りうそをつかれて裏切られた思いで、非常に腹立たしいと思っておりますが、今これを言ってもしようがないのかもしれませんけれども、流れの中で、なぜそこを丁寧に文化庁にもう1回、陳情が出ている段階で、確認なりをとるというステップ等々をしていただけないで、そういうことを御説明されたのかというところをまず伺いたいと思います。
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○桝渕 文化財部長 この尾根につきましては、中世に描かれた円覚寺境内絵図に載っております尾根の残存部分であるということ、そして絵図との関係において、歴史的、学術的価値というものは認められると考えておりましたが、これは本会議等の答弁でも申し上げているとおり、文化財的価値ということになりますと、その史跡の指定等を行って、保護を図っていくという価値があるかどうかということと認識しておりました。その場合、従前から申し上げてきたとおり、横須賀線の敷設時やその後の墓地造成、さらには急傾斜工事、宅地造成といったようなこと、そして、そもそもこのトンネルが開削されていることによりまして、本来の形状というものが損なわれているといった状況において、史跡指定を行って保護していくということが難しいと考えていた、そのように御説明したかと考えております。
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○長嶋 議員 ということは、文化庁の見解が突然変わってしまったということですか、そうではないですか。そこがわからないんですけれど。今回出ているところを文化庁がチェックに見えて、そこで見解が突然変わったのか、現場を見たから変わったのか、それとも前からそういう考え方だったのか、どちらですか。
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○桝渕 文化財部長 当初、私どもとしましては、今回の工事計画が、先ほど申し上げたような状況の地形において、すなわち、かなり原地形が損なわれている中で、しかも工事範囲が狭い、狭小であるということから、通常の埋蔵文化財包蔵地としての取り扱いでよろしいと考えておりました。文化庁に対しては、こういったことに関して、特に御相談する必要もないと考えておりまして、その文化庁から今年度になって、急にそういうような話があるので、説明をしてほしいということで、本年の4月になって、文化庁に赴いて、こういうことであるという御説明をした。そこから始まったことかなと考えられます。
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○長嶋 議員 つまり、それ以前は、文化庁とこの件について話したことはない。だけれども、どなたかから文化庁に情報が入って、それで初めて文化庁がここの存在と開削工事を市がすると言っているということがわかったので、文化庁が急に動き出したということでよろしいですか。
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○桝渕 文化財部長 私どもと文化庁との接触というのは、本年の4月以降ということですので、それ以降、こういう話になってきたかと考えております。
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○長嶋 議員 それまでは、話が出ている中で、文化庁にここの件について相談したことはなかったということでいいですか。
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○桝渕 文化財部長 そのとおりでございます。
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○長嶋 議員 それはそれとしていいとしまして、2点目ですけれども、私はここの開削工事の予算には反対をしたわけですけれども、議会としての判断で、開削しなさいということで予算をつけたと思いますけれども、どうも昨今、そこの旧図書館のところもそうですけれども、議会で議決して予算をつけているにもかかわらず、その後ひっくり返る話というのはたくさんあります。ごみの戸別収集なんかはそうではないですけれども、ずっとそういうことで説明してきて、進めてきて議会で議決した。ごみは議会に出るまでもなかったですけれども、そういう議会で議決したことが全部後の都合でひっくり返るような話ばかり出てきます。こういうことをされたのでは、議会の存在意味とか意義が全くなくなってしまう。議会制民主主義ということで、そういう状況は我々としても、これは重く受けとめなければいけないと思うんですけれども、全部議決したことまでひっくり返って、そっちは正しいからという話になっているわけですけれども、あんまりそういうことばかりをやられると、我々は何なのという立場になってしまうんです。その辺についてはいかがでしょうか。
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○松尾 市長 我々としても、決して議会で議決をいただいたことを軽視しているつもりは全くございません。議会でお認めいただいたものについて判断を変えるということが、旧図書館のことについては確かにございました。その旨、大変我々としても重く考えておりまして、皆様にも説明をさせていただいてきたところです。
今回もそうした意味では、議会でお認めをいただいたというところの後に、我々としては、これまで不十分ではないと言われれば、そうかもしれませんけれども、文化庁からの御指導等がある中で、再度、文化財的な価値という視点での検討を、委員会等を含めてさせていただいた結果、このような形で、従前我々が考えてきたものとは前提が違っているということになってまいりましたので、本日、議会全員協議会で御報告をさせていただいているということです。我々としても、決して判断を変えるということについて、軽々しく考えているのではないということは、御理解いただければと思っています。
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○長嶋 議員 軽く考えていないと言われても、結果としてそういうことになっているわけです、現実に立て続けですよね、短い間に。それは反省してもらわなければいけないと思うんですけれども、なぜそうなるかというと、最初にその判断をする時点ですね、旧図書館にしても、こちらにしても。そこで十分な住民の皆さんとの話し合いとか、関係各所の調査とか、さまざまなステップがきちんとなされていなかったから、そういう勝手に適当な判断と、私は言わせていただくことはあります。そういうところをきちんと踏まないで、行政側が行政側の考え方だけで全て決めてしまうから、そういうふうになると。後で住民の皆さんから、それはだめでしょうと言われて、それでいろんなことが起こってしまうと。最初からきちんと話していないところが私は問題だと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
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○松尾 市長 今回、北鎌倉のトンネルの課題につきましては、我々だけで判断できるものではないと考えまして、当初より地元に協議会をつくっていただいて、その中でも御意見をいただくという過程をとってまいりました。その協議会自体が、民意を全て吸い上げていないという御意見も伺ったところですけれども、我々としてはできる範囲の中で、住民の皆さんと協議を重ねてきたという手順を踏んできたと思っております。
この文化財的な価値については、このような形で判断を変えざるを得ないというところについては反省をしておりますけれども、今後、より丁寧な進め方ということを我々もしてまいりたいと考えます。
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○長嶋 委員 住民の皆さんとの協議をやってきたと言っていますけれども、私も委員会でも一昨年に指摘させていただきましたけれども、どこまでが住民の代表かというところがあります。でも、地域の自治会の人たちだけとか、役員の人たちだけとか、そういう話ばかりいつも聞くわけです、もめたときに。だから、そこを改めて考えないと、また問題が起きますので、今後同じ失敗を繰り返していただきたくないんです。民意の反映の仕方はいろいろあると思うんですけれども、特にこういう建物とか、いろんな景観とか、そういうのを工事で壊すと、鎌倉市の場合は皆さん、町を守る、建物を守る、いろんな物を守るというところを重視されて日々生活されているので、こういう案件だけではないですけれども、ある程度そういうことが予測されることです。こういうふうに出したら、こういう反発を食らうだろう、わかっている話ですよね。そういうものであるにもかかわらず、そうやってやったことが問題を生んでいるのではないか、そこは改めない限り、また出ますので、そこは十分に考えていただきたいと思います。
何回もこんな、また次から次へと出されては、我々は本当に困ります。それで議会で議決した、私は反対したほうですからいいんですけれども、賛成した皆さんにとってみたら、何やっているんですかという話になりますので、お願いしたいと思います。そこを反省しない限りはまた出ますので、忠告しておきます。
あと3点目ですけれども、先ほどのお話の中から、文化庁の御発言が来て、そういう判断が急にそこで変わったということはあるので、文化庁の御責任は相当あると私は思っているんですけれども、いろんなところで文化庁に相談しながらやっていくということはいいんですが、今後保全するにしても、その後、仮設なのか、または工事が終わって、その後も維持管理等をずっとしていかなければいけない。次また今工事したものが、何十年後かにまた改めてやり直さなくてはいけない、考え直さなければいけないということも出てくるわけですけれども、そこまで含めて、文化庁にきちんと責任をとっていただく必要があると思うんですけれども、お金の面ももちろんあると思うんですが、お金のことも含めて、その辺の文化庁とのお話し合いは、今どういうことになっておりますでしょうか。
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○桝渕 文化財部長 その点につきましては、これからということになろうかと思います。まずは、今回、この文化財的価値があるという文化財専門委員会の判断を受けまして、先ほど都市整備部長が御説明したとおり、文化庁とその方針について協議を行ったと。そういった中で、今後工法はもちろんのこと、いろいろな面において、指導、助言を仰ぎたいということに関しては了解したというお返事をいただいておりますので、今、議員がおっしゃられた内容等についても、今後、具体的に詰めていくということになろうかと考えています。
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○長嶋 議員 当然のことながら、時間が大幅に延びるわけで、それにかかわる予算が必要になってきますけれども、その辺について、文化庁は何か面倒を見ていただけるというお話にはなっているのか。なっていないとしたら、私はぜひ強く要望していただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
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○桝渕 文化財部長 具体的に財政的な支援云々の話は、いまだ出ておりません。
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○長嶋 議員 ぜひ話を出していただいて、要望はしていただきたいと思います。
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○保坂 議員 昨年の8月ですけれども、日本トンネル技術協会の中間報告、検証の結果が出た段階での市の判断というのは、安全性の確保と景観面の両立が難しいと言って、その中で景観のことを考えるんだったら、いろいろな工法が考え得るのは、開削のほうであるという判断を下したのは昨年8月、そして9月定例会の段階の話だったと考えております。
そのときには、文化財的価値ということについては考慮外ということでした。けれども、その後、新しい知見、これは主に市民の方たちが中心になって、文化財的価値についての新たな知見というものを打ち出してきて示してくるという中で、展開というのが変わってきたと受けとめています。そういった新たな知見、文化財的価値についての知見が出てきたところを踏まえた上で、今回、文化庁も動き出して、鎌倉市に対して働きかけという形になって、今回の決定に至ったと考えております。
そして、6月定例会において、しっかりと文化庁との協議も踏まえて、そして文化財専門委員会でも、外部の有識者を迎えての検討を行って判断してほしいという決議を全会一致ではなくて、賛成多数ではありましたけれども上げたという形で、市議会としても意思表明をして、そういったことも踏まえた上で、今回の動きになったと受けとめているところです。きょう図面も含めて示していただいているわけですけれども、質問として伺いたいのは、できる限り尾根を残す形での安全対策工事を検討すると。そして、当面仮設により通行を確保するということが、今後の市の対応として掲げられているわけですけれども、内側から補強するという形で内側の空間が小さくなる中で、これまでは可能だった小型の車両、それからオートバイ、自転車といったものは通行できなくなって、人がかろうじて通れるという空間を確保する形になっています。
これから検討を進めていくということだと思うんですけれども、尾根を残す形ということの中で、洞門、トンネルの形態を残すというところまで含めて考えていらっしゃるのかどうかということを確認したいと思います、いかがでしょうか。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 もちろん、尾根を残す方法を考えていくわけですから、そういう中では、トンネルという形が一番残しやすいだろうと思っておりますけれども、具体的に今後、仮設は今お示しする程度の大きさで、まだもう少し検討の余地はありますけれども、この程度でやります。
ただ、本設となりますと、ある程度の車の通行の確保とか、そういうことを考えてまいりますので、そういった中で尾根を残す度合いと、生活のための必要なものと両方を考えていかなくてはならないということで、申しわけありませんけれども、どのくらいの大きさで、どういうふうに具体的に残るかという御説明が、今はできる状態ではございません。
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○保坂 議員 今の御説明、この段階ではそうなのかなと思います。きょう示された図面の中では、尾根の外側の部分ですが、その形態については特に触れられていませんけれども、それについてもきちんと整えるというところですか。尾根を残す形ということになると、外側の部分については伐採ということになって、それが安全な形での尾根の形を損なわない形で伐採ということも、もちろん考えていくということでよろしいでしょうか。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 おっしゃるとおり、今回の仮設については内側からやっていきますので、上をどういうことは考えておりません。ただ、今、尾根をこのままずっとほっておくわけにもいかないということもございますので、仮設をして山そのものが壊れないという状況になったときには、文化庁と協議しながら、どの程度の形としていくのが適切なのかというのは、協議の上で行ってまいりたいと思っております。
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○保坂 議員 文化財的な価値がある尾根、そのトンネルをもちろん含む形での尾根を残すという方向性、そして通行の安全を確保するということ、景観とのバランスといったことを含めて、今後時間をかけて、段階を追って検討を進められるということで確認いたしました。
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○小野田 議員 ここの表題にありますように、北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値に係るということで、尾根と書かれております。ここの場所につきましては、当初、トンネル、隧道のことと、このトンネルが所在するところの岩塊について議論がなされてきたと私は認識をしておりまして、この尾根という発想が、議会で、開削の結論が出た後に、尾根という考え方がクローズアップされてきたように感じているんですけれども、現時点で、こちらにも尾根の文化財的価値と書かれておりますので、この文言どおりで、文化財的価値があるのは尾根なんだということで判断してよろしいのでしょうか。
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○桝渕 文化財部長 当初いろいろな呼称といいますか、北鎌倉隧道がうがたれている地形のことを岩塊、あるいは尾根という呼び方になっておりましたが、いずれにしても北鎌倉隧道がうがたれているあの場所の、残されている地形を指していると考えてよろしいかと思うんですけれども、この部分について、重要文化財に指定されている境内絵図に描かれた尾根の残存部分であるということで見解が一致しておりますので、そこの文化財的価値があるということでございます。
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○小野田 議員 私も最初、岩塊のお話が出たときに、岩塊に文化財的価値が仮にあったとすれば、この素掘りのトンネル自体が、この岩塊を壊しているものだとも捉えられるので、その岩塊に文化財的な価値があるという言い方をすると、このトンネルを残すというところが若干矛盾するのではないかなと感じていた次第なんですけれども、この尾根という言い方になりますと、この岩塊自体には直接影響がないということなので、この上のほうになると思うので、もう一度確認します。上の部分に、文化財的価値があると考えているということで、よろしいのでしょうか。
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○桝渕 文化財部長 そのように私も考えております。
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○小野田 議員 もう1点ですけれども、当面仮設により通行を確保するということで、資料3と資料4を比較してみまして、資料3を見ますと、斜線の部分と斜線でない部分があるんですけれども、これについて説明していただけますか。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 説明が足りずに申しわけございませんでした。資料3にございます平面図で斜線が引いてございますのは、もともとライナープレートというのは既製品を使うつもりでおります。ある程度規格が決まったものを買ってきて並べるというつもりでいるのですが、既製品ではまっすぐにしか並べられないものですから、少しでも幅広く、有効に使うために、曲がる部分をつくろうと思っております。その曲がる部分、あるいは斜めにカットする部分について、斜線でこれは特注部分ですということを表示したつもりでございます。
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○小野田 議員 この斜線の部分も、斜線でない部分も、この波状の板とかはモルタルを注入するということでよろしいでしょうか。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 そのとおりです。
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○小野田 議員 今後の市の対応につきまして、当面仮設により通行を確保するということで、ここを今まで通っていた高校生とか、地元の方は一刻も早くこのトンネルのところを通行したいと切望していると思うんですけれども、この仮設の工事が終わる予定とか、いつからいつぐらいまでに終わるというのは、もしわかりましたら教えてください。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 仮設につきましても、先ほど申し上げましたように、文化庁、あるいは地権者、関連する各機関と協議、あるいは許認可等進めていかなければなりません。そういう中で、なかなか確定した期間を申し上げるのは難しいですけれども、仮設をする以上、一日も早くという気持ちもございますので、遅くとも来年の1月までには、何とか通行が確保できるようにできたらと努めております。
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○桝渕 文化財部長 先ほど、尾根の部分の価値づけに関して答弁させていただきましたが、訂正させていただきたいと思いまして述べさせていただきます
文化庁の見解は、今までかなりの部分が壊されているんだということを述べてきましたが、壊されていたとしても尾根が残っていると。尾根が若干でも残っているならば、それが絵図と照合できるので、文化財的価値があるという考え方をお示しになりました。文化財専門委員会でもその考え方に対して、皆さん賛意といいますか、残っている部分が大事であるという結論になったと認識しております。
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○小野田 議員 仮設の工事ですけれども、本当に一刻も早くやっていただきたいと思います。幸いにも今、夏休み期間中ですから、できればこの期間中に通行できるようにしてもらいたいと思ったんですけれども、今、御答弁がありましたように1月ということになりますと、学生さんたちは2学期、また県道の危ない状況を通行していかなくてはなりません。ただ、冬休みを考えますと、冬休みが終わった段階ぐらいでは、何とか県道は通らずに済むようにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
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○竹田 議員 この文化財専門委員会の中での出された結論については、本当にこれでよかったなと、一つ胸をなでおろすところではありますけれども、きょうの御説明を聞いて、少し不安も正直残りました。
それは何かと言いますと、5番目のところです。工法に関する主な意見の中で、先ほど原局が読まれたときに、この3番目で、文化財を守る立場からは開削せず、その後、現状という言葉を読まれなかったんです。開削せず保存を求めると。現状という言葉をあえて削除したのか、非常に気になりました。今後の市の対応についてを読みますと、現在の工法を見直し、できる限り尾根を残す形でと書かれた。ということは、できる限りということは、非常に幅広い状況が考えられるわけです。これができる限りなのか、できる限りではないのかということは、今後の工法の中で、どこまでそれができる限りなのかということは非常に難しいと思うんです。ここで現状保存を求めると。それから、トンネルの現在の景観を残すべきであるという意見が出ているわけです。ですから、先ほどの説明の中で、車の通行も考えなくてはいけない、そういう話もありました。ということは、尾根として残します、トンネルをこのように安全対策します、だけれども、現状保存は難しいとも私は聞こえましたけれども、その辺はいかがでしょうか。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 トンネルの安全を確保していく上で、今ある形に、例えば薬液注入をしたり、何らかの保全策を加えて安全に通れるようにするというのは、私どもは不可能だと思っております。どうしても人工的にコンクリートなり鉄なりで補強をしてあげなければならないと考えておりますので、できる限りというのは、そういった中で、幅の確保ももちろん、尾根の保全も含めながら、どこが一番いい大きさなのか、やり方なのかというのをこれから検討していきたいと思っております。
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○竹田 議員 今、部長のお話では、薬液注入では不可能であるという話。既に現状を保存する、トンネルの現在の景観を残すべきであるということが不可能ということですね、もう一回確認ですけれども。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 今のままを残すというのは不可能であるということでございます。
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○竹田 議員 薬液注入によって残すことは不可能であるという根拠は、どういうことでしょうか。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 景観という意味で、景観と安全の両立ということを検討するために、日本トンネル技術協会に委託をしまして検証をしていただきました。その検証していただいた結果が、安全確保するためには、どうしても人工的な物で固めなくてはなりませんという答えになっておりますので、そこから私どもは考えております。
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○竹田 議員 トンネル技術協会は、そのようなお考えかもしれませんけれども、しかしながら文化財専門委員会の方々の中では、このままということが、再度出ているわけですから、薬液注入では無理ですよということは、しっかり根拠を改めて明確にする必要があると思います。文化財専門委員会の方々だって、トンネル技術協会を出した結果については御存じだと思うんです。でも、それでもなおかつ、現状の景観を残すべき、現状保存に努めるべきとおっしゃっているんですから、そこのところは無理ですと切るのではなくて、改めてそれが可能なのかどうか、もう一回、私はあらゆる工法を考えて見るべきだと思いますけれども、いかがですか。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 これからも文化庁を初めとしまして、関係機関とも協議をしてまいりますので、そういう中で、そういう方法もあるのではないかというようなお考えにつきましても、私どもも検討してまいります。
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○竹田 議員 ですから、きょうの説明を伺っていると、もう無理ですよということを前提に、モルタル注入もこんなにしてしまったら現状復旧できるのかなと思います。ですから、もう一回、先ほど工法の調整をしていますと、文化庁とも工法の調整をするという中に仮設のなされ方、ライナープレートのことも含めて、文化庁とこの方法でよいのかということを改めて協議するということでよろしいですか。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 おっしゃるとおり、仮設のやり方についても文化庁と協議をしてまいります。
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○竹田 議員 そこは非常に重要なところだと思います。専門委員会の方々が本当に専門的な見地でここまでおっしゃるということは、そこを最大限尊重して、どういう方法があるのかということをしっかりと、トンネル技術協会から結論が出ているんだではなくて、もう一回文化庁を含めて議論して、調整していっていただきたいと思います。よろしくお願いします。(拍手あり)
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○中澤 議長 傍聴の方に申し上げます。拍手等はお控えをお願いいたします。
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○赤松 議員 具体的な話も今進んでいるんですけれども、1点再確認したいと思います。
先ほども質疑の中で若干出ていましたけれども、対応方針の最初に、現在の工法を見直しと書いてある。現在の工法を見直すということは、現在開削ですから、開削の方針は撤回したと、開削はなしということは確認してよろしいですか。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 全くなくしたということとか、やるんだとか、そういうことではなくて、これからそれも含めて、できるだけ残す形での工法を検討していくということでございます。
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○赤松 議員 開削してしまって、資料に書かれていること、開削がまだ選択肢の中に残っていたのでは、バッティングしてしまうのではないですか。私はもう、ここに来て細かなことは言いたくないんだけれども、開削そのものは、もうないんでしょう。開削してしまったらどうやって、あそこを史跡に指定する拡大の対象物がなくなってしまうようなことをしてしまっていいんですか。開削はもうないんだということをはっきり言ってください。(拍手あり)
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○中澤 議長 傍聴の方にお願いを申し上げます。拍手等は進行の妨げになりますので、お控えいただきますようお願いいたします。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 今ここで、開削は全くもうゼロなんだと、全くやらないんだという答えを出しているわけではございませんので、これから文化庁を初めとして、協議をしていく中で検討させていただきます。
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○赤松 議員 今後の市の対応について、3番目に何て書いてありますか。史跡の追加指定に向けた調査・研究、指定範囲の検討を行うと。確かに指定範囲ということはありますけれども、隧道のあるそこも含めて、これは五味先生が明確に述べられておりましたよね。私も傍聴しておりましたけれども、文化的景観という表現を使いました。この文化的景観という言葉の意味は、ICOMOSでここ5年、10年の文化遺産の新たな検証の中で、国際的に認知された言葉なんですよ、文化的景観というのは。そのものを五味先生は評価されておられましたね。だから一体のものなんですよ。
これまで文化財課は、尾根も鉄道の開通によって切られてしまったけれども、さらに、ああいう穴が掘られて価値が失われたということを言ってきましたけれども、そういう認識を変えてもらわなくてはいけない。そういう問題を含む文化財専門委員会の一致した意見だと私は受けとめているんです。こういうところで、開削はまだ残っているんだみたいなことを言われたら、本当に困ってしまう。文化庁と何を協議してきたんだと言いたくなりますよ。本当に情けないですよ、私。
先ほど長嶋議員が冒頭に何て言いましたか。裏切られた気持ちだと、腹立たしいと言いましたよ。全くそうですよ。私も同じ気持ちですけれども、ただ、今の方針を転換して、文化財保護という立場に立脚した、このトンネル、隧道問題の解決に向けて努力するというふうに、私は全体としては評価をしましたから、きょうのこの報告はおおむね了承したいなと思っているんだけれども、こういう具体論のやりとりの中で、開削はまだ諦めていないんだみたいなことを言われると、何を議論してきたんだとまた言いたくなるんですよ。やめてくださいよ、こんなことは。ばからしい。
ちょうどこの2年前の7月というのは、文化財専門委員会が開かれたときなんです。前回、確か7月29日だったと思います、きょうは25日ですよ。ちょうど2年目です。この2年間は何だったんだと。多額のお金も使って調査しました。私は一貫して、両立と言ってきた。
御成小学校の改築の問題で、遺跡を壊してでも3階建ての鉄筋校舎をつくると教育委員会が当時の教育長を含めてやろうとしたときに、文化財専門委員が総辞職して抗議したんですよ。こういうことも私は本会議で紹介しました。同じ過ちは繰り返すなと。また繰り返そうとしているんではないですか、もういいかげんにしなさいよ、あなた方。
こんなことを長々と私も言いたくないけれど、一言言いますと、きょうの市長の報告。事の重大性の認識が全くない。何事もなかったかのように、文化庁からの抗議がありました、文化財専門委員会、外部からお二人招いて検討していただきました、そしたら、こういう意見が出ました、それに基づいて市は文化庁と協議してこういうふうにしていきます。責任はどこに行ったんですか、この2年間の責任は。文化庁から指導が入らなかったら、もうとっくに開削工事は始まっているじゃないですか。それをやろうとしたのは、市長、あなたですよ。その責任はどうとるんですか。その問題を棚上げにして、この問題は絶対解決しないんです。だから、それは今ここで述べろと言っても無理があるでしょうから、私は9月定例会でこの問題をとことんやりたいと思います。それは、鎌倉市の文化財行政のあるべき姿、どうあるべきかということを私は問題にしたいと思っているから。それは教育委員会、文化財部だけの問題ではないんです。市長部局の問題なんです。そこはしっかりしてもらわないと、せっかくの議会全員協議会で、部長の先ほどのような答弁をされたら、わかりました、それでは結構です、やりなさいとは言えなくなります、残念ながら。責任を持って答弁しなさい。文化庁だって関心を持って見ています。日本中の歴史学者の皆さん、注目していますよ。世界遺産登録に向かって、どれだけ学者の皆さんに協力をしてもらったんですか。そういう学者の皆さんに背を向けるようなことは、絶対にやるべきじゃない。厳しく私は申し上げていきます。開削だけは、開削方針はもうないということだけは、はっきり答弁してください。(私語あり)
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○中澤 議長 傍聴の方に再三申し上げますが、議事の妨げとなりますので、少しお静かにお願いをできますでしょうか。
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○松尾 市長 もし私の発言の仕方、もしくは言葉に責任が感じられないと、感じられたということであれば、それは大変遺憾でございますし、私としても、この重大な方針、ある意味ではこれまで進めてきたことということを転換していくわけでございますから、議員の皆様方に議会全員協議会の開催もしていただきまして、きょう報告をさせていただいているところです。この事の重大性ということは、大変、私としても重く受けとめておりまして、これまで御説明をしてきたということにつきましては、決して我々も軽々しく考えて決めてきたことではないということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。と言いますのも、我々が何が何でも開削をしたいから、こうやっているというような受けとめ方をされているのかもしれません。決して、そういうことではなくて、あくまでも安全対策、それから景観、また今回文化財的な価値ということで、こうしたさまざまな観点からの北鎌倉トンネルを未来に向けてどういうふうにしていくかという判断でございます。我々としては、今回新たに文化庁からのこうした指摘を受けまして、その文化財的な価値ということをできる限り損なうことなく、文化庁とも協議をしながら、ここの工法というのを改めて検討させていただきたいということで、本日は御報告をさせていただいているところでございますので、その点はぜひ御理解をいただきたいと思っています。
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○赤松 議員 もう終わりたいんですけれども、開削はなしということで確認していいですか、今、予定している切り通しにしてしまうということですよ。そのぐらいは、きちんと答えてください。そうしないと私の質問が終わらないじゃないですか。
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○松尾 市長 繰り返しになりますけれども、我々はこれまで開削をするためにトンネルの工事をするということだけを協議をしてきたわけではございません。あくまでも安全対策、一般の方があそこを通行しているものでございますから、そこをどのように、これから未来永劫、皆様にも安心して通っていただくことができるか。そして、この鎌倉としても文化財をどのように守っていくことができるか。これは本当に、非常に難しい課題であると思います。今回、再検討させていただきますけれども、本当多くの方が御理解をいただける答えというのは、実は我々まだそこは見出せておりませんので、軽々にこの場で、今後の見通しということは、お話しできる状況ではないということだけは、御理解をいただきたいと思います。
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○赤松 議員 教育長でもいいし、文化財部長でも結構です。文化財専門委員会の委員の先生方の意見を総合的に結論の部分で述べられておりますけれども、個別の一つ一つの意見は別としまして、文化財専門委員、お二人の外部委員を含めた先生方の結論から言って、つまり、大きく言えば二つあるんですよね。将来に向かって、そこを含めて史跡指定して拡大を目指してほしいということが一つと、それから隧道の上部を含めての文化財価値があると、残してくださいと、大きく言えば2点だったと私は思うんです。そうすると、現在、市が計画している開削工法は、これとバッティングするものではありませんか。そのことだけをお答えください。
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○桝渕 文化財部長 先ほども申し上げたとおり、かなりの部分で壊されてはいるんだけれども、残っている部分はある。その残っている部分は文化財的価値がある。では、残っている部分はどこなのかというあたりは、きっちりと確かめていかなければならないのかなと考えます。
実際のところ、現状で我々が把握できている地形図、あるいは測量図からすると、かなりの部分が墓地造成等で削られている部分があります。実際、トンネルがうがたれている部分の上部はどうなっているのかというのは、状況がわかっていないようなところだと思いますので、残っている部分に価値がありというところです。残っているのは、それは重文の絵図に描かれている、自然地形としての尾根が残っているかどうかということだと思いますので、その点については、今後、確かめていかなければならないのかと思っています。
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○赤松 議員 五味先生や藤原先生の発言で明確ではないですか。私たちの目に見える、今の姿そのものが重要なんですとおっしゃっているじゃないですか。つまりトンネルのあの上も含めて重要ですということをおっしゃっているじゃないですか。それが円覚寺の境内絵図に描かれている姿そのものが、何百年もの歴史を積み重ねて、現在まで引き継がれていると。それは切られている部分もあるかもしれません。その問題については、まだ議論の余地があるわけです。伊藤先生もいろんなデータをお出しになって、それはそういうことでありますけれども、そこは脇に置いておいたとしても、今残っているそのものを残さないでどうするんですか。それは専門委員の先生方の一致した意見じゃないですか。つまりそれは、現在のトンネルの上にある、こんもりした部分、そのものも含まれているじゃないですか。開削というのは、それを切り取ってしまうということじゃないですか。そうしたら、今後の対応の4点目にある史跡の追加指定に向けて、調査・研究、指定範囲の検討を行うという、これに完全にバッティングしてしまうんじゃないですか。なくなってしまうのではないですか、開削によって。こんなばかなことはやめなさい。すっきりした答弁をしてください、本当に。もういいかげんにしてもらいたい。本当に困りますよ。こんな議論を文化庁の主任調査官が聞いたら何とおっしゃるだろうか。私は4回も行ってきましたけれども、鎌倉市にはしっかりしていただきたいとおっしゃっていたんです。もっと真剣に考えてもらいたいとおっしゃっていました。これは繰り返しになるからあれですけれども、今言った史跡指定の拡大に向かってという範囲の中に、これは入っているんですから。削ってしまったら、それは対象物をなくしてしまうことでしょう。そんなばかなことはないんでしょう。そういうことはしないんでしょうということだけ聞かせてください。
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○松尾 市長 現在検討しているということは事実でございますので、これは文化庁と協議をしているところでございます。今回、報告でこうした委員の話、また文化庁との協議を経た上で、現在の開削工法については見直しますというお話をさせていただいております。その見直しを今まさに協議しているところですので、その後の形というのは、我々としては、文化財専門委員との協議を経た上、そして文化庁との協議を経た上で、今後考えていくということになりますので、こうしたさまざまな委員、また文化庁との協議ということを尊重して進めていくということになります。
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○赤松 議員 議会は多数で、開削工事の予算は決まっているんです。だけど文化庁から、御承知のような指導があって文化財的価値があると。だけれども、これを議論するのは鎌倉市ですから、鎌倉市の専門委員会、そして外部からもお願いして、文化財的価値について改めてしっかりとした議論をして、検証してくださいということになったんです。そういうことになって、文化財専門委員会が開かれて一致した意見として、ここにあるような意見としてまとめられた。ところが、結果はそういうことになっているんだけれども、議会はあの関連質問で議員の質問が集中したように、市長は調査すると言っているんだけれども、開削工事に関連する工事を進めながら、その中で調査するみたいな話にも聞こえるし、何かそこにはっきりしないものがある。開削を念頭に置きながら、調査もやっているみたいなことはおやめなさいよと。開削につながる一切の行為はしませんと答えてくださいということもやりましたよね。そういうやりとりの中で、最終的に議会としては、状況が大きく変化している中で、文化財保護行政、安全確保と両立した方向を目指しなさいという立場で、議会は多数で決議を上げたんです。私は今ここで決議の中身に沿った発言をしていると思っております。したがって、議会の決議、それから文化庁との協議した方向性と文化財専門委員会で一致して得られた結論、これらを総合的にしっかりと受けとめて、それからはみ出るようなことは一切やらないということをお約束してくれれば、私の質問はこれできょうは終わります。
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○安良岡 教育長 文化財専門委員会の皆様には、尾根が一部でも残っていれば、文化財的価値があるというようなお答えをいただいておりますので、その部分というのは文化財部、鎌倉市としても大切にしていかなければいけない部分であると考えております。
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○久坂 議員 先ほど、お話がありましたように、あそこを通学路として使っている児童・生徒、お子さん連れで歩いている方や日常的に通行されている方の安全対策を考えてきた議員もいる中で、予算については議決を判断してきたということがある中で、今回こういうことになったんですけれども、一種の方針転換ということで、今回の議会全員協議会が終わってから、安全対策協議会への、また周りの地権者の御報告があると伺いましたが、冒頭に言いましたように、周辺の通学路として使っている方々、園児ですとか、学校とかがございますけれども、こういった地域の住民の方への説明というのは、しっかり理解していただかないと思っておりますし、早期に行わなければならない、かつ、先ほどの御説明ですと、安全対策を早くと望む声があった中で、やはり1月までには何とか仮設と、本当に延び延びになっているところで、本当に説明は丁寧にやっていただきたいと思うのですが、今伺った周辺住民の方への御説明とか、そういったことはどういうふうに御予定をされているのかを確認だけさせてください。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 まさに皆様に御迷惑をおかけしている中で、早く実現したいという気持ちで進めております。とにかく、きょうこの後、地元の協議会の皆様にお話をし、なおかつ、それが済んだ後には、関連の自治・町内会の皆様にも、いろいろな形で私どもの考え方をお知らせしていくということを考えております。
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○小林 副市長 現在、開削工事につきましては既に契約済みでございまして、その実施に向けて取り組んでまいりましたけれども、今回、市長からも御説明をいたしました方針を受けまして、現在契約している開削の工事というのは見直すということでございます。すなわち、やらないということでございます。その上で、直ちに開削にかわる工法をどういうふうにするのか。これは今までの長い伝統の中で、トンネル技術協会のレポートもございますし、いろいろな住民の方々、関係の方々、そして何よりも文化庁の御意見も踏まえて検討をしていかなければいけないということで、この検討は着々と進めなければいけないと思っておりますけれども、それとは別に切迫した通学路を初めとする地域の交通問題を一刻も早く解決するということで、この仮設の工法を取り急ぎ、取りつけてまいりたいと考えているということでございます。これについても、文化庁で具体的にこれから相談に乗っていただいて、早急にそれを進めたいということでございますので、右か左かという議論ではなくて、先ほどから市長も申し上げております、この問題の重さ、今までの経緯も踏まえて、新たな考え方で、市として取り組んでいくということで、御理解をいただければと思っております。
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○中澤 議長 千議員聞き取りのため、暫時休憩します。
(14時26分休憩 14時36分再開)
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○中澤 議長 再開いたします。
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○千 議員 (代読)私といたしましては、一貫して安全性を担保しつつ、現状維持をお願いいたしたいと思っております。いかがですか。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 安全性というのは、もちろん最優先課題であると考えております。そういう中で、現状維持という御意見も、もちろんございますので、どのような形でそれが実現できるかというのは、これから十分協議して決めてまいりたいと思っております。
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○松尾 市長 今後、文化財専門委員会の委員の意見、また文化庁との協議ということを尊重して、今後進めてまいりたいと考えます。
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○岡田 議員 資料1の文化庁の指導、助言というのは、文化庁の技術的な助言と捉えていいのですか、どういうふうに中身を捉えればいいんですか。
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○桝渕 文化財部長 先ほど来、都市整備部長も申し上げているとおり、仮設の工法、それから本工事に向けた工法といった技術的な面でも助言がいただけると理解しております。
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○岡田 議員 というのはわからないところがあって、この話を蒸し返すと嫌だという人もいるかもしれないけれども、わたりがあったときに総務省から指導、助言というか、技術的助言があったんです。それだけではだめだからホームページに書かれてしまった。こういうことがあったもので、そういうような意味というか、そういうような感じで捉えていいんですか、文化庁の指導、助言というのは。実際に対して、どういうふうに思いますか。
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○桝渕 文化財部長 技術的なものと先ほど申し上げました。例えば、今回、我々が提示している仮設のやり方、工法がふさわしいのかどうなのかというあたりを、これまで文化庁としては史跡整備であるとか、そういう事業の中で、さまざまな工法もいろいろなところで採用している状況というのを把握されていると思います。そういった工法を照らし合わせて、今回どうなのかとか、それから今後、本工事をやる際に文化財的価値と景観と安全をマッチさせるには、どういう工法がふさわしいかというようなアドバイスを得ると。指導、助言というよりもアドバイスと考えたほうがいいかと思います
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○岡田 議員 そうすると、指導、助言というのはアドバイスなので、それはそれとして重きは置くんだけれども、鎌倉市として独自に考えて加味してやっていくということは、あり得るということでよろしいわけですね。
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○桝渕 文化財部長 先ほどからお答えしているように、これは独自というよりも、とにかく相談しながら、協議をしながら進めていくというのが基本姿勢でございますので、独自に何か考えてということはしないということと考えております。
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○岡田 議員 お互いに相談しながら、こうだね、ああだねということでやられるのかなと思っています。そこら辺がわからなかったということと、もう一つは、ここで出されたのは、市としては仮設のライナープレートを入れたいのでということが主ではないかなと。8割、9割そうじゃないかなと思うんですけれども、その後、皆さんの話を聞くと、指定範囲の検討を行うとか、開削はしないとかするとは言えないとか、そんなことも出ていたので。もちろん私は開削反対派なんですけれども、言えるところは言える範囲で言ったほうがいいと思う。今はそちらに重点がいっているので、どうかなという感じもしないでもないんですけれども。ただ、仮設は1月くらいにできれば完成したいということなので、その間に時間がある意味あるわけで、その中でまたいろいろと検討するということなのか、どういうふうに捉えていいのか。ただ、基本姿勢としては、あそこは景観的に残すと。尾根といっても、空中に尾根があるわけじゃなくて、下に岩盤があって尾根があるわけで、下がなくなってしまってとか、あるいは指定範囲の検討を行うって、ぶった切ってしまって、残っているからそれだけでいいじゃないかとはならないと思います。そういうところから出てきたわけではないわけだから。
そうすると、全体としてどうするんだというところで、文化財専門委員が5点ぐらい、このように言われているわけで、ここら辺は文化庁とも含めて、どれぐらいの重き、ただ文化財専門委員が言ったというぐらいの気持ちなのか、ここら辺はきちんと踏まえてやっていくのか。どれくらいの重さでやっているのか、よくわからないです。工法に関する主な意見と今後の市の対応があるわけでしょう。ただ我々としては、工法に関する主な意見を踏まえて、市がやるのではないかと我々は捉えているんだけれども、それとこれとはまた別問題と考えなければいけないのかどうか、そこら辺を教えてもらいたい。
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○伊藤[昌] 都市整備部長 文化財専門委員からいただいた御意見でございますので、これとは全くかけ離れて、こんなことを無視してやるということは全くございません。これを尊重した上で考えてまいりますけれども、限られた尾根でございますので、その中でトンネルの安全性を確保していくということを極力検討してまいります。そういう中で、文化庁からいろいろな御指導をいただきながら、最終案を組み立てていきたいということでございますので、これをきょう決意したとか、決めたとかということではございません。
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○岡田 議員 鎌倉市は世界遺産登録すると言って、できなかったんですよね。私はその前にできないんじゃないかと言っていたのは置いておいても、できなかった。だけど、やるということでまだやっている。日本の文化遺産とはまた違うんだけれども、しかし、そういう文化的な香りの高いまちづくりをやっていこうと片一方で言っているわけだから、そういう気持ちというのは市民も入っているし、議員の頭の中にも入っていると思うんだよね。そこら辺を考えないようなまちづくりは、僕はやめてほしいと思う。そこら辺は申し上げないけれども、基本線は外さずにやってほしいなと。そういう意味で、きちんとやっていれば、鎌倉も一回失敗したけれども、2回目はまた頑張ろうとしているのか、そうかよとなるし、そうではなくて、ほかのところはめちゃくちゃになっていて、市民の皆様に頼みます、それはあり得ないと思うんです。そこら辺を重々、肝に銘じてやってもらいたいと思います。
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○赤松 議員 実は、きょういただいた資料で、結論という部分が2行簡潔に述べられているのと、工法に関する主な意見ということで、6点上げられているんです。これらはいずれも極めて学術的で、専門的な御発言ですので、一言一言に非常に重要な意味を持っているんです。そういうことで、前回ちょうど2年前の文化財専門委員会の会議録は、道路課が作成した会議録が、我々のところに目にとまりまして、いろいろ問題を起こしたんです、会議録の改ざんという問題も起こりました。そういうことがないように、文化財課が責任を持って作成した会議録を全議員に配っていただきたい。一言一言が大事な意味を持っていますので、傍聴しておりましたけれども、聞き逃したこともたくさんあります。もう一度、私自身も改めてそれを読み返して勉強もさせていただきたいと思いますので、ぜひその点はお願いしたいと思います。
それから理事者の皆さんも、文化財専門委員会は事務局が参加しておりますけれども、市長も副市長も全部話を聞いておられるわけではなくて、報告を受けているんだと思います。私はぜひ会議録を熟読していただいて、先生方の一言一言の発言をよくかみしめた上で考えていただきたいということもお願いしておきたいと思いますので、会議録の件については、よろしくお願いいたします。
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○中澤 議長 ほかに御質疑、御意見がないようでしたら、質疑及び意見を打ち切ります。
本件については報告を受けたことを確認してよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
確認させていただきました。
本日の議会全員協議会はこれをもって閉会いたします。
以上で本日は閉会した。
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