○議事日程
平成25年 5月27日議会全員協議会
議会全員協議会会議録
〇日時
平成25年5月27日(月) 10時00分開会 11時12分閉会(会議時間 1時間11分)
〇場所
議会全員協議会室
〇出席委員
中村議長、大石副議長、千、竹田、河村、長嶋、保坂、西岡、上畠、池田、日向、永田、渡辺、岡田、三宅、納所、渡邊、山田、前川、小野田、高橋、久坂、吉岡、赤松、中澤、松中の各議員
〇理事者側出席者
松尾市長、瀧澤副市長、大谷副市長、廣瀬総務部長、内藤総務部次長兼総務課担当課長、小嶋世界遺産登録推進担当担当部長、吉田世界遺産登録推進担当担当次長兼世界遺産登録推進担当担当課長、甘粕世界遺産登録推進担当担当次長兼世界遺産登録推進担当担当課長、茶木世界遺産登録推進担当担当課長
〇議会事務局出席者
三留局長、木村次長、成沢次長補佐兼議事調査担当担当係長、鈴木担当書記
〇本日審査した案件
1 報告事項
(1)「武家の古都・鎌倉」のイコモス勧告に係る対応について
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○中村 議長 ただいまから議会全員協議会を開催いたします。
本日の議会全員協議会は、市長から「武家の古都・鎌倉」のイコモス勧告に係る対応について、議会に報告する必要があるので開催してほしい旨依頼がありましたので、開催した次第であります。
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○中村 議長 報道機関の取材及び傍聴の申し出について、事務局から報告をお願いいたします。
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○三留 議会事務局長 本日の全員協議会に、朝日新聞社、毎日新聞社、神奈川新聞社、読売新聞社、共同通信社、JCN鎌倉、テレビ神奈川から、取材並びに写真撮影及びビデオ撮影の申し出がございます。また、1名の方から傍聴希望の申し込みがございました。本件の取り扱いにつきまして、御協議、御確認をお願いいたします。
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○中村 議長 ただいまの事務局からの報告について、許可することでよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
では、そのように確認いたします。
入室のため、一旦休憩いたします。
(10時01分休憩 10時02分再開)
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○中村 議長 再開をいたします。
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○中村 議長 それでは、「「武家の古都・鎌倉」のイコモス勧告に係る対応について」理事者から報告をお願いいたします。
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○松尾 市長 皆さん、おはようございます。本日は大変お忙しい中、お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
今回、皆さん御存じのとおり、先般、ICOMOSより不記載という大変残念な勧告が出されました。私は、この鎌倉の世界遺産登録に関しましては、先人から受け継いできた鎌倉の歴史・文化遺産を守り、後世に確実に伝えていくことは、大変重要であると考えておりまして、これらの資産とともに将来に向けて持続可能な鎌倉のまちづくりをしていくためには、大変重要な手段であると考えてまいりました。
しかしながら、今回の勧告結果を受けまして、勧告内容や過去の不記載案件を分析しました結果、このまま世界遺産委員会の審議に臨めば、ICOMOS勧告同様、不記載決議となるリスクは回避できず、鎌倉の世界遺産登録を実現する最善の道は、一旦推薦を取り下げて再挑戦を目指すことであると考えました。
さらに、これを機会に、よりよい鎌倉のまちづくりに向けても取り組んでまいりたいと考えております。その柱は次の三つであるというふうに考えます。一つ目は、埋蔵文化財の調査・研究など、歴史的遺産をしっかりと守るための取り組み。二つ目には、歴史的風土特別保存地区を初めといたしました鎌倉の貴重な緑や景観を守る取り組み。そして、三つ目に、渋滞対策など市民の暮らしを守る取り組みです。これらの実現のためには、国や県とこれから緊密な連携をとって、さらなる支援をお願いして実現をしていかなければならない案件だと思っています。
ICOMOS勧告を受けての私の考えは以上でありますけれども、勧告の内容など、詳細につきましては担当部長より説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
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○小嶋 世界遺産登録推進担当部長 報告事項「武家の古都・鎌倉」のイコモス勧告に係る対応について御報告をさせていただきます。お手元の資料、ICOMOS勧告の概要をごらんください。
最初に、4月30日に出されたICOMOS勧告についてでございますが、社寺等で証明される武家の精神的・文化的な側面は特徴的なものであると評価されているものの、それ以外の要素については、現在の構成資産では物的証拠が不十分であるので、不記載が相当という内容でございました。
以下、勧告の中から、不記載となった評価内容を中心に御説明を申し上げます。
まず、1として、価値の証明、完全性、真実性についてでございますが、顕著な普遍的な価値(OUV)の証明について、歴史的価値は評価するが、物的証拠が不足し、OUVに達しないという評価でございました。世界遺産登録基準の適用については、10ある登録基準のうち、日本は基準のiiiとivへの適合を主張していたところでございますが、まず、基準iiiの文化的伝統または文明の存在を示す証拠・証明となっているかどうかという点についてでございますが、武家政権、武家文化は歴史的に見て独特で重要なものであるが、物証で示せたのは寺院の精神的、文化的側面のみであり、都市計画や生活様式などといった他の都市的要素はほとんど物証がないと評価されました。
次に、基準iv、歴史上の重要な段階を物語る建築物、景観等の典型的な見本となっているかどうかという点につきましては、鎌倉の軍事的特徴は独創的だがOUVには達しない。社寺等の景観は重要だが、比較分析上、OUVが証明されないとされております。
次いで、完全性、価値の説明に必要な全ての要素がそろっているかどうかという点でございますが、寺院と切通しを除き、物証として不十分であり、都市化され視覚的一体性が弱いといった評価でございました。
また、真実性、資産が本物であるかどうかという点につきましては、満たされていると評価をされています。
最後に、比較分析、他の地域、他の国との比較という点については、鎌倉の独自性を評価するが顕著ではないという評価でございました。
こうした評価を踏まえ、2の結論といたしましては、武家により組織された文民及び軍人による幕府の体制が誕生したことが持つ大きな歴史的価値及び12世紀後半から14世紀初めまでの間に最初の幕府が成立していた鎌倉という地の役割は認めるとして、鎌倉の価値は認めたものの、今日資産構成をする要素を全て合わせても、物質的な証明としては不完全であり、武家の古都・鎌倉の精神的な面を示すにとどまっており、部分的に軍事的な面を示しているが、その他の側面については相当不明確か、全く示されていない。したがって、推薦資産の完全性は不適切であるとされ、さらに、最もよく表現されている軍事関連遺跡、宗教関連遺跡についても、比較分析は顕著な普遍的価値を証明できていないとされ、3、勧告としては、記載のとおり、武家の古都・鎌倉を世界遺産一覧表に記載しないように勧告するといったものでした。
次に、ICOMOS勧告を受けての今後の鎌倉市の方針を御説明させていただきます。
ICOMOS勧告は非常に残念な結果ではありましたが、一方で、勧告の内容は国際的な視点、世界遺産の基準という尺度で見たとき、鎌倉はどのようなものかということを表現したものであり、真摯に受けとめるべき点は多いと考えております。ICOMOS勧告において提起された課題をクリアしていくことで、鎌倉は今以上にすばらしい、世界に誇れる町になると確信をしております。また、文化庁の近藤長官は、新聞のインタビューにおいて、ICOMOSの勧告と日本側の主張との間には非常に大きなずれがあるので、それらを埋められなければ、戦略を立て直さなければいけないと述べられています。
これに加えまして、過去5年の間に不記載の勧告を受けた34件のうち、その約8割が取り下げをしていること、また、先週の24日金曜日に開催されました世界遺産登録推進協議会役員会においても、出席者全員から一旦取り下げるべきであるとの御意見をいただいているところでもあります。
これらのことから、鎌倉市としては、今後、世界遺産登録を目指し続けることとし、そのための最善の道を選択していくため、今回は一旦推薦書を取り下げ、よりよいまちづくりを目指し、検討を進めてまいりたいと考えております。
今後の検討に当たりましては、鎌倉の価値を的確に表現し、国際的な理解が得られやすいものにしていくことが重要でございますので、神奈川県、横浜市、逗子市との協力を緊密にし、行政と市民が一体となって取り組むとともに、国にも連携と支援を働きかけていこうと考えております。
以上のとおり、推薦書を取り下げるとする鎌倉市の方針を、本日の午後開催予定の4県市の首長会議において表明し、理解を求めるとともに、4県市の統一された方針として国に伝えていきたいと考えております。
以上で、「「武家の古都・鎌倉」のイコモス勧告に係る対応について」の報告を終わらせていただきます。
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○中村 議長 それでは、ただいまの報告につきまして、御質疑、御意見がありましたらお伺いいたします。
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○中澤 議員 まず、1点目なんですけど、市長は県会議員時代に世界遺産登録は反対だということを明言されておりましたけれども、今の、先人からの資産を後世に伝えていくことは重要であると考えると。そもそもの、市長になって世界遺産登録がああいうふうに進んだことに対して、市長の真剣味がないという評価があるんですけれども、この世界遺産登録について、市長は県会議員時代の反対という意見と、市長になってからの推進ということに考え方が変わったこと、これについての考えをお聞かせいただけますか。
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○松尾 市長 県議会議員のときに反対ということでは、私は本会議で質問させていただいたことがあります。そのときには、この鎌倉の世界遺産登録をどのような目的、意義で進めていくかということを確認して、そして、鎌倉に住んでいる市民の方々からさまざまな不安の声もあるということを受けた中でのことを説明させていただいたことはあります。決して、県議会での本会議の議事録を見ていただければわかりますけれども、反対ということを申し上げていたわけではなくて、むしろこの登録をしっかりと進めていく中で、どのようなことが課題になっているかということの話をさせていただきました。
そういう意味において、市長選挙に臨むに当たっても、私は積極的に推進をする立場ではないということをお話しさせていただきました。その考えというのは、その県議会議員のときにお話をさせていただいたとおりのことでございまして、今の鎌倉の現状を見たときにさまざまな、観光客に対するストレス、交通渋滞などが解決できない中で、登録だけを求めていっていいのかということでお話をさせていただきました。
しかしながら、決して登録を取り下げるですとか、反対だということをもちろん申し上げてこなかったのは、これまでの鎌倉の世界遺産登録に取り組んできた方々の御努力や、そうした方向性と本来の意義ということについては、私自身も決して反対をするものではないということでありまして、登録自体を目的とするのではなくて、しっかりとこの鎌倉のまちづくりをよりよいものしていくための手段として、取り組みをしっかりと進めていこうということで、これまでもお話をさせてまいりました。
私自身としては、しっかりとこの世界遺産登録に向けて取り組みをしてまいったと考えています。
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○中澤 議員 世界遺産に反対じゃないという、今、御発言がありましたが、本会議ではどうのこうのとありましたけれども、1人2人じゃないです、自民党の県会議員の複数の方、がいる場で、はっきりと市長は、私は世界遺産なんて反対ですと明言されているんですよ。またうそをつくんですか。同じ自民党の県会議員ですよ。明言されているんですよ。その人が世界遺産をどうのこうの、まちづくりをしていかなければならないのは、市長の立場じゃないですか。市長選に出て、まちづくりをしっかりとやっていく、こういう形でやっていく、世界遺産登録になったらこういうふうにまちをつくっていく。本気度がないからこういう結果になったんじゃないですか。
もう一つ。レセプションがありました。そのときにICOMOSの調査員の方、お一人でぽつんといらっしゃった。誰もフォローしない。そのとき市長は何をやっていたか。テーブルに座っていた。これ、出席された方が明言されています。ICOMOSの調査員の方が来られて、その方をお迎えしてレセプションをやっているのに、その方が1人でぽつんと喫煙所にいらっしゃって、誰も行こうともしない。これで、どうやって本気度が見られると思いますか。
市長御自身が県会議員時代に世界遺産登録なんて反対だという、その姿勢がそのままあらわれているから、レセプションにせっかく来られて、これで鎌倉の世界遺産登録を目指して、それをもとにしてこのまちづくりをやっていこうという中で、和服を着ているだけで。調査に来られた方が判断していくわけじゃないですか。その方がぽつんといらっしゃって、これ、何でフォローも誰もやらないんですか。これ、事実かどうかは確認してください。
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○松尾 市長 ICOMOSの調査員の方がいらっしゃったレセプションの場で、全体で、私、2時間程度だったかと思いますけれども、その間に本当に一部分だけを切り取れば、ひょっとするとそういう時間があったのかもしれません。しかしながら、我々としては調査員の方を最大限おもてなしさせていただきまして、当然調査員の方がお一人になるというような状況というのは、ひょっとするとそのたばこをお吸いなったときにだけあったのかもしれませんけれども、私がその会場に入った中では、次々に皆さんと歓談をされて、当然私も各市長さんを御紹介し、お話をさせていただきましたので、何か調査員の方に失礼があったようなことというのは決してないと、これは自信を持ってお答えできます。
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○中澤 議員 またうそをついているんですけど、一部分だけ切り取っているわけでの話じゃないです。1分、2分の話ではないですよ。見るに見かねてその喫煙所に行かれた方がいらっしゃるんです。おもてなしというのはトイレにまでくっついて行けとは言わないですよ。一部分だけ切り取った話をしているわけじゃないです。大阪の市長と違いますよ。1分、2分の話をしているわけじゃないです。一部分だけだったら1分、2分でしょう。そうじゃないですよ。ぽつんといらっしゃって、誰も行かないから、見るに見かねて行って、そこでいろいろ懇談をして、一緒にたばこを吸いながら話をされて、その方いわく、何で誰も来ないんだと思われたそうです。本気度が全く感じられない中でこういう結果になるのは当たり前の話で、それをあたかも、重要です、重要ですと。いつもそうじゃないですか。言葉で、重要です、重要だと捉えていますと。捉えているだけじゃないですか。
もう一つ。今後、県や国の支援を求めていくと言いますけれども、何を求めるんですか。
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○大谷 副市長 レセプションのときの話でございますが、調査員の方がたばこを吸われるというのがわかりましたので、レセプションの会場でたばこを吸えるようにいたしました。それも一通り、知事以下、市長が御挨拶をなさった後の場面でそういたしましたので、私にはそういった、ぽつんと1人で外でたばこを吸われたシチュエーションというのがレセプションの時間内にあったとは思えないんですが。私から補足させていただきます。(「質問に答えろよ」との声あり)
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○中村 議長 今の質問はとりあえずそこは置いておいて、県と国に対しての扱い、まず、その質問についてお答えください。
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○松尾 市長 国や県に対しましては、これまでもさまざまな形で要望してきたことも継続も含めてですけれども、鎌倉の緑地、鎌倉の緑をしっかりと守っていくために、古都保存法の4条区域から6条地区への格上げや史跡の周辺の歩道の整備、もしくは電線の地中化等々のまちづくりに対して、国や県への御協力ということを引き続き継続させていただくことと、また、より今後力を入れて取り組んでいただくことも含めて、これから国や県へ要望をさせていただきたいと思っています。
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○中澤 議員 聞いてもいないことをしゃべる副市長がいるので、質問に対して答えていただきたいんですけど。国や県にさまざまなことを求めていかなければならないのは当たり前のこと。市の単費でできないんだから。お金がないわけですから。
市長は市議選においてはっきりと、またこれは一般質問でやりますけれども、わけのわからない教育長人事で、自民党が何を言おうが私は戦っていくと明言したわけです。今の政権は自民党なわけです。国や県に支援を求めていくと言って、私はみんなの党だと言って、市長が明言しちゃって。いいですか。きのうの千葉の市長選だって、民主党系の市長でしたけれども、市民党と言って政党色を消しているんですよ。だけど、市長はみんなの党とやっているわけですよ。みんなの党だと言って、政権野党がどうやって、国や県から金を持ってくるんですか、きれいごとばっかりですよ、電線地中化、そりゃそうですよ。緑を守っていかなきゃならないですよ。6条格上げだってそうですよ。みんな絡んでくるわけじゃないですか。そんなことを今ここで言ったって、現実問題、できないじゃないですか。
市長は大谷副市長が来たときに何と言いましたか。これから国と強いパイプができますというように明言したんですよ。何の役にも立たないじゃないですか。ましてや民主党政権のときに来たんだから。もう関係ないんだから。今、自民党政権に戻っちゃったんだから。国や県に求めていくというのはわかります。それはそのとおりです。具体的にどうやるんですか。副知事のところへ行くんですか。副知事のところへ行ったって、県議会があるわけです。知事が何をやろうとしたって、副知事が何をやろうとしたって、議会を通さなきゃだめなのは当たり前じゃないですか。県会議員だったんだからそれぐらいわかると思いますけども。だったら、国や県から、具体的に今後どのような手段で、手法で、支援のためのお金を持ってくるのか、具体的にお答えいただけますか。
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○松尾 市長 県や国に対して予算に要望をするという仕組みがございます。そうしたことを通じて、行政としては国や県に働きかけをしていくということになります。
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○中澤 議員 夏になりますと、うちの県会も政調会で各市町村のヒアリングをやって、予算にどのように反映させていくか、どのようなお手伝いができるかということをやり、その場に私もずっと出席しておりますけれども、一般質問でやりますからいいですけど、市政の本気度というのが、いつも言葉ばっかりで、国や県に要望するシステムがあります、あったって、それ使えない状態じゃないですか。使えると思いますか。政権野党の市長に対して、政権与党が何でやらなきゃならないんだという話になっていくわけですよ。
具体的に、今後のまちづくりにおいてどのようにこの鎌倉をつくっていくのかというものがなければ、この世界遺産登録だって、取り下げました、じゃあ、これから先どうするんですかといったって、また同じことじゃないですか。だから、この鎌倉のまちづくりを財政面でもどうするのか。今後でしょう。だけれども、今までだって市長になってから3年、もうすぐ任期いっぱいになるわけですよ。取り組んできたことだってあるわけじゃないですか。取り下げて、今後どうやっていくのかという具体策も見えないで、ただ、重要です、重要です。レセプションのときにはたばこを吸っていた時間を切り取った、切り取っていない。そんな話だけ。
具体的に、まちづくりをどうするのか。そういうことも含めて発表されない限りは、ただ単に、はい、取り下げます、これからのことは今後考えていきます。今後といったって、もう市長選ですよ。それを考えたら、余り僕だけで時間をとってもあれなので、最後に1点だけお伺いしますけれども、今までのことはいいです。取り下げた今後の鎌倉市のまちづくりを、このICOMOS勧告の仮訳をよく読んだんでしょう、恐らく。受けて、今後この鎌倉を任期まで、まだ10月ですけれども、そこから先はどうなるかわからないですけど、どのような鎌倉を今後つくっていくということに基づいて、取り下げという言葉を明言されたのか、そこをお答えいただけますか。
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○松尾 市長 今回の結果を受けまして、私としては、これまでの鎌倉のまちづくりで自分自身が訴えてきたことというのを、何か方向性を変えるということというわけではなくて、やはりより力を入れてやっていかなければならないと気持ちを強くしているところがございます。
一つは、鎌倉の神社、お寺を取り巻く緑やそして景観という、先人の方々に築いていただいたものをより仕組みとしてしっかりと次の世代へ守っていく、ということを強化していかなければならないということもございますし、また、鎌倉に住む私たちが、世界遺産登録ということの本来の目的ではないですけれども、観光客の方がその結果としてふえてしまったときの対応ということを、しっかりとそのストレスが生じないような町にしていくということも必要だと思っています。
その一つが、先ほど申し上げさせていただいた、交通渋滞の課題なども優先的に取り組んでいかなければならないものだと思っています。訪れる方も、そして住む方も、この鎌倉に住んでよかったと、訪れてよかったと、そういう町にしていくために、より一層これまでの取り組みにさらに力を入れて進めてまいりたいと考えています。
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○松中 議員 まず一つ、顕著な普遍的な価値、OUVというのが、これはどういう英語のスペルなんですか。何カ所か出てくるので。日本語では普遍的価値というふうになっていますけども。OUVの証明と。
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○小嶋 世界遺産登録推進担当部長 OUVでございますが、Outstanding Universal Value、それを略してOUVと申し上げております。
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○松中 議員 Outstanding Universal Value、そうですか。それは一つの証明の基準になっているわけなんですか。
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○小嶋 世界遺産登録推進担当部長 イコモスの登録基準で10の基準がございまして、そのうち鎌倉市、日本国としては二つの登録基準を普遍的価値として証明していただきたいということで推薦をしてございます。
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○松中 議員 わかりました。そういう幾つかの基準の中の二つということで。
先ほどから話を聞いていると、市長はまちづくりと言っているんですけど、まちづくりはまちづくりで当然やっていくことなんですけど、今ここの全員協議会は世界遺産に対してどうするかということを考えなきゃいけないわけで、どうして却下されたか、不記載になったかと。この不記載と、それから不登録というんですか、これ、同じ意味なんですか。どういう意味なんですか。
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○小嶋 世界遺産登録推進担当部長 意味は同じでございます。
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○松中 議員 では、不記載と言ってもいいし、不登録と言ってもいいということで、何か聞こえが、記載されないということは全く相手にされないというような印象を受けるんですけれども。
それから、この世界遺産はもう22年ぐらいになりますかね。私もいろんなところを視察したり議論もしていきましたけれども、この武家の古都の前に城塞都市というコンセプトがあったわけですけれども、これは、城塞都市から武家の古都・鎌倉に変わる以前に東大教授の五味さんなんかといろいろ議論した中で、私は、竹内市長時代ですけれども、仏都鎌倉で提案したことがあるんですけども、そのとき竹内市長からそういう考えはないと。しかし、五味先生から聞いたら仏都鎌倉でもよかったと。実際に平泉も浄土の里とか、そういう形だし、今度の開城ですか、北朝鮮のほうでも、仏教から儒教に政権の柱が変わっていく、精神的な柱が変わっていくと。
そういう意味で、鎌倉は現実問題として、世界遺産に持っていく上で残されたものというのは神社仏閣が多いだろうと思うし、実際問題として、八幡宮そのものが150年前まで八幡宮寺という神仏混交のお寺であったということから、私はそういう提案をして、現実問題として、武家の古都の構成資産では物的証拠が不十分であるとされているんですけども、暫定登録された当時、滋賀県に行って、やはりいろいろ話をしたんですけども。
この武家の古都ということなんですけども、実際には、英文では、Kamakura, Home of the Samuraiになっているんですね。侍の象徴というのはどうしても城なので、姫路城がいち早く登録されたと。その後ずっと鎌倉もされなかったわけでありますけれども、この侍という我々の印象、この議論も十数年前、私はやっていまして、侍という考え方は非常に鎌倉ではなじみにくいと。やはり武家とか武士とか、あるいはそういった意味から考えた場合には、朝廷から離れた形の政権という中で私は議論したことがあるんですけども、Home of the Samuraiのその侍という考え方は、市長自身はどう考えていますか。
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○松尾 市長 鎌倉の持つ資産を証明していく、説明していく中で、武士ということをコンセプトにしていくという考え方については、私は、例えば新渡戸稲造さんが武士道の発祥の地は鎌倉にあるのではないかと御説明をされていることですとか、また、実際に武士が禅によって修練を積んでいるという、その禅の発祥が建長寺であるというところなどから考えましても、この侍という、確かに目に見えるものではないですけれども、そういう精神性をコンセプトにするということについては、私自身は鎌倉を表現するのにはふさわしいものではないかと捉えておりました。
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○松中 議員 その侍という考え方、彦根城というところが同期に仮登録されて、やはり侍という議論をしたわけですけども、やはりその象徴としては姫路城と。徳川になっても江戸城、皇居が世界遺産になるわけがなくて、東照宮のあの一帯がなっていると。そういう意味で、どうも侍ということで象徴的なことを考えると、その捉え方のコンセプトの問題もあるわけですけども。
実際、ここでも書いてありますけども、市長に聞きたいんですけど、武家の古都のコンセプトの中で、構成資産として物的証拠が不十分とされたと。これは登録に向かってきょう議論しているわけでございますから、つまりどういうことかというと、鎌倉というところは既に世界の遺産という意味では、私は十分考えているわけで、その辺の理解というのはいろんな形でされるでしょうけども、実際に世界遺産という評価を受けるには物的証拠がないと。
ですから、そうなると、まちづくりがどうのこうのの以前として、世界遺産というものを求めるならば、武家の古都の物的証拠を、もう既に鎌倉というところは世界の遺産なんだけれども、実際に物的証拠として明らかにするには、今、幕府跡とかそんなようなところに、私立、公立かかわらず学校も建っているわけですけども、物的証拠を明らかにするためには、そこから移転してもらうというような考え方をきちんと決めないと、何をもって物的証拠としようとするのか、あるいは取り下げることによってどういう取り組み方をするのか。
しかし、鎌倉は既に古都鎌倉という位置づけをされている中で、物的証拠をどのように明らかにしていくか、それはどう考えますか。だから、例えば大倉幕府のところにマンションが建ったら工事をやめてもらって、そういうところ一帯を特区として扱って残していく、そのぐらいの姿勢がなかったら物的証拠は残らないと思うんですよ。現実、重要なところには既に建造物が建っているわけですから。
それから、建てようとしたとき、市長自身が体を張ってそこを残そうともしていないわけですよね。ですけども、もっともっと重要なところが現実問題としてあるわけですね。世界遺産というのは国家的事業ならば、国立の附属小学校のあの一帯というものから始めていってもいいわけでありますけれども、そういう市長自身だけの問題ではなくして鎌倉市の市民の問題でもあるわけですけれども、そういう姿勢をきちんと明確にしない限り、私は世界の遺産である鎌倉が世界遺産になるとは考えないんですけども、その辺の見解はどのようなお考えになっているか。
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○松尾 市長 今御指摘いただいた大倉幕府の跡につきましては、やはりまだまだ調査が不十分であると思いますし、そういう意味で、今後ここは国ともしっかりと協議をしながら、今後どのような形で史跡を守っていくことができるかということを考えて、移転をするということは早急には申し上げられないにしても、そうした方向性を持ってきちんと取り組みをしていくことが重要であると考えています。
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○松中 議員 だから、その辺はきちんと市長自身が先頭に立たなければ、国あるいは県の方針に従うのではなくして、こうやって全員協議会で今回のことを諮っているわけですから、はっきりその辺のことは方向性として持ったほうがいい。
また、名越の切通、この切通しというのも重要視されていますけども、あそこにクリーンセンター、清掃工場を10年間にわたってこれから延命策として再利用しようとしておりますけども、あの煙突がある以上は、私は世界遺産なんていうものは無理だと考えているんですよ。そういうところから熱意というものが考えられるんじゃないかと思うんです。あれを10年間あのようにしているんだったら、なかなか世界遺産にはならないと思いますよ。鎌倉市の熱意というのはその程度なんだと。あるいは、鎌倉市のほうは市民生活を優先しているんだと。あるいは、マンションがたくさん法律的には建つということならば、そういう市場経済を優先しているんだと。そういうことを考えてしまうわけですよ。それは市長自身がその方向性を明確に姿勢として示さない限り、これは取り下げたところであっても、最後の戦いというのはそういうところに限定されてくる。はっきり言って。
神社仏閣の中で、それは精神的な拠点あるいは柱となった場所であるかもしれないけども、武家の古都・鎌倉の中心的な幕府跡とか、そういう物的証拠がないと、このように言われている以上は、やはり名越のクリーンセンターのあの煙突なんかは、あのような高さで建てるということ自体、それで見せること自体、僕は大変失礼だと思うんですよ、はっきり言って。
だから、私はもう二十数年前から、あそこの清掃工場、クリーンセンターは移すべきだと訴えてきているんですけども、市長自身があそこを10年間利用するというような方針にして、そういう進め方をしている以上は、私はそういうところからやはり姿勢を示さないといけないと考えておりますが、その辺はいかがですか。
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○松尾 市長 私自身としては、今、議員がおっしゃっているのはごもっともだと思います。しかしながら、市長という立場で鎌倉の町全体、市民全体を守らなければならないという立場において、名越の延命化ということは決断せざるを得なかったと思っています。そういう意味において、今後、将来的に鎌倉の町を世界遺産として目指していくに当たって、そうしたさまざまな都市化の悪影響ということをどのように排除していくか、そこには当然利害関係もありますけれども、そういうことを、すぐにはいかないにしてもきちんと方向性を持って正していく必要があると思っています。
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○松中 議員 それはおかしいんです、はっきり言って。はっきり姿勢を示さないとできないんですよ。だって、古都法に基づく歴史的風土を守ったときの姿勢というのは法律になかったんです。法律にない形の中で守ってきたんです。これは、要するに市民の人が先頭に立ち、また市長もそれに動かされて歴史的風土の景観というのは守られているんです。ですから、我々の市民生活の中で何を優先するか、それで、最低残すべきものはどういうものであるか。世界の遺産として残すのか。世界遺産の登録をしようとするならば、相当体を張った取り組みをしないと私はできないと。
だから、これを取り下げても、その辺の議論というのは相当いろんな議論がされると思います。今ここでこれ以上話してもしようがないんですけども、それだけは申し上げておきます。
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○納所 議員 今回、推薦を取り下げるというこの意味なんですけれども、一旦取り下げた後、さらに新たに世界遺産登録を目指していくと受けとめたわけですけれども、今後、例えばそれは市として目指していくのか、4県市として目指していくのか、また、国を挙げて目指していくのかというその捉え方、これから議論されると思いますけれども、市の考え方はどのようなところにありますでしょうか。
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○松尾 市長 今の枠組みという意味では、今進めている国それから4県市という枠組みの中で再挑戦ということを目指してまいりたいと考えています。
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○納所 議員 具体的には、構成資産もまた抜本的に考えてくるとなると、その枠組みというのも変化は今後考えられると思いますけれども、ただ、これまでの経緯というのは、国の暫定リストに載ってから市の体制づくりが始まったと伺っております。市としての積極性というものが、なかなか当初から打ち出せなかったということも今回の背景の発端にはあるかと思うんですけれども、市として積極性はこれから打ち出して取り組んでいこうとするのか、現在の考えを伺いたいと思います。
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○松尾 市長 まず、今回の勧告というのは大変厳しい内容だと受けとめています。そういう意味においては、今後、慎重かつ十分な検討が必要だと捉えておりますけれども、そうしたことを含めて、やはり積極的に市としても主体性を持って取り組んでいくということをもって取り組みを進めてまいりたいと思っています。
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○納所 議員 今回、資産の普遍的価値の完全性、この条件が満たされていないという、もしくは不完全であったという指摘があったと思いますけれども、今後、世界遺産登録は新たな方向で目指していくという場合に、この構成資産の普遍的価値の完全性を満たすというのは、これはかなり大きなハードルにならないかという懸念がございます。
例えば、交通の問題、それから建築の問題、さらにはその生活。いわゆる都市化のリスクと観光地としてのリスク。観光客が多くて構成資産が維持できないんじゃないかというような指摘もかなり厳しいと思うんです。さらには災害のリスクというものがございます。こういったものをクリアしていかないと、新たな世界遺産登録というのはかなり難しいハードル、課題が目の前に立ちはだかっているのではないか。
ですから、例えば今、新たに目指すという意思を持ったとしても、これはかなり長い道のりを考えなければいけないのではないかと思いますけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。
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○小嶋 世界遺産登録推進担当部長 都市化の部分も含めまして、生きている資産ということで、そういう部分の影響というのは否めないのかなと思っています。今おっしゃられた課題であるとか、鎌倉の持つ価値であるとか魅力であるとか物的証拠、そういう部分をもう一度原点に立ち返って見直す必要があるのかなとは思っています。
期間の部分については、できるだけそういうような視点から、コンセプトの再検討も含めまして検討した段階で、早期な再登録に向かって取り組みを進めてまいりたいと考えています。
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○納所 議員 今回、世界遺産登録に当たってのコンセプトが途中から武家の古都・鎌倉というものに変わったわけですけれど、当初、暫定リストのときには古都鎌倉の社寺であるとかいうような捉え方、いわゆる京都、奈良と同じような捉え方でスタートしていたのが、特徴づけようとして武家の古都・鎌倉ということになったと思うんですが、このコンセプトの捉え方に根本的にミスはなかったんだろうかと。新たなコンセプトをこれから考えていくと思いますけれども、この武家の古都・鎌倉というコンセプトに関して何か課題、もしくは瑕疵があったのではないかと思うんですけれども、この点はどのように捉えていますでしょうか。
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○小嶋 世界遺産登録推進担当部長 今回の勧告の中身におきましても、社寺等で証明される武家の精神的あるいは文化的な側面は特徴的であるということで、一定の評価というのをいただいてございます。その一方で、納所議員がおっしゃるように物的証拠が不足しているという見解もいただいているわけでありまして、今申し上げました武家の古都・鎌倉についての精神的、文化的側面については一定の評価を受けてございますので、このコンセプトは間違いではなかったんだろうと受けとめています。
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○納所 議員 そうすると今後それに加えた新たな、いわゆる世界遺産登録にふさわしいコンセプトというのを考え直していかなければいけないと思うんですね。武家の古都というのは確かにそうだろうと思うんですけれども、それが普遍的価値を証明できないものであるとするならば、これからのコンセプトのあり方というのは相当方向を変えていかなければいけないと思いますし、さらにはそれを証明するには、まちづくりであるとか、そのバッファーゾーン、今までも景観に配慮した建物、ビル等の建て方というのをお願いしてきたわけですけど、さらにこれをバッファーゾーンとしては強化していかなければいけないような課題も出てくると思います。
そういった意味で今後整理して新たに目指すには、かなり長いスパン、展望を持っていかなければいけないと思います。市が持つべきものは、世界遺産登録をさらに目指すというならば、どれぐらいのスパンでどれぐらいの方向でというのは示していかなければいけないと思いますけれども、現在の考え方を現状において伺いたいと思います。
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○小嶋 世界遺産登録推進担当部長 今回は取り下げるかこのまま進めるかという、こういう決断の場でございます。今おっしゃられたような部分、どうやって課題を解決していくのか、どうやってコンセプトを練り直していくのか、それをいつごろにするのかというのは、まさしく今後4県市あるいは文化庁を含めて、今回の勧告の内容というのも少し詳しく分析した中で、今申し上げたような取り組みを進めてまいりたいと思います。
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○岡田 議員 納所議員と少し重複するかなというのもちょっと今お聞きしながら感じたんですけども。ICOMOS勧告の課題のクリアというのが一つ、目の前に残っているのと、それと戦略の建て直しという言葉も言われているんですよね。二つ言われているので、その中でのまちづくりと多分なっていくのかなとは思うんですが、ここら辺、今後考えていくというようなことでいいんですかね。今、部長さんがおっしゃいましたけども、取り下げということで、そのことを今御説明しているということ。
今後、取り下げは取り下げで、これはいいか悪いかありますけども、是非はあるでしょうけれども、ICOMOS勧告の課題をクリアするために今後全力を挙げるのか。もっとそれも含めて戦略を立て直すということで考えていくのか。今直ちに答えが出るか出ないかちょっとわからないんですけども、そんなところは大体おぼろげにどんなふうに考えられているんでしょう。
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○小嶋 世界遺産登録推進担当部長 ただいま申し上げましたように、確実な登録を期するためには慎重かつ十分な検討というのが必要だと思っています。ここでどっちの方法を選択するというよりは、今申し上げましたように、4県市であるとか文化庁あるいは専門家の御意見を賜りながら、その辺の取り扱いというのを決めてまいりたいと考えています。
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○岡田 議員 4県市、専門家と、それはそれでいいんですけども、今回出ているのは、市民の方の意見もかなり、その後に新聞報道等々を見ますと出てきていまして、もう一度そこから洗い直すというか、市民も含めてやっていくんだったらやっていく、やっていかないんだったらやっていかないと。どうなるかわからないんですけども。
ただ、私が今聞いているのはそうじゃなくて、課題をクリアするために今後やっていくのか。それも含めて戦略を立て直していくのか。そうすると、かなりの時間がかかるし、ある課題が出た場合には、例えば、先ほど申されたんですけども、コンセプトは誤りでなかったというように言われたわけですけど、今後そういったコンセプトでやっていくのかどうか。そうなると物的なもの等々もありますし、私ではちょっとわからないんですけど、30年、50年かかるのかなという感じもしないではないし。
また、委員さんの中には、コンセプトの問題があったんじゃないのかなというようなことも言われているわけで、そういったことを含めて考え直すよりは、戦略の建て直しということも生きていくのかな。そこら辺がちょっとわからない。両方言われているので、私、ちょっとわからないので、どういうところ、今そこは言えないのだったら言えなくてもいいですし、こういう感じで私たちは考えているというんだったら、答えてもらえればありがたいんですけど。
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○松尾 市長 そうした御指摘では、再度新たなコンセプトを構築していくところから始めなければならないだろうと思っています。鎌倉の持つ価値ですとか魅力、物的証拠などをもう一度確認し直すところから進めていく必要があると考えています。
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○山田 議員 ちょっと二、三お聞きいたします。今、岡田議員からもお話がございました。この世界遺産の登録を目指して今まで取り組んできた、あとは保全管理計画等も今つくって、さらにはまちづくりということもこれからはずっとやっていくと、それに基づいて。という段階で、たまたま世界遺産という不記載、ICOMOSの勧告がたまたま出たと。それは、世界遺産になろうがなるまいがやることは一緒ですよという意味合いで、たまたま今回の事象を捉えればいいのか。それとも、戦略を変えるとなれば、世界遺産をまちづくりに対して少し方向の違う施策が打たれ始めるんじゃないかなという、一方では、危惧とまでは言いませんが、そういった捉え方をされることもあるんじゃないかなと。
ですから、今までどおりに、今までできてきた計画をそのまま進めていきますよと。その中で、まちづくりが間違っていなければ、その中である種の価値を、コンセプトを変え、戦略を変え、という道筋をたどっていくんだろうかというふうな思いも私は持っているんですが、ここでもって不記載、取り下げというところで、コンセプトを今練り直して、それからリスタートするのか。それとも、今までどおりの路線の上の中で、行く行くはそういうコンセプトに行き着いたときには、そこで改めて世界遺産の登録を考えるのか。そのあたりは、今やるのか、これから先の中で考え、やっていくのかということについては、ちょっと十分説明を受けていないようにも思うし、私の理解が足りないのかもしれませんが、このあたりはどういうふうにお考えなんでしょうか。
たまたま今、不記載だという勧告を受けただけじゃないかと。やることはもう決まっていたでしょという中で、世界遺産の不記載という事象を捉えるべきではないかと私は思ってはいるんですけれども、このあたりは今からコンセプトを変えて新たな取り組みを始めるという、そういう考え方に今いるんですか。それとも、今までの延長の中で、将来的にコンセプトを変えるとお考えなんですか。その辺は余りこだわってはいないんですか。
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○松尾 市長 考え方としては、大きな方向性として、鎌倉の歴史遺産をしっかりと守り、後世に伝えていくということに変更はないと思っています。ただ、コンセプトが変わったことによって何もかもが変わらないのかというと、細部の部分についてはあるとは思いますけれども、ただ、そのコンセプトに引きずられて何かをやるというのは本末転倒であって、しっかりと鎌倉の歴史遺産、そして町を守っていく取り組みをより拡充、進めていく中で、そうしたコンセプトということも今後さらに見えてくる部分があるのではないかと考えています。
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○山田 議員 そこは理解いたしました。
それで、ちょっと事務的な話を2点目に、これを最後に確認しますが、きょうの午後に首長会議をやると。それから国へ報告するというようなことを、先ほど聞き間違いでなければそう思ったんですが、今回の全員協議会の位置づけ、これは鎌倉市としてこういうふうにやりますよということを鎌倉市として決断して、それを我々に今報告をいただいた。これから4県市協議がまずあって、それから18時30分でしたでしょうか、国を含めての記者会見があるという、そういう段取りでやる。まずは午後にこの取り下げにするのかどうするのかという協議を4県市でまずやって、それから国へ報告という。それからプレスに発表という、そういう段取りと思っておけばいいんですか。
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○小嶋 世界遺産登録推進担当部長 山田議員がおっしゃるとおりでございます。
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○渡邊 議員 先ほど以来、市長の回答の中で、侍という言葉の普遍的な意味というのは新渡戸稲造の武士道とかという話があったんですが、その武士道という鎌倉のマインドが今回の一つの売りになったということでありますけども、この侍のマインドをどうやって、今の今まで誰が引き継いでいるのか、お伺いしたいと思います。
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○松尾 市長 誰がということであれば、そうした意思を持って引き継いでこられた方々と思いますけれども、そうした精神は武士道に始まるさまざまな、現代でも残っている武道もしくは茶道ですとか華道ですとか、禅も含めて、そうした中にしっかりと引き継いでいるものだと捉えています。
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○渡邊 議員 ちょっと違う回答だと思ったんですが、鎌倉が特に世界遺産で侍のマインドを売り込もうというのであれば、ほかの都市と違うような、もっと一歩も二歩も先んじたようなアピールをしなくちゃいけないし、我々がそれは持っていなくちゃいけない。特に市長はそのマインドをもっともっと持っていなくちゃいけないと思うんですが、そういったものを市長は引き継いでいるんですかと聞いている。あるいは市長以外にも、ほかの例えば学校の教育で子供たちに教えているとか、そういう特殊性というのは鎌倉市にはないんじゃないですか、そういったマインドを売り込む割には。ですから、そのマインドというのはどんどん薄れちゃっているんです。と思うんです、私は。
ですから、今ちょっと話を元に戻して聞くと、誰が新渡戸稲造の侍のマインド、さっき例えばという話をされましたけども、それを今の今までに引き継いでいるんですかと聞いているんです。誰が引き継いでいるのかと聞いているんです。
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○松尾 市長 そこは繰り返しになりますけれども、その意思を引き継ごうと思っていただいている方々によって、さまざまな形でそれは引き継がれているものだと捉えています。
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○渡邊 議員 ですから、例えば誰なんですか。
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○松尾 市長 先ほど申し上げさせていただいたとおり、武士道の精神を、現代でも通ずる武道の中できちんと引き継いでいただいているということであれば、そうしたことをきちんと教えていただいている方だと思いますし、禅の教えの中にもそういう日本人のもともとの心に基づいた教えというのをたくさん今訪れる方々にも教えていただいています。そういう意味においては、そうした御住職の方々もその一役を担っているのではないかと思います。
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○渡邊 議員 今、禅とか武道とかというお話をされましたけれども、私は禅もやったことがないです。武道もやったことがない。たくさんいると思うんです。市長はおやりになったのかもしれないけれども、侍の心を売るのであれば、さっきも申し上げましたけども、特別ないろんなことをやらなくちゃいけないじゃないですか。教育でもそう。市長がみずからそういう侍のマインドを持って行政に当たらなくちゃいけないと思っているんですよ。でも、もともと市長はそういったことも理解していないし、実践されていない。だから、こういう今みたいな答えになっちゃうんですよ。そう思いませんか。御自身で侍のマインドを持っていらっしゃると思いますか、今、市長という立場で。私は少なくとも全くないと思っているんです。市長、いかがですか、答え。持っていらっしゃいますか、侍のマインド。机上の勉強だけじゃだめなんですよ。
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○松尾 市長 もし私にないという指摘であれば、それはそのように捉えられているのかなと思います。私自身としては、私が当時の武士の持っていた魂を100%体現できているとまでは言いませんけれども、そうしたことにさまざまな学びを得ながら、私自身は人生を歩んでいると考えています。
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○渡邊 議員 全てということじゃなくて、御自分で御自分を見てどうなんですかということなんですよ。全くそれじゃ自信がないんじゃないですか、今の答え。周りの目というのは、市長がこの侍という言葉を語るのであれば、みずからが侍になって、正々堂々とみんなの前で答えなくちゃいけないんじゃないですか。行政もそうですよ。鎌倉が侍と言うのであれば、行政の長からして武士にならなきゃいけないんじゃないですか。全くそれがあなたには見られないんだよ。だから、こういうもめごとが起こるんですよ。ほとんどの市民がそれに気がつき始めている、今。ちょっと私の愚痴になっちゃいましたけど、これで終わります。
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○保坂 議員 2点伺いたいと思います。
1点目は、これまで既に御意見とか質問の形で出てきたことを、ちょっと言葉を変えての質問になるんですけれども、評価基準ということで、今般の登録については、基準iiiと基準iv、基準iii文化的伝統または文明の存在を示す証拠、証明ということ、そして、基準iv歴史上の重要な段階を物語る建築物、景観等の典型的な見本という、この基準に適応するということで登録の推進を進められているということです。基準そのものは10くらいありますけれども、例えば人間の創造的才能をあらわす傑作であるとか、最上級の自然現象、類いまれな自然美、美的価値を示す地域を包含すると、そういった別の基準に該当するということでアピールしていくというのは難しい話でありまして、基準iii、基準ivというのが妥当で、進められてきていることなんだと思います。
ただ、冒頭、市長がおっしゃられた、これから再挑戦に向けての進め方という中で、3点おっしゃられたと思うんですけれども、埋蔵文化財とかそういったことの調査を進めて、歴史的、文化的な価値を高めていくということ。それから、その次の2点目は、まちづくりということですけれども、緑や景観を守っていくということ。そして3点目として、渋滞対策など、市民の暮らしを守っていくと。この3点をおっしゃられたと思うんですね。
この3点に留意して進めていく場合、今のその基準iii、基準ivというのと、どのように、これからも基準iii、基準ivというのを掲げて進められていくとして、それが冒頭でおっしゃられていたこの三つの点に留意しての進め方というのとどういうふうに合致していくのかなということを少し考えてしまいました。
この基準iii、基準iv以外のところで、完全性ということがICOMOS勧告の中で言われていて、その中で、都市化され視覚的一体性が弱いという指摘がありました。このあたりをクリアすることについては、おっしゃられた3点のうちの2点目、緑、景観を守るですとか、3点目、渋滞対策などで市民の暮らしを守るという方向性で進めていくことが、この都市化され視覚的一体性が弱いという指摘をクリアしていくところにはつながっていくとは思うんですけれども、基準iii、基準ivを今後クリアしていくためには、この1番の、最初に言った、歴史的、文化的な価値を高めていくという、そこのところに踏み込んでいかなければいけないわけですけれども、それについては先ほど別の方がおっしゃられていたように、本当に今ある既存の建物とかを移転させて発掘を進めてとか、そういった物すごく大きなハードルの高さがあるのではないかなと思います。
何を言いたいのかと申し上げますと、ちょっと先に進むんですけれども、これまでの16年間で、鎌倉市がこの登録推進の経費として、鎌倉市としての支出は約3億円と市のホームページとかでも書かれています。国や県からの補助も含めると4億8,700万円。その中で、非常に目につくものはユネスコへの推薦書作成等の経費、例えば国際専門家会議の開催や推薦書の作成といった、そういったものに1億5,800万円をかけていると。これは大変目立つ経費ではないかと思うんです。
この経費というのは、要するにICOMOS、ユネスコのルールに乗る、このお話というのは基本的に、文化庁の近藤長官も、ICOMOSの勧告と日本側の主張との間に隔たりがあって、それを埋めていかなければと発言されたという御紹介がありましたけれども、要するに、ユネスコなりの相手のルールのもとで進めていかなければいけないという難しさがあって、そのためにも、これまで16年間の間に1億5,800万円もの経費を使って、専門家の意見も聞いてやっていたと。けれども、今回、結果を出すことができなかったというそういう厳しさがあると思います。そのあたりの、ユネスコのルールにのっとって進めていかなければいけないという厳しさをどのように認識されているのかということを1点伺いたいと思います。
2点目は、これも既に出た質問ですけれども、今後どういう体制で進めていくのかという中で、県と3市、4県市でという体制の枠は維持されるという見通しだと伺いましたけれども、例えば今年度の予算を見ますと、この登録推進事業の関係で約2,400万円、プノンペンへの会議出席の費用とかも含めてということで、2,400万円が今年度予算に計上されていますけれども、その中で、もう4県市の推進委員会への負担金というのが920万円で、項目としては大変大きくなっています。そのあたり、今までの体制で進めていくとなると、負担金だけでも今後かなり長くなることを考えると大きなものになっていくと思われますけれども、その体制の見直しというのは、今は余り考えてはいらっしゃらないのでしょうか。その2点をお願いいたします。
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○松尾 市長 ユネスコという枠組みの厳しさというお話でしたけれども、世界遺産登録というものを目指していく中では、このユネスコの枠組みの中で取り組みを進めていくということになります。4県市、国というこの枠組みも、従前と変えずに取り組みを進めていくと考えています。
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○中村 議長 部長のほうから少し細かいところをお願いします。
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○小嶋 世界遺産登録推進担当部長 2点目の質問の負担金の関係でございますが、今回こういう結果になってしまいましたので、当然負担金のあり方についても今後精査していかなくてはいけないと考えております。
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○保坂 議員 ハードルの高さの認識というのを厳しく受けとめていただきたいということと、あと4県市の負担金ですけれども、4県市が均等に出しているのではなくて、当然鎌倉市がたくさん出していると伺っていますけれども、きちっとそのあたりの進め方も検討していただきたいなと思います。
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○三宅 議員 経費なんですけれども、この経費の中には人件費が含まれていないということなんですね。ことしにつきましても、この機構を見ますと、部長を初め、世界遺産に絡んで何人も職員がかかわっていらっしゃると思うんですが、今後、一旦取り下げて再挑戦ということになりますと、そういった人的な配置というところも今までと同じようになさるつもりなのか、これもやはり職員が少ない中で大きな問題だと思いますが、御見解をお聞かせください。
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○松尾 市長 今回、一旦取り下げをするという中においては、そうした見直しの中でこの職員の配置ということも当然見直しをしていくということになります。
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○三宅 議員 そういった見直しはすぐ始められるんでしょうか。ことし、もう既に手厚い人事をなさっていると思うんですけれども、いかがなんでしょう。
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○松尾 市長 ここで急に体制をということは今のところ考えておりません。その時期を見まして、その体制も含めて検討をして、実施をしてまいります。
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○中村 議長 ほかに御質疑、よろしいですか。
(「なし」の声あり)
質疑を打ち切ります。
本件については、報告を受けたことを確認してよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
それでは報告を受けたということで確認をさせていただきます。
本日の議会全員協議会はこれをもって閉会いたします。
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