平成25年総務常任委員会
5月22日
○議事日程  
平成25年 5月22日総務常任委員会

総務常任委員会会議録
〇日時
平成25年5月22日(水) 11時10分開会 11時55分閉会(会議時間 0時間30分)
〇場所
議会第2委員会室
〇出席委員
中澤委員長、岡田副委員長、竹田、河村、保坂、永田、山田の各委員及び中村議長
〇理事者側出席者
小嶋世界遺産登録推進担当担当部長、甘粕世界遺産登録推進担当担当次長兼世界遺産登録推進担当担当課長、吉田(浩)世界遺産登録推進担当担当次長兼世界遺産登録推進担当担当課長
〇議会事務局出席者
三留局長、木村次長、木田担当書記
〇本日審査した案件
1 正・副委員長の選任について
〇 世界遺産登録イコモス勧告と本日までの経過について
〇審査内容
 開会後、中村議長から招集の挨拶が行われた後、正・副委員長の選任についてを議題とし、互選の結果、中澤委員を委員長に選任し、副委員長には中澤委員長の推薦により岡田委員を選任した。次に、会議録署名委員に竹田委員を指名した後、中澤委員長から、世界遺産登録イコモス勧告と本日までの経過の報告を担当原局から聴取したい旨の発議があり、休憩を挟みながら協議した結果、「世界遺産登録イコモス勧告と本日までの経過について」を日程に追加することを確認し、原局から報告を聴取することとした。
             (11時22分休憩   11時30分再開)
 
○中澤 委員長  再開いたします。
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○中澤 委員長  追加日程「世界遺産登録のイコモス勧告と本日までの経過について」を議題といたします。原局から報告をお願いします。
 
○吉田[浩] 世界遺産登録推進担当次長  お手元に資料などがない中で、申しわけございません、簡潔に御説明したいと思います。
 ICOMOSの勧告でございますけれども、4月30日の深夜に情報が鎌倉市にございました。詳しい内容については、その4月30日に来たのは不記載という情報が参りました。それから日が変わりまして、5月1日のまた深夜でございますけれども、その段階でその内容についての資料が参りました。これは先般、その日の夜に議員の皆さん、あるいは報道機関に御提供した報道発表資料の内容、これを私どもも同様に手に入れたというところでございます。
 その内容でございますけれども、要点を申し上げると、私どもの武家の古都・鎌倉につきましては、社寺等で証明される武家の精神的、文化的な側面は特徴的なものであるという評価はされているものの、それ以外の要素については現在の構成資産では物的証拠が不十分であり、それゆえに不記載であるという勧告です。不記載と申しますのは、勧告には4段階ございますけれども、その一番下の勧告でございます。
 その内容が幾つかあるんですけれども、まず、いわゆる顕著な普遍的価値、OUVと略されていますが、顕著な普遍的価値につきましては、歴史的価値は評価するけれども物的証拠が不足しているから、それが証明し切れていない。
 実は、鎌倉は登録基準といたしまして二つの基準に合致すると。ユネスコの定めた基準が幾つかあるうちに、そのうちの二つについて鎌倉は合致しているんだということを推薦書で、日本として主張しておったわけでございます。
 それぞれについてですが、まず幾つかあるうちの基準のiiiというのがございまして、これは文化的伝統や文明の存在を示す証拠・証明であるということが基準でございます。これについては武家政権、武家文化というものは歴史的に見て独特で重要である。ちょっと繰り返しの部分が多くなってしまうのですが、しかし、物証で示せたのは寺院、社寺の精神的・文化的側面だけであると。ほかの都市的要素はほとんど物証がない。だから、この私どもの訴えた基準iii、文化的伝統または文明の存在を示す証拠・証明であるというその基準に当てはまらない。
 もう1点、基準のivというのがございまして、これは歴史上の重要な段階を物語る建築物、景観等の典型的な日本であるかどうか。こういう観点でございます。これにつきましては、鎌倉の軍事的特徴というのは独創的であるが、それだけではOUV、顕著な普遍的価値には達しない。それだけでは足りないということ。それから、社寺などの景観というのは大変重要なものであるが、ほかとの比較分析をしたところでは、特に顕著な普遍的な価値であるということが証明できていない。つまり一言で言ってしまうと、鎌倉には価値はありますねと、そういう説明はされています。ただ、それが実物としての証明ができていませんねと、こういうような御指摘であります。
 それで、もう一つ、不記載でございますから否定的なお話が主体なんですが、それ以外にも言われておりますことは、真実性という観点。資産が本物のものなのかどうか。まがいものではないのという。これについては評価いただきまして、満たされていると。提出してきた資産というのは、確かに真実のものであるということは認めていただきました。
 それから、あともう一つ、保存・管理の面について十分なものと言っていますけれども、保存・管理につきましては、例えば保護については、法的保護は適切であるとか、宗教法人が伝統的保護を担っている。それから保全については、保全状態、管理ともに十分なものだということが書かれておりまして、全体としての評価をされておりました。
 そのような要素について、分析評価がされておりまして、結論の部分なんですけれども、申し上げますと、武家により組織化された文民及び軍人、戦士階級による幕府の体制が誕生したことが大きな歴史的価値及び12世紀後半から14世紀初めまでの間に最初の幕府が成立していた鎌倉という地の役割を認める。まずそこを押さえまして、ただ、しかしながら今日資産を構成する要素を全て合わせても物質的な証明としては不完全であり、武家の古都の精神的な面を示すにとどまっており、部分的には軍事的な面を示しているが、その他の側面、例えば都市景観、経済、生活様式等については相当不明確か、全く示されていない。したがって、推薦主体の完全性は不適切であると。また、最もよく表現されている軍事関連遺跡、宗教関連遺跡についても、比較分析の中で顕著な普遍的価値が証明できていない。こういう結論になります。
 勧告は以上のような状況でございますけれども、大分繰り返し同じことを申し上げましたけれども、まず各論でいろいろ言って、また総括的なところで同じようなことをまとめているということでございます。
 こんな勧告を受けまして、その後、地元の4県市、それから国、文化庁、国交省などと情報交換などをして今日まで参っているところでございます。最終的に昨日、議員の皆様、それから報道機関にも御報告しましたとおり、27日に私ども4県市、4県市というのは資産を持っております鎌倉市、横浜市、逗子市、それから神奈川県ということで、4県市でもって、27日の18時25分から神奈川県庁において、勧告にかかわる対応について発表を行うと。その発表に先立ちまして、知事及び関係の3市長が協議を行う予定であるということを昨日御報告させていただいたところであります。
 
○中澤 委員長  質疑に移りたいと思います。御質疑ございますか。
 
○保坂 委員  今、御説明を伺いましたけれども、今の御説明というのはICOMOSからの評価の結果を受けて、文化庁が取りまとめて、県なり鎌倉市なりに知らせてきた概要に基づく御報告であったかなと思いました。最初に感想を言ってしまうと、基準のiiiとivということで鎌倉市は世界遺産登録を進めていますけれども、その基準に合致させるというのは大変ハードルが厳しいものだなと、それは感想ですけれども、この説明を受けて思いました。
 今ちょっと伺いたいのは、このICOMOSからの勧告について、吉田次長には一度伺ったことがありますけれども、その全文の日本語訳というのが公表されておらず、そのあたりで十分伝わっていない部分があるのではないかと。今のお話も、基準iii、基準ivに、こういう形で不十分な点があるということについては述べられていますけれども、ICOMOSからの勧告はそれ以外のことにも触れていて、4月30日、5月1日の発表の後、神奈川新聞とかでも指摘されていて、市民の皆さん御関心を持っている部分ですよね。英文の全文は文化庁のホームページとかで、鎌倉市からもリンクして見られますけれども、それほど物すごく多くなくて17ページくらいなので、できたらなるべく早く日本語の全文が見たいなと思いました。
 それで、その中でやはり気になるところは、神奈川新聞とかが後日報道した部分ですけれども、factors affecting the propertyという、資産に影響する要素というところで触れている部分ではないかと思います。ICOMOSは、鎌倉の文化遺産として、登録を進めようという資産に対する脅威としては、都市化の圧力、建築物ですとか交通の問題、それから自然災害、そして環境、自然または環境のリスクというのがあるんだということを認めているのが全体の中にありますけれども、このあたりの部分が文化庁から出されている概要の中には全くないというところが、十分に市民に知らされていない。議会にもですけれども。そのあたり、情報の提供というのが不十分ではないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
 
○吉田[浩] 世界遺産登録推進担当次長  勧告そのものは英語とフランス語でできております。それは、私どもは日本人ですから日本語で見るということでして、これは一応日本語による解釈ということになるものですから、これは慎重にということで、どう読めばいいかということをやってきたところでございます。
 それで、今の段階で、これで決定版というわけにはいかないんですけれども、内容を共有できるような意味での仮訳というものがようやく何とか整いましたので、資料としてごらんいただければなと思っております。
 
○保坂 委員  ちょっと細かい話で申しわけないんですけど、解釈の難しかった部分というのは、今、私が関心を持った資産へ影響する要素という部分ではなくて、もうちょっと学術的な部分というんでしょうか、ICOMOSへの基準への適用というのをきちっと精査して、どう言っているのかというのを解釈する部分が主に問題だったんですか。それとも、こちらの資産への影響の要素というので、別に触れられている部分についてということですか。都市化ですとか自然災害とか。
 
○吉田[浩] 世界遺産登録推進担当次長  価値の証明、完全性、真実性という項目がございまして、その中でいろいろ、こういうところはいいと思うけど、ここがだめだというようなことがいろいろ書いてありますので、その理解をするところが難しかったというところで、おっしゃられた資産への影響ですね、これについてはICOMOSが認識した事実が淡々と書かれているので、そこのところは全然難しくなかったと思います。
 
○保坂 委員  私も英文を読んで、そこの部分は特に難しくはなかったので、情報提供されてもしかるべき、早い時期でと思ったので、申し上げました。
 
○岡田 副委員長  僕もちらっと見ただけでわからなくて、今御説明いただいて、それでもまだうまく入れないんですけども、今まで四つの段階で、丸、四角、三角、バツとあって、バツで悲しいなと。はっきり言えばね。話にならないということになれば、例えば3ぐらいにひっかかっていれば、よじ登れるかなどうかなとなるけど、バツとなると結構厳しいぞと。そうすると、大きなコンセプトを変えていくのか、変えなければ変えないで、仮に突っ込んでいくとすれば、本当にこことこことか、優先順位があると思うんですよ。幾つかのポイントがあっても、その中で第1番は何、第2番何、第3番、ここまで満たせないと、どれもほかにもやってもどうにもならないという、そういうところがちょっと私の中でわからない。
 それと、市民の方が訳されているところをちょこちょこっと私もホームページなどを見させてもらったんですけれども、向こうも何となく認識違いしているところがあるような感じもあるので、それはそれでもいいんですけども、しかし、そんなところを突いてもしようがないなという感じもしないでもないんですけれども。本来何が問題だったのか。ちょっとわからないんです。今づらづら言われたけど、最重要はこれだよと、2番目にこれだよと、3番目はこれだと、こんな感じだと、それでこうなっている。我々の態度は今から出されると思うんですけど、こう思っているよという。多分、僕の直感では一旦引き下げてやりましょうとなる。こんな突っ込むという玉砕戦法をとらないんじゃないかと私は見ているんですけれども。確証ないから私も推測で言っているんですけれども。
 そうすると、そういうことも含めて、期間が例えばあと20年ぐらいかかるのか、30年かかるのかわかりませんけれども、大まかに、例えば10年が50年になる、それはちょっとまずいかなと。20年が30年になるのは仕方がないかなという感じはするんですけど、そこら辺の、今からだと思うんですけども、全体の事務に携わった中で、どんな感じなんでしょうね。
 
○吉田[浩] 世界遺産登録推進担当次長  今の御質問は、これはどういう原因なのかというのを端的にもうちょっと言ってくれという話、それから今後に向けて、委員は取り下げてもう一回やり直したらいいじゃないかという御意見だと承りましたが、この二つのことですね。
 まず、原因につきましては、これはまだ4県市で正式にこういう原因だということも、まだ確定したものがございませんので、これは鎌倉市での、今の段階での、私ども担当としての整理ということでお聞きいただければありがたいんですけれども。
 何と申しましても、もともと私ども、今回、武家の古都・鎌倉を出したときには、そもそも、いろいろなことを考えましたけれども、鎌倉の中のどの部分を価値あるものとしてユネスコに訴えていくかというときに、いろんな視点があったわけですが、最終的に三方を山に囲まれている、その山、要害性を持った、ただの山ではなくて町を守る機能を持った要害的な山稜部、そこに独特なものがあるんだよと。ただ単に山に木が生えているだけでは仕方ございませんので、その中には、21の重要な要素と呼ばれています社寺であったり切り通しであったり、稲田の跡であったり、港の跡であったり、武家館、そういったものが入っておりまして、そういったものがお互いに関連し合いながら800年前に存在して、今はほとんどが失われてしまったところの、800年前の価値で、そこの部分で伝えているんだと私どもとしては訴えたいんです。私どもというか、日本として世界に問いかけたわけでございます。
 これに対して、今回のICOMOSの指摘は、その部分、山を囲んでという部分については余り評価が書いていなくて、武家の古都・鎌倉というのは政権都市であると。それはそうだったんです。政権都市、都市であるならば山がどうとかお寺がどうとかということじゃなくて、人が住んでいて、そこに生活の跡があって、あるいは政権ですから政権の所在地がある。そういったところが全部出ていないと、それは価値として証明していないと。私どもが、この部分がありますと、特にそれは武家文化の精神的な側面、これが非常に日本の歴史においても、それから世界にもいろいろな形でサムライスピリットであったり、あるいは禅の文化であったりということで大きな影響を与えているわけですから、その部分をどうぞ世界の方に認めてくださいということで持ち上げていったわけですけれども、その理屈はわかると。だから鎌倉の価値はあるとは思うと言ってくれているんですけれども、あくまでも都市ということで出てきたのであれば、そういった精神的な文化的なものだけじゃなくて、町の状況というものがわかっていないとだめじゃないかという形で言われてしまった。そこで、私ども日本を挙げて考えたことと、それからICOMOSの二十数名のメンバーが認識したことに大きなずれがあったと、それが原因だと思います。
 それらがまずありまして、さらに、最終的に結論のところで余り触れていないんですけれども、一つは都市化の影響ということが大きいというのは、いろいろ褒めたりけなしたりしているんです。またお読みいただければと思うんですけれども、ただ、褒めているところを見ますと、いろいろな法的な保護がとられていて、ポイント、ポイントから見ると非常によい景観がある。1960年代の開発に関して、非常に努力をしてきたのはよくわかるという趣旨のことが出てくる。また、ちょっと訳があれなんでしょうけれども、めちゃくちゃに市街地にいろんな建物が建って景観を壊している、そういうこともないんだという評価もしている。
 ところが、一方において、ちょっと見る場所を変えてしまうと、ここから見ると山が見えて社寺が見えて非常にいい景観であると。しかし、ちょっと場所を移してみれば住宅が目に入ってくる、何が入ってくる。住宅とはっきり書いていませんけれども、要するに場所を変えると一体的な景観がないということを言われています。
 ですから、都市化の影響ということはやはりマイナスに作用した。これは間違いないと私どもは考えております。
 原因につきましてはそんなところでございますけれども、今後の取り組みにつきましては、鎌倉のみならず地元側としてどうしていったらいいのかということをまさに考えなければいけないわけでございまして、ただ、そのときに、委員もおっしゃっていたように、やみくもにやって今後のチャンスを潰すことはいけないという意見もたくさん伺っておりますし、その中で、私どもとしては、世界遺産を今後も目指し続けるということを知事と3人の市長が合意しておりますので、その考え方に立って、ではどうしたら今後の近道、10年、何十年というお話がございましたけれども、できるだけ早く結果を出すことをしたいという観点で選択肢を選んでいくと。今、目の前に突きつけられている選択肢は取り下げるのか、それとも委員会にぶつかっていってもう一回、ICOMOSの評価はおかしいから、よくもう一回見てくれということを頑張って言うのかという、どちらかがございますけれども、これについてはまさにいろいろな情報を集めているところです。
 というのは、私どもも勧告の内容はさすがにもうよく読みました。厳しいということもわかりました。ところが、世界情勢というと大げさになりますけれども、世界遺産委員会がどういう考え方で動いているのかとか、ですから、ひょっとしたら、いろいろな御意見をいただきますけれども、ある方たちによると、これまで平泉であるとか石見銀山というのは、なかなか日本のものを理解いただけなかったので、いろんな活動をやって最終的に逆転しているじゃないかとこういうお話もされて、そういう努力をしたらチャンスがあるんじゃないかというお話も出てきまして、そのことを進めたらどうかということも御意見としてあるものですから、そういったことが果たして、本当にそういうことなのか、今日でもそんなことが可能なのかどうかということも十分情報を集めなきゃいけないということで検討しています。まさに検討中であります。
 国が地元の意向を尊重すると言っておりますので、地元からの意見を持ち上げて、恐らく国は国レベルでの関係省庁との話し合いが持たれるように伺っておりますので、ちょっとその辺のことはわかりかねます。
 
○中澤 委員長  ほかに御質疑ございませんか。
                 (「なし」の声あり)
 では、質疑を打ち切ります。
 ただいまの報告については了承とすることでよろしいでしょうか。
                 (「はい」の声あり)
 確認いたします。
 それでは、総務常任委員会を閉会いたします。
 以上で本日は閉会した。


 以上は、会議の顛末を記録し、事実と相違ないことを証する。

   平成25年5月22日

             総務常任委員長

                 委 員